Oracle® Fusion Middleware Oracle Identity Managementエンタープライズ・デプロイメント・ガイド 11gリリース1(11.1.1.5) B61378-02 |
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この高可用性トポロジでは、管理対象サーバーWLS_OIM1
、WLS_SOA1
、WLS_OIM2
およびWLS_SOA2
に対してサーバーの移行を構成する必要があります。管理対象サーバーWLS_OIM1
およびWLS_SOA1
は、障害発生時にOIMHOST2
上で再起動されるように構成されます。管理対象サーバーWLS_OIM2
およびWLS_SOA2
は、障害発生時にOIMHOST1
上で再起動されるように構成されます。この構成では、サーバーWLS_OIM1
、WLS_SOA1
、WLS_OIM2
およびWLS_SOA2
は、WebLogic Serverの移行によってフェイルオーバーされる特定の浮動IPをリスニングします。管理対象サーバーに対してサーバーの移行を構成する手順を次に示します。
次の手順で、管理対象サーバーWLS_OIM1
、WLS_SOA1
、WLS_OIM2
およびWLS_SOA2
のサーバー移行を実行できます。これにより、サーバーやプロセスでの障害発生時に管理対象サーバーを別のノードにフェイルオーバーできます。
この章で説明する手順は次のとおりです。
最初の手順では、サーバー移行leasing表のユーザーと表領域を設定します。
注意: 同一ドメイン内の他のサーバーがサーバー移行用にすでに構成されている場合には、同じ表領域とデータ・ソースを使用できます。その場合、データベースleasing用のデータソースおよびマルチ・データソースを再作成する必要はありませんが、サーバー移行で構成されているクラスタを再度ターゲットに設定する必要があります。 |
leasing
という表領域を作成します。たとえば、sysdbaユーザーとしてSQL*Plusにログオンして次のコマンドを実行します。
SQL> create tablespace leasing logging datafile 'DB_HOME/oradata/orcl/leasing.dbf' size 32m autoextend on next 32m maxsize 2048m extent management local;
leasing
という名前のユーザーを作成し、そのユーザーにleasing
表領域を割り当てます。
SQL> create user leasing identified by welcome1; SQL> grant create table to leasing; SQL> grant create session to leasing; SQL> alter user leasing default tablespace leasing; SQL> alter user leasing quota unlimited on LEASING;
leasing.ddl
スクリプトを使用してleasing
表を作成します。
WL_HOME
/server/db/oracle/817ディレクトリまたはWL_HOME
/server/db/oracle/920ディレクトリにあるleasing.ddl
ファイルを、使用しているデータベース・ノードにコピーします。
leasingユーザーとしてデータベースに接続します。
SQL*Plusでleasing.ddlスクリプトを実行します。
SQL> @Copy_Location/leasing.ddl;
2番目の手順では、Oracle WebLogic Server管理コンソールからleasing表用のマルチ・データ・ソースを作成します。マルチ・データ・ソースの設定プロセス中に、各Oracle RACデータベース・インスタンスのデータ・ソースを、これらのデータ・ソースとグローバル・リース・マルチ・データ・ソースの両方に対して作成します。データ・ソースを作成する前に、次の準備が必要です。
このデータ・ソースが非XAデータ・ソースであることを確認します。
マルチ・データソース名は、MultiDS
-rac0
、MultiDS
-rac1
のような形式で指定します。
Oracleのドライバ(Thin)バージョン9.0.1、9.2.0、10、11を使用します。
データソースは、グローバル・トランザクションのサポートを必要としません。したがって、データソースに対して、どのようなタイプの分散トランザクション・エミュレーション/参加アルゴリズムも使用しない(「グローバル・トランザクションのサポート」オプション、または「グローバル・トランザクションのサポート」オプションの「ロギング・ラスト・リソース」、「2フェーズ・コミットのエミュレート」または「1フェーズ・コミット」オプションを選択しない)で、データベースのサービス名を指定します。
これらのデータソースのターゲットをOIM_CLUSTER
およびSOA_CLUSTER
に設定します。
データソースの接続プールの初期容量が0(ゼロ)に設定されていることを確認します。それには、「サービス」、「JDBC」、「データ・ソース」の順に選択します。「データ・ソース」画面で、「データソース名」、「接続プール」タブの順に選択して、「初期容量」フィールドに「0」(ゼロ)を入力します。
マルチ・データ・ソースを作成する手順は次のとおりです。
Oracle WebLogic Server管理コンソールの「ドメイン構造」ウィンドウで「サービス」ノードを開きます。「JDBCデータ・ソースのサマリー」ページが表示されます。
