この章では、パッチ適用に関する一般的な問題およびOPatchによるトラブルシューティングについて説明します。次の各項で説明します。
パッチの適用に関して問題が存在する場合、OPatchはエラー・メッセージを返します。OPatchには統合エラー分析ツールoperr
が用意されており、問題の原因と問題を解決するための推奨アクションの両方が記載されています。このツールは次の場所にあります。
$ORACLE_HOME/OPatch/operr
構文:
operr <error code>
operr
ツールで使用されるエラー情報ファイルは、リリース時の最新版です。ただし、情報は定期的に更新されます。最新の情報ファイルはMOSから取得できます。詳細は、5.1.1項「最新のOPERRの取得」を参照してください。
OPatchが実行に失敗する場合
OPatch自体が実行されない場合、次の2つの可能性が考えられます。
Oracleホームが設定されていない
推奨アクション: Oracleホームの環境変数を設定します。
JRE/JDKが見つからない
推奨アクション: opatch apply
を-jre
オプションで実行します。これにより、インストールされているJRE/JDKの場所が指定されます。
$ORACLE_HOME/OPatchディレクトリがPATH変数に設定されていません。あるいは、PATH変数が使用されていない場合は、$ORACLE_HOME/OPatchディレクトリに移動していません。
この例では、パッチを適用しようとしていますが、OPatchがエラー状態になっています。この場合、メッセージ・ファイルが最新のものではないため、My Oracle Support (MOS)を使用して最新のメッセージ・パッチ・ファイルを取得する必要があります。
次の例では、OPatchにエラー・コード115のエラー・メッセージが表示されています。
例5-1 OPatchのエラー・メッセージ
bash-4.1$ OPatch/opatch apply /scratch/my_admin/tmp/100100_rlib_patch_donot_modify/Oracle Interim Patch Installer version 12.1.0.1.2
Copyright (c) 2013, Oracle Corporation. All rights reserved.
Oracle Home : /scratch/my_admin/oraclehome/fmw12/fmwhome_2
Central Inventory : /scratch/my_admin/oraInventory
from : /scratch/my_admin/oraclehome/fmw12/fmwhome_2//oraInst.loc
OPatch version : 12.1.0.1.2
OUI version : 13.1.0.0.0
Log file location : /scratch/my_admin/oraclehome/fmw12/fmwhome_2/cfgtoollogs/opatch/100100_May_09_2013_11_10_30/apply2013-05-09_11-10-21AM_1.log
OPatch detects the Middleware Home as "/scratch/my_admin/oraclehome/fmw12/fmwhome_2"
Applying interim patch '100100' to OH '/scratch/my_admin/oraclehome/fmw12/fmwhome_2'
Verifying environment and performing prerequisite checks...
All checks passed.
Backing up files...
Patching component oracle.fmwconfig.common.shared, 12.1.2.0.0...
There is an error with library regeneration, please refer to the log file for details. OPatch will continue applying the patch.
Verifying the update...
Log file location: /scratch/my_admin/oraclehome/fmw12/fmwhome_2/cfgtoollogs/opatch/100100_May_09_2013_11_10_30/apply2013-05-09_11-10-21AM_1.log
OPatch failed with error code 115
OPERRユーティリティを使用して、対策を決定する必要があります。
OPERRを実行してエラー・コード115に関する最新のトラブルシューティング情報を取得したにもかかわらず、115が未定義のエラー・コードであると示されている場合は、OPERRで使用されているエラー・メッセージ・ファイルが最新のバージョンではありません。
bash-4.1$ OPatch/operr 115 Undefined error code. You can get the latest messsage file from My Oracle Support using patch 16609471
次のステップは、MOSを介してパッチ16609471から最新のメッセージ・ファイルを取得することです。MOSにアクセスするには、support.us.oracle.comに移動します。次の図の順序は、メッセージ・ファイル・パッチをダウンロードする手順を示しています。
ステップ1: http://support.oracle.comに移動します。
ステップ2: パッチ16609471を検索します。
ステップ3: パッチをダウンロードします。
(オプション)ダウンロードしたパッチのバージョンを確認します。
bash-4.1$ OPatch/operr -version -f /scratch/my_admin/operr.txt operr version is 12.1.0.1.1 Message file version is 12.1.0.1.1, 05/09/13
ロギングとトレースは、デバッグのための一般的な支援機能です。OPatchでは、すべての適用
、ロールバック
およびlsinventory
操作のログが保持されます。ログ・ファイルは、次のディレクトリにあります。
<ORACLE_HOME>/cfgtoollogs/opatch
各ログ・ファイルには、操作のタイムスタンプのタグが付けられています。ログ・ファイルにはopatch_<date mm-dd-yyyy>_<time hh-mm-ss>.logのような名前が付けられます。
注意: OPatchを実行するたびに、新しいログ・ファイルが作成されます。 |
たとえば、ログ・ファイルが2013年5月17日の11.55 PMに作成された場合、名前は次のようになります。
opatch_05-17-2013_23-55-00.log
注意: 環境変数OPATCH_DEBUGをTRUEに設定することにより、OPatchをデバッグ・モードに設定できます。 |
また、OPatchは、OPatchで実行されたコマンドの索引およびそれに関連付けられているログ・ファイルを、<ORACLE_HOME>/cfgtoollogs/opatchディレクトリにあるopatch_history.txt
ファイルに保持します。history.txt
ファイルのサンプルを次に示します。
Date & Time : Tue Apr 26 23:00:55 PDT 2013 Oracle Home : /private/oracle/product/11.2.0/db_1/ OPatch Ver. : 12.1.0.1.2 Current Dir : /scratch/oui/OPatch Command : lsinventory Log File : /private/oracle/product/11.2.0/db_1/cfgtoollogs/opatch/opatch-2013_Apr_26_23-00-55-PDT_Tue.log
この項では、サポートを提供するその他のドキュメントのリストを示しています。メインのリンク先は、MOSにあるOPatchのマスター・ノートに関する説明(ドキュメントID 293369.1)です。
パッチ・セットFAQ: パッチ・セットに関するFAQの詳細は、パッチ・セットFAQに関する説明(ドキュメントID 552777.1)を参照してください。このドキュメントは、My Oracle Supportで入手可能です。
インフォメーション・センター: Oracle Databaseサーバー/クライアントのインストールに関する説明(ドキュメントID 1351428.1)
現在、オラクル社では、ハードウェア、オペレーティング・システムを含む、様々な製品を提供しています。ただし、一部の製品で必要なパッチは、現在OPatchではサポートされていません。
注意: インストールしたOracle製品(Oracle Database、Fusion Middlewareなど)がOracleホーム・ディレクトリを作成した場合、OPatchはそのインストールの一部として提供されます。 |
通常、OPatchでサポートされていないOracle製品のタイプは次のとおりです。
ハードウェア(Sunサーバー用のファームウェア・アップデートなど)
オペレーティング・システム(Oracle LinuxまたはOracle Solaris用のカーネル・パッチ・アップデートなど)
Java (JREおよびJDK用のパッチ・アップデートなど)
Oracleホーム・ディレクトリを作成しないソフトウェア製品(Oracle OpenOfficeなど)