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Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド
11g リリース1 (11.1.1.5.0)
B56238-04
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23 Oracle Mediatorのメッセージ交換パターンの理解

この章では、Oracle Mediatorサービス・コンポーネントと他のアプリケーションとの間の一般的なメッセージ交換パターンについて説明します。

項目は次のとおりです。


注意:

次の交換パターンは、ルーティング・ルールが作成された際のレスポンス、フォルトおよびコールバックに対するOracle JDeveloperのデフォルト処理を示しています。すべてのケースについて、次の点を考慮してください。
  • レスポンス、フォルトまたはコールバックがコール元に返信される場合は、同じメッセージを別のターゲット・サービスまたはイベントにルーティングすることもできます。これを実行するには、ターゲットの横にあるボタンをクリックし、別のターゲットを選択します。

  • Oracle Mediatorのコール元がレスポンスを想定する場合、1つ以上のルーティング・ルールにより、レスポンスを返さないターゲットにリクエストがルーティングされる可能性がありますが、レスポンスを返す順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。

  • 複数のルーティング・ルールにリクエスト・レスポンス相互作用が含まれている場合、初期のコール元にレスポンスを返信するルーティング・ルールは、レスポンスを転送する他のルーティング・ルール(ある場合)より優先する必要があります。

  • Oracle Mediatorの非同期のリクエスト・リプライ・パターンは、Webサービスに対してのみサポートされます。この交換パターンは、アダプタや他のサービスに対してはサポートされません。


23.1 一方向メッセージ交換パターンの理解

一方向相互作用では、Oracle Mediatorは起動されますが、コール元にはレスポンスを返信しません。表23-1に示すように、ルーティング・ルール・ターゲットのタイプに基づいて、レスポンス、フォルトおよびコールバックが処理されます。

表23-1 Oracle MediatorのWSDLが一方向相互作用の場合のレスポンス

ルーティング・ルール・ターゲットのタイプ レスポンス

リクエスト

レスポンスはありません。

リクエスト・レスポンス

レスポンスは、別のターゲットまたはイベントに転送されます。

リクエスト・レスポンス・フォルト

レスポンスおよびフォルトは、別のターゲットまたはイベントに転送されます。

リクエスト・コールバック

コールバックは、別のターゲットまたはイベントに転送されます。

リクエスト・レスポンス・コールバック

レスポンスおよびコールバックは、別のターゲットまたはイベントに転送されます。

リクエスト・レスポンス・フォルト・コールバック

レスポンス、フォルトおよびコールバックは、別のターゲットまたはイベントに転送されます。


図23-1は、一方向メッセージ交換パターンを示しています。

図23-1 一方向メッセージ交換パターン

図23-1の説明が続きます
「図23-1 一方向メッセージ交換パターン」の説明

23.1.1 one.way.returns.faultプロパティ

one.way.returns.faultプロパティは、一方向インタフェースのSOAPコールについて、フォルトおよび一方向メッセージの処理方法を制御します。このプロパティは、composite.xmlファイルの一方向Webサービスに関するWebサービス・セクションのサービス・バインディング・コンポーネントに追加できます。このプロパティを、参照に適用することはできません。適用できるのは、サービスとbinding.wsバインディング・タイプに対してのみです。表23-2に、このプロパティの詳細を示します。

表23-2 one.way.returns.faultプロパティ

one.way.returns.faultの設定 結果

trueに設定した場合

. . .
<service name="Mediator1_2"
 ui:wsdlLocation="ReadFile.wsdl">
    <interface.wsdl
 interface="http://xmlns.oracle.com/pcbpel/adapter/file
 /LocalSandbox/Project1/ReadFile%2F#wsdl.interface(Read_
ptt)"/>
    <binding.ws
 port="http://xmlns.oracle.com/pcbpel/adapter/file
/LocalSandbox/Project1/ReadFile%2F#wsdl.endpoint
(Mediator1/Read_pt)">
   <property name="one.way.returns.fault" type="xs:string" many="false"
     override="may">true</property>
    </binding.ws>
</service>
. . .

後続処理で発生するフォルトは、クライアントへのSOAPフォルトと、HTTPレスポンス・コード500を返します。(11g リリース1と同じ動作)。

falseに設定した場合

. . .
<service name="Mediator1_2"
 ui:wsdlLocation="ReadFile.wsdl">
    <interface.wsdl
 interface="http://xmlns.oracle.com/pcbpel/adapter/file/
Local Sandbox/Project1/ReadFile%2F#wsdl.interface(Read_
ptt)"/>
    <binding.ws
port="http://xmlns.oracle.com/pcbpel/adapter/file/LocalSan
dbox/Project1/ReadFile%2F#wsdl.endpoint(Mediator1/Read_
pt)">
      <property name="one.way.returns.fault"
 type="xs:string" many="false"
                override="may">false</property>
    </binding.ws>
  </service>
. . .

