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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server XMLのプログラミング
11g リリース1 (10.3.5)
B55533-03
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8 XMLアプリケーション・スコーピング

以下の節では、特定のアプリケーションのためにパーサー、トランスフォーマ、外部エンティティ、外部エンティティ・キャッシュを構成する方法について説明します。

アプリケーション・スコーピングの概要

アプリケーション・スコープとは、WebLogic Serverの構成全体に対してではなく、特定のエンタープライズ・アプリケーションに対してリソースを構成することです。XMLの場合、このようなリソースとしては、パーサー、トランスフォーマ、外部エンティティ、および外部エンティティのキャッシュ構成があります。アプリケーション・スコープの最大の利点は、特定のアプリケーションに対するリソースがそのアプリケーション専用になることです。アプリケーション・スコーピングによって、アプリケーションごとに異なるパーサーを構成したり、EARファイルや展開されたエンタープライズ・ディレクトリ内のアプリケーション用にDTDを保管したりすることができます。

アプリケーション・スコーピングを使用するもう1つのメリットは、リソースをEARファイルと関連付けることにより、WebLogic Serverの別のインスタンスで、そのサーバーのリソースを構成せずにこのEARファイルを実行できることです。

特定のアプリケーション用のXMLリソースを構成するには、EARファイルまたは展開されたエンタープライズ・アプリケーション・ディレクトリのMETA-INFディレクトリにあるweblogic-application.xmlデプロイメント記述子ファイルに情報を追加します。


注意:

WebLogic Serverインスタンス用のパーサー、トランスフォーマ、および外部エンティティ・リソースを構成するには、第9章「WebLogic Server XMLの管理」で説明するように、管理コンソールを使用します。

weblogic-application.xmlファイル

weblogic-application.xmlファイルは、エンタープライズ・アプリケーション用のWebLogic Server固有のデプロイメント記述子です。このファイルには、エンタープライズ・アプリケーションにより使用されるXML、JDBC、EJBなどのリソースに関する構成情報が入れられます。標準J2EEデプロイメント記述子は、application.xmlと呼ばれます。

次のサンプル・ファイルweblogic-application.xmlは、あるエンタープライズ・アプリケーション用のXMLリソースを構成する方法を示しています。各種要素の本文は太字で示します。

<weblogic-application>
  ...
  <xml>
     <parser-factory>
        <saxparser-factory>
          com.sun.org.apache.xerces.internal.jaxp.SAXParserFactoryImpl 
        </saxparser-factory>
        <document-builder-factory>
          com.sun.org.apache.xerces.internal.jaxp.DocumentBuilderFactoryImpl 
        </document-builder-factory>
        <transformer-factory>
         com.sun.org.apache.xalan.internal.xsltc.trax.TransformerFactoryImpl 
        </transformer-factory>
     </parser-factory>
     <entity-mapping>
       <entity-mapping-name>My Mapping</entity-mapping-name>
       <public-id>-//BEA Systems, Inc.//DTD for cars//EN</public-id>
       <system-id>http://www.bea.com/dtds/car.dtd</system-id>
       <entity-uri>dtds/car.dtd</entity-uri>
     </entity-mapping>
  </xml>
</weblogic-application>

XMLリソースを構成するためのメイン要素は、<xml>です。図8-1は、<xml>要素の下位要素を説明します。この図の後の節は各要素を説明します。

図8-1 weblogic-application.xmlの<xml>要素の下位要素

図8-1の説明が続きます
「図8-1 weblogic-application.xmlの<xml>要素の下位要素」の説明

xml

パーサー、トランスフォーマ、外部エンティティ、外部エンティティ・キャッシュなど、エンタープライズ・アプリケーション用XMLリソースを構成するためのメイン要素。

parser-factory

エンタープライズ・アプリケーション用の特定のパーサーまたはトランスフォーマを指定するための親要素。

saxparser-factory

このアプリケーションでSAXスタイル解析のために使用されるファクトリ・クラスを指定する要素。この要素が指定されていない場合、WebLogic Serverインスタンスに対して指定されたデフォルトSAXパーサー・ファクトリが使用されます。

