ヘッダーをスキップ
Oracle® Fusion Middleware Oracle Identity Managementエンタープライズ・デプロイメント・ガイド
11gリリース1(11.1.1.5)
B61378-02
  目次へ
目次
索引へ
索引

前へ
前へ
 
次へ
次へ
 

18 Oracle Identity Managerのサーバー移行の構成

この高可用性トポロジでは、管理対象サーバーWLS_OIM1WLS_SOA1WLS_OIM2およびWLS_SOA2に対してサーバーの移行を構成する必要があります。管理対象サーバーWLS_OIM1およびWLS_SOA1は、障害発生時にOIMHOST2上で再起動されるように構成されます。管理対象サーバーWLS_OIM2およびWLS_SOA2は、障害発生時にOIMHOST1上で再起動されるように構成されます。この構成では、サーバーWLS_OIM1WLS_SOA1WLS_OIM2およびWLS_SOA2は、WebLogic Serverの移行によってフェイルオーバーされる特定の浮動IPをリスニングします。管理対象サーバーに対してサーバーの移行を構成する手順を次に示します。

次の手順で、管理対象サーバーWLS_OIM1WLS_SOA1WLS_OIM2およびWLS_SOA2のサーバー移行を実行できます。これにより、サーバーやプロセスでの障害発生時に管理対象サーバーを別のノードにフェイルオーバーできます。

この章で説明する手順は次のとおりです。

18.1 サーバー移行leasing表のユーザーと表領域の設定

最初の手順では、サーバー移行leasing表のユーザーと表領域を設定します。


注意:

同一ドメイン内の他のサーバーがサーバー移行用にすでに構成されている場合には、同じ表領域とデータ・ソースを使用できます。その場合、データベースleasing用のデータソースおよびマルチ・データソースを再作成する必要はありませんが、サーバー移行で構成されているクラスタを再度ターゲットに設定する必要があります。


  1. leasingという表領域を作成します。たとえば、sysdbaユーザーとしてSQL*Plusにログオンして次のコマンドを実行します。

    SQL> create tablespace leasing logging datafile 'DB_HOME/oradata/orcl/leasing.dbf' size 32m autoextend on next 32m maxsize 2048m extent management local;
    
  2. leasingという名前のユーザーを作成し、そのユーザーにleasing表領域を割り当てます。

    SQL> create user leasing identified by welcome1;
    SQL> grant create table to leasing;
    SQL> grant create session to leasing;
    SQL> alter user leasing default tablespace leasing;
    SQL> alter user leasing quota unlimited on LEASING;
    
  3. leasing.ddlスクリプトを使用してleasing表を作成します。

    1. WL_HOME/server/db/oracle/817ディレクトリまたはWL_HOME/server/db/oracle/920ディレクトリにあるleasing.ddlファイルを、使用しているデータベース・ノードにコピーします。

    2. leasingユーザーとしてデータベースに接続します。

    3. SQL*Plusでleasing.ddlスクリプトを実行します。

      SQL> @Copy_Location/leasing.ddl;
      

18.2 Oracle WebLogic管理コンソールを使用したマルチ・データ・ソースの作成

2番目の手順では、Oracle WebLogic Server管理コンソールからleasing表用のマルチ・データ・ソースを作成します。マルチ・データ・ソースの設定プロセス中に、各Oracle RACデータベース・インスタンスのデータ・ソースを、これらのデータ・ソースとグローバル・リース・マルチ・データ・ソースの両方に対して作成します。データ・ソースを作成する前に、次の準備が必要です。

マルチ・データ・ソースの作成

マルチ・データ・ソースを作成する手順は次のとおりです。

  1. Oracle WebLogic Server管理コンソールの「ドメイン構造」ウィンドウで「サービス」ノードを開きます。「JDBCデータ・ソースのサマリー」ページが表示されます。

  2. 「データ・ソース」をクリックします。「JDBCマルチ・データ・ソースの概要」ページが表示されます。

  3. 「ロックして編集」をクリックします。

  4. 新しいマルチ・データソースをクリックします。「新しいJDBCマルチ・データ・ソースの作成」ページが表示されます。

  5. 名前として「leasing」を入力します。

  6. JNDI名として「jdbc/leasing」を入力します。

  7. アルゴリズムとして「フェイルオーバー」を選択します(デフォルト)。

  8. 次へ」をクリックします。

  9. ターゲットとしてOIM_CLUSTERおよびSOA_CLUSTERを選択します。

  10. 次へ」をクリックします。

  11. 非XAドライバ」(デフォルト)を選択します。

  12. 次へ」をクリックします。

  13. 新しいデータ・ソースの作成」をクリックします。

  14. 名前として「leasing-rac0」を入力します。JNDI名として「jdbc/leasing-rac0」を入力します。データベース・タイプとして「oracle」を入力します。ドライバ・タイプには、Oracle RACサービス・インスタンス接続用Oracleのドライバ(Thin)、バージョン:10以降を選択します。


