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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebCenterエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
11g リリース1(11.1.1)
B55900-03
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6 WebCenterコンポーネントを使用するためのドメインの拡張

この章では、第4章「ドメインの作成」で作成したドメインを、構成ウィザードを使用して拡張する方法について説明します。ここの項目は次のとおりです。

6.1 Oracle Fusion Middlewareホームのインストール

Oracle Fusion MiddlewareをWCHOST1とWCHOST2にインストールする必要があります。これらのノードでは、WebCenterコンポーネントを使用して構成された管理対象サーバーが実行されます。

第4.1項「Oracle Fusion Middlewareホームのインストール」の手順に従ってください。Oracle WebLogic ServerとWebCenterの両方をインストールする必要があります。

6.2 WebCenterコンポーネントを使用するためのドメインの拡張

この手順では、第4章「ドメインの作成」で作成したドメインを拡張してWebCenterコンポーネントを組み込みます。


注意:

ドメインを拡張する前に、現在のドメインをバックアップする必要があります。ドメインの拡張時になんらかのエラーが発生した場合は、このバックアップを使用してリカバリできます。『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』を参照してください。

  1. ディレクトリを構成ウィザードの場所に変更します。この場所はWebCenterホーム・ディレクトリ内にあります。

    SOAHOST1> cd MW_HOME/wc/common/bin
    
  2. 構成ウィザードを開始します。

    SOAHOST1> ./config.sh
    

    注意:

    ドメインの作成で使用したシェルおよび環境から構成ウィザードを実行する場合は、CONFIG_JVM_ARGS=-DTemplateCatalog.enable.selectable.all=true変数を選択解除する必要があります。この選択を解除しないと、存在するすべてのテンプレートが構成ウィザードで表示されます。これらは、WebCenterコンポーネントを使用するためのドメインの拡張では不要です。

  3. 「ようこそ」画面で、「既存のWebLogicドメインの拡張」を選択し、「次へ」をクリックします。

  4. 「WebLogicドメイン・ディレクトリ」画面で、WebLogicドメイン・ディレクトリ(ORACLE_BASE/admin/<domain_name>/aserver/<domain_name>)を選択し、「次へ」をクリックします。

  5. 「拡張ソースの選択」画面で、次の手順を実行します。

    • 以下の追加製品をサポートするために、自動的にドメインを拡張する」を選択します。

    • 次の製品を選択します。

      • Oracle WebCenter Spaces

      • Oracleポートレット・プロデューサ

      • Oracle WebCenterディスカッション・サーバー

      • Oracle WebCenterアクティビティ・グラフ・エンジン

      • Oracle WebCenterパーソナライズ

      • Oracle Webcenter分析コレクタ

      • Oracle WebCenterページレット・プロデューサ

      次の製品はすでに選択されてグレー表示されています。これらの製品は、第4.4項「SOAHOST1での構成ウィザードを使用したドメインの作成」の手順でドメインを作成したときに選択されたものです。

      • WebLogic Serverの基本ドメイン

      • JRF

      • WSM-PM

    次へ」をクリックします。

  6. このドメインではOracle JRFが定義済であることを示す「競合の検出」メッセージが表示された場合は、「既存のコンポーネントを保持する」オプションを選択して、「OK」をクリックします。

  7. 「JDBCデータ・ソースの構成」画面で、次の手順を実行します。

    1. 次のデータソースが画面に表示されることを確認します。表6-1に示すユーザー名は、RCUでスキーマを作成する際に接頭辞としてwcedgが使用されていると想定しています。

      表6-1 データソースの値

      データ・ソース ユーザー名

      ActivitiesDSスキーマ

      wcedg_activities

      DiscussionDSスキーマ

      wcedg_discussions

      PersonalizationDSスキーマ

      wcedg_webcenter

      PortletDSスキーマ

      wcedg_portlet

      WebCenter DSスキーマ

      wcedg_webcenter

      WebCenter MDSスキーマ

      wcedg_mds

      Personalization MDSスキーマ

      wcedg_mds

      mds-PageletProducerDSスキーマ

      wcedg_mds


    2. すべてのコンポーネント・スキーマの横にあるチェック・ボックスを選択します。

    3. 次のパネルですべてのデータソースをRACマルチ・データソースとして構成」を選択します。

    4. 次へ」をクリックします。

  8. 「RACマルチ・データソースの構成」画面:

