Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverアップグレード・ガイド 11g リリース1(10.3.3) B61642-01 |
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ローリング・アップグレードとは、WebLogic Serverクラスタ全体またはドメイン全体をシャットダウンすることなく、パッチ、メンテナンス・パック、またはマイナー・リリースを使用して、実行中のWebLogic Serverクラスタをアップグレードするプロセスのことです。クラスタをローリング・アップグレードすると、クラスタ内の各サーバーは個別にアップグレードと再起動を行い、その間、クラスタ内の他のサーバーがアプリケーションをホストし続けます。
WebLogic Server 9.2より前のリリースでは、クラスタをアップグレードするためには、ドメイン全体をシャットダウンするか、アップグレードしたサーバーを、追加ハードウェアの並行ドメイン上にインストールし、ロード・バランサを使用して元のドメインから新しいドメインに負荷を転送することが必要でした。ローリング・アップグレードによって、ダウンタイムを短縮でき、ドメインを実行したまま、パッチ、メンテナンス・パック、またはマイナー・リリースをインストールできるようになりました。
次の内容について説明します。
ローリング・アップグレードは、WebLogic Server 9.2からサポートされています。ローリング・アップグレードのサポートの範囲には、WebLogic Server 10.xで使用可能になったパッチおよびメンテナンス・パックのインストールが含まれます。
ローリング・アップグレードはWebLogic Serverインスタンスのほとんどのクラスタに適用できますが、クラスタに含まれない管理対象サーバーのドメインに対する更新もインストールできます。このドキュメントでは、クラスタへのアップグレードのインストールを中心に説明します。
パッチ、メンテナンス・パック、またはマイナー・リリースをローリングの方法でアンインストールすることもできます。
WebLogic Serverアップグレードを実行するためにアプリケーションを停止してWebLogic Serverのアップグレードが完了してからアプリケーションを再起動するなど、他の方法で最新のパッチにアップグレードすることもできます。ローリング・アップグレードは、実行中のWebLogic Serverクラスタをアップグレードするときにクラスタ全体やドメインを停止しないという選択肢を提供します。
アップグレードを開始する前に、次のような予防措置を実行していることを確認します。
アプリケーション、データベース・スキーマ、その他のアプリケーション・データ、およびドメインをバックアップしています。
必要な場合は、使用する非Oracleコンポーネントと互換性のあるサード・パーティ製の最新プラグインまたはコンポーネントを入手します。たとえば、Apache Web Serverライブラリなど。
ローリング・アップグレードのプロセスには、管理サーバーの停止、アップグレードのインストール、管理サーバーの再起動が含まれ、クラスタの各管理対象サーバーに対して同じ処理を実行します。詳細は、次の各節を参照してください。
WebLogic Serverの更新をサーバーにインストールする前に、そのサーバーを停止する必要があります。サーバーを停止する前に、使用している環境によっては、先にそのサーバーに対するロード・バランサまたはWebサーバーからのリクエストやトラフィックの送信を停止して、保留中のプロセスを完了してから、安全にサーバーを停止する必要があります。
管理対象サーバーの停止は、コマンド・ライン、WLSTスクリプト、または管理コンソールから実行できます。
コマンド・ラインの場合は、Graceful Shutdown
コマンドを使用すると安全にサーバーを停止できます。このコマンドは、処理中のすべての作業が完了するまで待機してから、サーバーまたはクラスタを停止します。
Graceful Shutdown
コマンドの使用方法の詳細は、WebLogic Scripting Toolのコマンド・リファレンスのshutdownに関する項を参照してください。管理コンソールから管理対象サーバーを停止する方法の詳細は、Oracle WebLogic Server管理コンソール・ヘルプの「クラスタのサーバーの停止」を参照してください。
注意: 次の点に注意してください。
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実行しているサーバーを停止したら、メンテナンス・アップグレードをインストールします。詳細については、『Oracle Smart Updateパッチおよびメンテナンス・パックのインストール』の「パッチのダウンロードおよび適用」を参照してください。
パッチ、メンテナンス・パック、またはマイナー・リリースのインストールには、複数の方法があります。次の節では、それぞれの方法について説明します。
Smart Update機能を使用すると、定期的に使用可能なソフトウェア・アップグレードをチェックすることができます。Smart Updateを起動すると、現在のMiddlewareホーム・ディレクトリに関連付けられているインストール済製品のバージョン番号が確認されてから、Oracle Webサイトに接続され、使用可能なService Packの有無が確認されます。Smart Updateによるインストールの詳細は、『Oracle Smart Updateパッチおよびメンテナンス・パックのインストール』を参照してください。
