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OracleR Fusion Middleware Oracle Business Intelligenceアップグレード・ガイド
11g リリース1(11.1.1)
B63034-01
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B アップグレード後に予想されるOracle BI Enterprise Editionの外観と動作の変化

表B-1に、10gから11gへのアップグレード後に予想されるOracle BI EEコンテンツの変化をリストし、それぞれの変化について説明します。これらの変化は、11gでの拡張、不具合の修正およびアーキテクチャの変更に起因するものです。

表B-1 Oracle BI EEコンテンツの変化

変化 説明

追加の基準列

10gのチャートでチャートの相互作用が定義されている場合、基準列がさらに追加される場合があります。列が繰り返し表示されることがあります。チャートの相互作用は、「基準」タブに含まれている列の「列のプロパティ」ダイアログの「相互作用」タブに移行されます。他のビューへの影響を回避するために、アップグレード・プロセスによって、チャート・レベルの相互作用を含む各チャートの基準に新しい列が追加されます。

分析の追加のポップアップ・メニュー

11gでは、複数のリンクへのナビゲーションをサポートする分析にポップアップ・メニューが表示されることがあります。リンクが1つしかない場合は、「列のプロパティ」ダイアログの「相互作用」タブでこのメニューをオフに設定できます。

アップグレード後はアンサー・レポートに集計実行の集計ルールが必要

列式に集計の実行(MAVG()、MSUM()、RSUM()、RCOUNT()、RMAX()、RMIN()など)が含まれ、ビューの「除外」列セクションに小計、総計またはその他の列が含まれている場合、11gでは表示される結果データがアップグレード前と異なります。この相違は、この列に対して集計ルールが指定されていないことが原因で発生します。列に対して適切な集計ルールを必ず設定してください。10gの場合と同じ値が表示されるようにするには、「列式の編集」ダイアログで次の集計ルールを追加します。

  • MAVG()、MSUM() = 集計ルール: 平均

  • RSUM()、RCOUNT() = 集計ルール: 合計

  • RMAX() = 集計ルール: 最大

  • RMIN() -> 集計ルール: 最小

レポートを基準にした集計

レポートを基準にした集計を使用している場合、10gと11gで表示される結果が異なることがあります。11gで異なる結果が表示されるのは、次の条件に該当する場合です。

  • 列に「サーバー複合集計」の集計ルールが含まれている。

  • ピボット表の「除外」列セクションに小計、総計またはその他の列が含まれている。

  • 列で「レポートを基準にした合計(適用可能な場合)」が選択されている。

この相違は、10gでこの列の小計データがaggregate()関数などによって生成されたために発生します。11gでは、report_aggregate()関数の使用によって「レポートを基準にした合計(適用可能な場合)」の設定が正確に反映されるため、この問題は解決されます。

ピボット表でメジャー・セクションの属性列が繰り返し表示されることがある

10gでは、行エッジとメジャー・セクションに属性列がある場合、その行は空白として表示されます。11gでは、属性の正確な値が列に表示されます。そのため、値が繰り返し表示されることがあります。

すべてのビューへの計算項目の追加

計算項目は11gでは汎用的で、すべてのビューに追加されます。10gでは、計算項目はピボット表でのみ使用されます。計算項目を含む10gの分析をアップグレードすると、アップグレード後すべてのビューに計算項目が追加されます。

条件付き書式設定の拡張

11gでは、基準に追加された条件付き書式設定は、表とピボット表の両方に適用されます。10gでは、別の列に基づく条件付き書式設定はピボット表には適用されませんでした。

11gではデータの書式設定が変わることがある

11gでは、一部の分析のデータ書式設定が10gでのデータ書式設定と異なる場合があります。たとえば、10gの分析に2桁の小数部がある場合、11gへのアップグレード後、この小数部が表示されない可能性があります。

11gのシステムでは、分析レベルまたはビュー・レベルのデータ書式設定に従おうとします。しかし、データ書式設定がまったく指定されていないと、グラフ・エンジンのデフォルトの動作を使用します。それによって、10gと11gで書式設定の相違が発生する場合があります。

ピボット表のデフォルトの行数の変更

11gでは、ピボット表のデフォルトの表示行は25行です。この数は、instanceconfig.xmlのDefaultRowsDisplayed設定を使用して変更できます。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionシステム管理者』の第18章を参照してください。