    1. 次の各フィールドに値を入力して、RCUでシードされたRACデータベースの接続情報を指定します。

      • ドライバ: 「Oracle driver (Thin) for RAC Service-Instance connections, Versions:10, 11」を選択します。

      • サービス名: データベースのサービス名を入力します(wcedg.mycompany.comなど)。

      • ユーザー名接頭辞: スキーマを個別に選択して、各スキーマのユーザー名を入力します。表6-1に示すユーザー名は、RCUでスキーマを作成する際に接頭辞としてwcedgが使用されていると想定しています。

      • 「パスワード」と「パスワードの確認」: スキーマにアクセスするために使用するパスワードを入力します。

    2. 追加」をクリックし、最初のRACインスタンスの詳細を入力します。

    3. この手順をRACインスタンスごとに実行します。

    4. 次へ」をクリックします。

  9. 「JDBCデータ・ソースのテスト」画面で、各接続のテストが自動的に行われます。「ステータス」列に結果が表示されます。すべての接続が正常に確立したことを確認してください。正常に接続できない場合は、「前へ」をクリックして前の画面に戻り、入力内容を修正します。

    すべての接続に成功したら「次へ」をクリックします。

  10. 「詳細構成」画面で、次の項目を選択します。

    • 管理対象サーバー、クラスタ、およびマシン

    • デプロイメントとサービス

    次へ」をクリックします。

  11. 「管理対象サーバーの構成」画面で、次の管理対象サーバーを追加します。

    表6-2 管理対象サーバー

    名前 サーバー リスニング・ポート SSLリスニング・ポート SSL有効

    WC_Spaces1

    WCHOST1

    9000

    該当なし

    いいえ

    WC_Spaces2

    WCHOST2

    9000

    該当なし

    いいえ

    WC_Portlet1

    WCHOST1

    9001

    該当なし

    いいえ

    WC_Portlet2

    WCHOST2

    9001

    該当なし

    いいえ

    WC_Collaboration1

    WCHOST1

    9002

    該当なし

    いいえ

    WC_Collaboration2

    WCHOST2

    9002

    該当なし

    いいえ

    WC_Utilities1

    WCHOST1

    9003

    該当なし

    いいえ

    WC_Utilities2

    WCHOST2

    9003

    該当なし

    いいえ



    注意:

    管理対象サーバーの名前をここで変更できますが、このページで元の管理対象サーバーのいずれをも削除しないようにしてください。


    注意:

    クラスタ・モードがユニキャストの場合、リスニング・アドレスの指定は必須です。

    次へ」をクリックします。

  12. 「クラスタの構成」画面のリストには、すでにWSM_PMクラスタが含まれています。次の3つのクラスタを追加します。

    表6-3 クラスタ

    名前 クラスタ・メッセージング・モード マルチキャスト・アドレス マルチキャスト・ポート クラスタ・アドレス

    Spaces_Cluster

    ユニキャスト

    該当なし

    該当なし

    空白のままにします。

    Portlet_Cluster

    ユニキャスト

    該当なし

    該当なし

    空白のままにします。

    Collab_Cluster

    ユニキャスト

    該当なし

    該当なし

    空白のままにします。

    Utilities_Custer

    ユニキャスト

    該当なし

    該当なし

    空白のままにします。


    次へ」をクリックします。

  13. 「サーバーのクラスタへの割当」画面で、次のようにサーバーをクラスタに割り当てます。

    • Spaces_Cluster:

      • WC_Spaces1

      • WC_Spaces2

    • Portlet_Cluster:

      • WC_Portlet1

      • WC_Portlet2

    • Collab_Cluster:

      • WC_Collaboration1

      • WC_Collaboration2

    • Utilities_Cluster:

      • WC_Utilities1

      • WC_Utilities2

    次へ」をクリックします。

  14. 「マシンの構成」画面で、「Unixマシン」タブをクリックします。次の4つのエントリが存在することを確認します。

    表6-4 マシン

    名前 ノード・マネージャのリスニング・アドレス

    SOAHOST1

    SOAHOST1

    SOAHOST1は、第4.4項「SOAHOST1での構成ウィザードによるドメインの作成」で構成ウィザードを実行したときにすでに構成されています。

    SOAHOST2

    SOAHOST2

    SOAHOST2は、第4.4項「SOAHOST1での構成ウィザードによるドメインの作成」で構成ウィザードを実行したときにすでに構成されています。

    WCHOST1

    WCHOST1

    WCHOST2

    WCHOST2


    その他すべてのフィールドはデフォルト値のままにします。

    次へ」をクリックします。

  15. 「サーバーのマシンへの割当」画面で、次のようにサーバーをマシンに割り当てます。

    • SOAHOST1:

