Oracle Fusion Middlewareは、アプリケーション開発ツールや統合ソリューションから、ID管理、コラボレーションおよびビジネス・インテリジェンス・レポートに至るまでの幅広い製品群を含む包括的なファミリです。
この章では、Oracle Fusion Middlewareの概要について説明します。この章の内容は次のとおりです。
この本は、Oracle Fusion Middlewareにおいて日常的な管理作業を行う方法について説明する管理用クイック・スタート・ガイドです。この本の目的は、Oracle Fusion Middlewareの概念の理解を助けることです。また、アプリケーション・サーバーの稼働を維持するために必要な一般的管理作業を行う方法について説明します。これには、基本的なトラブルシューティングやパフォーマンス監視を行う方法も含まれます。
この本で最も頻繁に使用する管理インタフェースは、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlです。
この本では作業を中心に説明します。この本の目的は、管理作業の実行が必要になる理由とタイミングについて説明することです。Oracle Fusion Middlewareやアプリケーション・サーバーに関する予備知識が読者にない場合を想定して、作業の理解と実施に必要な概念について必要に応じて説明します。
この本は、すべてのOracle Fusion Middlewareコンセプトや管理タスクについて、完全に説明しているものではありません。このような詳細情報は、Oracle Fusion Middlewareコンセプトおよび『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』を参照してください。
Oracle Fusion Middlewareは、Java EEや開発ツールから、統合ソリューション、ID管理、コラボレーションおよびビジネス・インテリジェンス・レポートに至るまでの幅広い製品群を含む包括的なファミリです。Oracle Fusion Middlewareは、開発、デプロイおよび管理において完全なサポートを提供します。
Oracle Fusion Middlewareには、次のようなコンポーネントが用意されています。
Oracle WebLogic Serverは、エンタープライズ対応のJavaアプリケーション・サーバーです。堅牢、セキュア、高可用でスケーラブルな環境におけるミッション・クリティカルなアプリケーションのデプロイメントをサポートします。Oracle WebLogic Serverは、サービス指向アーキテクチャ(SOA)に基づいたアプリケーションを構築する上で理想的な基盤です。
関連項目: 『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverの紹介』 |
Oracle SOA Suiteは、コンポジット・アプリケーションの設計、デプロイおよび管理を目的とする、サービス指向アーキテクチャのサービス・インフラストラクチャ・コンポーネントの完全なセットです。Oracle SOA Suiteは、サービスの作成と管理、およびコンポジット・アプリケーションやビジネス・プロセスへのオーケストレーションを可能にします。コンポジットにより、複数のテクノロジ・コンポーネントを1つのSOAコンポジット・アプリケーションに容易にアセンブルできます。
関連項目: 『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA SuiteおよびOracle Business Process Management Suite管理者ガイド』 |
Oracle WebCenterは、ソーシャル・アプリケーション、エンタープライズ・ポータル、コラボレーティブなコミュニティおよびコンポジット・アプリケーションを作成できるコンポーネントの統合セットで、標準ベースのサービス指向アーキテクチャ上に構築されます。Oracle WebCenterでは、豊かなインターネット・アプリケーションの開発に利用される動的なユーザー・インタフェース・テクノロジ、マルチチャネル・ポータルの統合フレームワークの柔軟性と能力、水平連携型Enterprise 2.0機能のセットが組み合されています。この機能は、コンテンツ、コラボレーション、プレゼンスおよびソーシャル・ネットワーキング機能のサービスとして提供されます。これらのコンポーネントに基づいて、Oracle WebCenterでは、すぐに利用できエンタープライズ対応のカスタマイズ可能なアプリケーションとしてWebCenter Spacesも用意されています。WebCenter Spacesには構成可能な作業環境があり、これにより個人やグループで協力してより効率的に作業できます。
関連項目: 『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenter管理者ガイド』 |
