Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite、WebCenterおよびADFアップグレード・ガイド 11g リリース1 (11.1.1) B55926-03 |
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この章では、Oracle Fusion Middleware 11gで使用できるOracle SOA Suite、WebCenterおよびADFソフトウェアの概要を示します。次の項では、これらのテクノロジのアーキテクチャとディレクトリ構造について、10g リリース3(10.1.3)とOracle Fusion Middleware 11gで比較しています。
Oracle Application Server 10g リリース3 (10.1.3)で提供されていたOracle Application Development Framework (ADF)は、Java EE標準に準拠して構築されたエンドツーエンドのアプリケーション・フレームワークであり、サービス指向アプリケーションの実装を簡素化し加速化する、オープンソースのテクノロジでした。
ADFアプリケーションのデプロイと管理に必要な開発環境と実行時環境は、多くの点で他のJava EEアプリケーションで必要とされる環境と似ています。10gで使用できるJava EE環境の種類と、これらの環境をOracle Fusion Middleware 11gにアップグレードする方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Java EEアップグレード・ガイド』を参照してください。
一般的なJava EE環境とADFアプリケーションがサポートされる環境の違いは、 ADFランタイム・ライブラリが使用可能かどうかです。
Oracle Application Server 10gでは、ADFアプリケーションのサポートに必要なADFランタイム・ライブラリがOC4Jの各インスタンスで自動的に提供されました。
Oracle Fusion Middleware 11gでは、ADFランタイム・ライブラリは、Oracle WebLogic Serverドメインにデフォルトでは含まれていません。ただし、任意にドメインを構成または拡張し、Javaランタイム・ファイル(JRF)を含めることができます。Oracle ADFランタイム・ライブラリは、JRFコンポーネントの一部として含まれます。
図3-1では、OC4JとOracle WebLogic ServerにおけるOracle ADFアプリケーションのサポート方法を比較しています。Oracle WebLogic ServerドメインはJavaランタイム・ファイル(JRF)ドメイン・テンプレートを使用して拡張できます。このテンプレートには、必要なOracle ADFライブラリと他の重要なOracle固有テクノロジが含まれています。
図3-1 OC4JおよびOracle WebLogic ServerにおけるOracle ADFアプリケーションのサポート
Oracle ADFをサポートするドメインの拡張の詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』の第17章「環境のスケーリング」を参照してください。
Oracle Application Server 10gとは異なり、Oracle HTTP Serverは、Oracle WebLogic Serverへのリクエストをルーティングするために自動的にインストールおよび構成されるわけではありません。かわりに、Web層およびユーティリティのCD-ROMを使用して、Oracle HTTP ServerおよびOracle Web Cacheを別のOracleホームにインストールします。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Java EEアップグレード・ガイド』のWebサーバーおよびJava EE環境のアップグレードに関する項を参照してください。
Oracle Application Server 10g リリース3 (10.1.3)で用意されていたインストール・オプションでは、(Oracle BAMを除く)Oracle Service Oriented Architecture (SOA)システム・コンポーネントをOracle Application Serverインストールの一部としてインストールおよび構成できました。その後で、Oracle JDeveloperを使用して、SOAコンポーネントがインストールされているOC4Jインスタンス上で、SOAアプリケーションを開発およびデプロイすることができました。
Oracle Fusion Middlewareの場合も同様に、Oracle SOAインフラストラクチャと、Oracle BAMを含むシステム・コンポーネントをサポートする Oracle WebLogic Serverドメインをインストールおよび構成できます。
詳細は、次の各項を参照してください。
図3-2は、SOAシステム・コンポーネントがOC4J 10gインスタンスの一部としてどのようにインストールされるかと、Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite 11gをインストールし構成した場合にSOAコンポーネントが管理対象サーバーにどのようにインストールされるかを示し、比較しています。
SOAシステム・コンポーネントには一連のSOAスキーマが必要です。これはリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用してインストールします。RCUによりインストールされるスキーマの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Repository Creation Utilityユーザーズ・ガイド』を参照してください。
