Oracle Balanced Scorecard管理者ガイド リリース11i B25755-01 | ![]() 目次 | ![]() 戻る | ![]() 次へ |
従来のパフォーマンス測定システムでは、通常、トップ・マネージャが組織を包括的に見渡すことはできませんでした。 バランス・スコアカードは、KaplanおよびNortonが開発したパフォーマンス測定方法であり、従来のパフォーマンス測定システムの一般的な有効範囲を超えるものです。 バランス・スコアカード方法により、企業の財務目標と、将来の成功を決定付けるドライバが結び付けられます。
バランス・スコアカード方法は、組織の役割および戦略を戦略目標とキー・パフォーマンス・インディケータのセットに変換します。 この方法が提供する戦略的管理システム用のフレームワークにより、役員は組織全体の戦略の成果を監視できます。 バランス・スコアカードは財務目標を達成することに重点を置いていますが、これらの財務目標のドライバとなる他の重要な視点も含まれます。 次の図に、バランス・スコアカード方法の一般的な要素を示します。
スコアカード理論
前の図では、各スコアカードに、戦略のテーマおよび視点のセットが含まれます。 これらのテーマおよび視点は戦略目標に変換されます。 戦略目標は戦略イニシアチブによりサポートされており、1つ以上のメジャーを含めることができます。 戦略イニシアチブは、組織が戦略目標を達成するために完了する必要がある重要なプロジェクトです。 メジャーは、組織が戦略目標を達成するためにフォーカスを置く必要がある領域です。 通常、メジャーは計画およびオーナーに関連付けられているため、関係するユーザーは戦略の実装を追跡できます。
バランス・スコアカード方法は、次の4つの視点を使用してパフォーマンスを測定します。
財務的な視点
顧客の視点
社内ビジネス・プロセスの視点
学習と成長の視点
バランス・スコアカード方法では、財務的な視点にLAG指標が含まれており、経営者がこれらの指標のドライバとなる基本的なファクタに注目していることを前提としています。 バランス・スコアカード方法では、顧客の視点、社内ビジネス・プロセスの視点および学習と成長の視点のすべてを組み合せて財務パフォーマンスのドライバとします。
財務的な視点がバランス・スコアカードの他の視点にどのように関連しているかを理解することが重要です。
顧客は会社の製品およびサービスを購入し、顧客は最終的に会社の財務的成功に一役買うことになるため、顧客の視点は財務的な視点のドライバとなります。
会社は顧客を満足させるために良好な経営状態である必要があるため、社内ビジネス・プロセスの視点は顧客の視点をサポートします。
従業員は頻繁に再教育を受け、会社の運営に最適なプロセスを学習する必要があるため、学習と成長の視点は社内プロセスの視点に影響を及ぼします。
バランス・スコアカードの4つの視点は、ともにメジャーの一般的な概念グループを表しますが、メジャーは目標、組織単位または機能別にグループ化することもできます。 組織の環境および戦略目標に応じて他の視点を追加できます。また、組織およびその値をよりわかりやすく表すように視点の名称を変更できます。
Oracle Balanced Scorecardは、KaplanおよびNortonが開発したバランス・スコアカード方法に基づく戦略的管理アプリケーションです。
これにより、会社は目標およびKPIでサポートされるスコアカードを用いて戦略を表すことで、パフォーマンスを測定できます。
概念的には、各戦略は1つ以上のスコアカードに分類できます。 各スコアカードには、スコアカードのパフォーマンスの判断に使用できる目標のセットが含まれます。 さらに、各目標は複数のKPIでサポートできます。
Oracle Balanced Scorecard内では、各スコアカードは複数のビューで表すことができます。 各ビューには、スコアカードに属する目標がリストされます。 各目標をドリルし、目標およびその目標をサポートするKPIについての詳細情報を提供する目標レポートを表示できます。 「カスタム・ビュー」からドリルする場合、他のビュー、アプリケーションまたはURLにもドリルできます。
スコアカード・ナビゲーション
スコアカードは、次の3種類のユーザーによって使用およびサポートされます。
ビューワ: スコアカードを使用したパフォーマンスの監視を担当するエンド・ユーザーです。
デザイナ: スコアカードの作成担当者です。
管理者: アプリケーションの設定およびデータ構造の保守担当者です。
『Oracle Balanced Scorecard User Guide』では、ビューワがスコアカードを使用してパフォーマンスを監視する方法を説明しています。
『Oracle Balanced Scorecard Administration Guide』では、デザイナおよび管理者がパフォーマンスの監視に必要なスコアカードおよびデータを作成する方法を説明しています。
Oracle Balanced Scorecardの使用を開始する前に、次の用語を理解しておく必要があります。
管理者: スコアカード管理者は、バランス・スコアカードのインストール、実装および保守を担当します。 スコアカード管理者は、データをロードし、データ関連の問題の管理を担当します。 また、スコアカード管理者は、ユーザーの作成および設定と、スコアカード、目標および表示オプションの保護を担当します。