Oracle HTTP Serverは、Java EEアプリケーション用Webリスナー、またWeb上の静的および動的なページやアプリケーションをホスティングするフレームワークを提供します。Apache HTTPサーバーの実績あるテクノロジに基づき、Oracle HTTPサーバーには、ロード・バランシング、管理および構成を容易にする重要な拡張が含まれます。
関連項目: 『Oracle Fusion Middleware Oracle HTTP Server管理者ガイド』 |
Oracle Web Cacheは、コンテンツ対応のサーバー・アクセラレータ(リバース・プロキシ)で、Oracle Fusion Middleware上で稼働するWebサイトのパフォーマンス、スケーラビリティおよび可用性を向上させます。
関連項目: 『Oracle Fusion Middleware Oracle Web Cache管理者ガイド』 |
Oracle Identity Managementは、すべてのOracleアプリケーションに共有インフラストラクチャを提供します。また、サード・パーティによるエンタープライズ・アプリケーション開発を容易にするサービスやインタフェースも提供します。これらのインタフェースは、アプリケーションにID管理を組み込む必要のあるアプリケーション開発者にとって有用です。
関連項目: Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Management統合の概要 |
Oracle Internet Directoryは、分散したユーザーやネットワーク・リソースに関する情報を迅速に検索したり一元的に管理することが可能な多目的ディレクトリ・サービスです。これは、Lightweight Directory Access Protocol(LDAP)バージョン3と、Oracle Databaseの高いパフォーマンス、スケーラビリティ、堅牢性および可用性を組み合せたものです。
関連項目: 『Oracle Fusion Middleware Oracle Internet Directory管理者ガイド』 |
Oracle Virtual Directoryは、1つ以上のエンタープライズ・データソースを単一のディレクトリに仮想化して抽象的に表示するLDAPバージョン3対応のサービスです。Oracle Virtual Directoryでは、インフラストラクチャまたはアプリケーションを変更することなく、またはその必要性を最小限に抑えながら、LDAP対応のアプリケーションを様々なディレクトリ環境に統合できます。これは、Webアプリケーションやポータルなど、クライアントの様々なセットをサポートして、ディレクトリ、データベース、Webサービスに接続できます。
関連項目: 『Oracle Fusion Middleware Oracle Virtual Directory管理者ガイド』 |
Oracle Identity Federationは、複数のセキュリティ・ドメイン間でIDと関連権限を伝播できるようにするためのインフラストラクチャを提供する自己完結型フェデレーション・ソリューションです。ドメインには組織内に存在するドメインと組織間に存在するドメインがあります。
関連項目: 『Oracle Fusion Middleware Oracle Identity Federation管理者ガイド』 |
Oracle Web Services Managerは、アクセス制御(認証と認可)、信頼できるメッセージング、メッセージ送信の最適化メカニズム(MTOM)、WSアドレス、Webサービス管理など、Webサービスの各操作を制御するポリシーを集中的に定義および管理する方法を提供します。ポリシーは、複数のWebサービスに添付できるため、既存のWebサービスへの変更が不要になります。
関連項目: 『Oracle Fusion Middleware Webサービスのためのセキュリティおよび管理者ガイド』 |
Oracle Platform Security Services(OPSS)は、Java Standard Edition(Java SE)アプリケーションとJava Enterprise Edition(Java EE)アプリケーション用に標準ベースで移植可能なエンタープライズレベルの統合セキュリティ・フレームワークを、企業の製品開発チーム、システム・インテグレータおよび独立系ソフトウェア・ベンダー(ISV)に提供します。
開発者がセキュリティやID管理の実装の詳細を意識しないように切り離す標準ベース型アプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)形式の抽象レイヤーをOPSSは実現します。OPSSを利用すると、開発者は、ユーザー・リポジトリおよび他のID管理インフラストラクチャとともに、暗号化キーの管理やインタフェースの詳細を把握する必要はありません。OPSSを使用すると、社内開発アプリケーション、サード・パーティ製アプリケーションおよび統合アプリケーションでは、企業全体において均一なセキュリティ、ID管理および監査サービスのメリットを享受します。
関連項目: 『Oracle Fusion Middlewareアプリケーション・セキュリティ・ガイド』 |
