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Oracle Fusion Middleware Oracle SOA Suite、WebCenterおよびADFアップグレード・ガイド
11g リリース1 (11.1.1)
B55926-03
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16 その他のOracle WebCenterアップグレードの詳細

この章では、アプリケーションのアップグレード中にOracle JDeveloper 11gのアップグレード・ユーティリティによりWebCenter 10.1.3.xアプリケーションに自動的に加えられる変更について説明します。また、事前構成したポートレット・プロデューサのカスタマイズ内容の保存先を変更する方法についても説明します。

この章では、次の項目について説明します。

16.1 アップグレード後のWebCenterアプリケーションの自動変更

WebCenter 10.1.3.xアプリケーションをOracle WebCenter 11gにアップグレードするには、JDeveloper 11gを使用します。アプリケーションのアップグレード中は、JDeveloper 11gのアップグレード・ユーティリティにより、カスタマイズ可能なコンポーネント、外部アプリケーションおよびポートレット・コンポーネントなどに関連する変更が自動的に加えられます。

この項では、次の変更について説明します。

16.1.1 カスタマイズ可能コンポーネントの変更

WebCenterアプリケーションでは、ユーザーが実行時にカスタマイズできるコンポーネントをOracle Composerを使用してページに追加できます。Oracle Composerでは、Panel CustomizableやShow Detail Frameなど、ページのパーソナライズとカスタマイズのためのコンポーネントをアプリケーションに追加できます。

カスタマイズ可能コンポーネントが使用されているWebCenter 10.1.3.xアプリケーションのアップグレード中、JDeveloperでは、Oracle WebLogic Server上で稼働するアプリケーションを準備する、カスタマイズ可能コンポーネントに関連する様々な変更が自動的に加えられます。次のような変更が加えられます。

  • 一般的な変更

  • Panel Customizableの変更

  • Show Detail Frameの変更

16.1.1.1 一般的な変更

WebCenterアプリケーションをアップグレードする際、JDeveloperでは、アプリケーションに次のような一般的な変更が加えられます。

  • JSPXファイルのカスタマイズ可能コンポーネントのネームスペースの名前が変更されます。

    変更前: http://xmlns.oracle.com/adf/faces/customizable

    変更後:

    http://xmlns.oracle.com/adf/faces/customizable/html

  • web.xmlから次のエントリが削除されます。

    • コンテキスト・パラメータoracle.mds.web-app-root

    • フィルタmdsFilter

    • mdsFilterのフィルタ・マッピング

    • サーブレットjsp2jsp2のサーブレット・マッピングおよびリソース・プロキシ

  • Javaカスタマイズ可能コンポーネント・ライブラリが削除され、WebCenterカスタマイズ可能コンポーネント・ライブラリが追加されます。

  • 古いカスタマイズ可能コンポーネント・タグ・ライブラリが削除され、新しいバージョンのカスタマイズ可能コンポーネント(HTML)が追加されます。

  • Javaファイルにインポート文および宣言がある場合、Panel Customizableのクラス名がoracle.adf.view.html.component.customizable.PanelCustomizableに変更されます。

  • Javaファイルにインポート文および宣言がある場合、Show Detail Frameのクラス名がoracle.adf.view.html.component.customizable.ShowDetailFrameに変更されます。

16.1.1.2 Panel Customizableの変更

Panel Customizableコンポーネントは、実行時にカスタマイズできるOracle ADFコンポーネント、タスク・フローおよびポートレットのグループを格納するためのコンテナです。WebCenterアプリケーションをアップグレードするときに、Oracle WebCenter 11gでサポートされていない様々なPanel Customizable属性がJDeveloperによって削除されます。表16-1は、アップグレード後のWebCenterアプリケーションで変更されるPanel Customizable属性を示しています。

表16-1 アップグレード後のWebCenterアプリケーションで変更されるPanel Customizable属性

属性 アップグレード後のWebCenterアプリケーションでの属性の使用可能性

DisplayHeader

ExpansionMode

Text

Icon

IsSeededInteractionAvailable

IsMinimizable

IsMaximizable

IsMovable

IsShowContentEnabled

ContentInlineStyle

DisclosureListener

Background

isEditable

isHelpAvailable

削除されます。

これらの属性はすべて、アップグレード後のWebCenterアプリケーションから削除されます。Panel Customizableのヘッダーはサポートされなくなりました。このため、DisplayHeader、およびExpansionModeTextなどの使用可能なヘッダーに依存するその他の属性も削除されます。

