この章では、Upgrade Assistantを使用してOracle Fusion Middleware 11gにアップグレードする際に発生した問題を解決する方法について説明します。この章の内容は次のとおりです。
Upgrade Assistantの実行時にエラーが発生した場合は、次の手順を実行して問題のトラブルシューティングを行ってください。
Upgrade Assistantログ・ファイルを検索し、テキスト・エディタで開きます。
ログ・ファイルの場所については、B.3項「ログ・ファイルの確認」を参照してください。
UPGAST-00091
などの番号で識別されるエラー・メッセージを検索します。
Oracle Fusion Middlewareのエラー・メッセージ・リファレンス.でそのエラーを参照します。
Oracle Fusion Middlewareのエラー・メッセージ・リファレンスのエラーについての説明には、エラーの原因およびそのエラーを解決するために実行する必要がある処置についての説明が含まれています。
エラー・メッセージおよびエラー・メッセージの説明を検索できるかどうかに応じて、次の操作を実行します。
ログ・ファイルおよびOracle Fusion Middlewareのエラー・メッセージ・リファレンスを確認することによってアップグレード時に発生した障害の解決方法を識別できる場合は、その解決方法を実行した後、Upgrade Assistantを再起動し、アップグレードを再度実行します。
Upgrade Assistantを再実行しても、前回のアップグレード時に正常にアップグレードされたコンポーネントは影響を受けません。ただし、前回ユーティリティを実行した際に正常にアップグレードされなかったコンポーネントに対しては、Upgrade Assistantによってアップグレードが試行されます。
説明されていないエラーまたはエラーの後に説明されている処置によって解決できないエラーについては、Oracleサポート・サービスに連絡してください。一部のエラーでは、バックアップからリポジトリをリストアし、問題を解決してアップグレードを再実行する必要があります。
Upgrade Assistantの実行時にエラーが発生した場合は、それらの原因となる状況を修正してから、アップグレードを再試行する必要があります。次の項では、Upgrade Assistantのエラーを解決する場合のガイドラインについて説明します。
Oracleホームのドロップダウン・リストにソースOracleホームが予測どおりに表示されない場合、またはUpgrade Assistantの起動時にエラー(「一致するOracleホームが見つかりません」)が表示される場合は、次の問題および解決方法を検討します。
インストール・タイプが誤っている ソース中間層のインストール・タイプと宛先中間層インスタンスのインストール・タイプに互換性がない場合、ソースOracleホームは表示されません。
Oracleホームが別々のコンピュータに存在している ソース中間層が選択肢として表示されないもう1つの例としては、ソース中間層インスタンスが宛先中間層インスタンスとは別のコンピュータにインストールされている場合があります。この場合は、アップグレードするソース・インスタンスと同じコンピュータに宛先中間層インスタンスをインストールする必要があります。
OracleホームがOracleインベントリに存在しない Upgrade Assistantでは、Oracleインベントリのコンテンツの分析によって、システム上のOracle Application Server Oracleホームが検索されます。
Oracleソフトウェア製品をホスト・コンピュータにインストールするたびに、Oracle Universal Installerによってハード・ディスクにソフトウェアのインストールに関する情報が保存されます。このソフトウェア構成情報が含まれているディレクトリおよびファイルは、Oracle Universal Installerインベントリと呼ばれます。インベントリに特定のインストールが表示されない場合もあります。この場合は、インベントリ・ディレクトリが削除または破損されたか、あるいは複数のインベントリがコンピュータにインストールされている可能性があります。UNIXシステムでこの問題を解決するには、B.7項「Oracle Universal Installerで複数のインベントリの場所を使用している場合のUNIXシステムでのUpgrade Assistantの起動」を参照してください。
異なるオペレーティング・システム・ユーザーによってインベントリの製品がインストールされた
Upgrade Assistantは、Oracle Universal InstallerのインベントリAPIを使用してOracleホームのコンポーネント・リストを取得します。Upgrade Assistantを実行中のユーザーにOracleホームへの読取りアクセス権がない場合、OUI APIは空のコンポーネント・リストを返します。
これが発生する可能性があるのは、ソースまたは宛先Oracleホームのインストールに使用されたアカウントではなく、オペレーティング・システム・ユーザー・アカウントからUpgrade Assistantを実行している場合です。Upgrade Assistantの実行時に、Oracle Application Server 10g環境のインストールに使用されたオペレーティング・システム・ユーザーを使用していることを確認してください。
または、ソースおよびターゲットOracleホームの権限を設定して、Upgrade Assistantの実行中に書込み権限を持つことができます。
このエラーは、Oracle HTTP Serverのインスタンスが含まれていないOracle Application Server 10g リリース3(10.1.3.1.0)基本インストールのアップグレードを試行するときに発生する可能性があります。この場合、Oracle Fusion Middleware Upgrade Assistantで自動的にアップグレード可能なコンポーネントはありません。
Upgrade Assistantを使用してコンポーネント・スキーマをアップグレードするときに、データベースへの接続障害が発生した場合、SQL*Plusなどの別のツールを使用して、データベースへの接続を試行してください。これにより、データベースが稼働中でネットワークから使用できることを検証することで、問題のトラブルシューティングが可能になります。
