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Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite、WebCenterおよびADFアップグレード・ガイド
11g リリース1 (11.1.1)
B55926-03
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10 Oracle BPEL Process Managerアプリケーションのアップグレード

この章では、Oracle BPEL Process ManagerアプリケーションをOracle Fusion Middleware 11gにアップグレードする際に重要な追加情報について説明します。

Oracle SOA Suite、WebCenterおよびADFの各アプリケーションのアップグレード時に必要となる主なタスクは、第8章「Oracle SOA Suite、WebCenterおよびADFアプリケーションのアップグレードの概要」で説明しています。

次の各項では、Oracle BPEL Process ManagerのアプリケーションとプロジェクトをOracle Fusion Middleware 11gにアップグレードするために必要となる可能性のあるアップグレード・タスクについて説明します。

10.1 Oracle BPEL Process Managerアプリケーションの移行後の手動アップグレード・ステップ

次の各項では、Oracle JDeveloper 11gでOracle Application Server 10g Oracle SOA Suiteアプリケーションを開いた後に実行する必要のある一般的なアップグレード・タスクについて説明します。

これらのタスクは、Oracle JDeveloperの移行ウィザードで自動的にアップグレードされないアイテムを表しています。

10.1.1 外部参照のための不足しているバインディング情報の指定

この項では、Oracle JDeveloperで Oracle BPEL Process Managerプロジェクトをアップグレードした後に、不足しているバインディングに関するコンパイラの警告メッセージを修正する方法について説明します。

警告メッセージが生成される理由 アプリケーションのソース・プロジェクトが、Oracle Application Server 10g リリース3(10.1.3)Oracle BPEL Process ManagerまたはOracle Enterprise Service Bus(ESB)サービスに依存している場合、移行に先立って、Oracle JDeveloperの移行ウィザードにより抽象WSDLのローカル・コピーが作成されます。

抽象WSDLの定義には、サービスおよびポートのエンドポイント情報が不足しています。アップグレード中に、移行ウィザードによってサービス依存性の外部コンポジット参照が作成される際には、参照はバインディング情報なしで抽象参照として作成されます。

これらの抽象参照には、アップグレード・ログで警告メッセージのフラグが設定されます。アップグレード後にプロジェクトをコンパイルしようとすると、Oracle JDeveloperでコンポジットに抽象参照が含まれていることを示すコンパイル・エラーが生成されます。

10g リリース3(10.1.3)または11gの依存性サービスの使用 依存性ツリー上のすべてのサービスのアップグレードおよびデプロイメント・スケジュールに基づいて、10g リリース3(10.1.3)の依存性サービスを引き続き使用するか、依存性サービスをアップグレードして再デプロイするかを選択できます。

一般に、アップグレード処理を行う前に、ソース・プロジェクトとその依存性について理解しておくことをお薦めします。この分析により、アップグレードをスムーズに進めることができます。

再コンパイル中に検出されたバインディング・エラーの修正方法 抽象参照によるバインディング・エラーを修正するには、Oracle JDeveloper 11gのコンポジット・エディタで参照ノードを右クリックして、正しい具体的なWSDLを選択します。10g リリース3(10.1.3)の依存性サービスを引き続き使用することもできます。アップグレード・ログに記録される依存性サービス・エンドポイントURLの一部は、このステップで使用できます。

また、Oracle JDeveloper 11gでWSILブラウザ(リソース・パレット)を使用して依存性を再設計し、コンポジット・モデラーのUIからサービスを検出することもできます。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』を参照してください。

10.1.2 Oracle BPEL Process Managerテスト・スイートを使用した問題の修正

Oracle JDeveloperでのアップグレード中に、BPELテスト・スイートはコンポジット・テスト・スイートに変換されます。ただし、移行されるのはインスタンス開始アクションのみです。このため、コンポジット・テストでは、テスト実行のみが開始されます。その他のBPELベースのテスト・アクションは自動的に移行されないため、アップグレード後に手動で設定する必要があります。

11g環境でのテストの設定方法については、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』のSOAコンポジット・アプリケーションのテストに関する項を参照してください。

