Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server診断フレームワークの構成と使い方 11g リリース1 (10.3.4) B60994-02 |
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次の項では、『WebLogic診断フレームワークの構成と使い方』ガイドの内容と読者について説明します。
WebLogic診断フレームワーク(WLDF)とは、WebLogic Serverのプロセス内で実行され標準的なサーバーのライフサイクルに参加する、一連のサービスを定義および実装するモニターおよび診断フレームワークです。WLDFを使用すると、実行中のサーバーおよびそのコンテナ内にデプロイされているアプリケーションによって生成された、診断データを作成、収集、分析、アーカイブし、それらのデータにアクセスすることができます。このデータを基に、サーバーおよびアプリケーションの実行時パフォーマンスを把握できます。また、フォルト発生時に、このデータを使用して、フォルトを隔離および診断できます。
WLDFには、以下のようなデータの収集および分析用コンポーネントが含まれています。
Oracle JRockitとの統合 - WebLogic ServerがJRockitとともに構成されている場合、WLDFはJRockitフライト記録ファイルで取得したWebLogic Serverに関する診断情報を生成することができます。
診断イメージ・キャプチャ - 障害発生後の分析に使用できる診断スナップショットをサーバーから作成します。診断イメージ・キャプチャには、JRockitフライト・レコーダ・データが含まれていて、それが使用可能である場合、JRockit Mission Controlで表示できます。
アーカイバ - サーバー・インスタンスおよびアプリケーションから、データ・イベント、ログ・レコード、およびメトリックをキャプチャし、永続化します。
インストゥルメンテーション - WebLogic Serverインスタンスおよびその上で実行されているアプリケーションに診断コードを追加し、コード内の指定された場所で診断アクションを実行します。インストゥルメンテーション・コンポーネントは、システム内のリクエストの流れを追跡できるように、診断コンテキストをリクエストに関連付けるための手段を提供します。WebLogic Server管理コンソールには、アプリケーションにおけるパフォーマンスの問題の識別に役に立つツールとして機能しているWLDFインストゥルメンテーション機能から取得したメソッド・パフォーマンス情報のリアルタイムおよび履歴ビューを表示する「リクエスト・パフォーマンス」ページが含まれています。
ハーベスタ - WebLogic Server MBeanやカスタムMBeanなどのランタイムMBeanからメトリックをキャプチャします。メトリックはアーカイブして、履歴データを参照するために後でアクセスできます。
監視および通知 - サーバーおよびアプリケーションの状態をモニターし、監視の中で設定されている条件に基づいて通知を送信する手段を提供します。
監視ダッシュボード - WebLogic Serverおよびホストされたアプリケーションの現在の動作状態と動作状態の履歴をグラフィカルに表示します。WebLogic Server管理コンソールからアクセスされた監視ダッシュボードは、重要性の高いランタイムWebLogic Serverのパフォーマンス・メトリックおよびそれらのメトリックの一定時間での変化を表示するビューに診断データを編成し表示するための一連のツールを提供します
ロギング・サービス - サーバー、サブシステムおよびアプリケーション・イベントを監視するためのログを管理します。WebLogic Serverロギング・サービスは、WebLogic診断フレームワークの他の部分とは別個のドキュメントで説明されています。『Oracle WebLogic Serverログ・ファイルの構成とログ・メッセージのフィルタ処理』を参照してください。
WLDFは、診断データに対する動的なアクセスと制御を可能にする標準化された一連のアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)、ならびにサーバーに関する可視性をもたらす改良されたモニターを実現します。
WLDFにより、標準インタフェースを通じてサーバー・データへの動的なアクセスが可能となり、特定の時点にアクセスされたデータを、サーバーの停止および再起動を行うことなく変更できます。
このドキュメントでは、WLDFによるモニター・サービスと診断サービスを構成および使用する方法について説明します。
WLDFは、WebLogic Serverインスタンスおよびクラスタを実行する際の問題点や、それらにデプロイされているアプリケーションにおける問題点をモニターし、診断するための機能を提供します。したがって、このドキュメント内の情報は、システム管理者とアプリケーション開発者の双方を対象としています。また、WLDFをサポートおよび拡張するツールを構築するサード・パーティのツール開発者向けの情報も記載しています。
読者は、Webテクノロジ、およびWebLogic Serverがインストールされているオペレーティング・システムとプラットフォームに精通していることが前提となっています。
このドキュメントの構成は次のとおりです。
この章「概要とロードマップ」では、WLDFコンポーネントの概要を示し、このガイドの対象読者について説明します。
第2章「WLDFアーキテクチャの概要」では、WLDFアーキテクチャの概要を示します。
第3章「Oracle JRockitフライト・レコーダと連携したWLDFの使用」では、JRockitフライト・レコーダのWLDF統合機能および基本使用方法のシナリオを説明し、JRockitフライト・レコーダ・ファイルに取得されたWebLogic Serverイベントを確認するためにJRockit Mission Controlを使用したサンプル・ウォークスルーを提供します。
第4章「WLDF構成について」では、WLDFの機能がサーバーとアプリケーションでどのように構成されるかについての概要を示します。
