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以前のリリースのOracle Formsでは、Forms外部の限られた数のイベント型と対話するためにOLEおよびDDEを実装する必要がありました。その後のバージョンのFormsで、外部アプリケーション・ソースとのインタフェースを実現するためにweb.show_document
およびJavaの統合が提供されました。ただし、Formsが表示されるWebページへのコールに関しては、簡単なソリューションがありませんでした。また、HTMLフォームから取得した値を更新する場合などに、WebページからFormsをコールすることもできませんでした。
Oracle Forms 11gでは、JavaScriptの統合により、JavaScriptイベントからのFormsのコールやFormsによるJavaScriptイベントの実行が可能になっています。図6-1は、JavaScriptとOracle Formsが連携する仕組みを示しています。図の左側で、FormsアプレットがホストされているページでJavaScriptが実行されます。Oracle Formsには、ネイティブのビルトインを使用してJavaScript機能をコールできる機能が加わりました。また、JavaScript機能は、提供されている新しいAPIを使用してOracle Formsトリガーを起動できるようになりました。
web
組込みパッケージには、次の2つの新しいコールが提供されています。
web.javascript_eval_expr
web.javascript_eval_function
最初のコールweb.javascript_eval_expr
は、式とターゲットの2つの引数を使用するプロシージャです。引数のデータ型はどちらもvarchar2
です。この有効なJavaScript式は、Formsアプレットが埋め込まれているWebページで解釈されます。この式は、ターゲット・ページで定義されている関数のコール、またはターゲット・ページで実行できる有効なJavaScript式(たとえばdocument.bgColor='red'.
)です。この式は、ターゲット引数で指定されるページまたはフレームのコンテキストで、LiveConnectのJSObject.eval()メソッドを使用して実行されます。ターゲット引数がNullの場合は、Formsアプレットが埋め込まれているページまたはフレームで式が実行されます。
2番目のコールweb.javascript_eval_function
は関数であり、varchar2値を返します。web.javascript_eval_expr
とweb.javascript_eval_function
の機能は、javascript_eval_expr
がFormsクライアントからForms Servicesに戻り値を送信しない点を除いて同じです。アプリケーションが戻り値を必要としない場合は、web.javascript_eval_expr
を使用してください。FormsクライアントからForms Servicesに戻り値を渡す場合に必要となる余分なネットワーク送信を省くことができます。
IDがoutside_field_id
であるHTMLテキスト項目の値を、inside
というFormsフィールドの値に設定するには、次のPL/SQLコードを記述します。
web.javascript_eval_expr(' document.getElementById("outside_field_id").value=' ||:inside );
JavaScriptでは一重引用符と二重引用符を自由に使用できますが、PL/SQL文字列には一重引用符を使用する必要があるので注意してください。式の内部で二重引用符を使用する場合は、エスケープ・シーケンスを使用する必要はありません。Webページ内で関数を記述することもできます。
<SCRIPT> function set_field(field_id, myvalue){ document.getElementById(field_id).value=myvalue; }; </SCRIPT>
outsideフィールドの値を取得してinsideフィールドに割り当てるには、次のPL/SQLコードを記述します。
:inside:=web.javascript_eval_function(' document.getElementById("outside_field_id").value ');
FormsアプレットをホストするWebページでJavaScriptを使用して、JavaScriptからOracle Formsをコールすることもできます。DOM(Document Object Model)ツリー内の埋め込まれたFormsオブジェクトに新しい機能が提供されています。JavaScriptを使用して次の処理を行います。
document.forms_applet.raiseEvent(event_name, payload);
ここでは、ID構成変数をforms_applet
に設定していたことを前提としています。
周囲のWebページがこのJavaScriptコードを実行すると、Oracle FormsがWHEN-CUSTOM-JAVASCRIPT-EVENT
という新しいタイプのトリガーを起動します。このトリガーには、system.javascript_event_value