      • AdminServer

      • WLS_WSM1

    • SOAHOST2:

      • WLS_WSM2

    • WCHOST1:

      • WC_Spaces1

      • WC_Portlet1

      • WC_Collaboration1

      • WC_Utilities1

    • WCHOST2:

      • WC_Spaces2

      • WC_Portlet2

      • WC_Collaboration2

      • WC_Utilities2


        注意:

        デフォルトで構成ウィザードに表示される元のサーバーの名前を変更することはできますが、絶対に削除はしないでください。

    次へ」をクリックします。

  16. 「デプロイメントのクラスタまたはサーバーへのターゲット設定」画面で、「次へ」をクリックします。

  17. 「WebLogicドメインの確認」画面で、「次へ」をクリックします。

  18. ここでの目的はドメインの拡張なので、「WebLogicドメインの拡張」画面に表示される各値は変更しないでください。「拡張」をクリックします。

  19. 「ドメインの拡張」画面で、「完了」をクリックします。

6.3 管理サーバーの再起動

管理サーバーを再起動して、ドメインに対する変更内容を適用します。

  1. 管理サーバーを停止します。

    SOAHOST1> ./stopWebLogic.sh
    
  2. 管理サーバーを起動します。

    SOAHOST1> ./startWebLogic.sh
    

6.4 WebCenter管理対象サーバーに対するホスト名検証の無効化

管理対象サーバーを起動して検証する前に、ホスト名の検証を無効にする必要があります。管理サーバーとノード・マネージャの間にSSL通信を設定した後で、ホスト名の検証を再び有効にすることができます。

ホスト名の検証を無効にするには、次の手順を実行します。

  1. Oracle WebLogic Server管理コンソールの「環境」ノードを開きます。

  2. サーバー」を選択します。「サーバーの概要」ページが表示されます。

  3. 表の「名前」列で「WC_Spaces1」(これはハイパーリンクとして表示されています)を選択します。「設定」ページが表示されます。

  4. SSL」タブを選択します。

  5. 表示されたページの「詳細」セクションを開きます。

  6. 「ホスト名の検証」を「なし」に設定します。

  7. これらの手順を、管理対象サーバーWC_Spaces2、WC_Portlet1、WC_Portlet2、WC_Collaboration1、WC_Collaboration2、WC_Utilities1およびWC_Utilities2に対して繰り返します。

6.5 SOAHOST1でのノード・マネージャの起動

SOAHOST1でノード・マネージャが起動していることを確認します。起動していない場合は、ノード・マネージャを起動します。

SOAHOST1> cd WL_HOME/server/bin
SOAHOST1> ./startNodeManager.sh

6.6 管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリへのドメイン変更の伝播

第2.3.2項「ディレクトリ構造」で説明されているように、管理サーバーのドメイン・ディレクトリと管理対象サーバーのディレクトリは分ける必要があります。この手順では、特定のディレクトリから別のディレクトリに変更を伝播します。起動スクリプトとクラスパス構成を管理サーバーのドメイン・ディレクトリから管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリに伝播するには、次の手順を実行します。

  1. 管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリと管理対象サーバーのアプリケーション・ディレクトリのコピーを作成します。

  2. 次のコマンド(両方のコマンド)を使用して、これらのディレクトリを移動します。

    mv ORACLE_BASE/admin/<domain_name>/mserver/apps ORACLE_BASE/admin/<domain_name>/mserver/appsbackup
    
    mv ORACLE_BASE/admin/<domain_name>/mserver/<domain_name> ORACLE_BASE/admin/<domain_name>/mserver/>domain_name>backup
    
  3. 次の一連のコマンドを使用し、SOAHOST1でpackコマンドを実行してテンプレート・パックを作成します。

    SOAHOST1> cd MW_HOME/wc/common/bin
    
    SOAHOST1> ./pack.sh -managed=true -domain=ORACLE_BASE/admin/<domain_name>/aserver/<domain_name> -template=wcdomaintemplateExtWC.jar -template_name=wc_domain_templateExtWC
    
  4. 次のようにunpackコマンドをSOAHOST1上で実行して、伝播されたテンプレートを管理対象サーバーのドメイン・ディレクトリに解凍します。

    SOAHOST1> ./unpack.sh -domain=ORACLE_BASE/admin/<domain_name>/mserver/<domain_name>/ -template=wcdomaintemplateExtWC.jar -overwrite_domain=true -app_dir=ORACLE_BASE/admin/<domain_name>/mserver/apps
    