多くの場合、メンテナンス更新はスクリプトを使用して配布およびインストールできます。複数のマシンにインストールされているOracle製品の特定のメンテナンス・レベルをレプリケートするためのメカニズムを作成できます。本番環境では、複数のマシンに対するソフトウェア更新の配布作業を、管理された方法で、信頼性と再現性を確保しつつ実施する必要があるため、この機能が特に役立ちます。
ここでは、Smart Updateのbsu
コマンドについて説明します。これはパッチ・ダウンロード・ディレクトリにダウンロードされているパッチを適用するコマンドであり、対話形式またはスクリプトで使用できます。詳細については、『Oracle Smart Updateパッチおよびメンテナンス・パックのインストール』の「コマンド・ライン・インタフェースの使用」を参照してください。
サイレント・モード・インストールは、インストール構成を一度だけ設定し、その後はこれらの構成を使用して、インストールを多くのマシンに複製する方法です。サイレント・モード・インストールでは、インストール開始前に作成したXMLファイルから構成用の設定が読み込まれます。インストール・プログラムからは、インストール処理中に構成オプションは何も表示されません。サイレント・インストールは、メンテナンス・パックとマイナー・リリースのインストールにのみ適用できます。詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverインストール・ガイド』の「サイレント・モードでのインストール・プログラムの実行」を参照してください。
メンテナンス・アップグレードをインストールしたら、サーバーを再起動する前に必要に応じて起動スクリプトを修正します。詳細については、『Oracle Smart Updateパッチおよびメンテナンス・パックのインストール』の「インストールおよびアプリケーションにおける適用済みパッチのアクティブ化」を参照してください。また、その他のインストール後の必要なタスクは、環境とインストールしたメンテナンスの種類によって異なります。
サーバー・インスタンスの開始と停止の方法の概要については、『Oracle WebLogic Serverサーバーの起動と停止の管理』のサーバーの起動と停止に関する項を参照してください。
必要な場合は、サーバーを起動した後で、そのサーバーにリクエストが送信されるようにWebサーバーまたはロード・バランサを再構成する必要があります。
パッチは1つまたはいくつかの問題修正を含むファイルで、Smart Updateを使用してインストールできます。パッチは、通常はソフトウェアの問題を修正するために作成されます。パッチは、Smart Updateを使用してインストール(推奨)できますが、クラス・パスの最初でパッチを参照する方法もあります。
メンテナンス・パックは、複数の修正が1つのファイルに組み込まれたものです。メンテナンス・パックはSmart Updateを使用してインストールするか、サポートWebサイトからインストーラをダウンロードしてインストールします。メンテナンス・パックもパッチも、既存のインストールに対して適用されます。
WebLogicドメインの実行中に、次の手順を実行します。
管理サーバーを停止します。詳細については、「サーバーの休止と停止」を参照してください。
管理サーバーのホストであるコンピュータで、WebLogic Serverのパッチをインストールします。詳細については、「パッチ、メンテナンス・パック、またはマイナー・リリースのインストール」を参照してください。
管理サーバーを再起動します。詳細については、「サーバーの再起動」を参照してください。
各管理対象サーバーに対して、次のタスクを順番に実行します。
サーバーの停止(「サーバーの休止と停止」を参照)。
ソフトウェア・アップグレードをインストールします(「パッチ、メンテナンス・パック、またはマイナー・リリースのインストール」を参照)。
サーバーを再起動します(「サーバーの再起動」を参照)。
注意: Smart Updateを使用して、再起動のプロセスを自動化するように起動スクリプトを修正することもできます。詳細については、『Oracle Smart Updateパッチおよびメンテナンス・パックのインストール』の「起動スクリプトの修正」を参照してください。 |
これで、アップグレードのプロセスは完了しました。
新規リリースのマイナー・バージョンには、問題修正と新機能が含まれています。マイナー・リリースは、まったく新しいディレクトリにインストールされます。同じリリース・ファミリの既存のドメインは、新規のマイナー・リリースを使用して実行できます。WebLogic Server 9.1とWebLogic Server 9.2は、WebLogic Server 9.xのマイナー・バージョンの既存のサンプルです。
WebLogicドメインの実行中に、次の手順を実行します。
管理サーバーを停止します。詳細については、「サーバーの休止と停止」を参照してください。
管理サーバーのホストであるコンピュータで、WebLogic Serverの新規バージョンをインストールします。Oracle製品のインストールについては、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverインストール・ガイド』を参照してください。
ドメインの起動スクリプトを変更して、クラス・パスに新しいファイルを含めます。
JAVA_HOME
、MW_HOME
、BEA_HOME
、およびWLS_HOME
などの環境変数が新しいバージョンのWebLogic Serverを参照するように更新します。
管理サーバーを再起動します。詳細については、「サーバーの再起動」を参照してください。
各管理対象サーバーに対して、次のタスクを順番に実行します。
サーバーを停止します(「サーバーの休止と停止」を参照)。