Oracle Portalは、E-Businessポータルの構築とデプロイを目的としたWebベースのツールです。これにより、エンタープライズ・ソフトウェア・サービスや情報リソースへのアクセス、および対話を目的としたセキュアで管理可能な環境が実現します。ポータル・ページは、複数ソースからのデータを単一ロケーションからアクセス可能にします。
関連項目: 『Oracle Fusion Middleware Oracle Portal管理者ガイド』 |
Oracle Business Intelligenceは、ビジネス・インテリジェンス要件に対応する完全な統合ソリューションです。Oracle Business Intelligenceには、Oracle BI Enterprise Edition、Oracle Business Intelligence Discoverer、Oracle Business Intelligence PublisherおよびOracle Real-Time Decisionsが含まれます。
関連項目: Oracle Fusion Middleware Oracle Business Intelligence Enterprise Editionシステム管理者ガイド |
Oracle Enterprise Content Management Suiteは、コンテンツ管理のために設計された統合製品スイートです。このエンタープライズ・コンテンツ管理プラットフォームにより、業界最高レベルのドキュメント管理、Webコンテンツ管理、デジタル・アセット管理およびレコード管理機能を活用して、ビジネス・アプリケーションを構築できます。コンテンツとアプリケーションのための戦略的なエンタープライズ・コンテンツ管理インフラストラクチャを構築することは、コストの削減、エンタープライズ全体での容易なコンテンツ共有、リスクの最小化、コストも時間もかかる手動プロセスの自動化、および単一のプラットフォームへの複数のWebサイトの統合に役立ちます。
注意: Oracle Fusion MiddlewareをIBM WebSphereとともに使用できます。詳細は、Oracle Fusion Middlewareサード・パーティ・アプリケーション・サーバー・ガイドを参照してください。 |
Oracle Fusion Middlewareには、次の2種類のコンポーネントが用意されています。
Javaコンポーネントは、1つ以上のJava EEアプリケーションおよびリソース・セットとしてデプロイされるOracle Fusion Middlewareコンポーネントです。Javaコンポーネントは、ドメイン・テンプレートの一部としてOracle WebLogic Serverドメインにデプロイされます。Javaコンポーネントの例として、Oracle SOA SuiteおよびOracle WebCenterコンポーネントなどがあります。
システム・コンポーネントは、Javaアプリケーションとしてデプロイされない管理可能なプロセスです。システム・コンポーネントは、Oracle Process Manager and Notification(OPMN)で管理されます。システム・コンポーネントには、次が含まれます。
Oracle HTTP Server
Oracle Web Cache
Oracle Internet Directory
Oracle Virtual Directory
Oracle Forms Services
Oracle Reports
Oracle Business Intelligence Discoverer
Oracle Business Intelligence
Javaコンポーネントおよびシステム・コンポーネントは仲間です。
Oracle Fusion Middlewareをインストールして構成すると、Oracle Fusion Middleware環境には次のようなものが含まれます。
1つのOracle WebLogic Serverドメイン。1つの管理サーバーと1つ以上の管理対象サーバーが含まれます。管理サーバーには、Oracle WebLogic Server管理コンソールおよびOracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlが含まれます。管理対象サーバーには、Oracle WebCenterおよびOracle SOA Suiteなどのコンポーネントが含まれます。ドメインの詳細は、第1.3.1項を参照してください。
環境にシステム・コンポーネントがある場合は、1つ以上のOracleインスタンス。Oracleインスタンスの詳細は、第1.3.2項を参照してください。
メタデータ・リポジトリ。インストールしたコンポーネントで必要とされる場合。たとえば、Oracle SOA Suiteにはメタデータ・リポジトリが必要です。メタデータ・リポジトリの詳細は、第1.3.6項を参照してください。
図1-1に、Oracle Fusion Middleware環境を示します。この環境にあるOracle WebLogic Serverドメインには、1つの管理サーバー、2つの管理対象サーバーおよびOracleインスタンスが含まれます。この環境には、メタデータ・リポジトリも含まれています。
