この章では、Oracle Application Server 10g ユーザー向けに、Oracle Fusion Middleware 11g リリース1(11.1.1)について説明します。
この章の内容は次のとおりです。
次の項では、Oracle Application Server 10g ユーザーのための新しいOracle Fusion Middlewareの用語と概念について説明します。
この項では、Oracle Application Server 10g リリース2(10.1.2)とOracle Fusion Middleware 11g の主要な相違点について説明します。
図2-1に、一般的な10g リリース2(10.1.2)環境の図を示し、一般的なOracle Fusion Middleware 11g 環境との比較を示します。
表2-1に、Oracle Application Server 10g リリース2(10.1.2)の用語と概念の一覧を示します。また、Oracle Fusion Middlewareにおける同等の用語と概念も示します。
注意: 図2-1に示す10g リリース2(10.1.2)環境は、Oracle PortalインスタンスおよびOracle BI Discovererインスタンスのみを示すために簡略化されています。実際は、10g リリース2(10.1.2)環境には、Oracle Reports、Oracle Forms Servicesおよび関連するOracle Application Server Identity Managementインストールも含まれます。Oracle Portal、Forms、Reports、Discovererコンポーネント、およびOracle Fusion Middleware 11g のOracle Identity Managementコンポーネントの詳細は次のマニュアルを参照してください。
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表2-1 10g リリース2(10.1.2)およびOracle Fusion Middleware 11g における用語と概念
10g リリース2(10.1.2)の用語 | Oracle Fusion Middleware 11g の用語 | 相違点 |
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Oracle Fusion Middlewareファーム |
10g リリース2(10.1.2)のファームには、同じOracle Metadata Repositoryを共有するOracle Application Serverインスタンスがすべて含まれていました。 Oracle Fusion Middlewareのファームは、単一のOracle WebLogic Serverドメインと、そのドメインに関連付けられた対応するOracleシステム・コンポーネントで構成されます。 Oracle WebLogic Serverのドメインは、Webベースの管理コンソールをホストする管理サーバーおよび1つ以上の管理対象サーバーで構成されます。 |
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Oracle Enterprise Manager Application Server Control |
10g リリース2(10.1.2)では、Application Server Controlを使用して、アプリケーション・サーバー環境全体を管理します。Application Server Controlは、すべてのOracle Application Server 10g リリース2(10.1.2)インスタンスにデプロイされていました。 複数のアプリケーション・サーバー・インスタンスが共通のメタデータ・リポジトリに関連付けられている場合、ファーム内のすべてのアプリケーション・サーバー・インスタンスが表示される「ファーム」ページにナビゲートできました。 Oracle Fusion Middlewareでは、次の2つのWebベースの管理コンソールがあります。
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Oracle WebLogic Serverクラスタ |
10g リリース2(10.1.2)では、Oracle Application Serverクラスタは、構成とアプリケーション・デプロイメントが同じの1つ以上のアプリケーション・サーバー・インスタンスで構成されていました。クラスタ内のアプリケーション・サーバー・インスタンスは、単一のインスタンスとして表示され機能します。 Oracle WebLogic Serverは、同様のクラスタ機能を提供しています。これにより、複数の管理対象サーバーをクラスタ化できます。 |
この項では、Oracle Application Server 10g リリース3(10.1.3)とOracle Fusion Middleware 11g の主要な相違点について説明します。
図2-2に、一般的なOracle Application Server 10g リリース3(10.1.3)環境の図を示し、一般的なOracle Fusion Middleware 11g 環境との比較を示します。
表2-2に、Oracle Application Server 10g リリース3(10.1.3)の用語と概念、およびOracle Fusion Middlewareにおける同等の用語と概念を示します。