    注意:

    leasing表用のマルチ・データソースを作成するときには、MultiDS-rac0MultiDS-rac1のような形式で名前を入力します。


  15. 次へ」をクリックします。

  16. グローバル・トランザクションのサポート」を選択解除します。

  17. 次へ」をクリックします。

  18. リース・スキーマについて、サービス名、データベース名、ホスト・ポートおよびパスワードを入力します。

  19. 次へ」をクリックします。

  20. 構成のテスト」をクリックして、接続できることを確認します。

  21. 次へ」をクリックします。

  22. OIM_CLUSTERおよびSOAクラスタを、このデータソースのターゲットに設定します。

  23. 作成したデータソース(たとえば、leasing-rac0)を選択して、右側の画面に追加します。

  24. Oracle RACデータベースの2番目のインスタンスに対して「新しいデータ・ソースの作成」をクリックし、そのデータ・ソースをOIM_CLUSTERおよびSOA_CLUSTERにターゲット設定します。Oracle RACデータベースの2番目のインスタンスに対して、この手順を繰り返します

  25. 2番目のデータ・ソースをマルチ・データ・ソースに追加します。

  26. 変更のアクティブ化」をクリックします。

18.3 ノード・マネージャのプロパティ・ファイルの編集

この手順では、ノード・マネージャのプロパティ・ファイルを編集します。これは、サーバーの移行を構成する両方のノード(OIMHOST1およびOIMHOST2)のノード・マネージャに対して実行する必要があります。

Interface=eth0
NetMask=255.255.255.0
UseMACBroadcast=true

これらのプロパティが使用されているか、または移行中に問題が発生していないかを、ノード・マネージャの出力(ノード・マネージャが起動されているシェル)で確認します。ノード・マネージャの出力は、次のように表示されます。

...
StateCheckInterval=500
Interface=eth0
NetMask=255.255.255.0
...

注意:

サーバーのプロパティ(起動プロパティ)が適切に設定されており、ノード・マネージャがサーバーをリモートで起動できる場合には、次の手順は必要ありません。


  1. nodemanager.propertiesファイルで次のプロパティを設定します。

    • StartScriptEnabled: このプロパティをtrueに設定します。これは、ノード・マネージャが管理対象サーバーを起動するために必要です。

  2. WL_HOME/server/binディレクトリにあるstartNodeManager.shスクリプトを実行し、OIMHOST1とOIMHOST2でノード・マネージャを起動します。


注意:

共有記憶域インストールからノード・マネージャを実行する場合、同じnodemanager.propertiesファイルを使用して複数のノードが起動します。ただし、各ノードでは、別のNetMaskまたはInterfaceプロパティが必要なことがあります。この場合、環境変数を使用して、ノードごとに個々のパラメータを指定します。たとえば、HOSTnで別のインタフェース(eth3)を使用するには、Interface環境変数を次のように使用します。

HOSTn> export JAVA_OPTIONS=-DInterface=eth3

この変数がシェル内で設定された後、ノード・マネージャを起動します。


18.4 wlsifconfig.shスクリプトの環境およびスーパーユーザー権限の設定

Windowsでは、この項の手順は不要です。LinuxおよびUNIXベースのシステムでは、4番目の手順でwlsifconfig.shスクリプトの環境とスーパーユーザー権限を設定します。

  1. PATH環境変数に次のファイルが含まれていることを確認します。

    表18-1 PATH環境変数に必要なファイル

    ファイル ディレクトリの場所

    wlsifconfig.sh

    ORACLE_BASE/admin/domain_name/mserver/domain_name/bin/server_migration

    wlscontrol.sh

    WL_HOME/common/bin

    nodemanager.domains

    WL_HOME/common


  2. wlsifconfig.shスクリプトに対するsudo構成権限を付与します。

    • パスワード・プロンプトを使用しないで機能するsudoを構成します。

    • セキュリティ上の理由から、sudoを、wlsifconfig.shスクリプトの実行に必要なコマンドのサブセットに限定する必要があります。たとえば、次の手順に従ってwlsifconfig.shスクリプトの環境とスーパーユーザー権限を設定します

    • WebLogicユーザーoracleに、パスワードなしのsudo権限を付与し、/sbin/ifconfigと/sbin/arpingのバイナリの実行権限を付与します。

    • WebLogicユーザーoracleがこのスクリプトを実行できることを確認します。/etc/sudoers内の次のエントリ例では、oraclesudo実行権限を、ifconfigarpingに対しても付与しています。

      oracle ALL=NOPASSWD: /sbin/ifconfig,/sbin/arping
      

    注意:

    この手順の実行に適するsudo権限とシステム権限については、システム管理者に問い合せてください。


18.5 サーバー移行ターゲットの構成

6番目の手順では、サーバー移行ターゲットを構成します。まず、すべての使用可能なノードをクラスタのメンバーに割り当て、次に、サーバー移行用に構成された各サーバーに候補となるマシン(適切な順序で)を指定します。次の手順に従って、クラスタ内の移行でクラスタの移行を構成します。