環境にはMiddlewareホームも含まれます。このホームは、Oracle WebLogic Serverホーム、およびオプションとしてOracle Commonホームと1つ以上のOracleホームで構成されます。Middlewareホームの詳細は、第1.3.3項を参照してください。
Oracle WebLogic Server管理ドメインは、論理的に関連付けられたJavaコンポーネントのグループです。ドメインには、管理サーバーと呼ばれる特別なWebLogic Serverインスタンスが含まれます。これは、ドメインのすべてのリソースを構成して管理する中核部分です。通常、管理対象サーバーと呼ばれるWebLogic Serverの追加インスタンスを含めて、ドメインを構成します。Webアプリケーション、EJB、Webサービスやその他のリソースなどのJavaコンポーネントを管理対象サーバーにデプロイし、構成および管理の目的にのみ管理サーバーを使用します。
WebLogic Serverドメイン内の管理対象サーバーは、クラスタへのグループ化が可能です。
ドメインのディレクトリ構造は、WebLogic Serverホームのディレクトリ構造とは別個です。任意の場所に配置でき、Middlewareホーム・ディレクトリ内に配置する必要はありません。ドメインの最上位ディレクトリは、ドメイン・ホームと呼ばれます。
Oracle WebLogic ServerドメインはOracleインスタンスの仲間です。両方とも、それらのOracleホームの外部にある特別な構成が含まれます。
図1-2に1つの管理サーバー、3つのスタンドアロン管理対象サーバー、およびクラスタ内に3つの管理対象サーバーが配置されているOracle WebLogic Serverドメインを示します。
関連項目: ドメイン構成の詳細は、Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverドメイン構成の理解を参照してください。 |
次の項では、ドメインのエンティティについて説明します。
管理サーバーは、WebLogic Serverドメイン全体の構成に対して中央制御エンティティとして機能します。ドメインのコンフィギュレーション・ドキュメントを保持し、コンフィギュレーション・ドキュメント内の変更を管理対象サーバーに配布します。管理サーバーは、ドメイン内のすべてのリソースを管理および監視する中央の場所として機能します。
各Oracle WebLogic Serverドメインには、管理サーバーとして機能する1つのサーバー・インスタンスが必要です。
管理サーバーと対話するには、Oracle WebLogic Server管理コンソールやOracle WebLogic Scripting Tool(WLST)を使用するか、独自のJMXクライアントを作成します。さらに、一部のタスクには、Fusion Middleware Controlを使用できます。
Fusion Middleware ControlおよびWebLogic管理コンソールは、管理サーバーで動作します。Fusion Middleware Controlは、Oracle HTTP Server、Oracle SOA Suite、Oracle WebCenter、Oracle Portal、Oracle Identity Managementなどのコンポーネントを含むOracle Fusion Middlewareの管理に使用するWebベース型管理コンソールです。Oracle WebLogic Server管理コンソールは、管理サーバーや管理対象サーバーなど、Oracle WebLogic Serverドメインのリソース管理に使用するWebベース型管理コンソールです。
管理対象サーバーは、ビジネス・アプリケーション、アプリケーション・コンポーネント、Webサービスおよびそれらに関連付けられたリソースをホストします。パフォーマンスを最適化するために、管理対象サーバーは、ドメインのコンフィギュレーション・ドキュメントの読取り専用コピーを保持しています。管理対象サーバーは、起動時にドメインの管理サーバーに接続し、そのコンフィギュレーション・ドキュメントを管理サーバーが保持するドキュメントに同期します。
ドメインの作成は、特定のドメイン・テンプレートを使用して行います。そのテンプレートは、特定のコンポーネントや、Oracle SOA Suiteなどのコンポーネント・グループをサポートしています。ドメイン内の管理対象サーバーは、これらの特定のOracle Fusion Middlewareコンポーネントをホストするために作成されます。
Oracle Fusion MiddlewareのJavaコンポーネント(Oracle SOA Suite、Oracle WebCenter、一部のIdentity Managementコンポーネントなど)、および顧客が開発したアプリケーションがドメイン内の管理対象サーバーにデプロイされます。
別のコンポーネントをサポートするテンプレートを使用して作成されたドメインに、Oracle WebCenterなどの他のコンポーネントを追加する場合、追加するコンポーネントのドメイン・テンプレートを使用してドメイン内に追加の管理対象サーバーを作成することで、そのドメインを拡張できます。詳細は、第9.2項を参照してください。