ソフトウェア・アップグレードをインストールします(「パッチ、メンテナンス・パック、またはマイナー・リリースのインストール」を参照)。
ドメインの起動スクリプトを変更して、クラス・パスに新しいファイルを含めます。
JAVA_HOME
、MW_HOME
、BEA_HOME
、およびWLS_HOME
などの環境変数が新しいバージョンのWebLogic Serverを参照するように更新します。
サーバーを再起動します(「サーバーの再起動」を参照)。
クラスタ全体やドメインを停止しないで、パッチ、メンテナンス・パック、またはマイナー・リリースをアンインストールすることができます。詳細については、次の各節を参照してください。
場合によっては、メンテナンス・アップグレードのアンインストールが必要になることがあります。Smart Updateを使用すると、システムのインストール環境をそのリリース以前のバージョンに戻すことができます。詳細については、『Oracle Smart Updateパッチおよびメンテナンス・パックのインストール』の「メンテナンス・パック、およびパッチのアンインストール」を参照してください。
パッチおよびメンテナンス・パックのアンインストールの手順は、ローリング・アップグレードとは逆の順序になります。
各管理対象サーバーに対して、次のタスクを実行します。
サーバーを停止します(「サーバーの休止と停止」を参照)。
パッチまたはメンテナンス・パックをアンインストールします。
詳細については、『Oracle Smart Updateパッチおよびメンテナンス・パックのインストール』の「メンテナンス・パック、およびパッチのアンインストール」を参照してください。
サーバーを再起動します(「サーバーの再起動」を参照)。
すべての管理対象サーバーをダウングレードした後で、管理サーバーに対して次のタスクを実行します。
サーバーを停止します(「サーバーの休止と停止」を参照)。
パッチまたはメンテナンス・パックをアンインストールします。
サーバーを再起動します(「サーバーの再起動」を参照)。
これで、適用されていたパッチまたはメンテナンス・パックはアンインストールされました。
マイナー・リリースのアンインストールの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverインストール・ガイド』の「ソフトウェアのアンインストール」を参照してください。
この手順は、ローリング・アップグレードの逆の順序になります。
各管理対象サーバーに対して、次のタスクを実行します。
サーバーを停止します(「サーバーの休止と停止」を参照)。
パッチまたはメンテナンス・パックをアンインストールします。
詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverインストール・ガイド』の「ソフトウェアのアンインストール」を参照してください。
WebLogic Serverの前のバージョンがクラス・パスに含まれ、すべての環境変数が前のバージョンのWebLogic Serverを参照するように、起動スクリプトを更新。
サーバーを再起動します(「サーバーの再起動」を参照)。
すべての管理対象サーバーをダウングレードした後で、管理サーバーに対して同じ手順を実行します。
サーバーを停止します(「サーバーの休止と停止」を参照)。
パッチまたはメンテナンス・パックをアンインストールします。
WebLogic Serverの前のバージョンがクラス・パスに含まれ、すべての環境変数が前のバージョンのWebLogic Serverを参照するように、起動スクリプトを更新。
サーバーを再起動します(「サーバーの再起動」を参照)。
これで、WebLogic Serverの新しいバージョンがアンインストールされました。
ローリング・アップグレードについては、次の制限事項に留意してください。
ローリング・アップグレードは、特定のメジャー・バージョン内でのアップグレードにのみ適用されます。たとえば、10.0から10.3.3へはアップグレードできますが、9.0から10.0へはアップグレードできません。
WebLogic Serverがコンピュータにインストールされて複数の管理対象サーバーがこの同じインストールから実行される場合、アップグレードを実行する前に同じインストールを使用するすべての管理対象サーバーを停止する必要があります。
アップグレードの処理中に、インストールされている一部のファイルを置換することがあります。しかし、WebLogic Serverインスタンスが実行中にこれらのインストール済ファイルを使用するため、アップグレード・プロセス中でもそのサーバー・インスタンスを停止してからでないと、該当するファイルを置換できません。複数の管理対象サーバーがWebLogic Serverの同じインストールを共有している場合、その一連のファイルを使用するすべてのインスタンスを停止して、同時にアップグレードする必要があります。ローリング・アップグレードのサポートについて、Oracleでは、各管理対象サーバーにそれぞれ固有のWebLogic Serverインストールを行うことをお薦めしています。
アップグレードでは、新しい機能の使用は、ドメイン全体がアップグレードされた後で可能になります。
アップグレード処理の間、クラスタのすべてのサーバーがアップグレードされるまでは、構成を変更しないでください。新しい構成オプションについては、特に注意が必要です。サーバーは処理できない設定を無視して、反応しないため、ローカル構成ファイルが適切に更新されません。また、新しい構成オプションでは、メンテナンス・アップグレードをローリング・アンインストールできないことがあります。
マイナー・リリースに関しては、ローリング・アップグレードの最中は、2つの別個のインストール・ディレクトリが存在します。すなわち、古いインストールの場所と新しいインストールの場所です。