document-builder-factory

このアプリケーションでDOMスタイル解析のために使用されるファクトリ・クラスを指定する要素。この要素が指定されていない場合、WebLogic Serverインスタンスに対して指定されたデフォルトDOMパーサー・ファクトリが使用されます。

transformer-factory

このアプリケーションでjavax.xml.transformパッケージによりドキュメントを変換する場合に使用されるファクトリ・クラスを指定する要素。この要素が指定されていない場合、WebLogic Serverインスタンスに対して指定されたデフォルトXSLTトランスフォーマ・ファクトリが使用されます。

entity-mapping

DTDやスキーマなど、XMLファイル内のエンティティ宣言をエンティティのローカル・コピーにマッピングするための親要素。

entity-mapping-name

エンティティ・マッピング宣言の名前を指定する要素。

public-id

次のようなエンティティのパブリックIDを指定する要素。

 -//BEA Systems, Inc.//DTD for cars//EN.

system-id

次のようなエンティティのシステムIDを指定する要素。

http://www.bea.com/dtds/car.dtd

entity-uri

エンティティのURIを指定する要素。このパスは、EARアーカイブまたは展開ディレクトリのメイン・ディレクトリを基準とする相対パスです。

たとえば、dtds/car.dtdは、メインEARアーカイブ(META-INFディレクトリと同じレベル)にdtdsというディレクトリがあり、そこにcar.dtdというファイルがあることを示します。

when-to-cache

外部エンティティをキャッシュする時期を指定する要素。有効な値は以下のとおりです:

  • cache-on-reference - WebLogic Serverは、最初にエンティティがXMLドキュメントで参照されたときに、URLで参照される外部エンティティをキャッシュします。

  • cache-at-initialization - WebLogic Serverは、サーバー起動時にエンティティをキャッシュします。

  • cache-never - WebLogic Serverは、外部エンティティをキャッシュしません。

デフォルト値はcache-on-referenceです。

cache-timeout-interval

キャッシュされた外部エンティティが古くなる(期限切れになる)までの秒数を指定する要素。キャッシュされたコピーがこの期間を超えた場合、WebLogic Serverは、EARアーカイブまたは展開ディレクトリのメイン・ディレクトリを基準に指定された相対URLまたはパス名から外部エンティティを再取得します。

このフィールドのデフォルト値は、120秒です。

エンタープライズ・アプリケーション用のパーサーまたはトランスフォーマの構成

XMLアプリケーションが、WebLogic Serverに構成されているデフォルト・パーサーまたはトランスフォーマとは異なるパーサーまたはトランスフォーマを使用するように指定できます。それには、XMLアプリケーションの入っているEARファイルまたは展開ディレクトリのweblogic-application.xmlを更新します。

エンタープライズ・アプリケーション用にデフォルト以外のパーサーまたはトランスフォーマを構成するには、以下の手順を実行します。

  1. <xml>要素の<parser-factory>下位要素を使用し、エンタープライズ・アプリケーションのために、SAXおよびDOMスタイル解析用とXSLT変換用のファクトリ・クラスを構成します。次に例を示します。

         <parser-factory>
            <saxparser-factory>
              com.sun.org.apache.xerces.internal.jaxp.SAXParserFactoryImpl
            </saxparser-factory>
            <document-builder-factory>
              com.sun.org.apache.xerces.internal.jaxp.DocumentBuilderFactoryImpl
            </document-builder-factory>
            <transformer-factory>
             com.sun.org.apache.xalan.internal.xsltc.trax.TransformerFactoryImpl
            </transformer-factory>
         </parser-factory>
    

    このweblogic-application.xmlファイルに対応するアプリケーションでは、SAXスタイル解析にはcom.sun.org.apache.xerces.internal.jaxp.SAXParserFactoryImplファクトリ・クラス、DOMスタイル解析にはcom.sun.org.apache.xerces.internal.jaxp.DocumentBuilderFactoryImplファクトリ・クラス、XSLT変換にはcom.sun.org.apache.xalan.internal.xsltc.trax.TransformerFactoryImplクラスが使用されます。

  2. パーサー・クラスまたはトランスフォーマ・クラスをEARアーカイブに対してローカルにするには、そのクラスの入っているJARファイルをEARファイルの任意の場所に置き、META-INF/MANIFEST.MFファイル内のClass-Path変数を更新します。

