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Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド
11g リリース1(11.1.1)
B56238-02
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16 SOAコンポジット・アプリケーションのカスタマイズ

この章では、BPELプロセス・サービス・コンポーネントで使用可能なカスタマイズ機能を使用して、SOAコンポジット・アプリケーションをカスタマイズする方法について説明します。

項目は次のとおりです。

16.1 SOAコンポジット・アプリケーションのカスタマイズの概要

この項では、SOAコンポジット・アプリケーションをカスタマイズするライフ・サイクルについて説明します。たとえば、次の各組織では、同じコンポジットを使用する必要があるとします。ただし、若干の変更が必要です。

コア・アプリケーション開発チームでは、カスタマイズ可能な基本コンポジットを作成し、バーティカル・アプリケーション・チームに提供します。バーティカル・アプリケーション・チームでは、提供されたコンポジットを特定の業界(通信業界など)向けにカスタマイズします。調整されたソリューションは、通信業の顧客に販売されます。顧客は、特定の地理的なビジネス・ニーズに対応するためにコンポジットをさらにカスタマイズします。原則的には、1つの基本コンポジットと、複数レイヤーのカスタマイズ・コンポジットがあります。コンポジット・ライフ・サイクルの後半で、コア・アプリケーション開発チームは基本コンポーネントの新バージョンを作成し、バーティカル・アプリケーション・チームと顧客のアップグレード・サイクルをトリガーします。

16.1.1 カスタマイズ可能なコンポジットの作成方法

この項では、カスタマイズ可能な基本SOAコンポジット・アプリケーションの作成に必要な手順の概要を示します。

カスタマイズ可能なコンポジットを作成する手順は、次のとおりです。

  1. Oracle JDeveloperを起動し、「デフォルトのロール」を選択します。

  2. 「ファイル」メニューから「新規」「アプリケーション」「SOAアプリケーション」の順に選択し、「OK」をクリックします。

  3. SOAアプリケーションの作成ウィザードで、次の手順に従います。

  4. 「SOAアプリケーションの作成」ダイアログで、「BPELを使用するコンポジット」「カスタマイズ可能」の両方のチェック・ボックスを選択します。

  5. BPELプロセスを設計します。

  6. scopeアクティビティを作成して、BPELプロセスをカスタマイズします。デフォルトではBPELプロセスはカスタマイズ可能でないため、このアクションが必要です。


    注意:

    メディエータ、ヒューマン・ワークフローまたはビジネス・ルール・サービス・コンポーネントはカスタマイズできません。

  7. スコープを右クリックし、「カスタマイズ可能」を選択します。

  8. アプリケーション・ナビゲータで、「アプリケーション・リソース」「ディスクリプタ」「ADF META_INF」の順に開きます。

  9. adf-config.xmlファイルを開きます。

  10. 「追加」アイコンをクリックし、図16-1に示すように、必要なカスタマイズ・クラスを追加します。

    実際の環境では、カスタマイズ・クラスは、コア・アプリケーション・チームが提供します。独自のカスタマイズ・クラスを使用する場合は、カスタマイズ・クラスのJARファイルをプロジェクトに追加して、adf-config.xmlファイルでそのクラスを使用できるようにする必要があります。

    図16-1 カスタマイズ・クラス

    図16-1の説明は次にあります。
    「図16-1 カスタマイズ・クラス」の説明

  11. SOAプロジェクトを右クリックし、「デプロイ」を選択します。これにより、JARファイル・パッケージが作成されます。このJARは、SOAアーカイブ(SAR)とも呼ばれます。

  12. アプリケーションをソース・コード・コントロール・システムにチェックインします。これで、バーティカル・アプリケーション・チームに提供するファイルの準備が整いました。

カスタマイズ・クラスの記述方法については、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Fusion開発者ガイド』を参照してください。

16.1.2 バーティカル・アプリケーションのカスタマイズ方法

この項では、基本SOAコンポジット・アプリケーションのカスタマイズに必要な手順の概要を示します。

バーティカル・アプリケーションをカスタマイズする手順は、次のとおりです。

  1. $JDEV_HOME/jdeveloper/jdevCustomizationLayerValues.xmlファイルを開き、カスタマイズ・レイヤーのレイヤー値を追加します。たとえば、Communicationsという値をindustryレイヤーに追加します。

