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Oracle® Fusion Middleware Oracle Identity Manager開発者ガイド
11g リリース1(11.1.1)
B66705-01
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B SPML属性とLDAPマッピング、およびOracle Identity Managerの属性

SPML XSD Webサービスは、Oracle Identity Managerをバックエンド・サービスとして使用して、Fusionアプリケーションにプロビジョニング機能を提供します。SPML Webサービスの主要ビルディング・ブロックは、プロビジョニング対象となるオブジェクトを定義するSPML Provisioning Service Object(PSO)です。PSOの例としては、アイデンティティやロールがあげられます。

この付録では、サポートされているPSO属性とそのLDAPマッピングを示し、Oracle Identity Managerの属性における文字制限について説明します。最後に、アプリケーションからSPML Webサービスに渡すことができるその他の操作データについて説明します。この章には次の項目があります。

B.1 アイデンティティのPSO属性

表B-1に、Oracle Identity ManagerでのSPML実装でサポートされているアイデンティティ属性、およびこれらの属性とLDAPオブジェクト/属性のマッピングを示します。


注意:

「構文」列は、関連する属性プロパティ(型、必須かどうかなど)を示しています。


表B-1 アイデンティティのPSO属性

SPML属性名 構文 説明 LDAPマッピング(Oracle Internet Directory)

ID

文字列、読取り専用、必須、単一

変更リクエストでユーザーを識別するために使用される識別子。

orclUserV2: orclguid

activeEndDate

タイムスタンプ、単一

ユーザーの終了日時。

orclUserV2: orclActiveEndDate

activeStartDate

タイムスタンプ、単一

ユーザーのアクティブ化日時。

orclUserV2: orclActiveStartDate

commonName

文字列、

必須

個人の共通名(通常は、個人のフルネームに同じバリエーションを加えたものです)。

person: cn

countryName

文字列、単一

個人の勤務先の国(2文字の[ISO3166]国コードで表されます)。

orclUserV2: c

departmentNumber

文字列、単一

この個人が所属する組織内の部門コード。数字のみまたは英数字を指定できます。

inetOrgPerson: departmentNumber

description

文字列、単一

個人に関する判読可能な説明。

person: description

displayName

文字列、単一、MLS

個人のエントリを表示するときに使用する優先名。

多言語サポート(MLS)に対応しており、ロケールの言語値(「en」や「fr」など)も指定できます。

inetOrgPerson: displayName

employeeNumber

文字列、単一

個人に割り当てられる数字または英数字の識別子(通常は、入社順や組織との関連に基づきます)。

inetOrgPerson: employeeNumber

employeeType

文字列、単一

従業員のタイプを識別します。有効な値のリストは、表B-2を参照してください。

inetOrgPerson: employeeType

facsimileTelephoneNumber

文字列、単一

個人の業務用FAX端末の電話番号。

organizationalPerson: facsimileTelephoneNumber

generationQualifier

文字列、単一

一般に個人名の接尾辞部となる名前文字列(「III」、「3rd」、「Jr.」など)。

N/A

givenName

文字列、単一

個人名の一部となる名前文字列(姓以外、名など)。

inetOrgPerson: givenName

hireDate

タイムスタンプ、単一

入社日。

orclUserV2: orclHireDate

homePhone

単純、文字列

個人に関連付けられている自宅電話番号。

inetOrgPerson:homePhone

homePostalAddress

単純、文字列

個人の自宅住所。

inetOrgPerson: homePostalAddress

initials

文字列、単一

個人名の一部またはすべて(姓以外)。

inetOrgPerson: initials

localityName

単純、文字列

勤務先の地域や場所の名前(市区町村、郡、その他の地理的地域など)。

N/A

mail

単純、文字列

個人の業務用インターネット・メール・アドレス(メールボックス[RFC2821]形式)。

inetOrgPerson: mail

manager

単純、文字列

個人のマネージャ。

N/A

middleName

文字列、単一

個人のミドル・ネーム。

orclUserV2: middleName

mobile

単純、文字列

個人に関連付けられている携帯電話番号。

inetOrgPerson: mobile

organization

文字列、単一

組織の名前(my_companyなど)。

organization

organizationUnit

文字列、単一

組織内の単位の名前(IT Supportなど)。

organizationalUnitName

pager

単純、文字列

個人の業務用ページャ電話番号。

inetOrgPerson: pager

password

文字列、単一

ユーザーのパスワード。

person: userPassword

postalAddress

文字列、単一

郵便業務で個人にサービスを提供するために使用される勤務先住所。

organizationalPerson: postalAddress

postalCode

文字列、単一

郵便業務で個人の勤務先の郵便ゾーンを識別するために使用されるコード。

organizationalPerson: postalCode

postOfficeBox

文字列、単一

郵便業務で使用される私書箱識別子(カスタマは、郵便局の敷地内で私書箱を通じて郵便物を受け取るように手配することができます)。

organizationalPerson: postOfficeBox

preferredLanguage

文字列、単一

個人の優先文字言語または優先会話言語。これは、国際化対応や人間とコンピュータの対話に役立ちます。この属性タイプの値は、[RFC2068]に定義されたAccept-Languageヘッダー・フィールドの定義に準拠する必要があります(ただし、1つの例外として、シーケンス"Accept-Language" ":"は省略してください)。