10.1.3 アップグレード後のOracle BPEL Process Managerデプロイメント・プランの使用方法

Oracle Application Server 10gでOracle BPEL Process Managerのユーザー・プロジェクトに対して設定したデプロイメント・プランおよび構成プランは、Oracle JDeveloper 11gでアップグレードされません。

Oracle Fusion Middleware11gでは、コンポジットにデプロイメント・プランとデプロイメント中の構成プランを付随させることができます。ただし、Oracle JDeveloperでアプリケーションを移行した後に、11gのデプロイメント・プランを手動で作成する必要があります。

11gで構成プランを作成する方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』の開発、テストおよび本番環境間でのSOAコンポジット・アプリケーションの移動に関する項を参照してください。

10.1.4 Oracle BPEL Process Managerプロジェクトのフォルト・ポリシーのアップグレード

Oracle JDeveloperで10gアプリケーションを開き、Oracle JDeveloperの移行ウィザードを使用してアプリケーションをアップグレードする場合、ユーザー・プロジェクトで設定したフォルト・ポリシーとバインディングは自動的に11gにアップグレードされません。

この理由は、次のとおりです。

  • Oracle BPEL Process Manager 10gでは、フォルト・ポリシーはサーバーとともに格納され、バインディングはサーバーとともに格納されるか、bpel.xmlに指定されます。Oracle BPEL Process Manager 11gでは、フォルト・ポリシーとフォルト・バインディングはOracle JDeveloper 11gプロジェクトに格納されます。

  • 一般に、Oracle BPEL Process Manager 11gのフォルト・ポリシーとバインディングは、以前のリリースのものとは異なります。たとえば、11gでは、ファイル名と構文が異なり、フォルト・ポリシーはOracle MediatorとOracle BPEL Process Managerの両方に適用され、バインディングは参照、コンポーネントおよびコンポジット・レベルで行われます。

このため、アプリケーションをアップグレードした後、Oracle JDeveloper 11gプロジェクトでフォルト・ポリシーとバインディングを手動で再作成する必要があります。

同様に、Oracle Enterprise Service Bus 10g リリース3(10.1.3)のプロジェクトを11gにアップグレードする場合は、esb_config.iniファイルで定義されている再試行パラメータを11gfault-policy.xmlファイルに追加する必要があります。

詳細は、次の項を参照してください。

  • 『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』のBPEL Processでのフォルト処理の使用に関する項

  • 『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』のMediatorのエラー処理の使用に関する項

10.1.5 BPELフォルダのない10gプロジェクトのアップグレード

アップグレードしている10g リリース3(10.1.3)アプリケーションに、BPELアーチファクトがプロジェクト内の独自のフォルダに分離されず、すべてのプロジェクト・アーチファクトが1つのフォルダに含まれているプロジェクトがある場合は、Oracle JDeveloperの移行ウィザードではそれらのアーチファクトをアップグレードできません。

この問題を回避するには、次のいずれかの手順を実行します。

  • プロジェクトをアップグレードする前に、Oracle JDeveloper 10gを使用してBPELフォルダを作成し、build.xmlおよびbuild.propertiesファイルを除くすべてのアーチファクトをそのフォルダに移動します。その後、プロジェクトのアップグレードを続行できます。

  • Oracle SOA Suiteコマンドライン・アップグレード・ツールを使用します。コマンドライン・ツールでは、プロジェクトにBPELフォルダがない場合でも、アーチファクトがアップグレードされます。詳細は、第9.3.7項「Oracle SOA Suiteコマンドライン・アップグレード・ツールの使用方法」を参照してください。

10.1.6 EJBへのWSIFバインディングを使用するプロジェクトのアップグレード後のステップ

Enterprise Java Bean(EJB)との通信にWSIFバインディングを使用するOracle SOA Suite 10gプロジェクトがある場合、プロジェクトを11gにアップグレードした後、いくつかの変更を加える必要があります。

たとえば、WSIFバインディングおよびEJBを使用するプロジェクトをアップグレードした後、WSIFバインディング・エラーによりプロジェクトを実行できなくなります。

このような問題に対処するために、通常、プロジェクトをOracle JDeveloper 11gにアップグレードした後、次のステップを実行する必要があります。

  1. composite.xmlファイルの<binding.wsif>エントリのプロパティを、Oracle WebLogic Serverの正しいJNDI関連プロパティに置換します。