6.7 unpackユーティリティを使用したSOAHOST2、WCHOST1およびWCHOST2へのドメイン構成の伝播

ドメイン構成を伝播するには、次の手順を実行します。


注意:

システム間でミドルウェア・ホームが共有されている場合は、ドメイン・テンプレートが適切なディレクトリに存在しているはずなので、次のステップ1を省略できます。

  1. SOAHOST1で次のコマンドを実行し、すでに作成されているテンプレート・ファイルをSOAHOST2、WCHOST1およびWCHOSTにコピーします。

    SOAHOST1> scp wcdomaintemplate.jar
           oracle@SOAHOST2:MW_HOME/wc/common/bin
    
    SOAHOST1> scp wcdomaintemplate.jar
           oracle@WCHOST1:MW_HOME/wc/common/bin
    
    SOAHOST1> scp wcdomaintemplate.jar
           oracle@WCHOST2:MW_HOME/wc/common/bin
    
  2. unpackコマンドをSOAHOST2、WCHOST1およびWCHOST2で実行し、伝播されたテンプレートを解凍します。

    SOAHOST2> cd MW_HOME/wc/common/bin
    
    SOAHOST2> ./unpack.sh
       -domain=ORACLE_BASE/admin/<domain_name>/mserver/<domain_name>/
       -app_dir=ORACLE_BASE/admin/<domain_dir>/mserver/apps
    
  3. この手順をWCHOST1とWCHOST2に対して繰り返します。

6.8 WCHOST1およびWCHOST2でのノード・マネージャの起動

WCHOST1およびWCHOST2でノード・マネージャを起動する手順は、次のとおりです。


注意:

システム間でミドルウェア・ホームが共有され、SOAが構成済の場合は、nodemanager.propertiesファイルが存在し、適切に構成されているはずです。そうでなければ、ノード・マネージャが起動していない場合にのみ、ステップ2を実行してください。

  1. WCHOST1とWCHOST2でノード・マネージャを起動する前に、ORACLE_COMMON_HOME/common/binディレクトリにあるsetNMProps.shスクリプトを実行し、StartScriptEnabledプロパティをtrueに設定します。

    WCHOSTn> cd ORACLE_COMMON_HOME/common/bin
    WCHOSTn> ./setNMProps.sh
    
  2. ノード・マネージャを起動します。

    WCHOST1> cd WL_HOME/server/bin
    WCHOST1> ./startNodeManager.sh
    
    WCHOST2> cd WL_HOME/server/bin
    WCHOST2> ./startNodeManager.sh
    

6.9 WCHOST1での管理対象サーバーWC_Spaces1、WC_Portlet1およびWC_Collaboration1の起動

これらの手順に従って、管理対象サーバーWC_Spaces1、WC_Portlet1およびWC_Collaboration1を起動します。

  1. 管理コンソール(http://ADMINVHN:7001/console)にアクセスします。

  2. サーバー」をクリックします。

  3. 制御」タブを開きます。

  4. WC_Spaces1」、「WC_Portlet1」および「WC_Collaboration1」を選択します。

  5. 起動」をクリックします。


注意:

ADMINVHNは、SOAHOST1で管理サーバーがリスニングする仮想IPにマップされる仮想ホスト名です。

6.10 管理対象サーバーWC_Spaces1、WC_Portlet1およびWC_Collaboration1の検証

  1. 次のURLをテストして、管理対象サーバーがアクセス可能であることを確認します。

    • http://WCHOST1:9000/webcenter

    • http://WCHOST1:9001/portalTools

    • http://WCHOST1:9002/owc_discussions

    • http://WCHOST1:9001/wsrp-tools

  2. すべてのデプロイメントがアクティブであることを確認します。管理コンソールで、「デプロイ」を選択します。いずれかに障害が発生した場合は、ログ・ファイルでエラーを確認します。ログ・ファイルは、ORACLE_BASE/admin/<domain_name>/mserver/<domain_home/servers/[server_name]/logsにあります。

