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Oracle VM Server for SPARC 2.0 管理ガイド
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ドキュメントの情報

はじめに

1.  Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアの概要

2.  ソフトウェアのインストールおよび有効化

3.  セキュリティー

4.  サービスおよび制御ドメインの設定

5.  ゲストドメインの設定

6.  I/O ドメインの設定

I/O ドメインの概要

PCIe バスの割り当て

PCIe バスの割り当てによる I/O ドメインの作成

PCIe エンドポイントデバイスの割り当て

直接 I/O のハードウェア要件とソフトウェア要件

直接 I/O の制限

PCIe エンドポイントデバイス構成の計画

primary ドメインの再起動

PCIe ハードウェアの変更

PCIe エンドポイントデバイスの割り当てによる I/O ドメインの作成

7.  仮想ディスクの使用

8.  仮想ネットワークの使用

9.  ドメインの移行

10.  リソースの管理

11.  構成の管理

12.  その他の管理タスクの実行

A.  Oracle VM Server for SPARC 物理から仮想への変換ツール

B.  Oracle VM Server for SPARC Configuration Assistant

C.  Logical Domains Manager の検出

D.  Logical Domains Manager での XML インタフェースの使用

E.  Logical Domains Manager XML スキーマ

用語集

索引

PCIe バスの割り当て

Oracle VM Server for SPARC ソフトウェアを使用して、PCIe バス全体 (別名「ルートコンプレックス」) をドメインに割り当てることができます。PCIe バス全体は、PCIe バス自体と、すべての PCI スイッチとデバイスで構成されます。サーバーに存在する PCIe バスは、pci@400 (pci_0) などの名前により識別されます。PCIe バス全体で構成された I/O ドメインは、「ルートドメイン」とも呼ばれます。

次の図は、2 つの PCIe バス (pci_0pci_1) が存在するシステムを示しています。個々のバスが、別々のドメインに割り当てられています。このため、システムには 2 つの I/O ドメインが構成されます。

図 6-1 PCIe バスの I/O ドメインへの割り当て

この図は、PCIe バスを I/O ドメインに割り当てる方法を示しています。

PCIe バスで作成できる I/O ドメインの最大数は、サーバー上で使用できる PCIe バスの数に依存します。たとえば、Sun SPARC Enterprise T5440 サーバーを使用している場合、使用できる I/O ドメインは最大 4 つです。


注 - 一部の Sun UltraSPARC サーバーには、PCIe バスは 1 つしか存在しません。このような場合、PCIe エンドポイントデバイス (または直接 I/O を割り当てが可能なデバイス) をドメインに割り当てることで、I/O ドメインを作成できます。「PCIe エンドポイントデバイスの割り当て」を参照してください。システムにネットワークインタフェースユニット (Network Interface Unit、NIU) が存在する場合、NIU をドメインに割り当てて I/O ドメインを作成することもできます。


PCIe バスを I/O ドメインに割り当てると、そのバス上のすべてのデバイスはその I/O ドメインに所有されます。そのバス上の PCIe エンドポイントデバイスを他のドメインに割り当てることはできません。primary ドメインに割り当てられている PCIe バス上の PCIe エンドポイントデバイスのみが、他のドメインに割り当て可能です。

Logical Domains 環境でサーバーが最初に構成されるとき、または factory-default 構成を使用しているとき、primary ドメインはすべての物理デバイスリソースにアクセスできます。つまり、システムに構成されている I/O ドメインは primary ドメインのみであり、このドメインがすべての PCIe バスを所有します。

PCIe バスの割り当てによる I/O ドメインの作成

このプロシージャー例は、複数のバスが primary ドメインに所有されている初期構成から、新しい I/O ドメインを作成する方法を示しています。デフォルトでは、システム上に存在するすべてのバスを primary ドメインが所有しています。ここで示す例は、Sun SPARC Enterprise T5440 サーバーの場合です。この手順は、ほかのサーバーにも使用できます。別のサーバーではこれらの手順と若干異なる場合がありますが、この例では基本的な方針について理解できます。

最初に、primary ドメインの起動ディスクを持つバスを保持する必要があります。それから、その他のバスを primary ドメインから削除してほかのドメインに割り当てます。


