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Solaris のシステム管理 (印刷) Oracle Solaris 10 8/11 Information Library (日本語) |
1. Oracle Solaris オペレーティングシステムでの印刷の概要
4. Oracle Solaris 印刷マネージャーを使用したプリンタの設定および管理 (作業)
8. LP 印刷スケジューラの管理および印刷要求の管理 (作業)
10. 文字セット、フィルタ、フォーム、およびフォントの管理 (作業)
ダウンロードされた PostScript フォントをインストールする方法
ホスト常駐 PostScript フォントをインストールする方法
11. PPD ファイル管理ユーティリティーを使用したプリンタの管理 (作業)
12. Oracle Solaris オペレーティングシステムでの印刷 (参照情報)
テキストを各種フォント書体で印刷する方法は、プリンタによって異なります。たとえば、PostScript プリンタは、テキストをグラフィックスとして処理します。これらのプリンタは、さまざまなフォントでテキストを生成できます。また、ページ上の任意の位置、サイズ、または方向にテキストを配置できます。その他の形式のプリンタは、フォントの書体とサイズが限られています。これらのプリンタは、印字ホイール、フォントカートリッジ、プログラムされた選択可能な文字セットのいずれかを使用するためです。通常、1 つのプリンタ形式には 1 つの印刷方法が適用されます。
LP 印刷サービスでは、印字ホイールとフォントカートリッジの扱いが似ています。どちらの場合も、必要に応じ、ハードウェアをプリンタに装着する必要があります。印字ホイールまたはフォントカートリッジを物理的に装着する必要がある文字セットを、「プリンタに装着する文字セット」といいます。ハードウェア装着を必要としない文字セットは、プリンタにプログラムされた状態で提供されます。これらの文字セットは、印刷要求によって選択できます。これらは「ソフトウェア文字セット」と呼ばれます。
PostScript 以外のプリンタを設定する場合は、ユーザーが利用可能な、印字ホイールまたは選択可能な文字セットを、LP 印刷サービスに指定する必要があります。ユーザーが印刷要求を出すときに、lp -S コマンドを使用すると、ジョブの印刷に使用する印字ホイールまたは選択可能な文字セットを指定できます。ユーザーは、どの種類の文字セットが適用されるかを知る必要はありません。定義した名前でフォントスタイルを参照するだけです。たとえば、印字ホイールを gothic と定義したとします。この gothic 印字ホイールを要求するには、次のコマンドを使用します。
% lp -S gothic filename
プリンタによってサポートされる選択可能文字セットは、そのプリンタの terminfo エントリに表示されています。たとえば、ln03 プリンタのエントリは、/usr/share/lib/terminfo/l/ln03 です。任意のプリンタタイプで選択可能な文字セット名を確認するには、tput コマンドを使用して、terminfo データベース内を検索します。tput コマンドの構文を、次に示します。
tput -T printer-type csn
csn オプションは文字セット番号 (character set number) の省略形です。番号は、プリンタが初期化された後に常に設定されるデフォルトの文字セット番号である 0 で始まります。その他の文字セット名を表示するには、-0 の代わりに -1、- 2、-3 などを使用してコマンドを繰り返してください。選択可能文字セットごとに、terminfo 名 (たとえば usascii、english、finnish など) が返されます。
一般に、 terminfo 文字セット名は、プリンタのメーカーのマニュアルで使用されている文字セット名とできるだけ一致させてください。同じ文字セット名を使用しないメーカーもあるため、terminfo 名はプリンタタイプごとに異なる場合があります。
LP 印刷サービスを使用して選択可能文字セット名を登録する必要はありません。ただし、より意味のある名前または別名を与えることができます。
注 - プリンタで使用できる選択可能文字セットを指定しない場合、LP 印刷サービスは、プリンタが任意の文字セット名 (cs0、cs1、cs2 など) またはプリンタが認識する terminfo 名を受け付けることができると仮定します。
lpstat -p -l コマンドを使用しても PostScript プリンタ用の文字セットは表示されません。PostScript のフォントは、terminfo データベースのエントリではなく PostScript フィルタによって制御されます。PostScript フォントの管理方法については、「フォントの管理」を参照してください。
lpstat -p -l コマンドを使用して、印刷サーバーに接続されているプリンタごとに、定義されている選択可能文字セット名を表示できます。
別の文字セットを使用するもう一つの方法は、物理的にプリンタに装着できる、取り外し可能な印字ホイールまたはフォントカートリッジを使用することです。
プリンタに装着する文字セットを管理するには、LP 印刷サービスに以下の項目を指定します。