アプリケーション・パフォーマンスとスループットの向上、または高可用性が求められる本番環境では、2つ以上の管理対象サーバーを構成し、クラスタとして動作させることができます。クラスタとは、スケーラビリティや信頼性を向上させるために同時に稼働および連携する、複数のWebLogic Serverインスタンスの集合です。クラスタ内では、ほとんどのリソースおよびサービスは(単一の管理対象サーバーとは対照的に)、各管理対象サーバーに同様にデプロイされ、フェイルオーバーやロード・バランシングが可能になります。1つのドメインには、複数のWebLogic Serverクラスタや、クラスタとして構成されていない複数の管理対象サーバーを配置できます。管理対象サーバーのクラスタ化と非クラスタ化の重要な違いは、フェイルオーバーおよびロード・バランシングのサポートにあります。これらの機能は、管理対象サーバーのクラスタ内でのみ使用可能です。
関連項目: 『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverクラスタの使い方』 |
ノード・マネージャは、Oracle WebLogic Serverと別個のプロセスとして実行されるJavaユーティリティです。これにより、管理サーバーとの位置関係にかかわらず、管理対象サーバーの一般的な操作を実行できます。ノード・マネージャの使用はオプションですが、Oracle WebLogic Server環境で高可用性が必要なアプリケーションをホストする場合、メリットがあります。
管理対象サーバーをホストするコンピュータでノード・マネージャを実行する場合、管理コンソールまたはコマンドラインを使用して、管理対象サーバーをリモートで起動または停止できます。ノード・マネージャを使用して、予期しない障害が発生した後に、管理対象サーバーを自動的に再起動することもできます。
関連項目: 『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverノード・マネージャ管理者ガイド』 |
Oracleインスタンスには、Oracle Web Cache、Oracle HTTP Server、Oracle Internet Directoryなど、1つまたは複数のシステム・コンポーネントが含まれます。Oracleインスタンスのシステム・コンポーネントは、同じコンピュータ内に存在する必要があります。Oracleインスタンスのディレクトリには、構成ファイル、ログ・ファイル、一時ファイルなど、更新可能なファイルが配置されます。
OracleインスタンスはOracle WebLogic Serverドメインの仲間です。両方とも、それらのOracleホームの外部にある特別な構成が含まれます。ただし、複数のホストにまたがることができるドメインと違って、Oracleインスタンスは、単一のホスト上に配置する必要があります。
Oracleインスタンスのディレクトリ構造は、Oracleホームのディレクトリ構造とは異なります。どこにでも配置できます。Middlewareホームのディレクトリ内に配置する必要はありません。
Middlewareホームは、Oracle WebLogic Serverホーム、およびオプションとしてOracle Commonホームと1つ以上のOracleホームで構成されます。
Middlewareホームは、ローカル・ファイル・システム上、またはNFS経由でアクセス可能なリモート共有ディスク上に配置できます。
WebLogic Serverホームの詳細は、第1.3.4項を参照してください。Oracleホームの詳細は、第1.3.5項を参照してください。
WebLogic Serverホームには、WebLogic Serverをホストするために必要なファイルがインストールされています。WebLogic ServerホームのディレクトリはOracleホーム・ディレクトリの仲間で、Middlewareホームのディレクトリ構造内に配置されます。
Oracleホームには、特定のコンポーネントまたはソフトウェア・スイートをホストするために必要なファイルがインストールされています。たとえば、SOA Oracleホームには、Oracle SOA Suiteのバイナリとライブラリ・ファイルを含むディレクトリが配置されます。
Oracleホームは、Middlewareホームのディレクトリ構造内にあります。各Oracleホームは、複数のOracleインスタンスまたはOracle WebLogic Serverドメインに関連付けることができます。各Middlewareホーム内に、複数のOracleホームを配置することができます。
Oracle Commonホームには、Fusion Middleware ControlおよびJava Required Files(JRF)で必要なバイナリ・ファイルおよびライブラリ・ファイルがあります。各Middlewareホーム内に配置できるOracle Commonホームは1つだけです。