警告: 目標のステータスを示します。 可能なステータスは、許容可能、限界または許容不可です。 ステータスは、目標の予想されるパフォーマンスの定義済許容範囲セット内で、その目標がどのように位置しているかに基づきます。 たとえば、収益の減少が5%を超える場合、警告は、許容範囲の設定に応じて、収益が限界または許容不可パフォーマンスのいずれかであることを示します。 目標が複数のKPIでサポートされている場合、その目標のステータスは目標のデフォルトKPIのステータスとなります。
カスタム: このマニュアルでは、カスタムという用語はアプリケーションを使用して作成される内容を示すために使用しています。
デザイナ: スコアカード・デザイナは、スコアカード、ビュー、KPI、目標およびディメンションの作成を担当します。 スコアカード・デザイナは、スコアカードおよび目標レポートのデフォルト設定を定義します。 また、目標の警告条件を設定します。
KPI: 目標のサポートに使用される計算またはメトリックです。 各目標は、1つ以上のKPIでサポートできますが、各目標のデフォルトKPIは1つのみです。 デフォルトKPIのステータスにより、目標のステータスが決定されます。 KPIは、スコアカード・デザイナが事前シードまたは作成できます。
目標: 特定領域のパフォーマンス測定に使用されるメトリックです。たとえば、収益の増加、サービス・コール数の削減および売上成長率の最大化などがあります。
事前シード済: このマニュアルでは、事前シード済という用語はOracle Applicationsで提供される内容を示すために使用しています。 たとえば、Oracle Daily Business Intelligenceは、他のアプリケーションで再使用可能な複数の事前シード済KPIを提供します。
本番: ビューワが「スコアカードのリスト」ウィンドウで使用できるスコアカードを指します。 本番スコアカードとなるには、設計が完了しており、データベースの生成プロセスおよびデータ・ロード・プロセスが実行されている必要があります。 また、ユーザーにはスコアカードへのアクセス権が割り当てられている必要があります。
スコアカード: 会社の戦略を表したものであり、バランス・スコアカード方法を使用して目標およびKPIを戦略にマップします。 ビューワは、スコアカードを使用して実績パフォーマンスと計画パフォーマンスを比較します。
戦略: 会社が従う高水準計画です。 一般に、戦略は目標の集合です。 たとえば、顧客の満足度を向上させ、売上原価を削減し、売上を増加させることで、取引高全体を向上させることも一つの戦略です。
ビュー: スコアカードの表示方法です。 Oracle Balanced Scorecardでは、次の5つのビューを使用できます。
ツリー・ビュー
スコアカード・ビュー
戦略マップ・ビュー
詳細ビュー
カスタム・ビュー
ビューワ: ビューワは、スコアカードを使用して、企業パフォーマンスの実績を計画または予測パフォーマンスと比較するユーザーです。
デザイナは、企業戦略のスコアカードへの変換を担当します。スコアカードにより、ビューワは企業パフォーマンスを監視できます。
「パフォーマンス管理デザイナ」職責を持つデザイナは、スコアカードと、これらのスコアカードをサポートする目標、KPIおよびディメンションを作成できます。
「パフォーマンス管理デザイナ」メニューでは、次の機能にアクセスできます。
レポート
スコアカード
起動パッド
パフォーマンス・メジャー
メジャー(KPI)
ディメンション
KPI(目標)
このマニュアルで説明している次のスコアカード設計機能は、バランス・スコアカード・アーキテクトでのみ使用できます。
スコアカード
共通ディメンションのフィルタ
ロゴの追加
パフォーマンスが100%を超える場合の警告の設定
円グラフの設定
目標
複数棒KPIの作成
シミュレーション・ツリーの作成
損益指標の作成
これらの機能には「パフォーマンス管理デザイナ」職責を使用してアクセスできますが、バランス・スコアカード・アーキテクトを実装済である必要があります。 BSCアーキテクトの実装方法の詳細は、『Oracle Balanced Scorecard Installation Guide』を参照してください。
管理者は、スコアカードの保護、必要なデータベース・オブジェクトの生成、データのロードおよび他のデータ保守の実行により、バランス・スコアカードのビューワおよびデザイナをサポートします。
「パフォーマンス管理管理者」職責を持つ管理者は、次の機能にアクセスできます。
グローバル設定
データベース
データベースの生成
目標のレビュー
表のレビュー
要求のモニター
データ・ローダー
ディメンション・オブジェクト
目標
目標インタフェース表
カレンダの保守
要求のモニター
セッション管理
セキュリティ
エンド・ユーザー・アクセスの管理
デザイナ・アクセスの管理
システムの移行機能は、バランス・スコアカード・アーキテクトでのみ使用できます。 この機能には「パフォーマンス管理管理者」職責を使用してアクセスできますが、バランス・スコアカード・アーキテクトを実装済である必要があります。 BSCアーキテクトの実装方法の詳細は、『Oracle Balanced Scorecard Installation Guide』を参照してください。