| Oracle Applications概要 リリース12 E05390-02 | 目次 | 前へ | 次へ |
Oracle Applications Manager(OAM)は、HTMLベースの集中管理コンソールからOracle Applicationsシステムを管理およびモニターできる、強力で使いやすいツールです。E-Business Suiteシステム管理タスクの中でも、特にOracle Applications Managerは次の操作に役立ちます。
システムの構成および管理
問題の診断および修正
パッチの管理
パフォーマンスのモニターおよびチューニング
システム・セキュリティのモニター
Oracle Applications ManagerはE-Business Suiteシステムに直接組み込まれており、Oracle Enterprise Managerツールの機能を補完します。
Applications Dashboardには、現在のステータス、パフォーマンス、重要な活動、診断、ビジネス・フローおよびセキュリティの要約を含む、E-Business Suiteインストールの主要な機能の概要が示されます。これらの任意のエリアで追加情報を参照できます。
Applicationsシステムの詳細ビューはSite Mapで提供されています。ここでは、管理、モニタリング、保守および診断と修理のエリアに存在する数多くの機能およびオプションに簡単にアクセスできます。
Oracle Applications Managerは、AutoConfig構成管理ツール(第5章「AutoConfig」を参照)と併用する、総合的なシステム構成エディタを提供します。以前の構成設定を現在の設定と容易に比較することができ、変更済の設定を識別し、必要に応じてロールバックできます。この構成エディタにより、コンテキスト・ファイルにカスタム変数を追加することもでき、AutoConfigおよびAutoPatchにおいてシステム構成のカスタマイズ内容を保持できます。
Oracle Applications Managerには高度な構成ウィザードも提供されており、これらのウィザードは、アプリケーション層ロード・バランスの構成またはSecure Sockets Layer(SSL)アクセラレータ使用への転換など、以前は複雑であったタスクを順を追ってガイドします(第10章「ロード・バランス」を参照)。
これらのウィザードでは、必要な情報をすべて入力するよう求めるプロンプトが表示され、システムに変更が加えられる前に設定が検証されます。
さらに、Oracle Applications Managerは、最近変更したサイトレベルのプロファイル・オプション設定など、構成変更の追跡に役立ちます。また、Oracleの要件または推奨事項と一致しないデータベースの初期化パラメータなど、潜在的な構成の問題を検出できます。Oracle Applications Managerを使用して、コンカレント処理、Oracle FormsリスナーおよびWebサーバーなどの重要なアプリケーション層サービスを構成および管理できます。たとえば、コンカレント要求をモニターおよび管理し、コンカレント要求ワークロードを簡単に分析して、情報を得た上でコンカレント処理に構成変更を加えることができます。
また、Oracle Applications Managerを使用すると、バックグラウンド・エンジン、通知メーラー、エージェント・リスナーおよびキュー伝播機能などのOracle Workflowシステム・サービスを管理できます。Oracle Workflowシステム活動のモニターおよび分析、プロセスの一時停止および再開、エラーで終了した活動の再試行および古いWorkflowデータのパージが可能です。
Oracle Applications ManagerのLicense Managerコンポーネントにより、製品および関連機能のライセンスに関するすべての面を管理できます。たとえば、現在ライセンスを取得済の製品、国固有の機能および言語、ならびにシステムの全体的なライセンス供与に関する要約についてレポートを取得できます。また、追加製品、国固有の機能および言語についてもライセンス供与できます。
独自のカスタムSQLスクリプトを使用して、Oracle Applications Managerを拡張できます。SQLスクリプトをOAMコンソール内から編成およびアクセスできるだけでなく、スクリプト出力から標準Oracle Applications Managerインタフェースへのドリルダウンを有効にできます。たとえば、SQLスクリプトからコンカレント要求IDを取得した場合、標準Oracle Applications Managerインタフェースにドリルダウンして、コンカレント要求の詳細を取得できます。
Oracle Applications Managerでは、Oracle E-Business Suiteの幅広いモニタリング機能が提供されます。チャートおよびグラフでは上位レベルの要約が示され、必要に応じてドリルダウンして詳細を参照できます。
E-Business Suiteシステム内で特定のエラーが発生するとOAMにより警告が出される場合があり、これらのエラーの診断に役立つ詳細なコンテキスト情報が提供されます。パフォーマンス詳細、可用性、構成、診断データおよびセキュリティの問題など、システム・コンポーネントの情報はすべて、問題のビジネス・フローのコンテキストにおいて表示されるため、業務への影響をより的確に理解できます。
モニタリング・サポートは、コンカレント・マネージャおよびWebサービスなどのアプリケーション層サービスに対して提供されています。Forms要求またはコンカレント要求などの現在実行中のプロセスの場合、アプリケーション層およびデータベース・セッションの両方の詳細を、現在実行中のSQLに至るまで検査できます。
