| Oracle Applications概要 リリース11i(11.5.10) 部品番号: B15656-01 | 目次 | 前へ | 次へ |
Oracle E-Business Suiteでは、特定のビジネス要件および技術要件にあわせてインストレーションを構築およびカスタマイズするための多数のオプションが提供されます。 最も単純なレベルでは、目標とする支出額と必要なパフォーマンスに準じて、適切な数のマシンを利用し、様々なApplicationsテクノロジ・レイヤーを分散する機能が含まれます。 物理サイト組織および予想成長率など、より具体的なファクタもあります。 他の側面では、需要の変動に対応する追加機能の提供が必要となる可能性、およびハードウェア・コンポーネントの一部に影響する問題が発生した場合に、リジリエンスが必要とされる可能性があります。 システムの計画で最終的(かつ重要)な考慮事項は、適切なセキュリティ・レベルを導入する必要性です。
この項では、各種コンポーネントまたはレイヤーにおけるロードのバランス調整に必要な意思決定方法を中心に説明します。この意思決定は、次の2つの理由により特に重要です。
ロード・バランス領域には、次のものが含まれます。
ここでは、ロード・バランス戦略およびその主な機能を重点的に説明しており、必要な技術要件およびビジネス要件を達成するにあたり、特定の領域のロード・バランスの適用可能性および有用性について、情報を得た上で意思決定を下すことができます。 様々な領域の利点および制限の両方について説明します。
「Applicationsアーキテクチャ」で述べているFormsメトリック・サーバーを除き、ロード・バランサはOracle E-Business Suiteの一部としてインストールされません。 ただし、必要に応じて、Oracle E-Business Suiteをロード・バランサとともに使用するよう構成できます。
ロード・バランサの主要カテゴリは、次のとおりです。
セッション永続ロード・バランサ: クライアントの特定のサーバーとのHTTP接続が確立された後、セッションの継続期間中は、そのクライアントからの後続のHTTP要求は同じサーバーに送られます。 この永続性は、持続性とも呼ばれています。
セッション非永続ロード・バランサ: これらのロード・バランサでは、受信HTTP要求のバランス調整にラウンドロビン戦略が使用され、セッション永続クライアント接続は保守されません。 クライアントの最初のHTTP接続が指定のサーバーに送られた後、そのクライアントからの後続のHTTP要求は、同じサーバーに送られない場合があります。
Secure Sockets Layer(SSL)アクセラレータ: Secure Sockets Layer(SSL)アクセラレータを使用して、WebサーバーのSSLトラフィックおよびワークロードを減らすことができます。
通常、SSLアクセラレータはHTTPSブラウザ要求のターゲットであり、したがって、すべてのクライアント通信のターゲットです。 SSLアクセラレータは、HTTPS SSL要求を非SSL HTTP要求に変換し、後続の要求をHTTPサーバー(非SSLモードで動作)に送る役割を果たします。 SSLアクセラレータは、クライアント・ブラウザに応答を戻す前に、最初のプロセスとは逆に非SSL要求をSSL要求に変換しなおします。
Oracle E-Business Suiteでは、複数の異なるタイプのロード・バランスを使用できます。 ロード・バランスのタイプには、比較的単純なものからより高度なものまであり、サイトの特定のニーズおよび既存のインフラストラクチャに統合するよう選択する必要があります。
ドメイン・ネーム・サーバー(DNS)レイヤー・ロード・バランス
このタイプのロード・バランサは、完全修飾されたドメイン名へのIPアドレスの動的割当てに基づいて、複数のサーバー・ノードにエンドユーザー要求を分散します。
次のダイアグラムは、DNSレイヤー・ロード・バランスを使用した構成の例を示しています。
図12-1 DNSレイヤー・ロード・バランス

HTTPレイヤー・ハードウェア・ロード・バランス
HTTP通信を受け入れ、これをサーバー・ノード・グループ(ファームとも呼ばれる)に転送するハードウェア・ロード・バランサを使用している場合、このタイプのロード・バランスを使用できます。
次のダイアグラムは、HTTPロード・バランサが、2つのWebサーバー・ノードで構成されるファーム全体にロードを分散する構成の例を示しています。
図12-2 HTTPレイヤー・ロード・バランス

ハードウェアベースのHTTPロード・バランサは、Oracle E-Business Suiteリリース11i環境のすべてのポートを通過するすべてのトラフィックに対し、永続セッション接続が行われるよう構成する必要があります。 すべてのアプリケーション層サーバー・ノードに対し、前提となるパッチを適用する必要があります。
JServレイヤー・ロード・バランス
Oracle9i Application Server(9iAS)1.0.2.2.2では、複数のアプリケーション層サーバー・ノード間のJServトランザクションのソフトウェアベース・ロード・バランスに関して新機能が導入されており、大規模なOracle E-Business Suiteインストレーションのフォルト・トレランスおよびスケーラビリティが向上しています。
特に、9iAS 1.0.2.2.2では、Oracle Process Managerモジュール(mod_oprocmgr)が使用されており、複数ノード間でJServ停止検出および再起動機能を提供します。 たとえば、mod_oprocmgrは、2つの異なるWebサーバー・ノード上で動作するJVMで構成されるJServロード・バランス・サーバー・プールを管理するよう構成できます。
mod_oprocmgrは、自動構成パラメータnprocで指定された数のJVMを起動します。 すべてのJVMが同時に起動されます。待機しているJVMを、実際に必要になる前に起動するという概念はありません。
また、アクティブなJVMの数をロードに基づいて動的に変更することもできません。 ただし、mod_oprocmgrは、ハートビート・メカニズムによりJVMを監視し、ハングアップしたJVMを停止して再起動します。
注意: セッション永続クライアント接続を保守できるHTTPハードウェアベース・ロード・バランサを使用している場合、JServレイヤー・ロード・バランスを実装する必要はありません。
Formsレイヤー・ロード・バランス
Formsベース・トラフィックのロード・バランスには、次の2つのオプションがあります。
注意: ロード・バランス構成の詳細は、MetaLinkのNote 217368.1を参照してください。
Oracle Applicationsの新規インストレーションを作成する場合、11.5.10 Rapid Installには、Formsメトリック・サーバーおよびJServロード・バランスを設定できる画面が含まれます。
さらに、Oracle Applications Managerおよび自動構成を使用して、HTTPロード・バランスおよびJServロード・バランスを構成できます。 サイト・マップから、「AutoConfig」>「Configuration Wizards」を選択します。 これにより、システムでのSSL、SSLアクセラレータおよびFormsリスナー・サーブレットの使用を可能にするか不可にするかについても選択できます。