    たとえば、BankTransferDemoアプリケーションというアプリケーションのOracle WebLogic Serverドメインに対して設定されている一般的なプロパティは次のとおりです。このアプリケーションは、以前Oracle Application Server 10g リリース3(10.1.3)にデプロイされました。

    <binding.wsif
       port="......."
       location="......">
        .
       <property name="jndiName">
           ejb/session/BankTransfer
       </property>
         .
       <property name="java.naming.factory.initial">
          weblogic.jndi.WLInitialContextFactory
       </property>
         .
       <property name="java.naming.provider.url">
         t3://[SERVER HOST NAME]:[SERVER PORT]
       </property>
         .
       <property name="java.naming.security.principal">
          [DOMAIN ADMIN USER NAME]
       </property>
         .
       <property name="java.naming.security.credentials">
          [DOMAIN ADMIN PASSWORD]
       </property>
        .
    </binding.wsif>
    
  2. 新しくアップグレードされた11gプロジェクトの次のディレクトリにEJBクラスをコピーします。

    SOA_JDEV_PROJECT_HOME/SCA-INF/classes/
    

Oracle JDeveloperを使用してOracle SOA Suiteアプリケーションを変更する方法の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』を参照してください。

10.2 Oracle BPEL Process Managerアプリケーションに関するその他の考慮事項

次の各項では、Oracle BPEL Process Managerアプリケーションをアップグレードした後に確認する必要のある、その他の考慮事項について説明します。

10.2.1 bpel.xmlデプロイメント・ディスクリプタの新しいプロパティと非推奨プロパティの確認

Oracle Application Server 10g リリース3(10.1.3)アプリケーションがbpel.xmlデプロイメント・ディスクリプタに格納されているプロパティを参照している場合は、これらのプロパティはcomposite.xmlデプロイメント・ディスクリプタ・ファイルで設定されるようになったことに注意してください。

composite.xmlデプロイメント・ディスクリプタで使用可能なプロパティの詳細と、Oracle Fusion Middleware 11gでサポートされなくなったプロパティに関する重要な情報については、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』のデプロイメント・ディスクリプタ・プロパティに関する項を参照してください。

10.2.2 Oracle BPEL Process Managerプロジェクトのユーザー定義(カスタム)XPath関数のアップグレード

Oracle JDeveloper 11gでアプリケーションを開いてアップグレードする場合、アプリケーション・プロジェクトのカスタムXPath関数は、自動的にアップグレードされません。

このため、アプリケーションをアップグレードした後、すべてのXPath関数クラスをサーバーのクラスパスにコピーし、サーバーの構成ファイルに関数を登録する必要があります。Oracle JDeveloperの移行ウィザードではサーバー情報を想定できないため、このステップは手動で行う必要があります。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』のユーザー定義XPath拡張関数の作成に関する項を参照してください。

10.2.3 複数のBPEL実装のサポートに関する変更

Oracle BPEL Process Manager 11gでは、複数の実装を含む単一のBPELファイルをアップグレードできません。

10g リリース3(10.1.3)の複数のプロジェクトを単一のBPEL実装ファイルに移行するには、各プロジェクトでBPELファイル名を変更する必要があります。各プロジェクトのbpel.xmlファイルで、bpelファイル名とデプロイメントID名も同じ名前に変更する必要があります。

アプリケーションをアップグレードする前に、bpel.xmlファイルと*.bpelファイルを確認してください。BPELファイル名とプロセス名が同じであることを確認し、bpel.xmlファイルでファイル名とデプロイメントID名が一致していることを確認してください。

10.2.4 非同期サービスで相関セットを使用するプロジェクトをアップグレードする場合のプロパティ・ファイル名の確認

非同期サービスで相関セットを使用するOracle BPEL Process Manager 10gプロジェクトを作成した場合は、Oracle BPEL Process Manager 10g リリース3(10.1.3)の開発者ガイドで説明されているように、相関セット・プロパティ・ファイルで次のような適切なネーミング規則が使用されていることを確認してください。