DisplayScrollBar

削除されます。

ただし、Panel Customizableのコンテンツ領域にスクロール・バーを表示するには、ScrollLayout属性を設定します。

Width

Height

非推奨。

Width属性およびHeight属性の使用は推奨されていません。Panel Customizableの幅と高さを指定するには、inlineStyle属性を使用することをお薦めします。たとえば、inlineStyle="width:300px;height:500px;"と設定します。


例16-1は、WebCenter 10.1.3.xアプリケーションのソース・ビューに表示されたPanel Customizableのサンプル・コードです。

例16-1 WebCenter 10.1.3.xアプリケーションのPanel Customizableのコード

<cust:panelCustomizable id="panelCustomizable1"
  text="panelCustomizable 1"
  displayHeader="true" 
  isMaximizable="true"
  isMinimizable="true"
  width="100%"
  height="50px">
  displayScrollBar="auto"
  isShowContentEnabled="true"/>

例16-2は、WebCenter 10.1.3.xアプリケーションがOracle WebCenter 11gにアップグレードされた後のPanel Customizableのサンプル・コードです。isMinimizabledisplayHeaderなどの属性がPanel Customizableコードから削除されています。

例16-2 WebCenter 11gアプリケーションのPanel Customizableのコード

<cust:panelCustomizable id="panelCustomizable1" 
xmlns="http://xmlns.oracle.com/adf/faces/customizable/html"/>

16.1.1.3 Show Detail Frame

Show Detail Frameコンポーネントは、WebCenterアプリケーション・ページ上の子コンポーネントの周囲に境界線またはクロムを表示します。「アクション」メニューのあるヘッダーが作成され、そこに含まれるユーザー・インタフェース(UI)コントロールを使用して子コンポーネントの表示をカスタマイズできるようになります。表16-2は、WebCenterアプリケーションをアップグレードしたときに、JDeveloperによってShow Detail Frameコンポーネントの属性に加えられる変更を示したものです。

表16-2 アップグレード後のWebCenterアプリケーションのShow Detail Frameの属性に加えられる変更

属性 説明

isMaximizable

この属性はアップグレード後のアプリケーションから削除されます。

isSeededInteractionAvailable

IsSeededInteractionAvailable=trueは次のように移行されます。

  • showMoveAction=menu

  • showMinimizeAction=chrome

  • showRemoveAction=chrome

IsSeededInteractionAvailable=falseは次のように移行されます。

  • showMoveAction=none

  • showMinimizeAction=none

  • showRemoveAction=none

isMovable

この属性は、名前がshowMoveActionに変更されます。isMovable=None|Menuはそれぞれ、showMoveAction=none|menuに変更されます。

isMinimizable

この属性は、名前がshowMinimizeActionに変更されます。isMinimizable=false|trueはそれぞれ、showMinimizeAction=none|chromeに変更されます。

expansionMode

expansionMode=maximizedの場合、移行後のアプリケーションからこの属性は削除されます。値がnormalまたはminimizedの場合、属性は維持されます。

ContentInlineStyle

この属性は、名前がInlineStyleに変更されます。


例16-3は、WebCenter 10.1.3.xアプリケーション・ページのソース・ビューに表示されたShow Detail Frameのサンプル・コードです。例16-4は、このアプリケーションがOracle WebCenter 11gにアップグレードされた後の、Show Detail Frameのサンプル・コードです。isMaximizableが削除され、isSeededInteractionAvailableisMinimizableisMovableおよびContentInlineStyle属性の名前が変更されています。

例16-3 WebCenter 10.1.3.xアプリケーションのShow Detail Frameのコード

<cust:showDetailFrame id="showDetailFrame1" 
  text="showDetailFrame 1"
  isSeededInteractionAvailable="false"
  isMaximizable="false"
  isMinimizable="true"
  isMovable="true">
  contentInlineStyle="background-color:rgb(0,255,255)"/>

例16-4 WebCenter 11gアプリケーションのShow Detail Frameのコード

<cust:showDetailFrame id="showDetailFrame1" 
  text="showDetailFrame 1"
  displayActions="never"
  showMoveAction="none"
  showMinimizeAction="none"
  contentStyle="background-color:rgb(0,255,255)"
  xmlns="http://xmlns.oracle.com/adf/faces/customizable/html"/>