その他のモニタリング機能には、CPUおよびメモリーの使用率の監視機能、ランタイム診断の検査機能およびFormsプロセスのログ・ファイルの表示機能があります。JServプロセスを調べて、メモリー使用率、データベース接続の使用およびOracle Applicationsフレームワーク活動を検査できます。また、リソース集中型のFormsプロセスまたはリソース集中型のコンカレント要求を自動的に識別し、アラートを発行するようOAMを構成できます。
Performance Dashboardには、オンライン、バッチおよびワークフロー・アクティビティに関連する主要なパフォーマンス・メトリックが示されます。Oracle Real Application Clustersを使用している場合、ダッシュボードには各Oracle RACインスタンスに関するこれらのメトリックが表示されます。さらに、システム管理者はコンカレント要求の実行や待機が所定のしきい値よりも長時間の場合に自動化アラートを受信するよう予約できるようになりました。
更新された診断レポート群が、Security Dashboardで利用できます。これらのレポートでは、Oracle E-Business Suiteのシステム構成がOracleの推奨最善事例に照らしてチェックされ、セキュリティ違反の可能性がある部分が強調表示されます。
ミニパック、メンテナンス・パックおよびマージ・パッチに含まれる個々のパッチなど、システムに適用されているパッチを簡単に判別できます。また、Oracle Applications Managerでは、システム上のパッチ・ファイルを検査し、所定のファイルを変更したすべてのパッチを識別できます。適用されたパッチごとに、各パッチ・ドライバにより実行される処理を参照できます。
Oracle Applications Managerに組み込まれたPatch Wizardツールでは、使用中のOracle Applicationsシステム用のパッチを推奨することができます。このウィザードでは、Oracleからダウンロードしたパッチ・データを使用し、Applicationsシステムと照合してそのデータを分析し、指定された基準に基づいてパッチを推奨します。また、このウィザードでは、個々のパッチを分析してシステムに不足している前提条件を識別し、パッチがシステムに及ぼす影響について、影響を受けるアプリケーション、ファイルおよびその他の領域の面から示します。さらに、ウィザードではOracleから複数のパッチをダウンロードし、これらを単一パッチにマージできます。
Applicationsシステムのクローニングは、Oracle Applications Managerを使用することで大幅に簡略化されます。クローニング・プロセスは、コンソールから直接管理できます。最初に、「Simple Clone」(完全一致のコピーを作成)または「Advanced Clone」(クローニング・パラメータの変更が可能)を選択します。この後、Oracle Applications Managerは作業の大部分を自動的に処理し、判断や手動操作の必要な残りのステップについては順を追った質問を使用します。Grid Controlがクローン・システムの作成を自動化し、必要なアプリケーション固有の処理をすべて実行します。現在、クローニングの使用例には、単一ノード対単一ノード、単一ノード対複数ノードおよび複数ノード対複数ノードのクローニング機能があります。さらに、標準クローニング・プロセスを変更してカスタム処理を含めることができます。リリース12では、高速クローンが拡張され、Oracleクラスタウェアおよびアプリケーション・ストレージ管理を使用して配置されたOracle RACシステムのクローニングをサポートしています。
管理者は、Manage Downtime機能を使用して停止時間をスケジュールできます。停止時間がスケジュールされている場合、「Home Page」上のメッセージにより、システムが使用できなくなる期間がユーザーに通知されます。ユーザーは、ログインするか「Home Page」に戻ってこのメッセージを参照する必要があります。停止時間が進行中である場合、ログイン・ページのかわりに適切な警告ページが表示されます。
スケジュールされた停止期間の間、適切なデータベース権限を持つ管理者はOAMにログインし、AutoPatchおよびその他のApplications DBAユーティリティの進捗をモニターできます。E-Business Suiteのその他の部分にはアクセスできません。
Oracle Applications Manager for E-Business Suiteリリース12では、複雑なリカバリ・ステップを自動化するトラブルシューティング・ウィザードが提供されています。Concurrent Manager Recoveryなどのツールにより、同じ画面から問題の診断および修正処理を実行できます。Service Infrastructureトラブルシューティング・ウィザードにより、一般サービス管理(GSM)インフラストラクチャが正常に実行中かどうかが確認され、問題がある場合は、GSMの復活に必要なステップが管理者に対して順を追って示されます。
Applications Dashboardには、Oracle Applications用にOracle Diagnosticsへのゲートウェイが提供され、新たな診断テストの実行とエラーのグラフィカル・ビューが提供されてテスト結果が要約され、詳細なテスト・レポートにアクセスできます。キーワード検索をテスト・リポジトリ上で実行して関連テストを検索し、グループ化して同じインタフェースから直接実行できます。
さらに、システム管理者は診断テストをバッチ・プログラムとしてスケジュールして実行し、すべての診断出力を取得してOracleサポートへの送付用にすばやく簡単にパッケージできます。その他の機能には、顧客がOracleサポートにより提供される最新の診断パックをダウンロードし、必要に応じて独自の診断テストを作成するための規定が含まれます。