「データ・ソース」をクリックします。「JDBCマルチ・データ・ソースの概要」ページが表示されます。
「ロックして編集」をクリックします。
新しいマルチ・データソースをクリックします。「新しいJDBCマルチ・データ・ソースの作成」ページが表示されます。
名前として「leasing
」を入力します。
JNDI名として「jdbc/leasing
」を入力します。
アルゴリズムとして「フェイルオーバー」を選択します(デフォルト)。
「次へ」をクリックします。
ターゲットとしてOIM_CLUSTERおよびSOA_CLUSTERを選択します。
「次へ」をクリックします。
「非XAドライバ」(デフォルト)を選択します。
「次へ」をクリックします。
「新しいデータ・ソースの作成」をクリックします。
名前として「leasing-rac0
」を入力します。JNDI名として「jdbc/leasing-rac0
」を入力します。データベース・タイプとして「oracle
」を入力します。ドライバ・タイプには、Oracle RACサービス・インスタンス接続用Oracleのドライバ(Thin)、バージョン:10以降を選択します。
注意: leasing表用のマルチ・データソースを作成するときには、 |
「次へ」をクリックします。
「グローバル・トランザクションのサポート」を選択解除します。
「次へ」をクリックします。
リース・スキーマについて、サービス名、データベース名、ホスト・ポートおよびパスワードを入力します。
「次へ」をクリックします。
「構成のテスト」をクリックして、接続できることを確認します。
「次へ」をクリックします。
OIM_CLUSTERおよびSOAクラスタを、このデータソースのターゲットに設定します。
作成したデータソース(たとえば、leasing-rac0
)を選択して、右側の画面に追加します。
Oracle RACデータベースの2番目のインスタンスに対して「新しいデータ・ソースの作成」をクリックし、そのデータ・ソースをOIM_CLUSTERおよびSOA_CLUSTERにターゲット設定します。Oracle RACデータベースの2番目のインスタンスに対して、この手順を繰り返します
2番目のデータ・ソースをマルチ・データ・ソースに追加します。
「変更のアクティブ化」をクリックします。
この手順では、ノード・マネージャのプロパティ・ファイルを編集します。これは、サーバーの移行を構成する両方のノード(OIMHOST1
およびOIMHOST2
)のノード・マネージャに対して実行する必要があります。
Interface=eth0 NetMask=255.255.255.0 UseMACBroadcast=true
Interface: このプロパティは浮動IP(eth0など)のインタフェース名を指定します。
注意:
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NetMask: このプロパティでは、インタフェースの浮動IPのネット・マスクを指定します。ネット・マスクは、インタフェース上のネット・マスクと同じである必要があります。このドキュメントの例では、255.255.255.0が使用されています。
UseMACBroadcast: このプロパティは、ARPパケットの送信時にノードのMACアドレスを使用するかどうか、言い換えれば、arping
コマンドで-b
フラグを使用するかどうかを指定します。
これらのプロパティが使用されているか、または移行中に問題が発生していないかを、ノード・マネージャの出力(ノード・マネージャが起動されているシェル)で確認します。ノード・マネージャの出力は、次のように表示されます。
... StateCheckInterval=500 Interface=eth0 NetMask=255.255.255.0 ...
注意: サーバーのプロパティ(起動プロパティ)が適切に設定されており、ノード・マネージャがサーバーをリモートで起動できる場合には、次の手順は必要ありません。 |
nodemanager.properties
ファイルで次のプロパティを設定します。
StartScriptEnabled: このプロパティをtrue
に設定します。これは、ノード・マネージャが管理対象サーバーを起動するために必要です。
WL_HOME
/server/binディレクトリにあるstartNodeManager.sh
スクリプトを実行し、OIMHOST1とOIMHOST2でノード・マネージャを起動します。
注意: 共有記憶域インストールからノード・マネージャを実行する場合、同じ
この変数がシェル内で設定された後、ノード・マネージャを起動します。 |
Windowsでは、この項の手順は不要です。LinuxおよびUNIXベースのシステムでは、4番目の手順でwlsifconfig.sh
スクリプトの環境とスーパーユーザー権限を設定します。
PATH環境変数に次のファイルが含まれていることを確認します。
wlsifconfig.sh
スクリプトに対するsudo
構成権限を付与します。
パスワード・プロンプトを使用しないで機能するsudo
を構成します。
セキュリティ上の理由から、sudo
を、wlsifconfig.sh
スクリプトの実行に必要なコマンドのサブセットに限定する必要があります。たとえば、次の手順に従ってwlsifconfig.shスクリプトの環境とスーパーユーザー権限を設定します
WebLogicユーザーoracle
に、パスワードなしのsudo
権限を付与し、/sbin/ifconfigと/sbin/arping
のバイナリの実行権限を付与します。
WebLogicユーザーoracle