フォントの太さと位置合せの問題

11gでは、デフォルトのスタイルシートとスキンの変更により、フォントの太さと位置合せが変わります。

合計が色で強調表示されない

11gでは合計のデフォルトの書式設定が異なり、この相違によって合計行の色による強調表示が失われる場合があります。

セルの灰色の枠線が維持されない

11gでは、階層列の下/右から上/左の枠線に変更があります。枠線は分析定義を使用して手動でリセットできます。

非表示の組込みデータが表示されない

10gでは、ピボット表に含まれているデータは、非表示になっていても、そのピボット表に表示されます。11gでは、列が基準レベルで非表示になっている場合、データは表示されません。

ラベル用の非表示列が表示されない

10gでラベルに使用している非表示列は、11gでは表示されません。グラフのラベルに使用している列があり、その列がグラフで非表示になっている場合、11gでは、そのラベルは表示されません。

予約されたキーワード使用時の不適切な書式設定

11gでは、CASE、WHEN、SELECT、PERCENTなどの予約されたキーワードは、二重引用符で囲む必要があります。囲まないと、正しく書式設定されない場合があります。

11gでのビューの消失

11gでは、分析にデータ・ビューがない場合、問合せは実行されません。10gでは、問合せが実行され、「結果なし」というビューが表示されます。この相違によって、11gではビューがなくなることがあります。

ナビゲーション、ドリルまたはアクション・リンクで追加フィルタが表示されることがある

11gでは、ナビゲーションやドリル操作、またはアクション・リンクのクリック時に追加のフィルタが表示されることがあります。クリックした項目の値に加えて、繰返しの設定がされた列の値も含めて、クリックした項目の左側にあるすべての値が渡されます。その結果、追加のフィルタが適用される場合があります。それに対し、10gでは、クリックした項目の値とその左側にある値のみが渡されます。

「結果なし」メッセージの表示

10gでは、列セレクタがあり、その列セレクタの最初の列で結果が何も返されなかった場合、列セレクタのビューが表示され、そこで他の列を選択できます。11gでは、「結果なし」メッセージが表示され、他の列は表示されません。「結果なし」メッセージの設定の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionユーザーズ・ガイド』の「分析プロパティ」ダイアログに関する項を参照してください。

Oracle BI Serverから、すべての月と曜日の名前が3文字の略称で返される

BIサーバーはすべての月と曜日の名前を3文字の略称で返します。完全な名前を使用するには、NQSConfig.iniファイルを変更して次の値にYESを指定します。

USE_LONG_MONTH_NAMES = NO;
USE_LONG_DAY_NAMES = NO

この変更後は、月名または曜日名とともにCASE文を使用する分析では、NQSConfig.iniファイルの設定に一致するロング・ネームまたはショート・ネームをCASE文で使用する必要があります。

時系列データでデータが異なる場合がある

10gではToDateやAgoなどの時系列関数で分析に非表示のキー列が自動的に追加されますが、11gではこの自動追加は行われません。そのため、11gではデータが異なる場合があります。

Report_countでのdistinctキーワードの非サポート

11gでは、 Report_countでdistinctキーワードはサポートされていません。そのため、分析ではcountdistinctのかわりにcount (distinct)を使用する必要があります。この要件は、メジャーのフィルタでのTopNまたはBottomNの使用の選択時にデータに影響します。

11gでは整数の除算で整数が返される

10gで倍精度小数点データを返す整数除算が、11gでは整数を返します。このような列値が返される可能性がある場合として、次のようなケースがあります。

  • 分析の結果で小数部が失われる。

  • 列のデータの順序が若干異なる。小数部なしでデータがソートされるために、一部の行の値が同じになる場合があります。

  • 整数のデフォルトの書式設定(構成されている場合)が使用されるために、列の書式設定が変わる(10gでは、doubleデータ型のデフォルトの書式設定が使用されます)。

整数の除算で倍精度小数点型の結果が返るようにするには、除算の実行前に分子を倍精度小数点データ型にキャストします。例:

“int x” / “int y” = “int z”
Cast( “int x” as float) / “int y” = “float z”
Cast( “int x” as double) / “int y” = “double z”

これが10gで見られた動作と異なる場合、原因は、既知の問題により、このリリースでの特定の物理データ・ソースの使用時に整数の除算で倍精度小数点型の結果が不適切に生成されていたことにあります。

integerデータ型からdoubleデータ型への変化

10gではintegerデータ型で、11gではdoubleデータ型になった列のデフォルトのデータ書式をオーバーライドできます。この回避策を行わないと、その列のデータは小数点の右側に2桁の小数部を持つ10進数として表示されます。