図2-2 10g リリース3(10.1.3)およびOracle Fusion Middleware 11g における用語の比較
表2-2 10g リリース3(10.1.3)およびOracle Fusion Middleware 11g における用語と概念
10g リリース3(10.1.3)の用語 | Oracle Fusion Middleware 11g の用語 | 相違点 |
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Oracle Application Serverクラスタ・トポロジ |
Oracle Fusion Middlewareファーム |
10g リリース3(10.1.3)では、クラスタ・トポロジは、同じOracle Notification Service(ONS)アドレスを共有する複数のアプリケーション・サーバー・インスタンスで構成されています。 Application Server Controlの「クラスタ・トポロジ」ページからクラスタ・トポロジを管理できます。 Oracle Fusion Middlewareのファームは、単一のOracle WebLogic Serverドメインと、そのドメインに関連付けられたOracleシステム・コンポーネントで構成されます。 Oracle WebLogic Serverのドメインは、Webベースの管理コンソールをホストする管理サーバーおよび1つ以上の管理対象サーバーで構成されます。 |
Oracle Application Server Control |
Oracle WebLogic Server管理コンソール Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control |
10g リリース3(10.1.3)では、Application Server Controlを使用して、アプリケーション・サーバー環境を管理します。Application Server Controlは、すべてのOracle Application Server 10g リリース3(10.1.3)インスタンスにデプロイされますが、稼働するのは1つのみであり、そのApplication Server ControlがアクティブなFusion Middleware Controlとして識別されます。 Oracle Fusion Middlewareでは、次の2つのWebベースの管理コンソールがあり、両方とも管理サーバーから実行されます。
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OC4Jグループ |
Oracle WebLogic Serverクラスタ |
10g リリース3(10.1.3)では、OC4Jグループを使用して、同一に構成されたOC4Jインスタンスをグループ化します。次に、アプリケーションをそのグループにデプロイして、個々のOC4Jインスタンスではなく、グループ単位で特定の管理タスクを実行できます。 Oracle WebLogic Serverは、同様のクラスタ機能を提供しています。これにより、複数の管理対象サーバーをクラスタ化できます。 |
次の項では、Oracle HTTP ServerとOracle Web Cacheが、Oracle Application Server 10g とOracle Fusion Middleware 11g 環境でどのように使用されるかを比較します。
Oracle Application Server 10g では、Oracle HTTP ServerとOracle Web Cacheは、インストール中に他のOracle Application Server中間層コンポーネントと自動的に統合されていました。
たとえば、次のとおりです。
Oracle Application Server 10g リリース2(10.1.2)では、Oracle HTTP ServerとOracle Web Cacheコンポーネントを標準のOracle Application Serverインストールの一部として選択できました。環境のインストールと構成中に、リクエストのルーティングはOracle HTTP ServerとOracle Web Cache間で自動的に構成されました。
Oracle Single Sign-OnやOracle Portalなどのコンポーネントには、Oracle HTTP Serverが必要になるため、10g リリース2(10.1.2)のインストールでは、これらのコンポーネントと通信するためにOracle HTTP Serverが自動的に構成されていました。
Oracle Application Server 10g リリース3(10.1.3)の一般的ないくつかのインストール・タイプには、OC4Jインスタンスにリクエストをルーティングするよう自動的に構成されたOracle HTTP Serverのインスタンスが含まれていました。
ユーザーは、OC4Jグループまたは10g リリース3(10.1.3)クラスタ・トポロジの特定のOC4JインスタンスにリクエストをルーティングするようにOracle HTTP Serverの構成を後で変更することができました。
Oracle Fusion Middleware 11g でも同様に、Oracle HTTP Serverは、Webサーバーを必要とする特定のコンポーネントに自動的にインストールされ、構成されます。たとえば、Oracle HTTP Serverは次のOracle Fusion Middlewareコンポーネントとともに自動的にインストールされ、構成されます。
Oracle Identity Managementソフトウェア・スイートのOracle Identity Federation