6.11 WCHOST2での管理対象サーバーWC_Spaces2、WC_Portlet2およびWC_Collaboration2の起動

これらの手順に従って、管理対象サーバーWC_Spaces2、WC_Portlet2およびWC_Collaboration2を起動します。

  1. 管理コンソール(http://ADMINVHN:7001/console)にアクセスします。

  2. サーバー」をクリックします。

  3. 制御」タブを開きます。

  4. WC_Spaces2」、「WC_Portlet2」および「WC_Collaboration2」を選択します。

  5. 起動」をクリックします。

6.12 管理対象サーバーWC_Spaces2、WC_Portlet2およびWC_Collaboration2の検証

  1. 次のURLをテストして、管理対象サーバーがアクセス可能であることを確認します。

    • http://WCHOST1:9000/webcenter

    • http://WCHOST1:9001/portalTools

    • http://WCHOST1:9002/owc_discussions

    • http://WCHOST1:9001/wsrp-tools

  2. すべてのデプロイメントがアクティブであることを確認します。管理コンソールで、「デプロイ」を選択します。いずれかに障害が発生した場合は、ログ・ファイルでエラーを確認します。ログ・ファイルは、ORACLE_BASE/admin/<domain_name>/mserver/<domain_home/servers/[server_name]/logsにあります。

6.13 Javaオブジェクト・キャッシュの設定

Javaオブジェクト・キャッシュ(JOC)は、WebCenter Spacesが実行されているすべてのサーバーに構成する必要があります。このローカル・キャッシュは、Oracle WebCenter Spacesのパフォーマンスを高めるために提供されています。

Javaオブジェクト・キャッシュはMW_HOME/oracle_common/bin/configure-joc.pyスクリプトを使用して構成できます。これは管理対象サーバーでのJOCの構成に使用できるPythonスクリプトです。このスクリプトはWLSTオンライン・モードで実行され、管理サーバーが稼働していることを前提としています。


注意:

wlstコマンドまたはconfigure-joc.pyスクリプトを使用してJavaオブジェクト・キャッシュを構成した後は、影響を受けるすべての管理対象サーバーを再起動して、構成を有効にする必要があります。

使用方法

  1. コマンドラインのOracle WebLogic Scripting Tool(WLST)を使用して管理サーバーに接続します。例:

    MW_HOME/wc/common/bin/wlst.sh
    $ connect()
    

    Oracle WebLogicの管理ユーザー名とパスワードの入力を求められたら、これらを入力します。

  2. wlstを使用して管理サーバーに接続したら、execfileコマンドを使用してスクリプトを起動します。

    wls:/mydomain/serverConfig>execfile('FMW_HOME/oracle_common/bin/configure-joc.py')
    
  3. 特定のクラスタのすべての管理対象サーバー用のJOCの構成

    クラスタ名を指定するかどうかを尋ねるプロンプトが表示されたら'y'を入力し、プロンプトが表示されたらクラスタ名と検出ポートを指定します。これにより、指定されたクラスタのすべての管理対象サーバーが検出され、JOCが構成されます。検出ポートはクラスタのJOC構成全体で共通です。例:

    Do you want to specify a cluster name (y/n) <y>
    Enter Cluster Name : Spaces_Cluster
    Enter Discover Port : 9988
    

    configure-joc.pyをHA環境で使用するための手順は、次のとおりです。

    execfile('MW_HOME/oracle_common/bin/configure-joc.py')
    .
    Enter Hostnames (eg host1,host2) : WCHOST1, WCHOST2
    .
    Do you want to specify a cluster name (y/n) <y>y
    .
    Enter Cluster Name : Spaces_Cluster
    .
    Enter Discover Port : 9988
    .
    Enter Distribute Mode (true|false) <true> : true
    .
    Do you want to exclude any server(s) from JOC configuration (y/n) <n> n
    

このスクリプトを使用すると、次のJOCの構成も実行できます。

CacheWatcherユーティリティを使用してJOCの構成を確認します。『Oracle Fusion Middleware高可用性ガイド』を参照してください。

Oracle Fusion Middleware高可用性ガイド.』で説明しているように、Oracle WebLogic管理コンソールで「HAパワー・ツール」タブを使用してJavaオブジェクト・キャッシュ(JOC)を構成できます。

6.14 マルチキャストからユニキャストへのディスカッション・フォーラムの変換

ディスカッション・フォーラムをマルチキャストからユニキャストに変換するには、関連する起動パラメータを追加します。

  1. Oracle WebLogic Server管理コンソールで、「サーバー」→「WC_Collaboration1」→「構成」→「サーバーの起動」を選択します。

  2. 「 引数 」ボックスに次の引数を追加します。

    -Dtangosol.coherence.wka1=WCHost1  -Dtangosol.coherence.wka2=WCHost2
    -Dtangosol.coherence.localhost=WCHost1 -Dtangosol.coherence.wka1.port=8089
    -Dtangosol.coherence.wka2.port=8089 -Dtangosol.coherence.localport=8089
    