inetOrgPerson: preferredLanguage

state

文字列、単一

個人の勤務先の都道府県の完全名。

organizationalPerson: st

street

文字列、単一

個人の勤務先住所の場所情報(つまり、通り名、土地、番地)。

organizationalPerson: street

surname

文字列、単一

個人の姓の名前文字列。

person: sn

telephoneNumber

文字列、単一

個人の勤務先電話番号。

organizationalPerson: telephoneNumber

title

文字列、単一

組織における個人の役職。

organizationalPerson: title

username

文字列、単一

個人に関連付けられているコンピュータ・システム・ログイン名。

uid

userType

文字列、単一

ユーザーのタイプ。この属性は、エンドユーザーにDesign Consoleへのアクセスを提供するために使用します。使用可能な値はtrueとfalseです。



表B-2に、employeeType属性の有効な値を示します。

表B-2 employeeTypeの有効な値

意味

Full-Time

フルタイムの従業員

Part-Time

パートタイムの従業員

Temp

派遣社員

Intern

インターン

Consultant

コンサルタント

Contractor

契約者

EMP

従業員

CWK

派遣就業者

NONW

非就業者

OTHER

その他の従業員タイプ



注意:

Oracle Identity Managerによって渡されるのは、「値」列に示すコードのみです。各コードの意味を参考のために記載しています。


B.1.1 カスタム・アイデンティティ属性

Oracle Identity Managerの機能をサポートするためのカスタム属性が用意されています。これらの属性は、Oracle Identity Managerに存在し(ユーザー定義のフィールドを追加した場合など)、PSOには存在しません。

マッピングをエンドツーエンドで機能させるには、カスタム属性名を対応するリクエスト・データセットで指定された属性名と一致させる必要があります。

次に、カスタム属性の例をいくつか紹介します。

...
<data>
<pso:identity>
 <pso:attributes>
 <pso:attr name="Number Format">
 <pso:value>#,##0.##[.,]</pso:value>
</pso:attr>
 <pso:attr name="Currency">
 <pso:value>USD</pso:value>
</pso:attr>
</attributes>
...

B.2 ロールのPSO属性

表B-3に、Oracle Identity ManagerでのSPML実装でサポートされているロール属性、およびこれらの属性とLDAPオブジェクト/属性のマッピングを示します。

表B-3 ロールのPSO属性

属性名 構文 説明

ID

文字列、読取り専用、必須、単一

ロールを一意に識別するPSO識別子。通常はディレクトリのGUIDです。

commonName

文字列、必須、MLS

ロールの共通名。

description

単一

ロールに関する判読可能な説明。

displayName

文字列、単一、MLS

ロールのエントリを表示するときに使用する優先名。


B.2.1 カスタム・ロール属性

Oracle Identity Managerの機能をサポートするためのカスタム属性が用意されています。これらの属性は、Oracle Identity Managerに存在し、PSOには存在しません。

マッピングをエンドツーエンドで機能させるには、カスタム属性名を対応するリクエスト・データセットで指定された属性名と一致させる必要があります。

次に、カスタム・ロール属性の例を紹介します。

...
<pso:attributes>
<pso:attr name="Role Category Name">
<pso:value>Cat1</pso:value>
</pso:attr>
...

Role Category Nameは特別なカスタム・ロール属性です。これはロールの名前空間です。それぞれのロールがいずれかのロール・カテゴリに属しています。新しいロールの作成時に指定できます。指定しなかった場合は、デフォルトのロール・カテゴリが選択されます。各ロール・カテゴリおよびロール名によってロールが一意に識別されます。

B.3 プリファレンス属性

表B-4に、Oracle Identity ManagerでのSPML実装でサポートされているプリファレンス属性を示します。

表B-4 プリファレンス属性

属性名 構文 説明 LDAPマッピング

数値書式

String

数値の表示書式

orclNumberFormat

値は次のとおりです。

#,##0.##[.,]

#,##0.###[\u00A0,]

#,##0.###

#,##0.###;#,##0.###-

#,##0.###[.,]

#,##0.###;(#,##0.###)[.,]

#,##0.##[\u00A0,]

#,##0.###['.]