とsystem.javascript_event_name
の2つの有効なシステム変数があります。これらの変数に含まれているペイロードとイベント名は、raiseEvent
メソッドを通じてFormsに渡されたものです。raiseEvent
メソッドがコールされると、WHEN-CUSTOM-JAVASCRIPT-EVENT
という名前のトリガーがサーバー側で起動されます。
declare event_val varchar2(300):= :system.javascript_event_value; begin if (:system.javascript_event_name='show') then handleShowEvent(event_val); elsif(:system.javascript_event_name='grab') then handleGrabEvent(event_val); else null; end if; end;
このPL/SQLコードは、showとgrabの2つのイベントを認識します。それ以外の名前は無視されます。
この項では、Oracle FormsアプリケーションでJavaScriptを統合する例について説明します。Oracle FormsアプリケーションでJavaScriptを統合するには、次の手順を実行します。
第6.1項「Oracle Formsによる外部イベントのコールについて」と第6.2項「Oracle FormsをコールするJavaScriptイベントについて」の説明に従い、JavaScriptイベントを使用するFormsアプリケーションを構築します。WHEN-CUSTOM-JAVASCRIPT-EVENT
トリガーで:system.javascript_event_name
および:system.javascript_event_value
を使用します。このモジュールをコンパイルします。詳細は、Forms Builderのオンライン・ヘルプを参照してください。
Oracle Formsアプリケーションの起動で使用するHTMLページを生成するときにFormsサーブレットがテンプレートとして使用するhtmlファイルを作成します(test.html
など)。このファイルを、Formsの構成ディレクトリ$ORACLE_INSTANCE/config/FormsComponent/forms/server
にコピーします。
イメージ、htmlファイル、JavaScriptファイル、cssファイルなどの必要なファイルをすべて$DOMAIN_HOME/servers/WLS_FORMS/tmp/_WL_user/formsapp_11.1.1/<random_string2>/war/ディレクトリにコピーします。
JavaScriptを使用してサーブレットのURLを呼び出すhtmlファイル(js.html
など)を作成します。
Enterprise Managerを使用し、新しい構成セクションを作成するか、既存の構成セクションを変更して、enableJavascriptEvent
を有効にします。baseHTMLjpiをtest.html
に設定します。
Enterprise Managerを使用し、default.env
ファイルを編集して、Formsアプリケーションを保存したディレクトリを環境変数FORMS_PATH
に追加します。
ブラウザでURLにhttp://<localhost>:9001/forms/js.html
を指定して、アプリケーションを実行します。
Formsアプリケーションの管理者は、formsweb.cfg
のパラメータenableJavascriptEvent
をtrueまたはfalseに設定することによってJavaScript統合を有効または無効にすることができます。enableJavascriptEvent
がtrueに設定されていない場合、JavaScriptからのコールは無視されます。document.<applet_name>を介してFormsアプレットを参照するには、applet_nameパラメータをHTML開発者によって使用される値に設定する必要があります。
また、管理者はformsweb.cfg
のJavaScriptBlocksHeartBeat
(デフォルト値: false)をtrueに設定する必要があります。これにより、JavaScriptの実行中にFormのHEARTBEAT
がブロックされます。FORMS_TIMEOUTの時間内にJavaScriptが実行全体をコールする場合、JavaScriptBlocksHeartBeatをtrueに設定すると追加のネットワーク・メッセージを回避でき、パフォーマンスが向上します。
JavaScriptBlocksHeartBeatをtrueに設定した場合は、JavaScriptの実行に要する時間がFORMS_TIMEOUTの値を超えるとFormsが異常終了します。
default.env
内のFORMS_ALLOW_JAVASCRIPT_EVENTS
という名前の環境変数を使用して、JavaScript統合を有効または無効にすることもできます。デフォルトでは、この変数の値はtrueです。この変数をfalseに設定すると、formsweb.cfg
でenableJavascriptEvent
に設定されている値に関係なく、default.env
のインスタンスを使用するすべてのFormsアプリケーションでJavaScript統合が無効になります。