    WCHost1は、WC_Collaboration1が実行されている場所です。

    ポート8089は、WebCenter Coherenceの通信用に予約されているポートです。

  3. WCHost1をWCHost2に、WCHost2をWCHost1に替えて、WC_Collaboration2に対してステップ1と2を繰り返します。

  4. WC_Collaborationサーバーを再起動します。

6.15 ディスカッション・サーバー用クラスタリングの構成

これがユニキャスト・クラスタの場合、まず第6.14項「マルチキャストからユニキャストへのディスカッション・フォーラムの変換」の手順が実行されていることを確認します。

ディスカッション・サーバー管理コンソールを使用して、ディスカッション・サーバー・クラスタのすべてのメンバーが相互に通信できることを確認します。

  1. 次の場所でクラスタの各メンバーにログインします。

    http://<host>:<port>/owc_discussions/admin

  2. キャッシュ設定」に移動します。

    図6-1 「キャッシュ設定」セクション

    図6-1の説明が続きます
    「図6-1 「キャッシュ設定」セクション」の説明

  3. ページの下部のキャッシュ機能セクションで、「クラスタリング」が「有効」に設定されていることを確認します。

    ページの上部にクラスタのすべてのメンバーがリストされます。

  4. 再度ページの下部に移動し、キャッシュ・ツールセクションで、クラスタワイドでのキャッシュのリセットおよびキャッシュのウォームアップ・タスクを実行します。クラスタのすべてのメンバーで、キャッシュのウォームアップ・タスクを繰り返します。

    図6-2 キャッシュ・ツールセクション

    図6-2の説明が続きます
    「図6-2 キャッシュ・ツールセクション」の説明

6.16 分析コレクタの構成

分析コレクタは、WebCenter Spacesと通信するように構成されている必要があります。各コレクタは、ローカルのWebCenter Spacesとのみ1対1の関係で通信するように構成されます。


注意:

クラスタ化された分析コレクタは、WebCenterのイベントの収集に対してはサポートされていません。

6.16.1 コレクタの構成

コレクタを構成する必要はありません。デフォルトでは、コレクタはローカル・ホストでリスニングします。WebCenter Spacesのクライアントのみを、ローカル・ホストにメッセージを送信するように構成する必要があります。

6.16.2 WebCenter Spacesサーバーの構成

  1. WLSTシェルを開きます。

    ORACLE_HOME/common/bin/wlst.sh
    
  2. WLSサーバーに接続します。

    connect('weblogic_admin_username', 'weblogic_admin_pwd', 'WCHOST1:9000')
    

    Spacesサーバーのホストとポートに接続していることに注意してください。

  3. 分析コレクタの接続を作成し、デフォルトの接続にします。

    createAnalyticsCollectorConnection('webcenter','HAConn1',isUnicast=1,
    collectorHost='localhost',collectorPort=31314,isEnabled=1,timeout=30,default=1)
    
  4. 変更内容をリストします。

    listDefaultAnalyticsCollectorConnection('webcenter')
    
  5. Spacesサーバーに対してステップ3と4を繰り返します。

6.17 アクティビティ・グラフの構成

アクティビティ・グラフはシングルトンとして実行する必要があります。クラスタ環境では、アクティビティ・グラフのインスタンスを、1つを除いてすべて無効にする必要があります。

アクティビティ・グラフを無効にするには:

  1. 管理コンソールにログインします。

  2. WC_SpacesサーバーとWC_Utilitiesサーバーを停止します。

  3. デプロイメント」を選択します。

  4. ロックして編集」をクリックします。

  5. 次の3つのデプロイメントのターゲットを変更します。

    • activitygraph-engines(11.1.1.4.0)

    • oracle.webcenter.activitygraph.enginelib(11.1.1,11.1.1)

    • oracle.webcenter.activitygraph.lib(11.1.1,11.1.1)

  6. 上の各デプロイメントに対して、次の手順を実行します。

    1. デプロイメントを選択します。

    2. ターゲット」タブを選択します。

    3. ターゲットの変更」をクリックします。

    4. Ensure that the deployment is only targeted to クラスタの一部/one of the Managed Servers.

    5. OK」をクリックして変更を保存します。

  7. 3つのデプロイメントのすべてについて手順を完了したら、すべての変更のアクティブ化を選択します。

  8. WC_UtilitiesサーバーおよびWC_Spacesサーバーを起動します。

アクティビティ・グラフは1つのノードでのみ実行されているので、このノードが失われたり、管理対象サーバーが使用不可能であったりすると、アクティビティ・グラフが使用不可能になります。