BPEL_FILE_NAME_Properties.wsdl

Oracle BPEL Process Manager 10gプロジェクトがこのファイルのネーミング規則に従っていない場合、プロパティは正しくアップグレードされません。ファイルのネーミング規則に従って名前を変更する必要がある場合は、プロパティのファイル名をインポートするwsdlファイルも更新してください。

10.2.5 transaction=participateプロパティを使用したプロジェクトのアップグレード

構成プロパティtransaction=participateを持つOracle BPEL Process Manager 10gプロジェクトを開いてアップグレードする場合、Oracle JDeveloper 11gでアプリケーションを開いたときに、このプロパティは11gに移行されません。この構成プロパティは、Oracle Fusion Middleware 11gではサポートされません。

partnerLinkバインディング・プロパティtransaction=participateを持つOracle BPEL Process Manager 10gプロジェクトを開いてアップグレードする場合、このプロパティはコール元で削除されます。コール先のプロジェクトには、bpel.config.transaction=requiredというプロパティ設定が必要となります。このコール元からコール先への設定の伝播はアップグレードによって実行されないため、アプリケーションをアップグレードした後、そのアプリケーションをOracle Fusion Middleware 11gにデプロイする前に手動で実行する必要があります。

10.2.6 Oracle BPEL Process Manager 11gでのドメイン・ディスクリプタ・プロパティの指定

Oracle BPEL Process Manager 10gでは、ドメインのプロパティをdomain.xmlディスクリプタ・ファイルに指定します。

Oracle BPEL Process Manager 11gでは、Oracle BPEL Process Managerエンジンのプロパティをbpel-config.xmlsoa-infra-config.xmlに指定します(両方ともMBeansとしてアクセスできます)。

表10-1は、Oracle BPEL Process Manager 10gおよびOracle BPEL Process Manager 10gで使用可能なドメイン・ディスクリプタ・プロパティを比較しています。

Oracle BPEL Process Manager 11gには、ドメインは1つのみです。つまり、これらのプロパティはサーバー全体に影響します。

表10-1 Oracle BPEL Process Manager 10gおよび11gでのドメイン・ディスクリプタ・プロパティ

Oracle BPEL Process Manager 10gのdomain.xmlファイル Oracle BPEL Process Manager 11gのMBeanプロパティ 説明

auditDetailThreshold

auditDetailThreshold

監査証跡とは別に保管される前に許可される、監査証跡詳細文字列の最大サイズ(バイト数)。

詳細文字列がしきい値より大きい場合は、監査証跡が最初に取得された時点ではロードされず、リンクが詳細文字列のサイズとともに表示されます。

通常、詳細文字列にはBPEL変数の内容が含まれます。この変数が非常に大きい場合、監査証跡に記録することによりパフォーマンスに大きな影響が及ぶ場合があります。10gのデフォルト値は50KBです。

auditLevel

auditLevel

プロセスによってログされる監査イベントの数を制御します。

現在サポートされているロギング・レベルは次のとおりです。

  • off: 一切のロギングは行われません。インスタンスの処理で、パフォーマンスがわずかに上昇することがあります。

  • minimal: すべてのイベントがログされますが、監査詳細はログされません。

  • production: すべてのイベントがロギングされます。アクティビティの割当ての監査詳細はロギングされません。すべての他のノードの詳細はロギングされます。

  • development: すべてのイベントがログされます。すべてのアクティビティの監査詳細がログされます。10gのデフォルト値はdevelopmentです。

bpelcClasspath

bpelcClasspath

サーバー・サイドBPELプロセス・コンパイラのクラスパスです。プロセス・コンパイラによってBPELプロセスが正常にコンパイルされるようにするために、(アーカイブにパッケージ化されていない)BPEL Java実行ノードによって使用されるすべてのユーザー固有のクラスまたはライブラリをここに指定する必要があります。

datasourceJndi

datasourceJndi

(soa-infra-config.xmlに移動)