Upgrade Assistantでは、アップグレードのトラブルシューティング、検証または分析に使用可能な一連のログ・ファイルが生成されます。
Upgrade Assistantログ・ファイルは、次のディレクトリに格納されます。ファイルの名前には、Upgrade Assistantセッションの日付と名前が含まれます。
Windowsシステムの場合:
DESTINATION_ORACLE_HOME
\upgrade\logs\
UNIXシステムの場合:
DESTINATION_ORACLE_HOME
/upgrade/logs/
特定のコンポーネントのデータベース・スキーマのアップグレードでは、シェル・プロセスで実行されたコマンドやPL/SQLスクリプトとして実行されたコマンドの画面出力を含む出力(.out
)ファイルが存在することもあります。
この出力ファイルは、次の場所にあります。
UNIXシステムの場合:
DESTINATION_ORACLE_HOME/upgrade/logs/uatimestamp.log
Windowsシステムの場合:
DESTINATION_ORACLE_HOME\upgrade\logs\uatimestamp.log
確認時の障害の原因を判別するには、次の手順を実行します。
OracleAS Upgrade Assistantダイアログ・ボックスまたはコマンドライン出力内の障害が発生したコンポーネントの名前を書き留めます。
Upgrade Assistantログ・ファイルを開きます。
ログ・ファイルの場所については、B.3項「ログ・ファイルの確認」を参照してください。
ログ・ファイルで、Starting to examine
component_name
というメッセージを検索します。
Upgradeログ・ファイル内の特定のエラー・メッセージについては、Oracle Fusion Middlewareのエラー・メッセージ・リファレンスを参照してください。
アップグレード時の障害の原因を判別するには、次の手順を実行します。
OracleAS Upgrade Assistantダイアログ・ボックスまたはコマンドライン出力内の障害が発生したコンポーネントの名前を書き留めます。
Upgradeログ・ファイルを開きます。
ログ・ファイルの場所については、B.3項「ログ・ファイルの確認」を参照してください。
Starting to upgrade
component_name
というメッセージを検索します。
Upgradeログ・ファイル内の特定のエラー・メッセージについては、Oracle Fusion Middlewareのエラー・メッセージ・リファレンスを参照してください。
中間層をアップグレードする場合、Upgrade Assistantは、Oracleホームの一部または完全な処理後に再起動できます。次の手順を実行します。
Upgrade AssistantをGUIモードまたはコマンドラインモードで起動します。
OracleAS Upgrade Assistantによって、前回のアップグレードが正常に実行されたかどうかを説明するメッセージが表示されます。
前回のアップグレードが完了しなかった場合、ダイアログ・ボックスを閉じる(GUIバージョン)か、またはYes
と入力(コマンドライン・バージョン)してアップグレードを続行します。
UNIXシステムの場合、Oracle製品をインストールすると、Oracle Universal Installerによってインベントリ・ロケーション・ファイル/etc/oraInst.loc
が作成されます。このファイルには、Oracle Universal Installerディレクトリの場所(フルパス)およびOracle Universal Installerをインストールしたユーザーのグループ名が含まれています。
Upgrade Assistantは、このディレクトリの情報(デフォルトのインベントリ)によって有効なソースOracleホームの場所を特定します。Oracleホームを別々に管理できるように、インストール後に追加のインベントリ・ファイルが作成される場合があります(これによって、1つのインベントリ内のすべてのOracleホームを追跡する必要がなくなります)。
アップグレードを実行するコンピュータに複数のインベントリ・ロケーション・ファイルが存在する場合にデフォルト以外のインベントリの場所を選択するには、-invPtrloc
引数を指定してUpgrade Assistantを起動し、アップグレードに関連するOracleホームにインベントリ・ロケーション・ファイルを指定する必要があります。
たとえば、Oracle Application Server 10g OracleホームとOracle Fusion Middleware 11g Oracleホームが異なるインベントリにインストールされている場合は、両方のインベントリをUpgrade Assistantコマンドラインで指定する必要があります。
Oracleインベントリの詳細は、次に示すOracle Technology Network(OTN)のOracle Databaseドキュメント・ライブラリの『Oracle Universal InstallerおよびOPatchユーザーズ・ガイド』を参照してください。
http://www.oracle.com/technology/documentation/
複数のインベントリの場所がある場合に、Upgrade Assistantを起動する構文を次に示します。
グラフィカル・ユーザー・インターフェース(GUI)・バージョン
ua [[-invPtrloc inventory_location_file]...]
たとえば、次のようになります。
ua -invptrloc /du03/oracle_inventory1/orainst.loc -invPtrloc /etc/orainst.loc
コマンドライン・バージョン:
ua -sourcehome SOURCE_ORACLE_HOME [[-invPtrloc inventory_location_file]...] [-verbose] [-noprompt]
たとえば、次のようになります。
ua -sourcehome /du03/oracle/appserver1/ -invPtrloc /du03/oracle_inventory1/orainst.loc -invptrloc /etc/orainst.loc -verbose -noprompt