Oracle Portal、Forms、Reports and DiscovererスイートのOracle PortalおよびOracle Business Intelligence Discoverer
ただし、その他のOracle Fusion Middlewareスイートの場合、Oracle HTTP ServerおよびOracle Web CacheはWeb層と呼ばれる別のインストールとしてパッケージ化されています。
本番環境では、多くのOracle Fusion Middlewareユーザーが別々のコンピュータを構成して、Oracle HTTP ServerとOracle Web Cacheのコンポーネントをホストするということを想定しています。これらのコンポーネントを別々のWeb層インストールとしてパッケージ化することによって、このタイプの環境を容易に設定できるようになります。
Oracle Application Server 10g とは異なり、Oracle Fusion Middlewareコンポーネントのインストールと構成はそれぞれ別に行います。つまり、最初にインストール・プログラムを使用して必要なファイルをディスクにインストールしてから、構成ウィザードを使用して環境を構成します。
Oracle Fusion Middlewareシステム・コンポーネントは、Oracle WebLogic Serverで機能するように設計されているので、Oracle Fusion Middleware環境を構成する最初の手順は、通常、Oracle WebLogic Serverのインストールです。次に、Oracle Fusion Middlewareコンポーネント・ソフトウェアをインストールし、その後でソフトウェアを構成します。インストールおよび構成の各手順は、専用のツールを使用して実行します。
Oracle Fusion Middlewareのインストールおよび構成に必要なツールの例として、一般的なOracle SOA Suiteのインストールおよび構成に必要な手順を検討してください。
特に、Oracle SOA Suiteの本番準備環境のインストールおよび構成では、図2-3に示すインストール・ツールと構成ツールを使用します。図中の番号は、インストールと構成の各タスクを実行する一般的な順序に対応しています。各手順の詳細は、表2-3で説明しています。
Oracle Fusion Middleware環境のインストールおよび構成に使用できるツールの詳細は、『Oracle Fusion Middlewareインストレーション・プランニング・ガイド』を参照してください。
図2-3 一般的なOracle SOA Suite環境のインストールおよび構成に使用するインストール・ツールと構成ツール
表2-3 Oracle SOA Suiteの一般的なインストールに使用する、Oracle Fusion Middlewareのインストール・ツールおよび構成ツールの概要
手順番号 | タスク | 実行に使用するツール | 必要なツールの場所 | 詳細 |
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1 |
サポートされているOracle Databaseのバージョンに必要なスキーマをインストールします。 |
Repository Creation Utility(RCU) |
Repository Creation UtilityのCD-ROM |
『Oracle Fusion Middleware Repository Creation Utilityユーザーズ・ガイド』 |
2 |
Oracle WebLogic Serverのファイルをディスクにインストールします。これによって、Middlewareホームが作成され、そのMiddlewareホーム内にはWeblogic Serverホーム・ディレクトリが作成されます。 |
Oracle WebLogic Serverインストーラ |
Oracle WebLogic ServerのCD-ROM |
『Oracle WebLogic Server Installation Guide』 |
3 |
Oracle SOA Suiteソフトウェアをディスクにインストールします。これによって、SOA OracleホームおよびOracle共通ホームが作成されます。 |
Oracle SOA Suiteインストーラ |
Oracle SOA SuiteのCD-ROM |
Oracle SOA Suite用のインストレーション・ガイド |
4 |
SOAドメインを構成します。これによって、SOAドメイン・ディレクトリ構造が作成されます。 ドメイン・ディレクトリはディスク上の任意の場所に作成できますが、多くの場合、Middlewareホームの |
Oracle SOA Suite構成ウィザード |
手順3で作成したSOA Oracleホームの |
Oracle SOA Suite用のインストレーション・ガイド |
5 |
必要に応じてWeb層のインストールおよび構成を行います。 また、リクエストを適切なOracle WebLogic ServerのサーバーにルーティングするようにOracle HTTP Serverを構成する必要があります。 |
Oracle Web Tierインストーラ |
Oracle Web TierおよびUtilitiesのCD-ROM |
『Oracle Fusion Middleware Oracle Web Tierインストレーション・ガイド』 |