後続処理で発生するフォルトは、HTTPレスポンス・コード500のみを返します。クライアントにはSOAPフォルトを返しません。

未設定の場合(デフォルト)

後続処理で発生するフォルトは、クライアントへのSOAPフォルトと、HTTPレスポンス・コード500を返します。(11g リリース1と同じ動作)。


one.way.returns.faultプロパティを追加する手順は、次のとおりです。

  1. SOAコンポジット・エディタで、one.way.returns.faultプロパティを追加するサービス・バインディング・コンポーネントを選択します。

  2. エディタの右下部にある「プロパティ・インスペクタ」セクションに移動します。

  3. 「バインディング・プロパティ」セクションで、「追加」アイコンをクリックします。

    「プロパティの作成」ダイアログが表示されます。

  4. 「名前」フィールドに、one.way.returns.faultと入力します。

  5. 「値」フィールドに、trueまたはfalseを入力します。

  6. 「OK」をクリックします。

23.2 リクエスト・リプライ・メッセージ交換パターンの理解

リクエスト・リプライ相互作用では、Oracle Mediatorが起動され、コール元にリプライを送信します。表23-3に示すように、ルーティング・ルール・ターゲットのタイプに基づいて、レスポンス、フォルトおよびコールバックが処理されます。

表23-3 Oracle MediatorのWSDLがリクエスト・リプライの場合のレスポンス

ルーティング・ルール・ターゲットのタイプ レスポンス

リクエスト

ターゲットからのレスポンスはありませんが、リクエスト・レスポンス・サービスが含まれる順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。

リクエスト・レスポンス

レスポンスは、コール元に返信されます。レスポンスは別のターゲットまたはイベントに転送できますが、コール元にレスポンスを返す順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。

リクエスト・レスポンス・フォルト

レスポンスは、コール元に返信されます。フォルトは、別のターゲットまたはイベントに転送されます。

リクエスト・コールバック

ターゲットからのレスポンスはありませんが、リクエスト・レスポンス・サービスが含まれる順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。コールバックは、別のターゲットまたはイベントに転送されます。

リクエスト・レスポンス・コールバック

レスポンスは、コール元に返信されます。コールバックは、別のターゲットまたはイベントに転送されます。

リクエスト・レスポンス・フォルト・コールバック

レスポンスは、コール元に返信されます。コールバックおよびフォルトは、別のターゲットまたはイベントに転送されます。


図23-2は、リクエスト・リプライ・メッセージ交換パターンを示しています。

図23-2 リクエスト・リプライ・メッセージ交換パターン

図23-2の説明が続きます
「図23-2 リクエスト・リプライ・メッセージ交換パターン」の説明

23.3 リクエスト・リプライ・フォルト・メッセージ交換パターンの理解

リクエスト・リプライ・フォルト相互作用では、Oracle Mediatorが起動され、コール元にリプライと1つ以上のフォルトを返信します。表23-4に示すように、ルーティング・ルール・ターゲットのタイプに基づいて、レスポンス、フォルトおよびコールバックが処理されます。

表23-4 Oracle MediatorのWSDLがリクエスト・リプライ・フォルトの場合のレスポンス

ルーティング・ルール・ターゲットのタイプ レスポンス

リクエスト

リクエスト・レスポンス・フォルト・サービスが含まれる順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。送信するレスポンスがない場合、Oracle Mediatorはnullを返します。

リクエスト・レスポンス

レスポンスは、コール元に返信されます。Oracle Mediatorによるメッセージ処理での例外によってフォルトが発生する場合があります。

リクエスト・レスポンス・フォルト

レスポンスおよびフォルトがコール元に返信されます。Oracle Mediatorによるメッセージ処理での例外によってフォルトが発生する場合があります。

リクエスト・コールバック

ターゲットからのレスポンスはありませんが、リクエスト・レスポンス・サービスが含まれる順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。送信するレスポンスがない場合、Oracle Mediatorはnullを返します。コールバックは、別のターゲットまたはイベントに転送されます。

リクエスト・レスポンス・コールバック

レスポンスは、コール元に返信されます。Oracle Mediatorによるメッセージ処理での例外によってフォルトが発生する場合があります。

リクエスト・レスポンス・フォルト・コールバック

レスポンスおよびフォルトがコール元に返信されます。Oracle Mediatorによるメッセージ処理での例外によってフォルトが発生する場合があります。


図23-3は、リクエスト・リプライ・フォルト・メッセージ交換パターンを示しています。

図23-3 リクエスト・リプライ・フォルト・メッセージ交換パターン

図23-3の説明が続きます
「図23-3 リクエスト・リプライ・フォルト・メッセージ交換パターン」の説明

23.4 リクエスト・コールバック・メッセージ交換パターンの理解

リクエスト・コールバック相互作用では、Oracle Mediatorが起動され、コール元に非同期リプライを送信する場合があります。表23-5に示すように、ルーティング・ルール・ターゲットのタイプに基づいて、レスポンス、フォルトおよびコールバックが処理されます。

