Oracle XML Publisherユーザーズ・ガイド リリース11i B25754-01 | ![]() 目次 | ![]() 前へ | ![]() 次へ |
この章では、次のトピックについて説明します。
Oracle XML Publisherは、Oracle E-Business Suiteとともに提供されるテンプレート・ベースの発行ソリューションです。使い慣れたデスクトップ文書処理ツールを既存のE-Business Suiteデータ・レポートと統合することで、レポートを設計して発行するための新しいアプローチを提供します。XMLパブリッシャでは、広く知られた標準的なテクノロジとツールを利用しているため、カスタム・レポート書式を迅速に開発して保守できます。
XMLパブリッシャの柔軟性は、レポートの表現をそのデータ構造から分離した結果得られたものです。データの収集はE-Business Suiteで処理されますが、レポート出力を独立したテンプレート・ファイルで表す方法を設計して管理できるようになりました。実行時に、XMLパブリッシャは、設計されたテンプレート・ファイルとレポート・データをマージし、様々なビジネス・ニーズを満たす多様な出力を作成します。次のような出力を作成できます。
色、イメージ、フォント・スタイル、ヘッダーとフッター、その他様々な書式設定や設計オプションを利用する財務諸表、マーケティング資料、契約書、請求書、発注書など、独自に準備するPDF文書。
最適なオンライン表示を目的としたHTML出力。
レポート・データのスプレッドシートを作成するExcel出力。
サード・パーティから提供されたPDFの記入用紙。PDF文書(行政関係の用紙など)をダウンロードして、レポートのテンプレートとして使用できます。実行時に、データとテンプレートから記入用紙が作成されます。
EDIおよびEFT伝送用にビジネス・パートナと交換するためのフラット・テキスト・ファイル。
次に、XMLパブリッシャで生成されたサンプル文書をいくつか示します。
XMLパブリッシャには、E-Business Suiteユーザーがレポート・テンプレートとそのデータ・ソースを登録して保守できるように、テンプレート・マネージャが用意されています。レポート・テンプレートとそのデータ・ソースを登録した後、「XMLパブリッシャ」コンカレント要求を使用してテンプレートとそのデータ・ソースをカスタマイズ・レポートにマージします。
注意: Oracle Application Object Library(FND)のパッチ3435480を適用すると、Oracle Formsベース・アプリケーションとHTMLベース・アプリケーションの両方について、XMLパブリッシャと標準要求発行が完全に統合されます。このアップグレードを適用しているか、またはOracle E-Business Suite 11.5.10 Cumulative Update 1以上を実行している場合、「XMLパブリッシャ」コンカレント要求は実行不要です。
テンプレート・マネージャは、テンプレートとデータ・ソースのリポジトリです。テンプレートをデータ定義に関連付けて、実行時にXMLパブリッシャで使用できるようにするためのインタフェースでもあります。テンプレート・マネージャから、テンプレートおよび翻訳結果をダウンロード、更新およびプレビューできます。
「XMLレポート・パブリッシャ」コンカレント要求は、カスタマイズ・レポートの最終出力を作成します。この要求を実行する前に、E-Business Suiteレポートを実行してXMLデータ・ファイルを取得します。「XMLレポート・パブリッシャ」要求は、E-Business Suiteレポート要求IDと目的のテンプレートをパラメータとして受け入れます。テンプレートは、テンプレート・マネージャのレポート・データ定義に関連付ける必要があります。「XMLレポート・パブリッシャ」要求によって、データとテンプレートがマージされます。
XMLパブリッシャには、テンプレートを簡単に開発するために、デスクトップにインストールできるコンポーネントが用意されています。
テンプレート・ビルダーはMicrosoft Wordの拡張機能であり、RTFテンプレートの開発を簡略化します。このビルダーによって、別の方法では必要となる手動による多くの手順が自動化されます。
テンプレート・ビューワは、すべてのテンプレート・タイプに高度なプレビュー機能を提供して、テンプレートを迅速に開発できるようにするJavaアプリケーションです。
Oracle XML Publisherデスクトップ・コンポーネントのパッチ番号については、OracleMetaLinkのNote 337999.1『About Oracle XML Publisher Release 5.6』を参照してください。ユーザー文書とデスクトップ・システムの要件については、このパッチのReadmeファイルおよびヘルプ・ファイルを参照してください。
XMLパブリッシャを使用したカスタマイズ・レポートの作成は、設計時と実行時の2つのフェーズに分割できます。
テンプレート・マネージャで、E-Business Suiteレポートをデータ定義として登録します。
XMLパブリッシャを使用してカスタマイズするE-Business Suiteレポートについて、テンプレート・マネージャでデータ定義を作成します。データ定義の作成では、データ定義コードがE-Business Suiteレポートの短縮名と同一である必要があります。
テンプレートを設計します。
テンプレート・ファイルはリッチ・テキスト・フォーマット(RTF)またはPortable Document Format(PDF)にできます。