がこのスクリプトを実行できることを確認します。/etc/sudoers
内の次のエントリ例では、oracle
のsudo
実行権限を、ifconfig
とarping
に対しても付与しています。
oracle ALL=NOPASSWD: /sbin/ifconfig,/sbin/arping
注意: この手順の実行に適する |
6番目の手順では、サーバー移行ターゲットを構成します。まず、すべての使用可能なノードをクラスタのメンバーに割り当て、次に、サーバー移行用に構成された各サーバーに候補となるマシン(適切な順序で)を指定します。次の手順に従って、クラスタ内の移行でクラスタの移行を構成します。
Oracle WebLogic Server管理コンソール(http://Host:Admin_Port/console)にログインします。通常、Admin_Portはデフォルトで7001です。
「ドメイン構造」ウィンドウで「環境」ノードを開き、「クラスタ」を選択します。「クラスタのサマリー」ページが表示されます。
移行を構成するクラスタ(OIM_CLUSTER)を表の「名前」列でクリックします。
「移行」タブをクリックします。
「ロックして編集」をクリックします。
「使用可能」フィールドで、移行先として許可するマシンを選択して、右向き矢印をクリックします。この例では、「OIMHOST1」と「OIMHOST2」を選択します。
自動移行に使用するデータ・ソースを選択します。この場合は、リース・データ・ソースを選択します。
「保存」をクリックします。
「変更のアクティブ化」をクリックします。
SOAクラスタについて手順2~9を繰り返します。
サーバー移行の候補となるマシンを設定します。管理対象サーバーすべてについてこのタスクを次のように実行する必要があります。
Oracle WebLogic Server管理コンソールの「ドメイン構造」ウィンドウで、「環境」を開き、「サーバー」を選択します。
ヒント: 「サーバーのサマリー」ページの「この表のカスタマイズ」をクリックしてから、「現在のマシン」を「使用可能」ウィンドウから「選択済み」ウィンドウへ移動して、サーバーを実行しているマシンを確認します。サーバーが自動的に移行される場合、これはこの構成とは異なります。 |
移行を構成するサーバーを選択します。
「移行」タブをクリックします。
「移行の構成」セクションの「使用可能」フィールドで、移行先として許可するマシンを選択して、右向き矢印をクリックします。WLS_OIM1の場合は、「OIMHOST2」を選択します。WLS_OIM2の場合は、「OIMHOST1」を選択します。
「サーバーの自動移行を有効化」を選択します。これにより、ノード・マネージャはターゲット・ノード上で障害発生サーバーを自動的に起動できます。
「保存」をクリックします。
「変更のアクティブ化」をクリックします。
管理対象サーバーWLS_SOA1およびWLS_SOA2に対して前述の手順を繰り返します。
WebLogic管理サーバー、ノード・マネージャ、サーバー移行用に構成されたサーバーを再起動します。
最後の手順では、サーバー移行をテストします。サーバーの移行が適切に行われていることを確認するには次の手順を実行します。
OIMHOST1で次の操作を実行します。
WLS_OIM1管理対象サーバーを停止します。これには、次のコマンドを実行します。
OIMHOST1> kill -9 pid
pidには、管理対象サーバーのプロセスIDを指定します。次のコマンドを実行すると、ノードのPIDを識別できます。
OIMHOST1> ps -ef | grep WLS_OIM1
ノード・マネージャのコンソールを確認します。WLS_OIM1の浮動IPアドレスが無効化されたことを示すメッセージが表示されます。
ノード・マネージャがWLS_OIM1の2回目の再起動を試行するのを待ちます。この再起動を試行するまでに30秒間待機します。
ノード・マネージャでサーバーを再起動したら、再び停止します。サーバーが再びローカルに再起動しないことを示すメッセージがノード・マネージャによってログに記録されます。
OIMHOST2で次の操作を実行します。
ローカルのノード・マネージャ・コンソールを確認します。OIMHOST1でのWLS_OIM1の再起動が前回試行されてから30秒間経過した後に、WLS_OIM1の浮動IPが表示されサーバーをこのノードで再起動することを示すメッセージがOIMHOST2のノード・マネージャにより表示されます。
同じIPでsoa-infraコンソールにアクセスします。
前述の手順に従い、管理対象サーバーWLS_OIM2、WLS_SOA1およびWLS_SOA2に対してサーバーの移行をテストします。
表18-2は、管理対象サーバーと、障害が発生した場合のそれらの移行先のホストを示しています。
表18-2 サーバーWLS_OIM1、WLS_OIM2、WLS_SOA1、WLS_SOA2の移行
管理対象サーバー | 移行元 | 移行先 |
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移行は管理コンソールで確認することもできます。
管理コンソールにログインします。
左のコンソールで「ドメイン」をクリックします。
「監視」タブをクリックし、「移行」サブタブをクリックします。
「移行の状態」の表に、移行の状態に関する情報が表示されます。
注意: サーバーの移行後、そのサーバーを元のノード/マシンにフェイルオーバーするには、Oracle WebLogic管理コンソールから管理対象サーバーを停止し、再起動します。適切なノード・マネージャが、もともと割り当てられていたマシン上の管理対象サーバーを起動します。 |