この付録では、Oracle Fusion Middlewareを使用しているときに発生する可能性のある障害のトラブルシューティング方法について説明します。次の項目が含まれます。
Oracle Fusion Middlewareコンポーネントは、起動および停止情報、エラー、警告メッセージ、HTTPリクエスト時のアクセス情報など、すべての種類のイベントを記録するメッセージが格納されたログ・ファイルを生成します。このログ・ファイルを、障害の特定と診断に使用できます。ログ・ファイルの使用と読取りの詳細は、第12章「ログ・ファイルと診断データの管理」を参照してください。
Oracle Fusion Middlewareには、問題の検出、診断および解決を支援する診断フレームワークが含まれています。特に対象としている障害は、コードのバグ、メタデータの破損、顧客データの破損に起因する障害、スレッドのデッドロック、一貫性のない状態などのクリティカル・エラーです。
クリティカル・エラーが発生すると、そのエラーにはインシデント番号が割り当てられ、エラーの診断ログ(ログ・ファイルなど)が即座に取得され、その番号でタグ付けされます。データは、自動診断リポジトリ(ADR)に格納されます。ADRでは、後でデータをインシデント番号によって取得し、分析することができます。診断フレームワークの詳細は、第13章「問題の診断」を参照してください。
この項では、一般的な障害と解決策について説明します。次の項目が含まれます。
JRFを使用して管理対象サーバーを構成すると、Spring 2.0.6がインストールされ、Oracle WebLogic Serverのシステム・クラスパスに配置されます。JRF環境で実行されているカスタム・アプリケーションが、異なるバージョンのSpringを必要とする場合、FilteringClassLoaderメカニズムを使用して、Springのバージョンを指定する必要があります。
Oracle WebLogic Serverは、デプロイメント記述を構成して特定のパッケージが常に(システム・クラス・ローダーによってではなく)アプリケーションからロードされることを明示的に指定できるように、FilteringClassLoaderメカニズムを提供します。この機能により、SpringやAntなど、アプリケーションの代替のバージョンを使用できます。
FilteringClassLoaderメカニズムの使用方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発』のFilteringClassLoaderの使用方法に関する項を参照してください。
管理対象サーバーがノード・マネージャによって起動される場合(サーバーがOracle WebLogic Server管理コンソールまたはFusion Middleware Controlによって起動される場合)、管理対象サーバーを起動するときに起動スクリプトを使用するようにノード・マネージャが構成されていないと、ClassNotFoundエラーが発生する場合があります。この障害の解決方法の詳細は、第4.2.4項を参照してください。
次の各項では、Fusion Middleware Controlを使用したときに発生する問題について説明します。
Fusion Middleware Controlのパフォーマンス・メトリックおよびグラフの表示のトラブルシューティング
Fusion Middleware ControlからOracle WebLogic Server管理コンソールへの接続の保護
Fusion Middleware Controlを使用してシステム・コンポーネントを管理している場合、特定の管理対象ターゲットに関してパフォーマンス・メトリックおよびグラフが正しく表示されないという状況が発生する場合があります。
次の各項では、管理対象ターゲットに関する情報を示し、レスポンス時間やロード・メトリックなどのパフォーマンス・メトリックを表示しようとしたときにFusion Middleware Controlがエラーを表示する場合に実行する一般的なトラブルシューティング・タスクについて説明します。
Fusion Middleware Controlで次のコンポーネントを検出し、表示するには、Oracle Management Agentが使用可能で実行中である必要があります。
Oracle Internet Directory
Oracle Virtual Directory
Oracle Directory Integration Platform
Oracle Identity Federation
Oracle Reportsアプリケーション、Oracle Reports Server
これらのコンポーネントは、エージェントの監視中のターゲットと呼ばれます。
これらのコンポーネントを含むOracle Fusion Middleware環境をインストールして構成すると、管理エージェント(Oracle Management Agent)もOracleインスタンスにインストールされ実行されます。
対照的に、Javaコンポーネントおよび一部のシステム・コンポーネントは、管理エージェントなしでFusion Middleware Controlによって管理できます。
Oracle Management Agentの詳細は、Oracle Technology Network(OTN)でOracle Enterprise Managerのドキュメントを参照してください。
http://www.oracle.com/technology/documentation/oem.html
すべてのエージェントの監視中のターゲットの監視資格証明の管理を容易にするために、「監視資格証明」ページを使用して、ファームにおけるすべてのエージェントの監視中のターゲットの監視資格証明を設定できます。
「ファーム」メニューから、「監視資格証明」を選択します。
最低でもmonitoring
レベルの権限があるOracle WebLogic Serverのユーザー・アカウントのユーザー名とパスワードを入力します。
このページで監視資格証明を設定すると、ファームにおけるエージェントの監視中のターゲットの監視資格証明がすべてオーバーライドされます。ただし、すべてのターゲットの監視資格証明を設定した後は、第I.3.1.3項の説明のとおり、「エージェントの監視中のターゲット」ページを使用して、特定のターゲットの証明書をオーバーライドできます。
ターゲット(Oracle Fusion Middlewareコンポーネント)を管理するために、Oracle Management Agentは、Oracle WebLogic Server管理アカウントを使用してターゲットに接続します。Oracle Management Agentは、ターゲットに接続した後、パフォーマンス・メトリックを収集し、それをFusion Middleware Controlに戻し、そこで監視ページおよびパフォーマンス・グラフにパフォーマンス・メトリックを表示できます。