  1. Oracle WebLogic Server管理コンソール(http://Host:Admin_Port/console)にログインします。通常、Admin_Portはデフォルトで7001です。

  2. 「ドメイン構造」ウィンドウで「環境」ノードを開き、「クラスタ」を選択します。「クラスタのサマリー」ページが表示されます。

  3. 移行を構成するクラスタ(OIM_CLUSTER)を表の「名前」列でクリックします。

  4. 移行」タブをクリックします。

  5. 「ロックして編集」をクリックします。

  6. 使用可能」フィールドで、移行先として許可するマシンを選択して、右向き矢印をクリックします。この例では、「OIMHOST1」と「OIMHOST2」を選択します。

  7. 自動移行に使用するデータ・ソースを選択します。この場合は、リース・データ・ソースを選択します。

  8. 保存」をクリックします。

  9. 変更のアクティブ化」をクリックします。

  10. SOAクラスタについて手順2~9を繰り返します。

  11. サーバー移行の候補となるマシンを設定します。管理対象サーバーすべてについてこのタスクを次のように実行する必要があります。

    1. Oracle WebLogic Server管理コンソールの「ドメイン構造」ウィンドウで、「環境」を開き、「サーバー」を選択します。


      ヒント:

      「サーバーのサマリー」ページの「この表のカスタマイズ」をクリックしてから、「現在のマシン」を「使用可能」ウィンドウから「選択済み」ウィンドウへ移動して、サーバーを実行しているマシンを確認します。サーバーが自動的に移行される場合、これはこの構成とは異なります。


    2. 移行を構成するサーバーを選択します。

    3. 移行」タブをクリックします。

    4. 「移行の構成」セクションの「使用可能」フィールドで、移行先として許可するマシンを選択して、右向き矢印をクリックします。WLS_OIM1の場合は、「OIMHOST2」を選択します。WLS_OIM2の場合は、「OIMHOST1」を選択します。

    5. サーバーの自動移行を有効化」を選択します。これにより、ノード・マネージャはターゲット・ノード上で障害発生サーバーを自動的に起動できます。

    6. 保存」をクリックします。

    7. 変更のアクティブ化」をクリックします。

    8. 管理対象サーバーWLS_SOA1およびWLS_SOA2に対して前述の手順を繰り返します。

    9. WebLogic管理サーバー、ノード・マネージャ、サーバー移行用に構成されたサーバーを再起動します。

18.6 サーバー移行のテスト

最後の手順では、サーバー移行をテストします。サーバーの移行が適切に行われていることを確認するには次の手順を実行します。

OIMHOST1で次の操作を実行します。

  1. WLS_OIM1管理対象サーバーを停止します。これには、次のコマンドを実行します。

    OIMHOST1> kill -9 pid
    

    pidには、管理対象サーバーのプロセスIDを指定します。次のコマンドを実行すると、ノードのPIDを識別できます。

    OIMHOST1> ps -ef | grep WLS_OIM1
    
  2. ノード・マネージャのコンソールを確認します。WLS_OIM1の浮動IPアドレスが無効化されたことを示すメッセージが表示されます。

  3. ノード・マネージャがWLS_OIM1の2回目の再起動を試行するのを待ちます。この再起動を試行するまでに30秒間待機します。

  4. ノード・マネージャでサーバーを再起動したら、再び停止します。サーバーが再びローカルに再起動しないことを示すメッセージがノード・マネージャによってログに記録されます。

OIMHOST2で次の操作を実行します。

  1. ローカルのノード・マネージャ・コンソールを確認します。OIMHOST1でのWLS_OIM1の再起動が前回試行されてから30秒間経過した後に、WLS_OIM1の浮動IPが表示されサーバーをこのノードで再起動することを示すメッセージがOIMHOST2のノード・マネージャにより表示されます。

  2. 同じIPでsoa-infraコンソールにアクセスします。

前述の手順に従い、管理対象サーバーWLS_OIM2、WLS_SOA1およびWLS_SOA2に対してサーバーの移行をテストします。

表18-2は、管理対象サーバーと、障害が発生した場合のそれらの移行先のホストを示しています。

表18-2 サーバーWLS_OIM1、WLS_OIM2、WLS_SOA1、WLS_SOA2の移行

管理対象サーバー 移行元 移行先

WLS_OIM1

OIMHOST1

OIMHOST2

WLS_OIM2

OIMHOST2

OIMHOST1

WLS_SOA1

OIMHOST1

OIMHOST2

WLS_SOA2

OIMHOST2

OIMHOST1


管理コンソールでの確認

移行は管理コンソールで確認することもできます。

  1. 管理コンソールにログインします。

  2. 左のコンソールで「ドメイン」をクリックします。

  3. 監視」タブをクリックし、「移行」サブタブをクリックします。

    「移行の状態」の表に、移行の状態に関する情報が表示されます。


注意:

サーバーの移行後、そのサーバーを元のノード/マシンにフェイルオーバーするには、Oracle WebLogic管理コンソールから管理対象サーバーを停止し、再起動します。適切なノード・マネージャが、もともと割り当てられていたマシン上の管理対象サーバーを起動します。