Oracle JRockitには、Javaアプリケーションを開発および実行するためのツール、ユーティリティおよび完全なランタイム環境が用意されています。JRockit JVMには、Intelアーキテクチャ向けに開発および最適化されたOracle JRockit JVMが含まれており、Javaアプリケーションのための信頼性、スケーラビリティおよび管理性を確保しています。
この章の内容は次のとおりです。
JRockit JVMは、Javaアプリケーションの信頼性、スケーラビリティ、管理容易性、および柔軟性を保証するために開発された高性能JVMです。JRockit JVMは、Intel 32ビット(Xeon)および64ビット(XeonおよびSPARC)アーキテクチャ上にデプロイされたJavaアプリケーションにおけるパフォーマンスの向上を低コストで実現します。また、Intelアーキテクチャ用に最適化された唯一のエンタープライズ・クラスのJVMであり、複数のハードウェアとオペレーティングシステム構成にわたって、シームレスな相互運用性を提供します。JRockit JVMを使用すると、WindowsおよびLinuxオペレーティング・システム(32ビットおよび64ビットの両方のアーキテクチャ)におけるJavaアプリケーションの最適な実行が可能になります。JRockit JVMは特にOracle WebLogic Serverの実行に適しています。
JVMの詳細は、次の場所にある「The Java Virtual Machine Specification」を参照してください。http://java.sun.com/docs/books/jvms/second_edition/html/VMSpecTOC.doc.html
Oracle JRockit JDKについて
JRockit JVMは、JRockit JDKのコンポーネントの1つです。JRockit JVMの他に、JDKにはJava Runtime Environment (JRE)が含まれています。JREにはJavaクラス・ライブラリ(Java Platform, Standard Edition 6 API仕様で規定)と、コンパイラなどの一連の開発ツールが含まれています。
JRockit JDKの内容については、1.6項「JRockit JDKインストールの内容」を参照してください。
どのJRockit JVMリリースにも、複数のJavaバージョンとの組合せがあります。たとえば、JRockit JVM R28.0にも、Java SEバージョン5.0および6との組合せがあります。1つのJavaバージョンは複数のJRockit JVMリリースに対応します。
JRockit JDKのリリース番号は次の要素で構成されています。
JRockit JVMのリリース番号(Rnn.nn.nn)
Javaのバージョン(J2SE 5.0またはJava SE 6)
たとえば、Oracle JRockit JDK 6 R28.0.0はJava SE 6とともに使用されるJRockit JVMの28.0.0リリース、Oracle JRockit JDK 5.0 R28.0.0はJ2SE 5.0とともに使用されるJRockit JVMの28.0.0リリースを表します。
完全なリリース番号は次のようになります。
R28.0.0-637-126675-1.6.0_17-20100111-2121-windows-ia32
この例では、R28.0.0
はJRockit JVMリリースを、1.6.0_01
はJavaバージョンを、windows-ia32
はこのリリースを実行するプラットフォームを表します。
Oracle JRockit JDKはJ2SE 5.0およびJava SE 6と互換性があります。
JRockit JDKでサポートされているプロセッサ・タイプおよびオペレーティング・システムの詳細なリストについては、Oracle JRockit JDKのサポートされる構成(http://www.oracle.com/technology/software/products/ias/files/fusion_certification.html
)を参照してください。
Oracle Fusion Middlewareに対するOracle Lifetime Support Policyは次の場所で参照できます。http://www.oracle.com/support/library/brochure/lifetime-support-middleware.pdf
Software Error Correction Policyはサポート・ノートID 950131.1で参照できます。
Java API
Java APIはすべて、Javaの互換性規定(http://java.sun.com/javase/6/webnotes/compatibility.html
)に準拠します。
独自開発のJRockit JVM API
公式のAPI (JMAPI、JRockit JMX Beans)は、JDKのメジャー・バージョン間の場合以外は、削除や変更ができません。新規のAPIはいつでも追加できます。
非公式ですがサポート対象のAPI(jrockit.ext.*
)はサービス・パックで削除できません。
内部API(jrockit.ext.*
を除くすべてのjrockit.*
)はいつでも変更できます。
コマンドライン・オプション
標準オプション(-server
など)はJavaの互換性規定(http://java.sun.com/javase/6/webnotes/compatibility.html
)に準拠します。
-X
の非標準オプションはJavaの互換性規定(http://java.sun.com/javase/6/webnotes/compatibility.html
)に準拠します。
-XX
の非標準オプションは次のように扱われます。
JDKのメジャー・アップデートに伴う場合以外は、削除できません。
無効化や実装の変更はいつでもできます。
-XX
の新規オプションはいつでも追加できます。
JRockit JDKは、JRockit JVMに新しいJREがあることを除いて、ファイル・レイアウトがHotSpot JDKと似ています。JRockit JDKのクラス・ライブラリの動作はすべてHotSpot JDKと同じです。
表1-1にJRockit JDKインストールのディレクトリの内容を示します。
表1-1 JRockit JDKインストールの内容
ディレクトリ | 目次 |
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JRockit JDKには、通常のJava JDKで配布される標準ツールが含まれています。このツールのほとんどがJavaの開発プロジェクトで機能的に動作しますが、その他のサードパーティのツール、コンパイラ、デバッガ、IDEなどもユーザーの状況に合せて自由に使用できます。 JRockit JDKに含まれるツールは次のとおりです。
これらのツールの詳細は、 |
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Java仮想マシン(JVM): このドキュメントの説明においては、JVMはJRockit JVMを指します。 Java SE JREの標準機能: JREには、JRockit JDK固有のJREコンポーネントだけでなく、HotSpotによるJRE実装のコンポーネントも含まれています。Java SE JREの標準機能の詳細なリストについては、次のドキュメントを参照してください。
JREクラス・ファイルに関する注意点: JRockit JDKとともに配布されるJREクラス・ファイルは、少数のファイルを除いてHotSpot JDKのJREクラス・ファイルと同じです。それらの例外的なファイルはJVMと密接に関連しているため、JRockit JDK内でオーバーライドされています。削除されたクラスはありません。 |
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JRockit JVMの構成パラメータとチューニング・パラメータは、特定のコマンドライン・オプションを使用して設定されます。このオプションは起動コマンドとともに入力するか、起動スクリプトに含めることができます。
詳細は、『Oracle JRockitコマンドライン・リファレンス』を参照してください。