Oracleメタデータ・リポジトリには、Oracle BPEL Process Manager、Oracle B2BおよびOracle PortalなどのOracle Fusion Middlewareコンポーネントのメタデータが格納されます。また、Oracle Fusion Middlewareの構成に関するメタデータおよびアプリケーションのメタデータも格納できます。
メタデータ・リポジトリは、データベース・ベースにも、ファイルベースにもできます。データベース・ベースの場合、リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用して既存のデータベースにメタデータ・リポジトリを作成できます。
Oracle Fusion Middlewareは、複数のリポジトリ・タイプをサポートしています。リポジトリ・タイプは、特定のスキーマまたは特定のOracle Fusion Middlewareコンポーネント(たとえば、Oracle SOA SuiteまたはOracle Internet Directory)に属するスキーマ・セットを表します。
Oracle Metadata Services(MDS)リポジトリという特定のリポジトリ・タイプには、Oracle B2BなどのほとんどのOracle Fusion Middlewareコンポーネントや特定のアプリケーション・タイプ用のメタデータが含まれます。
関連項目:
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Oracle Fusion Middlewareの管理者は、次の作業の実行が必要になる場合があります。
Oracle Fusion Middlewareソフトウェアのインストール
ソフトウェアの初期構成の実行
メタデータ・リポジトリの構成
アプリケーションのデプロイ
管理アカウントの管理
環境の監視
Oracle Fusion Middleware環境のバックアップとリカバリ
Oracle Fusion Middlewareの管理には、次のようなツールおよびユーティリティを使用できます。
Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control
Fusion Middleware Controlは、Webベースのインタフェースであり、Oracle Fusion Middleware環境を管理するための主要なツールの1つです。このツールによって、コンポーネントのステータスの確認、コンポーネントの起動と停止およびJava EEアプリケーションのデプロイができます。さらに、クラスタの作成やログ・ファイルの管理などのそれ以外の管理作業もできます。第2.2項を参照してください。
Oracle WebLogic Server管理コンソール
Oracle WebLogic Server管理コンソールは、Webブラウザ・ベースのグラフィカル・ユーザー・インタフェースであり、Oracle WebLogic Serverドメインの管理に使用します。第2.3項を参照してください。
WebLogic Scripting Tool (WLST)
WebLogic Scripting Tool(WLST)は、Oracle WebLogic Serverドメインの作成、管理および監視に使用するコマンドライン・スクリプト環境です。第2.4.1項を参照してください。
Oracle Process Manager and Notification Server (OPMN)
Oracle Process Manager and Notification Server(OPMN)により、システム・コンポーネントと呼ばれる特定タイプのOracle Fusion Middlewareコンポーネントを管理および監視します。第2.4.2項を参照してください。
Oracle Fusion Middlewareメタデータ・リポジトリ作成ユーティリティ
リポジトリ作成ユーティリティ(RCU)では、既存データベースにメタデータ・リポジトリを作成します。このユーティリティを使用して、全体の構成情報を格納するリポジトリと、特定のコンポーネント用の構成情報を格納するリポジトリを作成できます。Oracle Fusion Middlewareコンポーネントのすべてがデータベース・ベースのメタデータ・リポジトリを必要としているわけではありませんが、Oracle SOA Suiteなどの一部で必要になります。RCUの詳細は、第3.2.1項を参照してください。
MBeanは、JMX管理可能リソースを表すJavaオブジェクトです。アプリケーション・サーバー内にある各管理可能リソース(アプリケーションやリソース・アダプタなど)は、適切なMBeanのインスタンスによって管理されます。各MBeanは、Fusion Middleware ControlのシステムMBeanブラウザからアクセス可能な管理インタフェースを公開します。MBean属性の設定、MBeanのメソッドをコールする処理の実行、エラーの通知や特定のイベントのサブスクライブ、および実行統計情報の表示ができます。
詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』のFusion Middleware Control MBeanブラウザの使用に関する項を参照してください。