Oracle Coherenceは、Oracle WebLogic Portalと緊密に統合されています。具体的には、Coherenceには次の統合ポイントがあります。
•HTTPセッションの状態を管理するためのCoherence*Web
Personalization (P13N) CacheProvider SPIの実装
CoherenceとWebLogic Portalのカスタム・データ転送メカニズムを使用するWeb Services for Remote Portlets (WSRP)フェデレーテッド・ポータル間で効率的にデータを共有するための構想
この章では次の項について説明します。
WebLogic Portalでは、内部的に独自のキャッシュ・サービスを使用して、ポータル、パーソナライズおよびコマースの各データをキャッシュ処理します。その説明は次のURLを参照してください。
http://download.oracle.com/docs/cd/E15919_01/wlp.1032/e14255/com/bea/p13n/cache/package-summary.html
WebLogic Portal 8.1.6以降には、サード・パーティ・キャッシュ・ベンダーで実装できるP13Nキャッシュ・サービス用のSPIが付属しています。Coherenceには、P13Nキャッシュ・プロバイダSPIの実装(com.tangosol.coherence.weblogic.PortalCacheProvider
)が組み込まれており、WebLogic Portalアプリケーションにインストールすると、コードを変更することなく、キャッシュしたP13Nデータを透過的に管理できます。CoherenceとWebLogic Portalを組み合せることによって、キャッシュ・トポロジを柔軟に選択できるようになります。
たとえば、ポータル・サーバーが4GBのヒープ制限(32ビットJVMの場合)を超えていることやポータル・サーバーのガベージ・コレクション(GC)時間が長くなっていることが判明した場合は、クライアントとサーバーで構成するキャッシュ・トポロジを利用して、シリアライズ可能なP13N状態をポータルJVMから1台以上の専用Coherenceキャッシュ・サーバーに移動できます。これによって、ポータルJVMのヒープ・サイズとGC時間が低減されます。また、Coherence管理フレームワークを使用して統計を詳しく監視することで、P13Nキャッシュ設定をより適切な状態に調整できます。さらに、Coherenceキャッシュ・プロバイダによって、標準のP13NキャッシュAPIを使用して、ポートレットでCoherenceキャッシュ・サービスを利用できるようになります。
Coherence P13Nキャッシュ・プロバイダインストールする手順は次のとおりです。
Coherenceインストールのlib
ディレクトリから、付属のcoherence-wlp.jar
ライブラリとcoherence.jar
ライブラリをWebLogic PortalアプリケーションのAPP-INF/lib
ディレクトリにコピーします。
各WebLogic PortalアプリケーションのMETA-INF
ディレクトリにあるp13n-cache-config.xml
ファイルで、Coherence P13Nキャッシュ・プロバイダPortalCacheProvider
をデフォルトのプロバイダとして構成します。具体的には、最初の<cache>
要素の直前に次の行を追加します。
<default-provider-id>com.tangosol.coherence.weblogic</default-provider-id>
プロバイダで使用するCoherence CacheProvider
とCoherenceキャッシュの構成の詳細は、PortalCacheProvider
クラスのJavadocを参照してください。
WebLogic Portalで使用するキャッシュのリストについては、次のドキュメントを参照してください。
http://download.oracle.com/docs/cd/E15919_01/wlp.1032/e14227/toc.htm
WSRPプロトコルは、任意のポータル・サーバーとサーバー・クラスタでホストされたポータルのフェデレーションをサポートするように設計されています。WSRPを使用して、他のリモート・ポータルでホストされている様々なポートレットにあるコンテンツとユーザー・インタフェース(UI)を集約できます。WSRPのみでは、スケーラブルで高信頼性、高性能なフェデレーテッド・ポータルを実装して、分散ポートレットで共有するデータを作成、アクセス、およびそのライフ・サイクルを管理するという課題に対処できません。ただし、WebLogic PortalにはWSRP仕様の拡張機能が用意されています。この拡張機能をOracle Coherenceと組み合せることによって、WSRPのコンシューマとプロデューサでは、スケーラブルで高い信頼性と高パフォーマンスを備えた方法で、スコープを設定した共有データの作成、表示および変更のほか、これらのデータへの同時アクセスの制御が可能になります。
詳細は、次のURLを参照してください。
http://download.oracle.com/docs/cd/E15919_01/wlp.1032/e14235/toc.htm