注意

注意 - サポートされているサーバーの内部ディスクはすべて、単一の PCIe バスに接続されています。ドメインが内部ディスクから起動する場合は、ドメインからそのバスを削除しないでください。また、ドメインで使用されているネットワークポートなどのデバイスが接続されたバスを削除していないことを確認してください。誤ったバスを削除すると、ドメインは必要なデバイスにアクセスできず、使用できなくなることがあります。ドメインで使用されているデバイスが接続されたバスを削除する場合は、ほかのバスのデバイスを使用するよう、そのドメインを再構成してください。たとえば、別のオンボードネットワークポートや、別の PCIe スロットの PCIe カードを使用するよう、ドメインを再構成する必要がある場合があります。


この例では、primary ドメインは 1 つの ZFS プール (rpool (c0t1d0s0)) と 1 つのネットワークインタフェース (nxge0) のみを使用します。primary ドメインで複数のデバイスを使用する場合は、デバイスごとに手順 2 - 4 を繰り返して、削除するバスにそれらのデバイスがないことを確認します。

  1. primary ドメインが複数の PCIe バスを所有していることを確認します。
    primary# ldm list-io
    IO              PSEUDONYM       DOMAIN          
    --              ---------       ------          
    pci@400         pci_0           primary         
    pci@500         pci_1           primary         
    pci@600         pci_2           primary         
    pci@700         pci_3           primary         
    
    
    PCIE                 PSEUDONYM  STATUS  DOMAIN
    ----                 ---------  ------  ------
    pci@400/pci@0/pci@d  MB/PCIE0   EMP     -
    pci@400/pci@0/pci@c  MB/PCIE1   OCC     primary
    pci@400/pci@0/pci@1  MB/HBA     OCC     primary
    pci@500/pci@0/pci@d  MB/PCIE4   EMP     -
    pci@500/pci@0/pci@9  MB/PCIE5   EMP     -
    pci@500/pci@0/pci@c  MB/NET0    OCC     primary
    pci@600/pci@0/pci@c  MB/PCIE2   OCC     primary
    pci@600/pci@0/pci@9  MB/PCIE3   OCC     primary
    pci@700/pci@0/pci@c  MB/PCIE6   OCC     primary
    pci@700/pci@0/pci@9  MB/PCIE7   EMP     -
  2. 起動ディスクのデバイスパスを確認します。これは保持する必要があります。
    • UFS ファイルシステムの場合、df / コマンドを実行して、起動ディスクのデバイスパスを確認します。
      primary# df /
      /                  (/dev/dsk/c0t1d0s0 ): 1309384 blocks   457028 files
    • ZFS ファイルシステムの場合、まず df / コマンドを実行してプール名を確認してから、zpool status コマンドを実行して起動ディスクのデバイスパスを確認します。
      primary# df /
      /                  (rpool/ROOT/s10s_u8wos_08a):245176332 blocks 245176332 files
      primary# zpool status rpool
       zpool status rpool
        pool: rpool
       state: ONLINE
       scrub: none requested
      config:
      
              NAME        STATE     READ WRITE CKSUM
              rpool       ONLINE       0     0     0
                c0t1d0s0  ONLINE       0     0     0
  3. ブロック型デバイスが接続されている物理デバイスを確認します。

    ここでは、例としてブロック型デバイス c1t0d0s0 を使用します。

    primary# ls -l /dev/dsk/c0t1d0s0
    lrwxrwxrwx   1 root     root          49 Oct  1 10:39 /dev/dsk/c0t1d0s0 ->
    ../../devices/pci@400/pci@0/pci@1/scsi@0/sd@1,0:a

    この例では、primary ドメインの起動ディスクに対する物理デバイスは、前述の pci_0 の一覧表示で対応しているバス pci@400 に接続されています。つまり、pci_0 (pci@400) を別のドメインに割り当てることはできません