列でこのような変化が見られる可能性がある場合として、次のようなケースがあります。

  • 分析結果で、10gでは整数が表示されていたところに小数部を持つ値が表示される。

  • 11gでdouble型のデフォルトの書式設定(構成されている場合)が使用されるために、この列の書式設定が変わる。

次のオプションを使用することによって、10g使用時と同じ結果を維持できます。

  • Cast関数を使用してメタデータ・リポジトリの該当するデータ型に値をキャストします。

  • 整数のみを表示するように列の書式設定を変更し、その指定をデフォルト書式として保存します。

特定の列から返されるデータが異なる場合がある

一部の状況では、11gで特定の列から返されるデータ型が、10gの場合と異なることがあります。10gでは、SQL ServerやIBM DB2などの一部のデータ・ソースは、AVGなどの除算式でinteger型を返しますが、他のデータ・ソースはdouble型を返します。11gでは、一貫性を維持するためと、値の正当性と精度を高めるために、データ・ソースにかかわらず、すべての除算式の結果がdouble型に昇格されています。

この相違は分析結果に影響する可能性があります。なぜなら、旧リリースの一部の分析では小数部の書式が適切に設定されていない場合があるためです。その場合は、旧リリースではinteger型で、現在ではdouble型に変わった列のデフォルトの書式設定をオーバーライドします。このステップを行わないと、影響を受ける列のデータは、小数点の右側に2桁の小数部を持つ10進数として表示されます。

この変化がどのような場合に現れる可能性があるかと、10g使用時と同じ結果を得るためにはどうしたらいいかの詳細は、「integerデータ型からdoubleデータ型への変化」の説明を参照してください。

ピボット表で行が失われる可能性がある

10gでは、メジャー・データを何も持たない行も表示されます。11gでは、このような空白行は表示されません。そのため、行が消失する可能性があります。

行のソートが破棄される

第1ソートとその後の第2ソートが設定された2つの列があるときに、ビューで第1ソートの基準列を除外することを選択した場合、10gでは、第1ソートがその基準列の除外後も考慮されます。しかし11gでは、第1ソートは破棄され、ビューに含まれている第2ソートの基準列によってのみデータがソートされます。

ソートの順序が異なる場合がある

11gでは、一部のレポートで、10gで表示したときとソートの順序が変わる場合があります。たとえば、11gでは、ピボット表はデフォルトのソートで左から右にソートされます。しかし、10gでは、ピボット表のデフォルトのソートはありません。

11gでは、ピボット表とグラフに対するメジャー基準のソートはまったく実装されていません。グラフは、メジャー基準のソートをエミュレートするユーザー・インタフェース要素を備えていません。これは11gの制約ですが、回避策の使用によりソートの問題を解決できます。

軸ラベルの範囲の変化

10gと11gでは、自動軸範囲計算エンジンの違いから、グラフの数字軸ラベルの範囲が異なります。

棒グラフ・サービス・ダッシュボードのデータの相違

11gでは、データの書式が拡張され、doubleデータ型とintegerデータ型の違いが示されるようになりました。この問題は、10gではintegerデータ型で11gではdoubleデータ型になった列のデフォルトの書式をオーバーライドすることによって、手動で解決できます。

11gでの軸値の相違

10gでは、列に対する基準レベルの書式や他のグローバルなデータ書式が守られないことがあります。データ・ラベルおよび数値軸ラベルがこのような書式設定に従わないことがあります。この問題は、11gで解決されました。

グラフでのドリルダウンで異なる結果が表示されることがある

アップグレード中、10gの既存の相互作用はメジャーに配置され、軸と凡例では相互作用は利用不能になります。アクションを起動するには、軸ラベルまたは凡例ではなくメジャーをクリックする必要があります。軸または凡例に配置された列にアクション・リンクを直接追加するには、基準内でその列にアクション・リンクを追加します。。それにより、追加したアクション・リンクが軸ラベルまたは凡例で表示されるようになります。

グラフ・エンジンが応答しない

11gでは、JavaHostからプレゼンテーション・サービスに送られるグラフ・データのデフォルト値は4MBです。グラフのサイズが大きい場合、グラフ・エンジンが応答していないことを通知するメッセージが表示されることがあります。この問題を回避するには、instanceconfig.xmlファイルでグラフのデータ・サイズを大きくします。次の例は、グラフのデータ・サイズを6MBに増やす方法を示しています。構成ファイルの編集の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionシステム管理者ガイド』を参照してください。

<Views>
   <Charts>
 <JavaHostReadLimitInKB>6144</JavaHostReadLimitInKB>
   </Charts>
</Views>  