図3-2 OC4JインスタンスとOracle WebLogic ServerドメインにインストールされるOracle SOA Suite
Oracle SOA Suiteをインストールして構成する際、SOAシステム・コンポーネントをサポートするよう拡張したOracle WebLogic Serverドメインを作成します。結果として、ディスク上のファイルは、SOAドメイン・ディレクトリ構造と、SOAコンポーネントのバイナリ・ファイルおよびサポート・ファイルを含むSOA Oracleホーム、Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware ControlおよびJava Required Files(JRF)を含むOracle共通ホームの構成になります。
SOA Oracleホームは、 Middlewareホーム内にインストールする必要があります。Oracle comonは自動的にインストールされます。
これは、Oracle Application Server 10g リリース3 (10.1.3)のインストール時にOracleホームが単独で作成されていたことと対照的です。
図3-3は、Oracle SOA Suiteドメインのインストールおよび構成後のディレクトリ構造を示しています。
図3-3 Oracle Fusion Middleware SOA Suiteインストール後のディレクトリ構造
このマニュアル内の手順は、基本的なOracle SOA Suite環境をアップグレードするステップを示しています。このマニュアルの内容を確認した後は、この知識をより複雑な本番環境に適用できます。
クラスタ化と高可用性を利用した本番環境を設定する手順の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suiteエンタープライズ・デプロイメント・ガイド』を参照してください。
エンタープライズ・デプロイメントのアップグレード時に実行する必要がある主なタスクの概要は、『Oracle Fusion Middlewareアップグレード・プランニング・ガイド』のエンタープライズ・デプロイメントの計画に関する項を参照してください。
Oracle BAM 10gおよびOracle B2Bは、その他のOracle SOA Suiteコンポーネントとは異なり、個別にインストールおよび構成されていました。
Oracle BAMはMicrosoftプラットフォームでのみサポートされ、Oracle B2Bは他のOracle SOA Suite 10gコンポーネントとは別のサーバーにインストールされていました。
Oracle Fusion Middleware 11gでは、Oracle BAM 11gとOracle B2B 11gは、その他のOracle SOA Suiteコンポーネントと統合されています。Oracle BAMは同じOracle WebLogic Serverドメインの一部としてデプロイでき、Oracle B2Bはその他のOracle SOA Suiteコンポーネントとともに自動でインストールおよび構成されます。
Oracle Application Server 10g リリース3 (10.1.3)で用意されていたインストール・オプションでは、WebCenterシステム・コンポーネントをOracle Application Serverインストールの一部としてインストールおよび構成できました。その後で、Oracle JDeveloperを使用して、WebCenterシステム・コンポーネントがインストールされているOC4Jインスタンス上で、WebCenterアプリケーションを開発およびデプロイすることができました。
Oracle Fusion Middlewareの場合も同様に、WebCenterシステム・コンポーネントをサポートするOracle WebLogic Serverドメインをインストールおよび構成できます。
詳細は、次の各項を参照してください。
図3-4は、Oracle WebCenterシステム・コンポーネントがOC4J 10gインスタンスの一部としてどのようにインストールされるかと、Oracle Fusion Middleware 11gをインストールし構成した場合にOracle WebCenterコンポーネントが管理対象サーバーにどのようにインストールされるかを示し、比較しています。
WebCenterシステム・コンポーネントには一連のWebCenterスキーマが必要です。これはリポジトリ作成ユーティリティ(RCU)を使用してインストールします。RCUによりインストールされるスキーマの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Repository Creation Utilityユーザーズ・ガイド』を参照してください。
図3-4 OC4JとOracle WebLogic ServerにインストールされたOracle WebCenter
Oracle WebCenterをインストールして構成する際、WebCenterシステム・コンポーネントをサポートするよう拡張したOracle WebLogic Serverドメインを作成します。結果として、ディスク上のファイルは、WebCenterドメイン・ディレクトリ構造と、WebCenterコンポーネントのバイナリ・ファイルおよびサポート・ファイルを含むWebCenter Oracleホームの構成になります。WebCenter Oracleホームは、SOA Oracleホームと同様に、Middleware Oracleホーム内に作成する必要があります。
これは、Oracle Application Server 10g リリース3(10.1.3)のインストール時にOracleホームが単独で作成されていたことと対照的です。
図3-5は、Oracle SOA Suiteドメインのインストールおよび構成後のディレクトリ構造を示しています。
図3-5 Oracle Fusion Middleware WebCenterインストール後のディレクトリ構造