    <cust-layers xmlns="http://xmlns.oracle.com/mds/dt">
      <cust-layer name="industry">
        <cust-layer-value value="communications" display-name="Communications"/>
      </cust-layer>
    </cust-layers>
    
  2. Oracle JDeveloperを起動し、「デフォルトのロール」を選択します。

  3. コア・アプリケーションとは異なる名前で新しいSOAアプリケーションを作成します。

  4. 「ファイル」メニューから、「インポート」「SOAアーカイブをSOAプロジェクトへ」の順に選択します。

  5. 「参照」をクリックし、第16.1.1項「カスタマイズ可能なコンポジットの作成方法」でコア・アプリケーション・チームが作成したコンポジット・アーカイブのJARファイルを選択します。

  6. 「コンポジット名」フィールドで、コアSOAプロジェクトとは別の名前を入力します。


    注意:

    SOAプロジェクトは選択しないでください。インポートするJARファイルには、新規SOAプロジェクトを作成する必要があります。

  7. 「カスタマイズ用にインポート」チェック・ボックスを選択します。

  8. 「ツール」メニューから、「プリファレンス」「ロール」「カスタマイズ開発者」の順に選択します。

  9. Oracle JDeveloperを再起動します。

    「カスタマイズ・コンテキスト」ダイアログに、使用可能なカスタマイズ・レイヤーとレイヤー値が表示されます。

  10. 図16-2に示すように、カスタマイズするレイヤーと値を選択します(この例では、industryレイヤーとCommunicationsの値が選択されています)。

    図16-2 カスタマイズ・コンテキスト

    図16-2の説明は次にあります。
    「図16-2 カスタマイズ・コンテキスト」の説明

  11. SOAコンポジット・エディタで、BPELプロセスをダブルクリックしてOracle BPELデザイナにアクセスします。

    編集できるのは、カスタマイズ可能に設定されているscopeアクティビティのみです。図16-3に示す例では、コア・アプリケーション・チームが1つのスコープのみをカスタマイズ可能に設定しています。BPELプロセスのその他のアクティビティは無効になり、編集できません。

    図16-3 カスタマイズ可能な1つのスコープ

    図16-3の説明は次にあります。
    「図16-3 カスタマイズ可能な1つのスコープ」の説明

  12. SOAプロジェクトを右クリックして「デプロイ」を選択し、カスタマイズ・コンポジット(SAR)のJARファイルを作成します。

    デプロイメントはカスタマイズ・ロールが使用可能な状態で起動されるため、現在のカスタマイズ・コンテキストに基づいて適切なレイヤーの基本コンポジットが自動的にマージされます。

  13. アプリケーションをソース・コード・コントロール・システムにチェックインします。

    JARファイルには、次のカスタマイズ・レベルの基本プロセスとして順に機能するマージされたコンポジットが格納されます。これで、JARファイルを顧客に提供できるようになりました。

16.1.3 顧客バージョンのカスタマイズ方法

この項では、顧客バージョンのSOAコンポジット・アプリケーションのカスタマイズに必要な手順の概要を示します。

顧客バージョンをカスタマイズする手順は、次のとおりです。

  1. $JDEV_HOME/jdeveloper/jdevCustomizationLayerValues.xmlファイルを開き、カスタマイズ・レイヤーのレイヤー値を追加します。たとえば、North AmericaAsia Pacificという値をsiteレイヤーに追加します。

    <cust-layers xmlns="http://xmlns.oracle.com/mds/dt">
      <cust-layer name="site">
        <cust-layer-value value="communications" display-name="North America"/>
        <cust-layer-value value="communications" display-name="Asia Pacific"/>
      </cust-layer>
    </cust-layers>
    
  2. Oracle JDeveloperを起動し、「デフォルトのロール」を選択します。

  3. コア・アプリケーションまたはカスタマイズ・アプリケーションとは異なる名前で新しいSOAアプリケーションを作成します。

  4. 「ファイル」メニューから、「インポート」「SOAアーカイブをSOAプロジェクトへ」の順に選択します。

  5. 「参照」をクリックし、第16.1.2項「バーティカル・アプリケーションのカスタマイズ方法」でバーティカル・アプリケーション・チームが作成したコンポジット・アーカイブのJARファイルを選択します。