この管理アカウントおよびそのパスワードは、エージェントの監視中のターゲットの監視資格証明と呼ばれます。
特定のターゲットの監視資格証明がOracle WebLogic Serverで変更されると、Oracle Management Agentは、パフォーマンス・メトリックを取得できなくなります。その結果、ターゲットのメトリックはFusion Middleware Controlページに表示されず、パフォーマンス・グラフはレンダリングされません。
この障害を修正するために、Fusion Middleware Controlでエージェントの監視中のターゲットの監視資格証明を変更できます。
「ファーム」メニューから、「監視資格証明」を選択します。
「監視資格証明」ページが表示されます。
「エージェントの監視中のターゲット」をクリックします。
「エージェントの監視中のターゲット」ページが表示されます。
変更するターゲットの「構成」アイコンをクリックします。
「構成」ページで、「監視資格証明」フィールドを検索し、最低でもmonitoring
レベルの権限があるOracle WebLogic Serverのユーザー・アカウントの証明書と一致するように証明書を変更します。
ファームにおけるすべてのエージェントの監視中のターゲットのパフォーマンス・メトリックを使用できないが、エージェントの監視中のターゲットの監視資格証明が正しいことを検証済の場合、Fusion Middleware Controlと通信するためにOracle Management Agentが使用するURLを変更する必要がある場合があります。
この状況は、使用環境のバックアップを作成し、これを別のホストにリストアした場合、またはテスト環境を本番環境に移行した場合に発生する可能性があります。どちらの場合も、Oracle Management Agentを再びFusion Middleware Controlと通信できるようにするには、その前にOracle Management AgentのURLで必要なホスト名を変更する必要があります。
Oracle Management AgentのURLを変更するには:
「ファーム」メニューから、「監視資格証明」を選択します。
「監視資格証明」ページが表示されます。
「エージェントの監視中のターゲット」をクリックします。
「エージェントの監視中のターゲット」ページが表示されます。
このページに一覧表示されているエージェントの監視中のターゲットのいずれかの「構成」アイコンをクリックします。
Oracle Management AgentのURLを変更します。
デフォルトでは、Fusion Middleware ControlからOracle WebLogic Server管理コンソールにアクセスする場合、その接続は非SSL接続です。SSL接続を使用してOracle WebLogic Server管理コンソールにアクセスするには、SSLポートを使用して手動でアクセスする必要があります。または、セキュアな管理ポートを有効にできます。
管理チャネルに関する情報、およびチャネルの確立方法については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverサーバー環境の構成』のネットワーク・チャネルについての項を参照してください。
管理サーバー・ドメインとの通信のセキュア・モードを有効にし、その他すべての非セキュア・モードを無効にするには、次の明示的な手順を実行して、Oracle Management AgentによるFusion Middleware Controlのエージェントの監視中のターゲットの監視を有効にする必要がある場合があります (エージェントの監視中のターゲットの詳細は、第I.3.1.1項を参照してください)。次の手順は、管理サーバーのインスタンスでデフォルトの自己署名証明書、またはOracle Management Agentが使用しているJVMのデフォルトのトラストストアで使用できない認証局(CA)を持つその他の署名付き証明書を使用している場合にのみ必要です。
この場合、次の手順に従います。
次のコマンドを使用して、Oracle Management Agentを停止します。
ORACLE_HOME/bin/emctl stop agent
証明書をOracle WebLogic Serverからエクスポートします。
JAVA_HOME/jdk/bin/keytool -export -alias demoidentity -file /tmp/wlcert -keystore MW_HOME/wlserver_10.3/server/lib/DemoIdentity.jks
プロンプトが表示されたら、パスワードを入力します。
証明書を使用してJDKのデフォルトのトラストストア(JAVA_HOME/jre/lib/security/cacerts)を更新します (これはOracle Management Agentが使用するJDKです)。
keytool -import -alias demoidentity -trustcacerts -file /temp/wlcert -keystore JAVA_HOME/jre/lib/security/cacerts -storepass password
この証明書を信頼するかどうか質問されたら、「yes
」と入力します。
次のコマンドを使用して、Oracle Management Agentを起動します。
ORACLE_HOME/bin/emctl start agent
この他の解決策は、My Oracle Support(http://support.oracle.com
)で公開されています。発生した障害の解決策が見つからない場合は、サービス・リクエストを発行してください。
第I.4.1項で説明するように、Remote Diagnostic Agentを使用することもできます。
関連項目: 『Oracle Fusion Middlewareリリース・ノート』(Oracle Technology Networkで参照できます) |
Remote Diagnostic Agent(RDA)は、ご使用の環境の全体像を提供するコマンドライン診断ツールです。さらに、RDAは、構成やセキュリティなど、様々なトピックに関する推奨事項を提供します。これは、ユーザーとOracleサポートが問題を解決するための支援をします。
RDAは、できるだけ控えめであるように設計されており、システムを変更することはありません。セキュリティ・フィルタは、必要に応じて提供されます。
RDAの詳細は、次の場所にあるreadmeファイルを参照してください。
(UNIX) ORACLE_HOME/rda/README_Unix.txt (Windows) ORACLE_HOME\rda\README_Windows.txt