ドメイン・データソースのJNDI名です。このデータソースは、任意のデータソースを参照できます(JTAは必要ありません)。

deliveryPersistPolicy

deliveryPersistPolicy

配信メッセージを持続するかどうかを変更します。配信メッセージには、起動メッセージ、コールバック・メッセージおよびサブスクリプション・メッセージが含まれます。

  • on: 配信メッセージを持続します。

  • off: 配信メッセージはメモリーでのみ保管されます。

  • off.immediate: 非同期プロセスにのみ適用可能です。インタフェースに関係なく、メッセージは同期に配信されます。10gのデフォルト値はonです。

dspEngineThreads

dspEngineThreads

プロセス・エンジン・ディスパッチャ・メッセージに割り当てられるスレッドの総数です。

エンジン・ディスパッチ・メッセージは、BPELエンジンでアクティビティが非同期的に処理される必要がある場合に生成されます。BPELサーバーでデプロイされるプロセスの大多数が、多数のデハイドレーション・ポイント(mid-process receive、onMessage、onAlarm、wait)で永続的である場合、エンジン・スレッド数を増やすことでパフォーマンスが大幅に向上する可能性があります。

スレッド数が多くなればなるほど、コンテキスト切替えコストが高くなるため、CPU使用率が大幅に増加する可能性があります。10gのデフォルト値は30スレッドです。1より小さい値は、自動的にデフォルト値に変更されます。

dspInvokeAllocFactor

なし

着信起動メッセージの処理がタスクになるアクティブ・スレッド数の割合です。スレッドはメッセージの処理が終了すると、現在のスレッド割当状況に応じて、エンジンまたは起動メッセージの処理が再度タスクになる場合があります。

このプロパティは、10g リリース3(10.1.3.4)でdspInvokeThreadsに置換されました。10.1.3.1.0のデフォルト値は0.4(40パーセント)です。

dspInvokeThreads

dspInvokeThreads

プロセス・エンジン・ディスパッチャ・メッセージに割り当てられるスレッドの総数です。エンジン・ディスパッチ・メッセージは、BPELエンジンでアクティビティが非同期的に処理される必要がある場合に生成されます。

BPELサーバーでデプロイされるプロセスの大多数が、多数のデハイドレーション・ポイント(mid-process receive、onMessage、onAlarm、wait)で永続的である場合、エンジン・スレッド数を増やすことでパフォーマンスが大幅に向上する可能性があります。スレッド数が多くなればなるほど、コンテキスト切替えコストが高くなるため、CPU使用率が大幅に増加する可能性があります。10gのデフォルト値は30スレッドです。1より小さい値は、自動的にデフォルト値に変更されます。

dspMaxThreads

なし

ピーク負荷時間にメッセージを処理することになるアクティブ・スレッドの最大数です。これは、ドメインのパフォーマンスを抑制する最も容易な方法です。最大値は、アプリケーション・サーバーまたはOSコンフィギュレーションによって決まります。このプロパティは、10.1.3.4.0でdsp(Engine|Invoke|System)Threadsに置換されました。10.1.3.1.0のデフォルト値は100スレッドです。

dspMinThreads

なし

ピーク負荷時間にメッセージを処理することになるアクティブ・スレッドの最小数です。現在のアクティブ・スレッドの数がこの数より少ない場合、新規スレッドを割り当てるかどうかを決定するとき負荷率は考慮されません。

このプロパティは、10.1.3.4.0でdsp(Engine|Invoke|System)Threadsに置換されました。10.1.3.1.0のデフォルト値は5スレッドです。

dspSystemThreads

dspSystemThreads

プロセス・システム・ディスパッチャ・メッセージに割り当てられるスレッドの総数です。システム・ディスパッチ・メッセージは、通常、サーバーにより迅速に処理される一般的なクリーン・アップ・タスクです(たとえば、ステートフル・メッセージBeanを元のプールに解放)。

通常、実行時に生成されたシステム・ディスパッチ・メッセージの数を処理するために必要なスレッド数はごく少数です。10gのデフォルト値は2スレッドです。1より小さい値は、自動的にデフォルト値に変更されます。

expirationMaxRetry

expirationMaxRetry

失敗した期限切れコール(wait/onAlarm)が失敗する前に再試行される最高回数です。期限切れコールがターゲットにしているアクティビティまたはインスタンスが見つからない場合、コールはもう一度再スケジュールされます。10gのデフォルトは5です。

expirationRetryDelay

expirationRetryDelay

失敗した期限切れコールを再スケジュールするまでに待機する時間です。10gのデフォルト値は120秒です。

instanceKeyBlockSize

instanceKeyBlockSize

1回のフェッチごとにデハイドレーション・ストアから割り当てられるインスタンスIDのブロック・サイズです。インスタンス化されたインスタンスのインスタンスIDは、デハイドレーション・ストアから事前に割り当てられ、メモリー内に保持されます。