  6. 「カスタマイズ用にインポート」チェック・ボックスを選択します。

  7. 「ツール」メニューから、「プリファレンス」「ロール」「カスタマイズ開発者」の順に選択します。

  8. Oracle JDeveloperを再起動します。

    「カスタマイズ・コンテキスト」ダイアログに、使用可能なカスタマイズ・レイヤーとレイヤー値が表示されます。

  9. 図16-4に示すように、カスタマイズするレイヤーと値を選択します(この例では、siteレイヤーとNorth Americaの値が選択されています)。

    図16-4 カスタマイズ・コンテキスト

    図16-4の説明は次にあります。
    「図16-4 カスタマイズ・コンテキスト」の説明

  10. BPELプロセスをカスタマイズします。

  11. SOAプロジェクトを右クリックし、「デプロイ」を選択して北米地域のJARファイル(SAR)を作成します。

  12. アプリケーションをソース・コード・コントロール・システムにチェックインします。

16.1.4 コンポジットのアップグレード方法

この項では、SOAコンポジット・アプリケーションの次のバージョンへのアップグレードに必要な手順の概要を示します。

コンポジットをアップグレードする手順は、次のとおりです。

16.1.4.1 コア・アプリケーション・チーム

コア・アプリケーション・チームは、不具合の修正、製品の拡張および次のバージョンのコンポジットの作成を実施します。

  1. 第16.1.1項「カスタマイズ可能なコンポジットの作成方法」で作成したアプリケーションをソース・コントロールからチェックアウトします。

  2. Oracle JDeveloperを起動し、「デフォルトのロール」を選択します。

  3. 不具合を修正し、製品を拡張します。

  4. コンポジットをデプロイし、次のバージョンのJARファイルを作成します。

  5. JARファイルをバーティカル・アプリケーション・チームに提供します。

16.1.4.2 バーティカル・アプリケーション・チーム

バーティカル・アプリケーション・チームは、新しい基本コンポジットをカスタマイズしてJARファイル・バージョンを作成します。

  1. 第16.1.2項「バーティカル・アプリケーションのカスタマイズ方法」で作成したアプリケーションをソース・コントロールからチェックアウトします。

  2. Oracle JDeveloperを起動し、「デフォルトのロール」を選択します。

  3. チェックアウトしたアプリケーションを開きます。

  4. 「アプリケーション・ナビゲータ」でプロジェクト・ノードを選択し、現在のプロジェクト・コンテキストを設定します。次の手順のインポートでは、選択したプロジェクトにSOAアーカイブをインポートして基本をアップグレードするため、この手順は重要です。

  5. Oracle JDeveloperの「ファイル」メニューから、第16.1.4.1項「コア・アプリケーション・チーム」で作成された新規リビジョンのJARファイルをインポートします。

  6. 「ツール」メニューから、「プリファレンス」「ロール」「カスタマイズ開発者」の順に選択します。

  7. Oracle JDeveloperを再起動します。

  8. 「カスタマイズ・コンテキスト」ダイアログで、カスタマイズするレイヤーと値を選択します(たとえば、industryレイヤーとCommunicationsの値を選択します)。

  9. BPELプロセスを開き、前の手順で選択したコンテキストのレイヤーに、新しい基本コンポーネントをマージできるかどうかを確認します。

  10. ログ・ウィンドウで潜在的な警告およびエラーを確認します。

  11. 必要な場合は、プロセスを変更してエラーおよび警告を修正します。これにより、レイヤーがバックグラウンドで編集されます。

  12. コンポジットをデプロイして、カスタマイズされたJARファイルの次のリビジョンを作成し、アップグレードする顧客に提供します。

16.1.4.3 顧客

顧客は、第16.1.4.2「バーティカル・アプリケーション・チーム」のバーティカル・アプリケーション・チームと同じ手順に従って、新しい基本コンポジットに独自のレイヤーを適用します。