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Oracle Fusion Middlewareコンセプト・ガイド
11g リリース1(11.1.1)
B55897-03
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1 概要

この章では、Oracle Fusion Middlewareについて説明します。次のセクションが含まれます:

1.1 ミドルウェアとは

ミドルウェアとは、ソフトウェア・コンポーネントまたはエンタープライズ・アプリケーションを接続するソフトウェアです。ミドルウェアは、分散コンピュータ・ネットワークのそれぞれの側で、オペレーティング・システムとアプリケーションの間にあるソフトウェア・レイヤーです(図1-1)。通常の場合は、複雑で分散されたビジネス・ソフトウェア・アプリケーションがサポートされます。

ミドルウェアは、ビジネス・アプリケーションを作成しやすくするインフラストラクチャであり、サービス指向アーキテクチャ(SOA)のアプリケーションに対して、同時実行性、トランザクション、スレッド、メッセージ、SCAフレームワークなど、コアとなるサービスを提供します。また、企業に対してセキュリティを提供し、高可用性機能を有効にします。

ミドルウェアは、Webサーバー、アプリケーション・サーバー、コンテンツ管理システムに加え、アプリケーションの開発および配布をサポートする類似のツールで構成されます。これは、Extensible Markup Language (XML)、Simple Object Access Protocol (SOAP)、各種Webサービス、SOA、Web 2.0インフラストラクチャおよびLightweight Directory Access Protocol (LDAP)などを基盤とする情報技術にとって特に不可欠です。

図1-1 ミドルウェアのアーキテクチャ

この図は、ミドルウェアの一般的な概要を示しています
「図1-1 ミドルウェアのアーキテクチャ」の説明

ネットワーク・ベースのアプリケーションの成長や、企業による使用が続いていることに伴い、ミドルウェア・テクノロジはますます重要になっています。現在、企業および組織は、新しいソフトウェアを開発し、以前は独立していたアプリケーションを統合して、全社規模の情報システムの構築に取り組んでいます。統合プロセスでは、変更不能なインタフェースを使って、またはそのようなインタフェースを通じてのみ使用可能なレガシー・アプリケーションへの対応が必要になる場合があります。レガシー・アプリケーションのコードの書きなおしに法外なコストがかかる場合もあります。

情報システムは、ネットワークで相互接続される様々な専門的ハードウェア・デバイスの集合で構成されるケースがますます増えています。それぞれのデバイスは、データをリアルタイムで受信したり、システムの他のデバイスとリモートで対話する機能を実行します。コンピュータ・ネットワーク、通信システム、無停電電源ユニット、分散型の製造ユニットなどが含まれる例もあります。

情報システムとの対話のパフォーマンスは広範囲に及びます。様々なデバイスを通じてインターネット・アプリケーションと対話できますが、そのようなデバイスの特性およびパフォーマンスも多岐にわたっています。高性能のパーソナル・コンピュータ、スマートフォン、PDAの間で、帯域幅、ローカルでの処理能力、画面容量およびカラー画像の表示能力は、大幅に異なります。

1.2 ミドルウェアの機能

アプリケーションは、オペレーティング・システムと通信プロトコルの上位にある中間ソフトウェアを使用して、次の機能を実行します。

ミドルウェアにより、アプリケーションの開発が容易になります。これを実現するために、ミドルウェアでは、共通プログラミング抽象化が用意され、異種のアプリケーションの存在や基礎となるハードウェアおよびオペレーティング・システムの分散がマスキングされ、下位レベルのプログラミングの詳細がユーザーの目から隠されています。

1.3 ミドルウェアのアーキテクチャ設計

1つのアプリケーションの部分間または複数のアプリケーション間での対話を仲介することが、ミドルウェアの機能です。そのため、ミドルウェアを設計するときには、アーキテクチャ構造を検討することが最も重要になります。組織、構造全体および通信パターンを対象としたアーキテクチャ設計を、アプリケーションとミドルウェア自体の両方で行います。

構造面以外にミドルウェアを設計するときの主な問題は、分散システムの持つ様々な面に付随します。どのようなミドルウェア・システムも、ミドルウェアの様々な部分間の相互運用を可能にする通信レイヤーに依存しています。また、通信とは、ミドルウェア自体がアプリケーションに提供する機能であり、通信を行うエンティティは、クライアント/サーバーやピアツーピアなど、果たす役割が異なる場合があります。ミドルウェアでは、様々なパターンで様々なモードで対話できます(同期起動、非同期メッセージ転送、共有オブジェクトを通じた連携)。

そのため、ミドルウェア・システムの設計には、次のようないくつかの課題があります。

1.4 サービス指向アーキテクチャ

サービス指向アーキテクチャ(SOA)は、相互に作用する様々なソフトウェア・アプリケーション間に疎結合を実現することを目的としたアーキテクチャ様式の1つであり、これにより、組織はアプリケーションやシステムへの既存の投資を活用できるようになります。SOAにより、容易に統合および再利用可能なモジュール形式のビジネス・サービスを開発できるようになり、柔軟で適合性の高いインフラストラクチャが実現されます。組織がSOA手法を使用すると、革新や新しいビジネス・サービスの提供に、より多くのリソースや予算を配分できるようになります。SOAを有効に活用できるシステムでは、企業内の計画的または非計画的な停止による混乱を最小限に抑えることができます。

SOAの使用には、次のようなメリットがあります。

SOAは、どのようにして相互に作用するソフトウェア・エージェント間での疎結合を実現しているのでしょうか。そのために、アーキテクチャに次の2つの制限が設けられています。

1.5 Oracle Fusion Middlewareソリューション

Oracle Fusion Middlewareは、複雑で分散されたビジネス・ソフトウェア・アプリケーションに対してソリューションとサポートを提供します。これは、Webサーバー、アプリケーション・サーバー、コンテンツ管理システムに加え、アプリケーションの開発および配布をサポートする類似のツールで構成されます。

Oracle Fusion Middlewareとは、標準に準拠したソフトウェア製品の集合で、そのツールおよびサービスの範囲には、Java Enterprise Edition 5(Java EE)に準拠する環境および開発者向けのツールから、統合サービス、ビジネス・インテリジェンス、コラボレーションおよびコンテンツ管理が含まれます。Oracle Fusion Middlewareは、開発、デプロイメントおよび管理を完全にサポートしています。

図1-2に、Oracle Fusion Middlewareソリューションの概要を示します。

図1-2 Oracle Fusion Middlewareソリューションの概要

図1-2の説明が続きます
「図1-2 Oracle Fusion Middlewareソリューションの概要」の説明

Oracle Fusion Middlewareは、そのミドルウェア設計を通じて次のソリューションを提供します。