グラフのラベルがなくなることがある

11gで使用されているラベルの自動レイアウト・アルゴリズムの影響で、一部の軸ラベル(数値軸とカテゴリ軸の両方)がスキップされることがあります。

Y軸のグラフのラベルを回転できない

Y軸のグラフのラベルについては、0から90度または-90度の回転のみ可能です。45度の回転は実行できません。

面グラフのグリッド線の動作

11gの面グラフでは、面マーカーの上にグリッド線が描画されます。つまり、描画された面の上にグリッド線が表示されます。10gでは、グリッド線は面マーカーの上には描画されません。

折れ線グラフが積み上げられる

10gの積上げ折れ線グラフでは、同じ軸に複数のメジャーが折れ線として表示され、積上げは行われませんが、11gでは積上げが行われます。

折れ線としてレンダリングされていた一部のメジャーが棒としてレンダリングされる

10gの線-棒グラフでは、一部のメジャーがランダムに選択され、棒ではなく折れ線として表示されます。11gでは、メジャーの描画は分析のグラフ定義に依存し、その描画方法が考慮されます。棒として表示するように定義されているメジャーは、棒として表示されます。

グラフでの不明列の消失

10gでは、現在レイアウトに存在する列でグラフ定義が未完了になっているものは、それぞれ不明列としてグラフに追加されます。11gではこの動作が修正されたため、グラフから列が消失することがあります。追加の列がレイアウトに含まれることはなくなり、かわりにメッセージ・ボックスが表示されます。10gから11gへのアップグレード時、このような不明列は、無効、つまり分析の問合せまたは基準のXMLファイルに存在しないとみなされ、分析から削除されます。

10gで単一円グラフだったものが11gで複数円グラフになる

Oracle BI EE 10gでは複数円グラフはサポートしていませんが、11gではすべての列に対して円グラフをサポートしています。この拡張の影響で、アップグレード後に複数の円グラフが表示されるようになる場合があります。

グラフでのナビゲーションの変更

11gでは、グラフのナビゲーションが変わりました。10gで軸ラベルまたは凡例にナビゲーションを設定していた場合、そのナビゲーションは基準レベルに移動するため、利用できなくなります。

円グラフの負の値がレンダリングされない

10gの円グラフでは、負の値も含めて絶対値が表示されます。負の値は正の値として解釈され、それに対応する区分が表示されます。11gでは、負の値に対応する区分は表示されません。すべての値が負の場合、グラフ自体が表示されません。11gでは、凡例は負の値に対しても表示されます。

円グラフにミニ円グラフ付きの凡例が表示される

凡例でグラフを使用することを選択した場合に、グラフのサイズが縮小されあまりに小さくなると、10gではグラフ全体が表示されません。それに対し11gのエンジンは最小スペースでグラフを表示しようとします。レイアウト・アルゴリズムによって、使用できる最大領域のグラフへの割当てが試みられます。凡例に含まれる項目数が多すぎる場合は、グラフに割り当てられた領域を侵さないようにスクロール・バーが追加されます。

右側のスケールがグラフから消失することがある

11gのグラフ・エンジンは、線-棒グラフのY2軸を折れ線にマップします。そのため、軸が同期化されていなくても、折れ線のデータがないため、Y2軸は表示されません。

ナビゲーションの重複の可能性

11gではアクション・リンクは汎用的で、メジャーに対する基準アクション・リンクにアップグレードされます。そのため、ナビゲーションが重複する可能性があります。また、ビューが存在しない分析を指すことがあります。その場合、「パスが見つかりません」というエラーが表示されます。

たとえば、10gのレポートに2つの非表示のグラフが含まれており、それぞれのグラフにアクション・リンクが設定されているとします。このレポートをアップグレードすると、グラフのすべてのアクション・リンクがメジャーに対する基準アクション・リンクにアップグレードされ、それにより他のビューに追加のアクション・リンクが生成されます。この例の場合、元のグラフのアクション・リンクは存在しない分析を指します。この状況を回避するには、このようなアクション・リンクを手動で削除します。

11gでの凡例とグラフの不一致の可能性

10gの積上げ棒グラフを11gにアップグレードすると、系列の順序または位置が変わる場合があります。しかし、凡例ビューは何の変更もなくアップグレードされます。その結果、凡例ビューに表示される凡例と、グラフに表示される色の不一致が発生する可能性があります。この問題を解決するには、グラフの色を変更するか、またはグラフの色に合うように凡例を更新します。

また、「色変更方法」で列を追加すると、棒グラフの積上げ順序が変わります。その他のケースでは、順序と色は維持されます。「色変更方法」で列に対して条件付き書式設定を指定すると、凡例が正しくないものになったり、一致しなくなります。