16.1.2 外部アプリケーションの変更

外部アプリケーションは、ポートレット・プロデューサに関連付けることができます。Oracle WebCenter Frameworkでは、外部アプリケーションは独自の認証プロセスを実装したアプリケーションとして定義されます。つまり、外部アプリケーションはOracle WebCenter Frameworkアプリケーションのシングル・サインオン・プロセスには含まれません。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenterのための開発者ガイド』の外部アプリケーションの使用に関する項を参照してください。

この項には次のサブセクションがあります。

16.1.2.1 Oracle Application Server 10gとOracle Fusion Middleware 11g間の外部アプリケーションの変更の概要

Oracle Application Server 10gと比較してみると、Oracle Fusion Middleware 11gへの移行で外部アプリケーションの一部が変更されることがわかります。Oracle Fusion Middleware 11gでは、外部アプリケーションで共有資格証明とパブリック資格証明の指定が必要になります。外部アプリケーションでは、内部名(外部アプリケーションの識別子で、作成後の変更不可)と表示名(変更可能)の定義も必要になります。別の識別に関する機能として、Oracle Application Server 10gの外部アプリケーションではメタデータ・サービス(MDS)を使用してメタデータを格納していましたが、Oracle Fusion Middleware 11gでは、コンテンツ・リポジトリ接続などのサービスに類似した接続として外部アプリケーションが格納されます。

表16-3は、Oracle Application Server 10.1.3.xとOracle Fusion Middleware 11gの外部アプリケーションの識別関連の属性を比較したものです。この表の、nameExtAppIdおよびGUIDの属性の値はサンプルの値です。

表16-3 Oracle Application Server 10.1.3.xおよびOracle Fusion Middleware 11gの外部アプリケーションの識別関連の属性

外部アプリケーションの属性 Oracle Application Server 10.1.3.xのサンプル属性値 Oracle Fusion Middleware 11gのサンプル属性値

Name

app1

app1(外部アプリケーションの表示名としても使用される)

extAppId

/oracle/adf/externalApps/extApp9213895574200898560.xml

app1

SharedCredEnabled

サポートされていない属性

False

PublicCredEnabled

サポートされていない属性

False

loginEnabled

サポートされていない属性

True

GUID

サポートされていない属性

ExtAppbc638395-2860-41ae-a9ff-edfc6b79110f


16.1.2.2 外部アプリケーションのアップグレードに関する変更

WebCenter 10.1.3.xアプリケーションが外部アプリケーションに依存している場合、そのアプリケーションのアップグレード時に、関連する外部アプリケーションも自動的にアップグレードされます。たとえば、外部アプリケーションに依存するPDK-Javaプロデューサを使用したWebCenter 10.1.3.xアプリケーションをアップグレードすると、その外部アプリケーションも自動的にアップグレードされます。WebCenterアプリケーションのアップグレード中、アップグレード・ユーティリティによって、外部アプリケーションに対して次のタスクが実行されます。

  • 10.1.3.xの外部アプリケーションの名前が、アップグレード後のアプリケーションの内部名(ExtAppId)として使用されます。

  • プロデューサのメタデータが新しい外部アプリケーションIDで更新されます。ポートレット・プロデューサのメタデータ内では、新しいIDで外部アプリケーションが参照されます。

  • 外部アプリケーションのメタデータが、WebCenterアプリケーションのadf-config.xmlで設定されているMDSストアからconnections.xmlに移行されます。

  • 外部アプリケーション・ポートレットを含むプロジェクトに、自動ログイン構成が追加されます。

  • 表16-3に記載された新しい属性が、アップグレード後の外部アプリケーションに追加されます。

  • 外部アプリケーション・ポートレットを含むプロジェクトに設定されている資格証明プロビジョニング・ページと、各プロジェクトに定義されているマネージドBeanおよびナビゲーション・ルールが削除されます。Oracle Fusion Middleware 11gでは、資格証明プロビジョニング・ページが外部アプリケーション・ライブラリにパッケージ化されます。

  • 外部アプリケーション・ライブラリを設定します(WebCenter外部アプリケーション・サービスとWebCenter外部アプリケーション・サービス・ビュー)。

16.1.3 ポートレット・コンポーネントの変更

ポートレットを使用するWebCenterアプリケーションをアップグレードする際、JDeveloperではアップグレード後のアプリケーション内で、ポートレット・タグに関連する様々な変更が自動的に加えられます。