第5章「診断イメージの構成とキャプチャ」では、サーバーの重要な構成設定と状態のスナップショットをキャプチャするために、WLDF診断イメージ・キャプチャ・コンポーネントを構成および使用する方法について説明します。
第6章「診断アーカイブの構成」では、診断データをファイル・ストアまたはデータベースで永続化するために、WLDF診断アーカイブ・コンポーネントを構成および使用する方法について説明します。
第7章「メトリック収集用のハーベスタの構成」では、WebLogic Server MBeanおよびカスタムMBeanを含むランタイムMBeanからメトリックを収集するために、WLDFハーベスタ・コンポーネントを構成および使用する方法について説明します。
第8章「監視および通知の構成」では、WLDF監視および通知の概要を示します。
第9章「監視の構成」では、指定した条件に対してサーバー・インスタンスおよびアプリケーションをモニターして、その条件に合致した場合に通知を送信するように監視を構成する方法について説明します。
第10章「通知の構成」では、監視によってトリガー可能な通知を構成する方法について説明します。
第11章「インストゥルメンテーションの構成」では、WebLogic Serverクラスおよびサーバー上で実行しているアプリケーションのクラスに診断インストゥルメンテーション・コードを追加する方法について説明します。
第12章「診断コンテキストを管理するためのDyeInjectionモニターの構成」では、DyeInjectionモニターを使用する方法、および診断モニターで仕分けフィルタを使用する方法について説明します。
第13章「データ・アクセサを使用した診断データへのアクセス」では、診断データを取得するためにWLDFデータ・アクセサ・コンポーネントを使用する方法について説明します。
第14章「WLDFアプリケーション・モジュールのデプロイ」では、診断アプリケーション・モジュールとしてアプリケーションのインストゥルメンテーションを構成および管理する方法について説明します。
第15章「監視ダッシュボードの使用方法」では、WebLogic Serverの現在の動作状態および動作状態の履歴、およびWLDFでキャプチャした診断データを一部的に使用するホストされたアプリケーションをグラフィカルに表示する方法について説明します。
第16章「WLDFのプログラムの構成と使用」では、JMX APIおよびWebLogic Scripting Tool (weblogic.WLST)を使用してWLDFの各コンポーネントを構成および使用する方法について概要を示します。
付録A「WLDF問合せ言語」では、データ・アクセサを使用して診断データを問合わせたり、監視ルールを作成したり、ログをフィルタ処理するためのルールを作成する式を作るためのWLDF問合せ言語について説明します。
付録B「WLDFインストゥルメンテーション・ライブラリ」では、WLDFインストゥルメンテーション・ライブラリであらかじめ定義されている診断モニターと診断アクションについて説明します。
付録C「式でのワイルドカードの使用方法」では、どのようにワイルドカードをWLDF式で使用するかについて説明します。
付録D「WebLogic Scripting Toolのサンプル」では、WebLogic Scripting Toolを使用してWLDFモニター・アクティビティと診断アクティビティを実行する方法の例を示します。
「用語集」はWLDFの用語集です。
『Oracle WebLogic Serverログ・ファイルの構成とログ・メッセージのフィルタ処理』では、WLDFロギング・サービスを使用してサーバー、サブシステムおよびアプリケーション・イベントをモニターする方法を説明します。
管理コンソール・オンライン・ヘルプのWebLogic診断フレームワークの構成に関する項では、WebLogic管理コンソールのビジュアル・ツールを使用してWLDFを構成する方法を説明します。
WLDFシステム・リソース記述子はweblogic-diagnostics.xsdスキーマに準拠しています。このスキーマは、http://xmlns.oracle.com/weblogic/weblogic-diagnostics/1.0/weblogic-diagnostics.xsd
で参照できます。
このドキュメントの他にも、WLDFの構成や使い方を示す様々なサンプルとチュートリアルが用意されています。
MedRecはWebLogic Serverに付属したエンドツーエンドのサンプルJ2EEアプリケーションであり、一元的で独立した医療記録管理システムをシミュレートします。MedRecアプリケーションには、患者、医師、および管理者に対して、様々なクライアントを使用して患者のデータを管理するフレームワークが用意されています。
MedRecではWebLogic ServerとJ2EEの機能が例示され、推奨されるベスト・プラクティスが重点的に示されます。MedRecはWebLogic Server配布キットに含まれており、Windowsマシンの「スタート」メニューからアクセスできます。Linuxなどのプラットフォームでは、WL_HOME\samples\domains\medrecディレクトリからMedRecを起動できます。WL_HOMEは、WebLogic Platformの最上位ディレクトリです。
https://codesamples.samplecode.oracle.com/
には、ダウンロード用の追加のWLDFサンプルがさらにあります。これらのサンプルは、既存WebLogic Serverサンプル・ディレクトリ構成に展開できる.zipファイルとして配布されています。これらのサンプルには、Oracleが認定したもののほかに、開発協力者から提示されたサンプルもあります。
2つの診断モニターが追加されました。
JDBC_After_Reserve_Connection_Internal
JDBC_After_Release_Connection_Internal
サーバー・レベルで、WLDFモジュールでこれらの診断モニターを構成できます。JDBC接続の予約時と解放時の可視性が高まります。詳細は、「診断モニター・ライブラリ」を参照してください。
このリリースで導入されたWebLogic Serverの総合的な新機能一覧は、『Oracle WebLogic Serverの新機能』を参照してください。