  4. システムで使用されているネットワークインタフェースを確認します。
    primary# dladm show-dev
    vsw0            link: up        speed: 1000  Mbps       duplex: full
    nxge0           link: up        speed: 1000  Mbps       duplex: full
    nxge1           link: unknown   speed: 0     Mbps       duplex: unknown
    nxge2           link: unknown   speed: 0     Mbps       duplex: unknown
    nxge3           link: unknown   speed: 0     Mbps       duplex: unknown

    状態が unknown のインタフェースは構成されていないため、使用されていません。この例では、nxge0 インタフェースが使用されます。

  5. ネットワークインタフェースが接続されている物理デバイスを確認します。

    次のコマンドでは、nxge0 ネットワークインタフェースを使用します。

    primary# ls -l /dev/nxge0
    lrwxrwxrwx   1 root     root          46 Oct  1 10:39 /dev/nxge0 ->
    ../devices/pci@500/pci@0/pci@c/network@0:nxge0

    この例では、primary ドメインによって使用されるネットワークインタフェースの物理デバイスは、前述の一覧の pci_1 に対応するバス pci@500 に接続しています。そのため、ほかの 2 つのバス pci_2 (pci@600) と pci_3 (pci@700) は primary ドメインでは使用されていないため、ほかのドメインに安全に割り当てることができます。

    primary ドメインで使用されているネットワークインタフェースが、別のドメインに割り当てようとしているバス上にある場合は、別のネットワークインタフェースを使用するように primary ドメインを再構成する必要があります。

  6. 起動ディスクまたはネットワークインタフェースを含まないバスを、primary ドメインから削除します。

    この例では、バス pci_2 とバス pci_3primary ドメインから削除されます。ldm コマンドにより、primary ドメインが遅延再構成モードに移行したことを示すメッセージが表示される場合があります。

    primary# ldm remove-io pci_2 primary
    primary# ldm remove-io pci_3 primary
  7. この構成をサービスプロセッサに保存します。

    この例では、構成は io-domain です。

    primary# ldm add-config io-domain

    この構成 io-domain は、再起動後に使用される次の構成としても設定されます。


    注 - 現在、SP に保存できる構成数の上限は 8 つです。この数には、factory-default 構成は含まれません。


  8. primary ドメインを再起動して、変更を有効にします。
    primary# shutdown -i6 -g0 -y
  9. PCIe バスを追加するドメインを停止します。

    ここでは、例として ldg1 ドメインを停止します。

    primary# ldm stop ldg1
  10. 直接のアクセス権が必要なドメインに、使用可能なバスを追加します。

    利用可能なバスは pci_2、ドメインは ldg1 です。

    primary# ldm add-io pci_2 ldg1
  11. ドメインを再起動して、変更を有効にします。

    次のコマンドでは、ldg1 ドメインを再起動します。

    primary# ldm start ldg1
  12. 適切なバスが primary ドメインに割り当てられたままで、適切なバスがドメイン ldg1 に割り当てられていることを確認します。
    primary# ldm list-io
    IO              PSEUDONYM       DOMAIN
    --              ---------       ------
    pci@400         pci_0           primary
    pci@500         pci_1           primary
    pci@600         pci_2           ldg1
    pci@700         pci_3
    
    PCIE                 PSEUDONYM  STATUS  DOMAIN
    ----                 ---------  ------  ------
    pci@400/pci@0/pci@d  MB/PCIE0   EMP     -
    pci@400/pci@0/pci@c  MB/PCIE1   OCC     primary
    pci@400/pci@0/pci@1  MB/HBA     OCC     primary
    pci@500/pci@0/pci@d  MB/PCIE4   EMP     -
    pci@500/pci@0/pci@9  MB/PCIE5   EMP     -
    pci@500/pci@0/pci@c  MB/NET0    OCC     primary
    pci@600/pci@0/pci@c  MB/PCIE2   UNK     -
    pci@600/pci@0/pci@9  MB/PCIE3   UNK     -
    pci@700/pci@0/pci@c  MB/PCIE6   UNK     -
    pci@700/pci@0/pci@9  MB/PCIE7   UNK     -

    この出力では、PCIe バス pci_0pci_1 およびその配下にあるデバイスが primary ドメインに割り当てられ、pci_2 とそのデバイスが ldg1 に割り当てられていることを確認できます。