    たとえば、ディレクトリlib/xmlにあるmyparser.jarというJARファイルにパーサー・クラスまたはトランスフォーマ・クラスを置く場合、以下に示すようにMANIFEST.MFファイルを更新します。

    Manifest-Version: 1.0
    Created-By: 1.3.1_01 (Sun Microsystems Inc.)
    Class-Path: lib/xml/myparser.jar
    
  3. パーサー・クラスまたはトランスフォーマ・クラスをEARアーカイブ以外の場所に格納する場合は、クラスの入っているJARファイルの完全パス名を含むようにWebLogic Server CLASSPATH変数を必ず更新してください。

エンタープライズ・アプリケーション用の外部エンティティの構成

DTDなどの外部エンティティは、Webから取得するだけでなく、そのローカル・コピーをEARアーカイブまたは展開ディレクトリに格納しておくこともできます。

エンタープライズ・アプリケーション用の外部エンティティを構成するには:

  1. EARアーカイブのメイン・ディレクトリの下にディレクトリlib/xml/registryを作成します。

  2. DTDのような外部エンティティをそのディレクトリにコピーします。

  3. weblogic-application.xmlファイルを更新し、<xml>要素の<entity-mapping>下位要素を使用して、アプリケーションで処理されるXMLファイルのエンティティ宣言にエンティティの名前をマップします。以下に例を示します。

    <entity-mapping>
      <entity-mapping-name>My Mapping</entity-mapping-name>
      <public-id>-//BEA Systems, Inc.//DTD for cars//EN</public-id>
      <system-id>http://www.bea.com/dtds/car.dtd</system-id>
      <entity-uri>dtds/car.dtd</entity-uri>
    </entity-mapping>
    

    この例では、car.dtdというDTDのローカル・コピーがEARアーカイブまたは展開ディレクトリのメイン・ディレクトリの下にあるlib/xml/registry/dtdsディレクトリに格納されます。このエンティティのパブリックIDは-//BEA Systems, Inc.//DTD for cars//ENで、システムIDはhttp://www.bea.com/dtds/car.dtdです。アプリケーションがXMLファイルの解析中に、これらのIDのいずれかを使用しているエンティティ宣言を検出すると、その宣言はcar.dtdファイルに置き換えられます。


    注意:

    エンティティのローカル・コピーをマップする各エンティティ宣言について、<entity-mapping>要素を指定してください。

エンタープライズ・アプリケーション用の外部エンティティ・キャッシュの構成

サーバー起動時、またはエンティティの最初の参照時のいずれかに、EARアーカイブのメイン・ディレクトリを基準にした相対URLまたはパス名で参照される外部エンティティをWebLogic Serverがキャッシュするように指定できます。

外部エンティティをキャッシュすると、リモート・アクセス時間が節約されるだけでなく、ネットワークまたは管理サーバーのダウンによりXMLドキュメントの解析中に管理サーバーにアクセスできなくなった場合には、ローカル・バックアップを利用できます。

キャッシュされたエンティティについて、WebLogic ServerがURLまたはEARのディレクトリからエンティティを再取得して再キャッシュする間隔(有効期限)を構成できます。

エンタープライズ・アプリケーション用の外部エンティティ・キャッシュを構成するには、<entity-mapping>要素の<when-to-cache>下位要素と<cache-timeout-interval>下位要素を使用します。以下に例を示します。

<entity-mapping>
  <entity-mapping-name>My Mapping</entity-mapping-name>
  <public-id>-//BEA Systems, Inc.//DTD for cars//EN</public-id>
  <system-id>http://www.bea.com/dtds/car.dtd</system-id>
  <entity-uri>dtds/car.dtd</entity-uri>
  <when-to-cache>cache-at-initialization</when-to-cache>
  <cache-timeout-interval>300</cache-timeout-interval>
</entity-mapping>

この例では、car.dtdがEARアーカイブまたは展開ディレクトリのメイン・ディレクトリの下にあるlib/xml/registry/dtdsディレクトリに格納されます。WebLogic Serverの最初の起動時にDTDのコピーがメモリーにキャッシュされ、以後は、キャッシュされたコピーが300秒以上格納されている場合にリフレッシュされます。