16.1.3.1 ポートレット・タグの変更

WebCenter 10.1.3.xアプリケーションでは、adfp:portletタグはhttp://xmlns.oracle.com/adf/faces/portletネームスペース内のポートレットを示します。

WebCenter 11gアプリケーションでは、ポートレット・タグはTrinidad HTMLポートレット・タグに変換されます。adfp:portletポートレット・タグはhttp://xmlns.oracle.com/adf/faces/portlet/htmlネームスペースのadfph:portletに移行されます。

16.1.3.2 属性変更

表16-4は、ポートレットを含むアップグレード後のWebCenterアプリケーションで名前を変更、または削除される属性を示したものです。

表16-4 ポートレットを含むアップグレード後のWebCenterアプリケーションでの属性変更

属性 アップグレード後のアプリケーションの変更

isSeededInteractionAvailable

この属性は、名前がdisplayActionsに変更されます。isSeededInteractionAvailable=false|trueはそれぞれ、displayActions=onHover|alwaysに変更されます。

isMinimizable

この属性は、名前がshowMinimizeActionに変更されます。isMinimizable=false|trueはそれぞれ、showMinimizeAction=none|chromeに変更されます。

isMaximizable

この属性は、名前がshowMaximizeActionに変更されます。この変更は、HTMLポートレットにのみ適用されます。リッチ・テキスト・ポートレットには使用できません。isMaximizable=false|trueはそれぞれ、showMaximizeAction=none|chromeに変更されます。

isMovable

この属性は、名前がshowMoveActionに変更されます。isMovable=False|Trueはそれぞれ、showMoveAction=none|menuに変更されます。

contentInlineStyle

この属性は、名前がInlineStyleに変更されます。

text

この属性は、名前がtitleに変更されます。

portletType

この属性は削除されます。

isLinkModeAvailable

この属性は削除されます。

showRemoveAction

この属性はHTMLポートレットから削除されます。Oracle WebCenter 11gでは、この属性はリッチ・テキスト・ポートレットにのみ適用できます。

expansionMode

JDeveloper 11gでは、この属性に使用できる値はnormalおよびminimizedです。WebCenter 10.1.3.xアプリケーションでは、この値がmaximizedに設定されると、属性がアップグレード後のアプリケーションから削除されます。


16.2 コンテンツ統合接続: 外部アプリケーションへの資格証明の移行

Oracle WebCenterのコンテンツ統合機能では、Oracle Content Server、Oracle Portal、ファイル・システムなどの各種のコンテンツ・リポジトリに分散するコンテンツを、WebCenterアプリケーションに統合できます。このセクションでは、Oracle WebCenter 10.1.3.xおよびOracle WebCenter 11gアプリケーションでサポートされている認証方法について説明します。また、WebCenter 10.1.3.xアプリケーションをアップグレードする際の、コンテンツ・リポジトリ接続に使用する外部アプリケーションへの資格証明の移行方法についても説明します。

コンテンツ・リポジトリのコンテンツをWebCenterアプリケーションに統合するときには、そのリポジトリへの接続を作成する必要があります。Oracle WebCenter 11gでは、コンテンツ・リポジトリ接続を作成するときに、認証方法を次のいずれかに設定できます。

Oracle WebCenter 10.1.3.xでは、コンテンツ・リポジトリ接続の認証方法はJAASセキュリティに指定された設定で決定します。ユーザーのアイデンティティをリポジトリに転送し、資格証明を渡さずにWebCenterアプリケーションとコンテンツ・リポジトリ間の信頼関係を利用することを選択する場合は、「セキュリティにJAASを使用」チェック・ボックスを選択します。JAASセキュリティを使用しない場合、資格証明を指定して、このチェック・ボックスの選択を解除する必要があります。

図16-1は、JAASセキュリティを使用しないWebCenter 10.1.3.xアプリケーションのコンテンツ・リポジトリ接続の詳細を示しています。図16-1では、「セキュリティにJAASを使用」チェック・ボックスの選択が解除されており、「ユーザー名」「パスワード」フィールドで資格証明が指定されています。