RTFは、Microsoft Wordなどの多くの文書処理アプリケーションで使用されている仕様です。デスクトップ文書処理アプリケーションを使用してテンプレートを設計し、RTFファイル(拡張子.rtf)としてファイルを保存します。基本マークアップ・タグを文書に挿入し、XMLデータとマージするための文書を準備します。XMLパブリッシャは、適用する書式設定機能を認識してXSL-FOに変換します。
Adobe Acrobatを使用して、カスタム設計またはダウンロードしたPDFテンプレートにマークアップ・タグを適用します。
テンプレート・マネージャにテンプレートを登録します。
テンプレート・マネージャでテンプレートを作成する場合は、RTFまたはPDFのテンプレート・ファイルを登録してアップロードします。テンプレートは、マージ対象のE-Business Suiteレポートのデータ定義コードに割り当てる必要があります。
RTFテンプレートに適切な翻訳を追加します。
XMLパブリッシャの翻訳ユーティリティを使用すると、テンプレートからXLIFFファイルに翻訳可能文字列を抽出できます。このファイルの文字列を翻訳し、テンプレート・マネージャに再アップロードして、実行時にその翻訳を使用可能にします。
XMLを生成するためのコンカレント・プログラムを設定します。
標準要求発行を使用してコンカレント・プログラムを実行し、XML出力を取得します。
注意: Application Object Library(FND)のパッチ3435480「Publishing Concurrent Requests with XML Publisher」を適用すると、XMLパブリッシャとコンカレント・マネージャの標準要求発行が完全に統合されます。要求を単純に実行し、「要求の発行」インタフェースからテンプレートを選択すると、コンカレント・マネージャがXMLパブリッシャをコールして、すべてのテンプレートとデータを1ステップでマージします。「XMLパブリッシャ」コンカレント要求は実行不要です。この機能は、Oracle E-Business Suite 11.5.10 Cumulative Update 1でも入手可能です。
「XMLパブリッシャ」コンカレント要求を実行します。
「XMLパブリッシャ」コンカレント要求では、前の手順での要求IDの入力と、テンプレート、テンプレート・ロケールおよび出力タイプの選択を求められます。使用できるテンプレートは、テンプレート・マネージャのレポート・データ定義に関連付けられているテンプレートです。XMLパブリッシャによって、設計テンプレートとXMLデータがマージされ、カスタマイズされた出力が生成されます。
このマニュアルは、ユーザーズ・ガイドと開発者ガイドに分かれています。次に示すように、XMLパブリッシャの入門から機能の完全な実装までの情報が記載されています。
ユーザーズ・ガイド
テンプレートの設計、テンプレート・マネージャの使用、およびレポート出力の生成について説明します。
RTFテンプレートの作成: レポート用にカスタマイズしたテンプレートを作成するために、文書処理アプリケーションでレポートXMLファイルを使用する方法について説明します。
PDFテンプレートの作成: カスタマイズ・テンプレートをPDFで作成するために、Adobe AcrobatでレポートXMLファイルを使用する方法について説明します。
eTextテンプレート: EDIおよびEFTファイル仕様に準拠した表ベース・テンプレートを作成する方法について説明します。これらのテンプレートは、ビジネス・パートナと交換するためにeText処理エンジンによって処理され、フラット・テキスト・ファイルが作成されます。
テンプレート・マネージャの使用: (E-Business Suiteユーザーにのみ関連)Oracleレポートをデータ定義として登録し、テンプレート・マネージャにテンプレートをアップロードする方法について説明します。
カスタマイズ・レポートの生成: (E-Business Suiteユーザーにのみ関連)カスタマイズ・テンプレートで出力を生成するために、コンカレント・マネージャを使用してレポート要求を発行する方法について説明します。
実装および開発者ガイド
開発者およびスタンドアロン・ユーザーを対象に、構成情報およびプログラムによるXMLパブリッシャとの相互作用について説明します。
管理: 構成プロパティの設定、フォントのアップロード、フォント・マッピングの作成および通貨マッピングの作成を可能にする管理インタフェースについて説明します。
データ・テンプレート: XMLパブリッシャのデータ・エンジンを使用してXMLデータを抽出するためのテンプレートを作成する方法について説明します。
XMLパブリッシャの拡張関数: テンプレートで使用するように拡張されたXMLパブリッシャの高度なSQLおよびXSL関数について説明します。
XMLパブリッシャAPIのコール: APIを介してXMLパブリッシャの処理エンジンを利用する方法について説明します。
配信マネージャ: 複数のチャネルを介して文書を配信するためにXMLパブリッシャの配信マネージャAPIを使用する方法、およびカスタム・チャネルの作成方法について説明します。
アプリケーションへの文書ビューワの統合: Oracle Applicationsフレームワーク・コンポーネントであるXMLパブリッシャの文書ビューワをアプリケーションに実装する方法について説明します。
XMLパブリッシャ構成ファイル: 管理プロパティを設定するための構成ファイルを設定する方法について説明します。
サポートされているXSL-FO要素: XMLパブリッシャ・エンジンでサポートされるFO要素をリストしています。