使用したい印字ホイール名
プリンタが異なる印字ホイールを必要とするときの警告方法
次に、ユーザーが lp -S コマンドを使用して特定の文字セットを要求すると、スケジューラは印字ホイールを装着するよう警告を送信します。さらに、印刷要求が印刷待ち行列に入れられます。正しい印字ホイールを装着して、印字ホイールを装着したことを LP 印刷サービスに指示すると、ジョブが印刷されます。詳しくは、「印字ホイールまたはフォントカートリッジの取り外しおよび装着の方法」を参照してください。
1 台のプリンタに対して複数の印字ホイールやフォントカートリッジを指定しなければ、LP 印刷サービスは、プリンタが 1 つの固定の印字ホイールまたはフォントカートリッジだけを持つとみなします。そのため、このプリンタを使用する際には、特殊な印字ホイールやフォントカートリッジをユーザーが指定することはできません。
選択可能文字セットとは違って、印字ホイールまたはフォントカートリッジ用に選択する名前は、terminfo データベースのエントリに限定されません。印字ホイール名またはフォントカートリッジ名は、ユーザーが LP 印刷サービスと通信を行うためにだけ使用されます。
ただし、印字ホイールまたはフォントカートリッジ用に選択する名前は、ユーザーがわかりやすいものにしてください。その名前がフォントの書体を表すようにしてください。さらに、その名前は、同じ種類の印字ホイールやフォントカートリッジ、または選択可能文字セットを持つプリンタすべてに共通にします。それによって、ユーザーは、どのプリンタ、印字ホイール、フォントカートリッジ、選択可能文字セットを使用するかを意識することなく、フォントの書体 (文字セット) を指定できます。
システム管理者とプリンタユーザーは、印字ホイールまたはフォントカートリッジの名前についての認識を共有する必要があります。そうしないと、ユーザーが要求する文字セットと管理者が装着するものが異なる可能性があります。
印字ホイールを確認する手順は、フォームを確認する手順と似ています。一部のプリンタは (通常、文字ベースの印字を行うプリンタ)、特定のフォントや文字セットを提供する取り外し可能な印字ヘッドを持っています。取り外し可能な印字ヘッドには、印字ホイールや印字カートリッジがあります。ユーザーは名前の付いた文字セットを要求できます。その文字セットが使用できない場合、LP 印刷サービスは root に通知します。印刷ジョブは、印字ホイールが交換されるまで、印刷待ち行列に格納されます。
LP 印刷サービスから出す警告を指定するのと同じ方法で、印字ホイールまたはフォントカートリッジを装着する際に出す警告を指定します。警告に関する一般的な情報については、「LP 印刷コマンドを使用したプリンタの障害回復の設定」を参照してください。
次の手順では、プリンタで使用できる印字ホイールまたはフォントカートリッジを定義する方法を示します。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
# print-server lpadmin -p printer-name -S hard-charset1[,hard-charset2...]
印字ホイールまたはフォントカートリッジを定義するプリンタ名を指定する。
印字ホイールまたはフォントカートリッジの、プリンタに装着する文字セット名を指定する。
このコマンドで、プリンタに装着する文字セット名を複数指定できる。文字セット名を区切るには空白またはコンマを使用する。空白を使用する場合は、文字セット名のリストを引用符で囲む。
ユーザーにとって意味のある名前を定義する。その名前をユーザーに通知する。
印字ホイールまたはフォントカートリッジの定義が、印刷サーバーの /etc/lp/printers/printer-name/configuration ファイルに指定されます。
# print-client lpadmin -p printer-name -S hard-charset1, hard-charset2...
このコマンドの変数は、手順 2 の変数と同じです。
印字ホイールまたはフォントカートリッジの定義が、印刷クライアントの /etc/lp/printers/printer-name/configuration ファイルに追加されます。
文字セット名と状態「mounted」が表示されます。
# lpstat -p printer-name -l
例 10-1 印字ホイールの定義
次の例は、プリンタ luna 上で印字ホイール pica を定義する方法を示しています。印刷クライアント名は asteroid です。
asteroid# lpadmin -p luna -S pica
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
# lpadmin -p printer-name -M -S none
印字ホイールまたはフォントカートリッジを取り外すプリンタ名を指定する
現在の印字ホイールまたはフォントカートリッジを取り外すように指定する
詳細は、lpadmin(1M) のマニュアルページを参照してください。
現在の印字ホイールまたはフォントカートリッジが、印刷サーバーの /etc/lp/printers/printer-name/configuration ファイルから削除されます。