表23-5 Oracle MediatorのWSDLがリクエスト・コールバックの場合のレスポンス

ルーティング・ルール・ターゲットのWSDL レスポンス

リクエスト

リクエスト・コールバック・サービスが含まれる順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。コールバックが定義されたルーティング・ルールがない場合、コールバックはコール元に送信されません。

リクエスト・レスポンス

レスポンスは、独立したスレッドでコールバックとしてコール元に返信されます。

リクエスト・レスポンス・フォルト

レスポンスは、独立したスレッドでコールバックとしてコール元に返信されます。フォルトは、別のターゲットまたはイベントに転送されます。

リクエスト・コールバック

コールバックは、コール元に返信されます。

リクエスト・レスポンス・コールバック

コールバックはコール元に返信され、レスポンスは別のターゲットまたはイベントに転送されます。

リクエスト・レスポンス・フォルト・コールバック

コールバックは、コール元に返信されます。レスポンスおよびフォルトは、別のターゲットまたはイベントに転送されます。


図23-4は、リクエスト・コールバック・メッセージ交換パターンを示しています。

図23-4 リクエスト・コールバック・メッセージ交換パターン

図23-4の説明が続きます
「図23-4 リクエスト・コールバック・メッセージ交換パターン」の説明

23.5 リクエスト・リプライ・コールバック・メッセージ交換パターンの理解

リクエスト・リプライ・コールバック相互作用では、Oracle Mediatorが起動され、初期コール元にレスポンスと非同期リプライを送信します。表23-6に示すように、ルーティング・ルール・ターゲットのタイプに基づいて、レスポンス、フォルトおよびコールバックが処理されます。

表23-6 Oracle MediatorのWSDLがリクエスト・レスポンス・コールバックの場合のレスポンス

ルーティング・ルール・ターゲットのタイプ レスポンス

リクエスト

レスポンスを返す順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。コールバックが定義されたルーティング・ルールがない場合、コールバックはコール元に送信されません。

リクエスト・レスポンス

レスポンスを返す順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。コールバックが定義されたルーティング・ルールがない場合、コールバックは送信されません。

リクエスト・レスポンス・フォルト

レスポンスを返す順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。コールバックが定義されたルーティング・ルールがない場合、コールバックはコール元に送信されません。

リクエスト・コールバック

レスポンスを返す順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。送信するレスポンスがない場合、Oracle Mediatorはnullを返します。

リクエスト・レスポンス・コールバック

レスポンスおよびコールバックがコール元に返信されます。

リクエスト・レスポンス・フォルト・コールバック

レスポンスおよびコールバックがコール元に返信されます。フォルトは、別のターゲットまたはイベントに転送されます。


図23-5は、リクエスト・リプライ・コールバック・メッセージ交換パターンを示しています。

図23-5 リクエスト・リプライ・コールバック・メッセージ交換パターン

図23-5の説明が続きます
「図23-5 リクエスト・リプライ・コールバック・メッセージ交換パターン」の説明

23.6 リクエスト・リプライ・フォルト・コールバック・メッセージ交換パターンの理解

リクエスト・リプライ・フォルト・コールバック相互作用では、Oracle Mediatorが起動され、初期コール元にレスポンス、非同期リプライおよび1つ以上のフォルト・タイプを返信します。表23-7に示すように、ルーティング・ルール・ターゲットのタイプに基づいて、レスポンス、フォルトおよびコールバックが処理されます。

表23-7 リクエスト・レスポンス・フォルト・コールバックのOracle Mediatorへのレスポンス

ルーティング・ルール・ターゲットのWSDL レスポンス

リクエスト

リクエスト・コールバック・サービスが含まれる順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。コールバックが定義されたルーティング・ルールがない場合、コールバックはコール元に送信されません。

リクエスト・レスポンス

リクエスト・コールバック・サービスが含まれる順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。コールバックが定義されたルーティング・ルールがない場合、コールバックはコール元に送信されません。

リクエスト・レスポンス・フォルト

リクエスト・コールバック・サービスが含まれる順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。コールバックが定義されたルーティング・ルールがない場合、コールバックはコール元に送信されません。

リクエスト・コールバック

レスポンスを返す順次ルーティング・ルールが少なくとも1つ必要です。送信するレスポンスがない場合、Oracle Mediatorはnullを返します。

リクエスト・レスポンス・コールバック

レスポンスおよびコールバックがコール元に返信されます。Oracle Mediatorによるメッセージ処理での例外によってフォルトが発生する場合があります。

リクエスト・レスポンス・フォルト・コールバック

レスポンス、フォルトおよびコールバックがコール元に返信されます。


図23-6は、リクエスト・リプライ・フォルト・コールバック・メッセージ交換パターンを示しています。

図23-6 リクエスト・リプライ・フォルト・コールバック・メッセージ交換パターン

図23-6の説明が続きます
「図23-6 リクエスト・リプライ・フォルト・コールバック・メッセージ交換パターン」の説明