図16-1 WebCenter 10.1.3.xアプリケーションの認証方法

図16-1の説明が続きます
「図16-1 WebCenter 10.1.3.xアプリケーションの認証方法」の説明

JAASセキュリティを使用しているWebCenter 10.1.3.xアプリケーション(「セキュリティにJAASを使用」チェック・ボックスが選択されている)をアップグレードすると、アップグレード後のアプリケーションの接続の認証方法として、「アイデンティティ伝播」が自動的に設定されます。(「セキュリティにJAASを使用」機能は「アイデンティティ伝播」と同じものです。)

「セキュリティにJAASを使用」チェック・ボックスが選択されていないWebCenter 10.1.3.xアプリケーションの場合、アプリケーションのアップグレード時に認証方法として「外部アプリケーション」が設定されます。さらに、10.1.3.xのコンテンツ・リポジトリ接続で使用されていた資格証明を使用して、パブリック資格証明を持つ新しい外部アプリケーションが自動的に作成されます。図16-2は、アップグレード後のアプリケーションのコンテンツ・リポジトリ接続の詳細を示しています。認証方法として「外部アプリケーション」が選択されていて、アップグレード後のアプリケーションに新しい外部アプリケーションが作成されています。図16-3は、新しく作成された外部アプリケーションにパブリック資格証明が自動的に指定されているところを示しています。

図16-2 アップグレード後のアプリケーションのコンテンツ・リポジトリ接続の構成

図16-2の説明が続きます
「図16-2 アップグレード後のアプリケーションのコンテンツ・リポジトリ接続の構成」の説明

図16-3 外部アプリケーションに指定されたパブリック資格証明

図16-3の説明が続きます
「図16-3 外部アプリケーションに指定されたパブリック資格証明」の説明


注意:

アプリケーションに資格証明を使用するコンテンツ・リポジトリ接続があり、アップグレード中に資格証明ストアからの資格証明の取得、または外部アプリケーションの作成に問題がある場合は、アップグレード後のコンテンツ・リポジトリ接続を編集する必要があります。コンテンツ・リポジトリ接続の編集ウィザードでは、認証方法として「外部アプリケーション」を選択し、必要な資格証明で外部アプリケーションを作成する必要があります。

16.3 事前構成されたポートレット・プロデューサ: カスタマイズ内容の保存先

デフォルトでは、事前構成されたポートレット・プロデューサに関連するカスタマイズ内容はOracle WebCenter 11g内の次の場所に保存されます。

11g_jdev_install_dir/jdeveloper/portal/portletdata

別の場所にポートレットのカスタマイズ内容を保存することもできます。この項では、事前構成した様々なポートレット・プロデューサのカスタマイズ内容の保存先を変更する方法について説明します。次のサブセクションがあります。

16.3.1 WSRPポートレット・プロデューサ

WSRPポートレット・プロデューサのポートレットのカスタマイズ内容の保存先としてファイルのプリファレンス・ストアを指定するには、次のエントリを使用してプロデューサのWEB-INF/web.xmlを更新します。

<env-entry>
    <env-entry-name>oracle/portal/wsrp/server/fileStoreRoot</env-entry-name>
    <env-entry-type>java.lang.String</env-entry-type>
    <env-entry-value>{YOUR_PORTLET_DATA_PATH}</env-entry-value>
</env-entry> 

YOUR_PORTLET_DATA_PATHは、ポートレットのカスタマイズ内容の保存先のパスです。

WSRPポートレット・プロデューサでデータベースのプリファレンス・ストアを使用する場合は、データベースのプリファレンス・ストアを設定する必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenterのための開発者ガイド』のプリファレンス・ストアの設定に関する項を参照してください。

16.3.2 Webクリッピング・ポートレット・プロデューサ

Webクリッピング・カスタマイズ内容の保存先を指定するには、mds-config.xmlで次のエントリを更新します。

<property name="metadata-path" value="{YOUR_PORTLET_DATA_PATH}"/> 

Webクリッピング・ポートレット構成の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenterのための開発者ガイド』のWebクリッピング・ポートレット構成のヒントに関する項を参照してください。

16.3.3 OmniPortletおよびその他のPDK-Javaポートレット・プロデューサ

OmniPortletについては、provider.xmlにカスタマイズ内容の保存先を指定します。ファイルはFusion Middleware 11gインストールの次の場所にあります。

MW_HOME/user_projects/domains/wc_domain/servers/WLS_Portlet/tmp/_WL_user/portalTools_11.1.1.2.0/RANDOMLY_GENERATED_DIRECTORY/war/WEB-INF/providers/omniPortlet/provider.xml