ノードに障害が発生した場合は、アクティビティ・グラフをクラスタ内で使用可能な他のいずれかの管理対象サーバーに手動でデプロイできます。

6.18 WebCenter REST APIの構成

WebCenter REST APIを使用する前に、この項で説明するサーバー側の構成を行う必要があります。

  1. コマンドラインのOracle WebLogic Scripting Tool(WLST)を使用して管理サーバーに接続します。例:

    MW_HOME/wc/common/bin/wlst.sh
    
  2. 次のWLSTのコマンドを実行して、資格証明ストアを構成します。

    createCred(map="o.webcenter.jf.csf.map", key="keygen.algorithm", 
         user="keygen.algorithm", password="AES") 
    createCred(map="o.webcenter.jf.csf.map", key="cipher.transformation", 
         user="cipher.transformation", password="AES/CBC/PKCS5Padding")
    

REST APIの詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter開発者ガイドを参照してください。

6.19 WCHOST2での管理対象サーバーWC_Spacesn、WC_PortletnおよびWC_Collaborationn用Oracle HTTP Serverの構成

Oracle HTTP ServerがWebCenterクラスタにルーティングできるようにするには、WebLogicClusterパラメータでクラスタ内のノードをリストして設定する必要があります。次の行をすべてのWEBHOSTマシンのOHS_HOME/instances/ohs_instance1/config/OHS/ohs1/mod_wl_ohs.confファイルに追加します。管理サーバーとSOAサーバーの以前の設定をすべて保持しておきます。完了したら、すべてのHTTP Serversを再起動します。

# Spaces
<Location /webcenter>
     WebLogicCluster wchost1:9000,wchost2:9000
     SetHandler weblogic-handler
     WLProxySSL ON
     WLProxySSLPassThrough ON
</Location>

<Location /webcenterhelp>
     WebLogicCluster wchost1:9000,wchost2:9000
     SetHandler weblogic-handler
     WLProxySSL ON
     WLProxySSLPassThrough ON
</Location>

 <Location /rss>
     WebLogicCluster wchost1:9000,wchost2:9000
     SetHandler weblogic-handler
     WLProxySSL ON
     WLProxySSLPassThrough ON
</Location>

 <Location /rest>
     WebLogicCluster wchost1:9000,wchost2:9000
     SetHandler weblogic-handler
     WLProxySSL ON
     WLProxySSLPassThrough ON
</Location>

# Portlet

 <Location /portalTools>
     WebLogicCluster wchost1:9001,wchost2:9001
     SetHandler weblogic-handler
     WLProxySSL ON
     WLProxySSLPassThrough ON
</Location>

 <Location /wsrp-tools>
     WebLogicCluster wchost1:9001,wchost2:9001
     SetHandler weblogic-handler
     WLProxySSL ON
     WLProxySSLPassThrough ON
</Location>

# Discussions
 <Location /owc_discussions>
     WebLogicCluster wchost1:9002,wchost2:9002
     SetHandler weblogic-handler
     WLProxySSL ON
     WLProxySSLPassThrough ON
</Location>

# Personalization

 <Location /wcps>
     WebLogicCluster wchost1:9001,wchost2:9001
     SetHandler weblogic-handler
     WLProxySSL ON
     WLProxySSLPassThrough ON
</Location>

#Activity Graph
#The WebLogicHost below should be set to the Host on which ActivityGraph is running.

 <Location /activitygraph-engines>
     WebLogicCluster wchost1:9003
     SetHandler weblogic-handler
     WLProxySSL ON
     WLProxySSLPassThrough ON
</Location>

WebLogicClusterパラメータで指定したサーバーは、起動時のプラグインに対してのみ重要な役割を持ちます。このノードのリストには、実行しているクラスタ・メンバーを1つ以上記述しておく必要があります。記述しておかないと、このプラグインで他のクラスタ・メンバーを検出できません。Oracle HTTP Serverの起動時には、リストに記述したクラスタ・メンバーを実行している必要があります。Oracle WebLogic Serverとこのプラグインの連携により、クラスタに発生した新規のクラスタ・メンバー、失敗したクラスタ・メンバーおよびリカバリしたクラスタ・メンバーを反映してサーバーのリストが自動的に更新されます。