メモリー内のインスタンスIDがすべて使い果たされると、次のリクエストによりデハイドレーション・ストアから次のブロックが取得されます。一般に、ブロック・サイズが大きいほど、インスタンスIDのフェッチがエンジンのパフォーマンス全体に与える影響は小さくなります(ブロック割当てコストが多数のインスタンスで償却されるため)。

ブロック・サイズが大きいことの唯一の短所は、クラスタ化されたインストールでインスタンス間にギャップがあること(各ノードがインスタンスIDのメモリー内ブロックを個別に持つため)、およびエンジンのシャットダウン時にブロックがすべて使用されていない場合にインスタンスIDが無駄になることです。10gのデフォルト値は10000です。

largeDocumentThreshold

largeDocumentThreshold

BPEL変数が、残りのインスタンス・スコープ・データから分離した場所に保管される前に許可される最大サイズ(バイト数)です。

XMLドキュメントのサイズが大きいと、これらのドキュメントがインスタンス上の処理を実行するとき常に読込みおよび書出しされる場合、BPELサーバー全体のパフォーマンスに大きな影響を与えます。

この変数を記述して記憶域を分けることにより、パフォーマンスの影響は変数が明示的にBPELアクティビティで使用されるときに限定されます。10gのデフォルト値は50KBです。

minBPELWait

minBPELWait

BPELが待機する最大時間です。この時間より短い待機時間は考慮されず、基本的に完全にスキップされます。10gのデフォルト値は2秒です。

processCheckSecs

なし

プロセス・コンテナが最後にBPELアーカイブをチェックした後、再びチェックするまでに待機する秒数です。

このチェックとは、特定のプロセスについて、BPELアーカイブの最終変更タイム・スタンプをチェックすることを表します。指定した秒数が経過し、最終チェック後にBPELアーカイブ・ファイルが変更されている場合は、新しいアーカイブからプロセスがリフレッシュされます。失効チェックの最終実行時から十分な時間が経過していない場合は、現在ロードされているプロセス・クラスが使用されます。

プロセス・チェックを無効にするには、値-1を使用します。この場合、プロセスがロードされた後、コンテナは同じプロセスの新しいバージョンがデプロイされているかどうかをチェックしません。10gのデフォルト値は1秒です。SOAインフラストラクチャではHTTPのみを使用してデプロイメントを処理されるため、このプロパティは11gには関連しません。

statsLastN

statsLastN

ごく最近処理されたリクエスト・リストのサイズです。各リクエストが終了した後で、そのリクエストの統計がリストに保管されます。

値が0以下の場合、統計収集が無効になります。注意: このオプションを有効にすると、エンジンの処理能力がわずかに影響を受けることがあります。適度な値をnに選択してください(1000が推奨値です)。

syncMaxWaitTime

syncMaxWaitTime

プロセス結果レシーバが戻るまでに結果を待機する最大時間です。非同期BPELプロセスからの結果は、コンテナからの結果を待機するレシーバによって同期に取得されます。10gのデフォルト値は45秒です。

txDatasourceJndi

txDatasourceJndi(soa-infra-config.xmlに移動)

ドメイン・トランザクション・データソースのJNDI名です。JTAサポートでは、このデータソースを設定する必要があります。

uddiLocation

oracle.soa.uddi.registry.inquiryUrl(soa-infra-config.xmlに移動)

UDDIバージョン3対応レジストリの照会URLです。

uddiPassword

oracle.soa.uddi.registry.password(soa-infra-config.xmlに移動)

UDDIが保護されている場合に、パスワードを指定します。

uddiUsername

oracle.soa.uddi.registry.username(soa-infra-config.xmlに移動)