ヒント:

OmniPorletのprovider.xmlを検索するには、Oracle WebLogic Serverのインストール・ディレクトリでomniPortlet/provider.xmlを検索します。

OmniPortletポートレット・プロデューサのポートレットのカスタマイズ内容の保存先としてファイルのプリファレンス・ストアを指定するには、provider.xmlの次のエントリを更新します。

<preferenceStore class="oracle.webdb.reformlet.ReformletFilePreferenceStore">
    <name>omniPortletprefStore</name>
    <useHashing>true</useHashing>
    <rootDirectory>{YOUR_PORTLET_DATA_PATH}</env-entry-value</rootDirectory>
</preferenceStore>

その他のPDK-Javaポートレット・プロデューサについても、ファイル・プリファレンスの保存先を同様に変更できます。

OmniPortletおよびその他のPDK-Javaポートレット・プロデューサにデータベースのプリファレンス・ストアを使用する場合は、データベースのプリファレンス・ストアを設定する必要があります。詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebCenterのための開発者ガイド』のプリファレンス・ストアの設定に関する項を参照してください。

16.3.4 OmniPortletリポジトリの変更

Oracle WebCenter 11gでは、OmniPortletの接続詳細はOracle Platform Security Service(OPSS)資格証明ストアに格納されます。以前のバージョンのOracle WebCenterでは、OmniPortletの接続詳細はWebクリッピング・リポジトリに格納されます。OmniPortletを含むOracle WebCenterアプリケーションをアップグレードし、アップグレード後に初めてOmniPortletを実行すると、OmniPortletの接続詳細がWebクリッピング・リポジトリから自動的に移行されます。OmniPortletを初めて実行する場合は、OmniPortletテスト・ページにアクセスするか、アプリケーション・ページにOmniPortletインスタンスを表示します。アップグレード・プロセスはOracle WebLogic Serverのログ・ファイルに記録されます。アプリケーションのアップグレード後、OmniPorletのprovider.xmlでは、vaultIdタグが接頭辞MIGRATED_FROM_VAULT_ID_old_vault_idでマークされます。

アプリケーションのアップグレード中にエラーが発生した場合、アップグレード手順の再実行が必要になる可能性があります。たとえば、Webクリッピング・リポジトリが使用できないためにアプリケーションのアップグレードに失敗した場合、データベースが稼働していることを確認してから、アプリケーションを再びアップグレードする必要があります。

OmniPortletを含むアプリケーションのアップグレード手順を再実行する手順は、次のとおりです。

  1. OmniPorletのprovider.xmlから、MIGRATED_FROM_VAULT_ID_old_vault_id接頭辞を削除します。

  2. OmniPortletプロデューサを再起動します。

  3. 次のURL書式を使用しOmniPortletテスト・ページにアクセスします。

    http://host:port/portalTools/omniPortlet/providers/omniPortlet
    

    hostおよびportは、Oracle WebCenterをインストールしたシステムのホスト名およびポート番号を表します。

16.4 JSR 168ポートレット・プロデューサのJSR 286への移行: ポートレット要素の処理

JDeveloper 11gでは、JSR 168ポートレットが含まれる既存のポートレット・プロデューサ・アプリケーションを初めて開く場合、ポートレットはJSR 286に準拠するよう自動的にアップグレードされます。

10gポートレット・プロデューサ・アプリケーションにアップグレードすると、WebCenterマイグレータによってoracle-portlet.xmlが削除され、portlet.xmlにアップグレードされます。oracle-portlet.xmlに格納されているナビゲーション・パラメータがパブリック・レンダラ・パラメータに変換され、portlet.xmlに追加されます。weblogic-portlet.xmlが存在する場合は、そのまま保持されます。

JSR 168ポートレット・プロデューサ・アプリケーションのJSR 286への移行は完全に自動化され、追加の手順を手動で実行する必要はありません。ただし、移行中にログ・パネルに表示される警告に基づいて、ポートレットに変更を加える場合があります。次の表は、JSR 168ポートレット・プロデューサ・アプリケーションのoracle-portlet.xmlファイルの様々なパラメータが、JSR 286ポートレット・プロデューサ・アプリケーションのportlet.xmlで処理される方法を示しています。