#,##0.###[',]

通貨

String

通貨に使用する必要がある記号

orclCurrency

値の例は次のとおりです。

USD

YUN

NZD

INR

日付書式

String

日付の表示書式

orclDateFormat

値は次のとおりです。

MM-dd-yyyy

MM-dd-yy

MM.dd.yyyy

MM.dd.yy

MM/dd/yyyy

MM/dd/yy

M-d-yyyy

M-d-yy

M.d.yyyy

M.d.yy

M/d/yyyy

M/d/yy

dd-MM-yyyydd-MM-yy

d-M-yyyy

d-M-yy

dd.MM.yyyy

dd.MM.yy

d.M.yyyy

d.M.yy

dd/MM/yyyy

dd/MM/yy

d/M/yyyy

d/M/yy

yyyy-MM-dd

yy-MM-dd

yyyy-M-d

yy-M-d

yyyy.MM.dd

yy.MM.dd

yyyy.M.d

yy.M.d

yy. M. d

yyyy/MM/dd

yy/MM/dd

yyyy/M/d

yy/M/d

時間書式

String

時間の表示書式

orclTimeFormat

値は次のとおりです。

HH.mm

HH.mm.ss

HH:mm

HH:mm:ss

H:mm

H:mm:ss

H.mm

H.mm.ss

a hh.mm

a hh.mm.ss

a hh:mm

a hh:mm:ss

ah:mm

ah:mm:ss

hh.mm a

hh.mm.ss a

hh:mm a

hh:mm:ss a

埋込みヘルプ

String

埋込みヘルプを表示するかどうか

orclEmbeddedHelp

値は次のとおりです。

true

false

フォント・サイズ

String

フォントのサイズ

orclFontSize

値は次のとおりです。

LARGE

MEDIUM

色のコントラスト

String

色のコントラスト

orclColorContrast

値は次のとおりです。

STANDARD

HIGH

アクセシビリティ・モード

String

ユーザーのアクセシビリティ・モード

orclAccessibilityMode

値は次のとおりです。

screenReader

inaccessible

default

FA言語

String

デフォルトの優先言語

orclFALanguage

ユーザー名優先言語

String

ユーザーの表示名を示すためだけに使用される優先言語

注意: この属性の設定値はOracle Identity Managerでは使用されません。

orclDisplayNameLanguagePreference


B.4 Oracle Identity Managerの属性における特殊文字制限

この項では、Oracle Identity Managerの属性に適用される文字制限を示します。これらの制限に従わないと、属性を使用して操作を実行したときにエラーが発生します。

B.4.1 すべての属性で使用可能な文字

英数字(aからz、AからZ、および0から9)とアンダースコア文字(_)は、すべてのOracle Identity Manager属性で使用できます。

B.4.2 パスワード・フィールドにおける特殊文字

Passwordフィールドでは次の特殊文字を使用できます。

  • パーセント記号(%)

  • プラス記号(+)

  • 等号(=)

  • カンマ(,)

  • 円記号(\)

  • 一重引用符(')

  • スラッシュ(/)

  • 縦棒(|)

B.4.3 一重引用符の使用

一重引用符(')は、次の属性でのみ使用できます。

  • ログイン

  • マネージャID

  • ミドル・ネーム

  • グループ名

  • 組織名

  • リソース名

B.4.4 セミコロンの使用

セミコロン(;)はアクセス・ポリシー名でのみ使用できます。

B.4.5 サポートされていない特殊文字

次の特殊文字は、Oracle Identity Managerのどの属性でもサポートされていません。

  • ピリオド(.)

  • シャープ記号(#)

  • スラッシュ(/)

  • パーセント記号(%)

  • 等号(=)

  • 縦棒(|)

  • プラス記号(+)

  • カンマ(,)

  • 円記号(\)

  • 二重引用符(")

  • 小なり記号(<)

  • 大なり記号(>)

B.5 操作データ

HCM Fusionアプリケーションなどのリクエスト・アプリケーションは、SPMLリクエスタとして動作します。アプリケーションでは、PSOデータ以外に、いくつかの操作データをSPML Webサービスに渡すことができます。この項では、アプリケーションが操作データを渡す仕組みについて説明します。

B.5.1 操作データを渡す場合

操作ごとにリクエスタIDを渡すことができます。Fusionアプリケーションがリクエストで提示する資格証明は、アプリケーションIDです。監査の目的で、リクエスタIDを渡すこともできます。Oracle Identity Managerでは、操作の実際のリクエスタとして、アプリケーションIDのかわりにこのIDが監査されます。

リクエスタIDと一緒に、リクエストの理由も指定できます。

次に、操作データの例を示します。

...
</pso:identity>
</data>
<capabilityData
capabilityURI="http://xmlns.oracle.com/idm/identity/OperationData"
mustUnderstand="true">
<operationData
xmlns="http://xmlns.oracle.com/idm/identity/OperationData" requestorGUID="1"
justification="i need this account">
</capabilityData>
</addRequest>

B.5.2 参照データを渡す場合

アプリケーションは、なんらかの参照データをSPMLに渡すことで、コールバックを受け取ったときに、コンテキストでそのコールバックに対して参照データによって識別されるようにする必要もあります。これはパススルー・データであり、Oracle Identity Managerでは無視されますが、コールバックには返されます。

次に、<LdapRequestId>を扱った例を示します。

...
...
</pso:identity>
</data>
<capabilityData
capabilityURI="http://xmlns.oracle.com/idm/identity/OperationData"
mustUnderstand="true">
<operationData
xmlns="http://xmlns.oracle.com/idm/identity/OperationData" requestorGUID="1"
justification="i need this account">
<LdapRequestId
xmlns="http://xmlns.oracle.com/apps/hcm/users/ldapRequestService/">102329090340
</operationData>
</capabilityData>
</addRequest>