例としていくつかのシナリオを示します。

WebLogic Serverプラグインの構成の詳細は、Oracle WebLogic ServerでWeb Serverプラグインを使用するOracle Fusion Middlewareのガイドを参照してください。

6.19.1 ページレット・プロデューサの仮想ホスト

ページレット・プロデューサでは、コンテキスト・ルート(/)を使用します。それに対応できるようにするには、異なる仮想ホストの設定が必要になります。

Oracle HTTP Serverのhttpd.confファイルで必要な構成は、次のとおりです。

<VirtualHost *:7777>
  ServerName pagelet-producer.example.com
  <Location  />
      SetHandler weblogic-handler
      WebLogicCluster wchost1:9000,wchost2:9000
  </Location>
</VirtualHost>

Ensembleアプリケーションへのすべてのアクセスは、pagelet-producer.example.comを介する必要があります。たとえば、WebCenter SpacesでEnsembleプロデューサを登録する場合や、カスタム・アプリケーションを登録する場合は、Ensembleに対して仮想ホストが使用されるようにする必要があります。

同様に、Ensemble管理アプリケーションへのアクセスおよびEnsembleのあらゆるリソースへのアクセスは、仮想ホストを介する必要があります。

すべてのOracle HTTP Serverで構成されている仮想ホストpagelet-producer.example.comにルーティングされる新しい仮想ホストwcedg-pagelet.mycompany.comでロード・バランサを構成します。

6.20 Oracle HTTP Serverを介したアクセスの検証

次のURLにアクセスできることを確認します。

webhostNには、各Oracle HTTP Serverホストの名前を指定します(WEBHOST1WEBHOST2など)。

6.21 ロード・バランサを介したアクセスの検証

次のURLにアクセスできることを確認します。

6.22 インストールのバックアップ

拡張したドメインが正常に動作していることを確認した後、そのインストール内容をバックアップします。これは、以降の手順で問題が発生した場合に短時間でリストアできることを考慮した迅速なバックアップです。バックアップ先はローカル・ディスクです。エンタープライズ・デプロイメントの設定が完了すれば、このバックアップは破棄してかまいません。その時点では、デプロイメント固有の定期的なバックアップ手順とリカバリ手順を実行できるようになっています。詳細は、Oracle Fusion Middlewareの管理者ガイドを参照してください。バックアップおよびリストアを必要とするOracle HTTP Serverのデータの詳細は、このガイドでOracle HTTP Serverのバックアップとリカバリの推奨事項に関する項を参照してください。コンポーネントのリカバリ方法に関する詳細は、このガイドでコンポーネントのリカバリに関する項およびコンポーネントが失われた後のリカバリに関する項を参照してください。ホストが失われた場合のリカバリに固有の推奨事項は、このガイドで別のホストへのOracle HTTP Serverのリカバリに関する項を参照してください。データベースのバックアップに関する詳細は、Oracle Databaseバックアップおよびリカバリ・ガイドも参照してください。

この時点でインストールをバックアップするには、次の手順を実行します:

  1. Web層をバックアップする手順は次のとおりです。

    1. opmnctlを使用してインスタンスを停止します。

      ORACLE_BASE/admin/<instance_name>/bin/opmnctl stopall
      
    2. 次のコマンドをroot権限で実行して、Web層のミドルウェア・ホームをバックアップします。

      tar -cvpf BACKUP_LOCATION/web.tar $MW_HOME
      
    3. 次のコマンドをroot権限で実行して、Web層のインスタンス・ホームをバックアップします。

      tar -cvpf BACKUP_LOCATION/web_instance.tar $ORACLE_INSTANCE
      
    4. opmnctlを使用してインスタンスを起動します。

      ORACLE_BASE/admin/<instance_name>/bin/opmnctl startall
      
  2. データベースをバックアップします。これは、Oracle Recovery Manager(推奨)またはtarなどのOSツールを使用したデータベース全体のホット・バックアップまたはコールド・バックアップです。OSツールを使用する場合は、可能なかぎりコールド・バックアップをお薦めします。

  3. 管理サーバーのドメイン・ディレクトリをバックアップします。バックアップを実行してドメイン構成を保存します。構成ファイルは、すべてORACLE_BASE/admin/<domain_name>ディレクトリの下にあります。

    SOAHOST1> tar -cvpf edgdomainback.tar ORACLE_BASE/admin/<domain_name>