表16-5 ポートレット・プロデューサ・アップグレード中のoracle-portlet.xmlのportlet-app-extension要素の処理

portlet-app-extension要素 XML型 JSR286準拠アップグレード済アプリケーションのportlet.xmlの要素の処理

<export-size-limit>

int

無視されます。

<allow-export>

boolean

同じブール値を持つポートレット・アプリケーション・レベルのcom.oracle.portlet.allowWsrpExportコンテナ実行時オプション(CRO)に変換されます。

<allow-import>

boolean

無視されます。

<allow-copy-portlets>

boolean

無視されます。

<export-encryption-data>

complexType

無視されます。

<use-jazn-security>

complexType

無視されます。

<strict-authentication>

boolean

反対のブール値を持つ次のポートレット・アプリケーション・レベルのCROに変換されます。

com.oracle.portlet.useWsrpUserContextForUserAuthenticationInfo

この要素がoracle-portlet.xmlには存在しないがoracle-portlet.xmlは存在し、portlet.xmlスキーマのバージョンが1.0の場合、次のポートレット・アプリケーション・レベルのCROが値trueを使用して作成されます。

com.oracle.portlet.useWsrpUserContextForUserAuthenticationInfo


表16-6 oracle-portlet.xmlのportlet-extension要素の処理

portlet-extension要素 XML型 JSR286準拠アップグレード済アプリケーションのportlet.xmlの要素の処理

<portlet-name>

string

oracle-portlet.xmlportlet-extensionエントリをportlet.xmlの適切なポートレット・エントリへ関連付けるために使用されます。

<published-events>

complexType

無視されます。

<handled-events>

complexType

無視されます。

<navigation-parameters>

complexType

navigation-parameters要素は、JSR286パブリック・レンダラ・パラメータに変換されます。

<portlet-id>

string

値"E:i" + portlet-id値 + ":default"を持つポートレット・レベルのcom.oracle.portlet.wsrpPortletHandle CROに変換されます。

パラメータが存在しない場合、ポートレット・レベルのcom.oracle.portlet.wsrpPortletHandleコンテナ実行時オプションは、値"E:n" + portlet-name (portlet.xmlから) + ":default"を使用して作成されます。

<allow-export>

boolean

無視されます。

<allow-import>

boolean

無視されます。

<hide-portlet>

boolean

反対のブール値を持つポートレット・レベルのcom.oracle.portlet.offerPortletOverWsrp CROに変換されます。

<require-iframe>

boolean

同じブール値を持つポートレット・レベルのcom.oracle.portlet.requireIFrame CROに変換されます。

<minimum-wsrp-version>

int

同じ整数値を持つポートレット・レベルのcom.oracle.portlet.minimumWsrpVersion CROに変換されます。


表16-7は、ポートレット・プロデューサ・アプリケーションのアップグレード時における、portlet.xmlファイル内のoracle-portlet.xmlのナビゲーション・パラメータの処理を示しています。JSR 168ポートレット・プロデューサ・アプリケーションをアップグレードする場合、oracle-portlet.xmlのナビゲーション・パラメータをパブリック・レンダラ・パラメータに変換する際に次の変更が行われます。

表16-7 oracle-portlet.xmlで使用可能なnavigation-parameters要素の処理

navigation-parameter要素 XML型 JSR286コンテナのportlet.xmlの処理

<name>

QName

完全なQNameは、ポートレット・アプリケーション・レベルでportlet.xmlpublic-render-parameter QNameとして使用されます。QNameのローカル・パートは、ポートレット・アプリケーション・レベルではpublic-render-parameter識別子として、またポートレット・レベルではsupported-public-render-parameter値として使用されます。

<type>

QName

無視されます。

<label>

localizedString

description要素に変換されます。

<label><hint>および<usage>要素が指定された順序でマージされ、portlet.xmlにpublic-render-parameterのdescription要素が作成されます。

<hint>

localizedString

description要素に変換されます。

<label><hint>および<usage>要素が指定された順序でマージされ、portlet.xmlにpublic-render-parameterのdescription要素が作成されます。

<usage>

string

description要素に変換されます。

<label><hint>および<usage>要素が指定された順序でマージされ、portlet.xmlにpublic-render-parameterのdescription要素が作成されます。

<aliases>

QName

ポートレット・アプリケーション・レベルのportlet.xmlにあるpublic-render-parameter宣言で別名宣言に変換されます。