# lpadmin -p printer-name -M -S hard-charset...
印字ホイールまたはフォントカートリッジを装着するプリンタ名を指定する
装着したい印字ホイールまたはフォントカートリッジの、プリンタに装着する文字セット名を指定する
印字ホイールまたはフォントカートリッジが、印刷サーバーの /etc/lp/printers/printer-name/configuration ファイルに追加されます。装着された印字ホイールまたはフォントカートリッジは、取り外されるか、新しいものが装着されるまで使用可能です。
印字ホイール名または文字セット名と状態「mounted」が表示されます。
# lpstat -p printer-name -l
例 10-2 印字ホイールを取り外すまたは装着する
次の例は、プリンタ luna の現在の印字ホイールを取り外し、pica 印字ホイールを装着する方法を示しています。
# lpadmin -p luna -M -S none # lpadmin -p luna -M -S pica
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
# lpadmin -S hard-charset -A alert [-Q requests] [-W minutes]
警告を設定したい印字ホイールまたはフォントカートリッジの、プリンタに装着する文字セット名を指定する
印字ホイールまたはフォントカートリッジが要求されたときに出される警告の種類を指定する。alert の有効値については、表 6-5 を参照してください。有効な値は mail、write、quiet などです。
mail または write を指定すると、特定の印字ホイールまたはフォントカートリッジの装着を促す、あらかじめ定義された警告メッセージが表示される。この警告メッセージには、この印字ホイールまたはフォントカートリッジを使用するように設定されている 1 つ以上のプリンタ名が含まれる
この印字ホイールまたはフォントカートリッジを必要とする印刷要求がいくつ待ち行列に入ったら警告を出すかを指定する。このオプションを指定しなければ、待ち行列に印刷要求が 1 つ入っただけで警告が出される
警告が出される間隔 (分単位) を指定する。このオプションを指定しなければ、警告は一度だけ送られる
詳細は、lpadmin(1M) のマニュアルページを参照してください。
警告は、印刷サーバーの /etc/lp/pwheels/charset-name/alert.sh ファイルに追加されます。
# lpadmin -S hard-charset -A list
あるいは、警告を出すまでの印刷要求の数を低く設定した場合、最低限の条件を満たす印刷要求を出してみます。印字ホイールまたはフォントカートリッジの装着を促す警告を受け取ることを確認します。
例 10-3 印字ホイールの装着を促す警告を設定する
次の例は、印刷待ち行列に elite 印字ホイールに対する 10 の印刷要求があるとき、elite に関して 5 分間隔で電子メールで警告が送られるように設定する方法を示しています。
# lpadmin -S elite -A mail -Q 10 -W 5
例 10-4 フォントカートリッジの装着を促す警告を設定する
次の例は、印刷待ち行列に finnish フォントカートリッジに対する 5 つの印刷要求があるときに、finnish に関して 1 分間隔で電子メールで警告が送られるように設定する方法を示しています。
# lpadmin -S finnish -A mail -Q 5 -W 1
例 10-5 印字ホイールの警告を設定しない
次の例は、elite 印字ホイールについての警告が送られないように設定する方法を示します。
# lpadmin -S elite -A none
選択可能文字セットの terminfo 名が適切な場合は、この手順を実行する必要はありません。 terminfo データベースの使用については、「サポートされていないプリンタの terminfo エントリを追加する」を参照してください。
役割には、認証と特権コマンドが含まれます。役割の詳細については、『Solaris のシステム管理 (セキュリティサービス)』の「RBAC の構成 (作業マップ)」を参照してください。
# tput -T printer-type csn
terminfo データベースに入っているプリンタタイプを指定する。terminfo データベースのエントリについては、「プリンタタイプ」を参照。
指定したプリンタタイプの選択可能文字セットを表す番号 (0、1、2、3、4、5 など) を指定する。プロンプト記号に続いて選択可能文字セット名が表示される。たとえば、cs1 と指定すると、english# と表示される。
詳細は、tput(1) のマニュアルページを参照してください。
# lpadmin -p printer-name -S select-charset1=alias1,select-charset2=alias2...
選択可能文字セットの別名を設定するプリンタ名を指定する。
選択可能文字セット名を指定する。この名前は、手順 2 で検索できる。
指定した選択可能文字セットの別名。選択可能文字セット名の他に、この別名を使用できる。
このコマンドで複数の別名を設定できる。別名を区切るには空白またはコンマを使用する。空白を使用する場合は、別名のリストを引用符で囲む。
別名は、印刷サーバーの /etc/lp/printers/printer-name/configuration ファイルに追加されます。
# lpadmin -p printer-name -S select-charset1=alias1,select-charset2=alias2...
このコマンドの変数は、手順 3 の変数と同じです。
別名は、印刷クライアントの /etc/lp/printers/printer-name/configuration ファイルに追加されます。
# lpstat -p printer-name -l
または、選択可能文字セットに別名を使用する印刷要求を出して、出力をチェックします。
例 10-6 選択可能文字セットの別名を設定する
次の例は、プリンタ luna 上の選択可能な文字セット usascii に対する選択可能な文字セットの名前を表示する方法を示しています。プリンタ luna のプリンタタイプは ln03 です。この例は、選択可能文字セット usascii の別名として text を指定する方法も示します。
# tput -T ln03 cs0 usascii# tput -T ln03 cs1 english# tput -T ln03 csn2 finnish# tput -T ln03 csn3 japanese# tput -T ln03 cs4 norwegian# # lpadmin -p luna -S usascii=text