次の項では、Oracle Application Server 10g とOracle Fusion Middleware 11g の管理ツールおよびプロセスの主要な相違点について説明します。
表2-4に、Oracle Application Server 10g リリース2(10.1.2)とOracle Fusion Middleware 11g の主要な相違点を示します。
表2-4 Oracle Fusion Middleware 11g とOracle Application Server 10g リリース2(10.1.2)の相違点の概要
タスクまたは機能 | 10g リリース2(10.1.2) | Oracle Fusion Middleware 11g | 詳細 |
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Oracle Application Serverファームのインストールおよび管理 |
同じOracle Metadata Repositoryが使用するように複数のOracle Application Serverインスタンスを構成します。 これによって、OracleASファームが作成されます。OracleASファームは、Oracle Enterprise Manager Application Server Controlの「ファーム」ページから管理できます。 |
インストール・ツールおよび構成ツールを使用して、次のことを行います。
これによって、Fusion Middleware ControlからOracle Fusion Middlewareファームを管理できるようになります。 |
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OracleASクラスタの使用 |
OracleASファーム内の選択したJ2EE and Web CacheインスタンスをOracleASクラスタに追加します。このタスクは、Fusion Middleware Controlコンソールの「ファーム」ページから実行します。 |
Oracle WebLogic Server構成ウィザードまたは適切な管理ツールを使用して、選択した管理対象サーバーをOracle WebLogic Serverクラスタに組み込むように構成します。 |
"『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のOracle Fusion Middlewareの管理ツールの概要に関する項 |
クラスタ全体へのアプリケーションの状態のレプリケート |
Application Server Controlの「ファーム」ページからOracleASクラスタを作成します。OC4Jクラスタは、OracleASクラスタ内のプロセスおよびアイランドをベースにしています。 |
Oracle WebLogic Server構成ウィザードを使用して、選択した管理対象サーバーをOracle WebLogic Serverクラスタに組み込むように構成します。 |
『Oracle Fusion Middleware Java EEアップグレード・ガイド』 |
新しいOC4Jインスタンスの作成 |
Application Server Controlコンソールの「OC4Jホーム」ページの「インスタンスの作成」をクリックします。 |
Oracle WebLogic Server構成ウィザードまたは適切な管理ツールを使用して、新しい管理対象サーバーを、各Oracle WebLogic Serverドメインに作成します。 |
"『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のOracle Fusion Middlewareの管理ツールの概要に関する項 |
コマンドライン・ツールを使用したサーバー、クラスタおよびシステム・コンポーネントの管理 |
次のいずれかを使用します。 |
管理するコンポーネントに応じて、次のいずれかを使用します。 |
"『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のコマンドライン・ツールの使用の開始に関する項 |
Application Server Controlの「Application Serverインフラストラクチャ」ページを使用してOracleAS Identity Managementを構成します。 |
Oracle Portal、Forms、ReportsおよびDiscovererのインストールで、Oracle Internet Directoryをアイデンティティ・ストアとして構成します。 |
『Oracle Fusion Middleware Oracle Portal, Forms, Reports and Discovererインストレーション・ガイド』 |
表2-4に、Oracle Application Server 10gリリース3(10.1.3)とOracle Fusion Middleware 11gの主要な相違点を示します。
表2-5 10g リリース3(10.1.3)およびOracle Fusion Middleware 11g の主要な管理タスクの比較
表2-6に、Oracle Fusion Middleware 11g へのアップグレードの自動化と検証に使用できるツールの概要を示します。
これらのツールをアップグレード作業全体の一環として使用する方法については、その他のOracle Fusion Middlewareアップグレード・ドキュメントを参照してください。
表2-6 Oracle Fusion Middleware 11g へのアップグレード時に必要となるツールの概要