OAM Support Cartでは、詳細なノード固有情報の収集が自動化され、この情報をOracleサポートに送信して問題の診断を依頼できます。収集される情報には、インストール済の製品、適用済のパッチ、データベース・バージョン、コンカレント・データベース・パラメータおよびシステム・トポロジの詳細が含まれます。必要に応じて、OAMのその他のページをSupport Cartに追加できます。
最後に、システム・アラート・インフラストラクチャが新規のフラッド制御メカニズムで強化され、指定したアラートの複数のインスタンスでアラート・システムが制御不能にならないようになっています。さらに、アラートの要約およびコンテキスト情報が標準のビジネス・イベント統合メカニズムを介してXML形式で取得できるように拡張されています。
Oracle Applications Managerを、サポートしているApplication Management Pack for E-Business Suiteを介してOracle Enterprise Manager Grid Controlとともに使用し、システム・モニタリングおよび管理への包括的なトップダウン・アプローチを作成することができます。
Application Management Pack for E-Business Suiteでは、次の機能がサポートされています。
Oracle Applicationsの自動検出: Grid Controlには、自動的にOracle E-Business Suiteシステムを検出する機能があります。
構成管理: Application Management Pack for Oracle E-Business Suiteでは、管理者がOracle E-Business Suiteの構成詳細を収集、比較および検索できます。
Oracle Applicationsトポロジ・ビュー: Grid Controlにより、システムでインフラストラクチャ・サービス・トポロジを表示し、インフラストラクチャ・サービス、主要なシステム・コンポーネントおよびその他のサービスの間の依存性を示すことができます。サービス障害の場合には、考えられる原因がトポロジ・ビュー内で強調表示されます。
JVM使用状況のモニタリング: Grid Controlでは、E-Business SuiteによるJVMの使用状況を、複数のノードに配置されたJVMも含めてモニターできます。
アプリケーション・サービス・レベル管理: Application Management Pack for E-Business Suiteでは、Oracle E-Business Suiteの主要なインフラストラクチャおよびアプリケーション・サービスに対して、サービス・レベルのレポート機能が提供されます。
従来、Formsリスナー、HTTPサーバーおよびコンカレント・マネージャなどのアプリケーション層プロセスは、システム管理者が個別に起動およびモニターする必要があり、時間がかかり、潜在的にエラーが発生しやすいプロセスでした。Webベース・アプリケーションへの移行とともに、Oracle Applications製品で必要となるアプリケーション層プロセス数が大幅に増加し、多くのApplications製品において、1つ以上のプロセスをサポートするために複数のアプリケーション層サービスが使用されるようになりました。
サービス・プロセスは、コンカレント・マネージャおよび取引マネージャのプロセスに類似しており、関連付けられた製品が正しく機能するように、アプリケーション層で継続的に実行される必要があります。サービスは複数のホスト・マシンに分散される場合があるため、サービスの管理は複雑です。
一般サービス管理(GSM)機能により、集中管理コンソールがOracle Applications Managerに組み込まれたフォルト・トレラント・フレームワークが提供されるため、これらの一般サービス・プロセスの管理が単純化されます。内部コンカレント・マネージャ(ICM)を一般サービス管理と併用することで、複数のホストにおける様々なサービス・プロセスが管理されます。各ホストでは、サービス・マネージャがICMのかわりとなるため、ICMはそのホスト上のサービス・プロセスをモニターおよび管理できます。
システム管理者は、Oracle Applications Managerによりサービスを構成、モニターおよび管理でき、Oracle Applications ManagerがICMと通信します。一般サービス管理では、フォルト・トレラント・システムが提供されます。つまり、予期せぬサービス・プロセスが存在する場合、ICMにより自動的にプロセスの再起動が試行されます。ホストに障害が発生した場合、ICMにより二次ホストで関連サービス・プロセスを起動できます。ICM自体は、様々なホストに配置された内部モニター・プロセスによりモニターされ、起動状態が保持されます。
この新規アプリケーション層サービス管理インフラストラクチャには、次の複数の利点があります。
サービス・プロセスは、Applicationsシステム管理者が手動で個別に起動およびモニターする必要はありません。
管理者は、Oracle Applications Managerによりサービスを構成および管理できます。
コンカレント・マネージャ・プロセスと同様に、システム管理者は稼働シフトを使用して、特定の期間において特定のノードで1つのサービスに有効となるプロセス数を決定できます。
サービスでは、コンカレント処理用に開発されたプロセス分散およびフォルト・トレランス機能を利用できます。
一般サービス管理は、特別な設定なしでOracle E-Business Suiteリリース12で使用できます。また、その他のAutoConfig対応リリースでも使用できます。