UDDIが保護されている場合に、ユーザー名を指定します。

validateXML

validateXML

trueに設定すると、エンジンは着信および発信XMLドキュメントにスキーマ検証を適用します。10gのデフォルト値はfalseです。


10.2.7 複数のOracle BPEL Process Managerドメインを使用するアプリケーションのアップグレード

複数のOracle BPEL Process Managerドメインを使用してOracle Application Server 10g BPELプロジェクトを開発およびデプロイした場合、Oracle Fusion Middleware 11gは複数のBPELドメインをサポートしていないことに注意してください。

Oracle Application Server 10gで複数のドメインを使用している場合、Oracle Fusion Middleware 11gにアップグレードする際に次の2つのオプションがあります。

  • 複数のOracle SOA Suite Oracle WebLogic Serverドメインをインストールおよび構成できます。その後、各Oracle BPEL Process Manager 10gドメインを個別のOracle WebLogic Serverドメインにマップできます。

  • すべてのOracle BPEL Process Managerプロジェクトを単一のOracle SOA Suite Oracle WebLogic Serverドメインにデプロイできます。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite and Oracle Business Process Management Suiteインストレーション・ガイド』を参照してください。

10.2.8 アップグレード前のプロセスID、プロジェクト名およびBPELファイル名表記規則の確認

BPELプロジェクトをOracle SOA Suite 11gにアップグレードする前に、bpel.xmlファイルのプロセスID、BPELプロジェクトの名前およびBPELファイルの名前がすべて同じ値であることを確認します。この確認を行わないと、Oracle JDeveloper 11gでプロジェクトをアップグレードする際にエラーが発生したり、プロジェクトの一部の要素が正しくアップグレードされない可能性があります。

10.2.9 XPath関数のOracle BPEL Process Manager 11gネームスペース接頭辞の確認

Oracle SOA Suite 10gで使用されているXPath関数のネームスペース接頭辞がOracle SOA Suite 11gで変更されている場合があります。その結果、アップグレードされたアプリケーションでXPath関数を使用しようとしたときに「関数が見つかりません」というエラーが発生することがあります。

たとえば、Oracle BPEL Process Managerアプリケーションで10gora:parseXML()関数が使用されていた場合、次のエラーが発生する可能性があります。

"Function of name: ora:parseXML not found. please check the spelling and try gain"

この例では、parseXML関数のネームスペース接頭辞がOracle SOA Suite 11gではoraext:parseXMLに変更されています。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』の付録「XPath拡張関数」のparseXMLに関する項を参照してください。

10.2.10 複数のタスクがあるOracle BPEL Process Managerプロジェクトのアップグレード

Oracle SOA Suite 10gでは、Oracle BPEL Process Managerプロジェクトに同じパートナ・リンクを呼び出す複数のタスクを含めることができました。

例10-1は、同じパートナ・リンクを呼び出す2つのタスクを定義する10gのコンポジット・アプリケーションの例を示しています。このようなアプリケーションを11gにアップグレードしようとすると、Oracle JDeveloperではプロジェクトのコンパイル時にエラーが生成されます。

この問題に対処するには、アプリケーションのアップグレード前または後に、各タスクで一意のパートナ・リンクを呼び出すようにOracle JDeveloper 11gでプロジェクトを変更する必要があります。

詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite開発者ガイド』のパートナ・リンクの作成に関する項を参照してください。

例10-1 同じパートナ・リンクを使用する複数のタスクがあるOracle BPEL Process Manager 10gプロジェクト

<partnerLink myRole="TaskServiceCallbackListener" name="TaskService"
                  partnerRole="TaskService"
 .
  .
  .
  <invoke name="initiateTask_MainTask_1" partnerLink="TaskService"
                     portType="taskservice:TaskService"
                     operation="initiateTask"
                     inputVariable="initiateTaskInput"
                     outputVariable="initiateTaskResponseMessage">
               <correlations>
                     <correlation initiate="yes" set="WorkflowTaskIdCor"
                              pattern="in"/>
               </correlations>
 </invoke>
  .
  .
  .
 <invoke name="initiateTask_SubTask_1"
                             partnerLink="TaskService"
                             portType="taskservice:TaskService"
                             operation="initiateTask"
                             inputVariable="initiateTaskInput"
                             outputVariable="initiateTaskResponseMessage">
  .
  .
  .
</invoke>