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Oracle® Enterprise Manager Connectors統合ガイド
12c リリース2 (12.1.0.2)
B70511-02
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2 イベント・コネクタの作成

この章では、イベント・コネクタを作成し、Enterprise Managerと統合するために必要な情報を提供しています。

この章は次の項で構成されています。

概要

Enterprise Manager Cloud Control 12cには、管理コネクタ・フレームワーク(コネクタ・フレームワークとも呼ばれる)が導入され、開発者はメタデータ(XMLおよびXSL)に基づいてイベント・コネクタを作成できます。イベント・コネクタにより、Enterprise Managerは、外部システムに生成されたイベントを送信できます。

イベント・コネクタの作成には、次のメタデータ・カテゴリが必要です。


注意:

現行リリースでは、アウトバウンド操作(外部システムへのイベントの送信)のみがサポートされます。インバウンド(Enterprise Managerへの外部イベントのインポート)のサポートは、将来のリリースで検討される可能性があります。

イベント・コネクタの作成

イベント・コネクタの作成は2ステップのプロセスで、デプロイメント記述子を作成し、データ管理用の適切なテンプレートを準備します。コネクタ記述子には、次の情報が含まれます。


注意:

アップグレードの場合、すべての外部アラートはEnterprise Managerイベントとして12cに移行されるため、ターゲット・ページに表示されません。顧客は、ターゲット・ページに表示できるように、これらのイベントに対して手動でインシデントを作成する必要があります。

12cのフレッシュ・インストールの場合、インバウンド操作はサポートされていないため、外部イベントは生成されず、ターゲット・ページには何も表示されません。


コネクタ記述子ファイルの定義

コネクタ記述子XMLファイルを定義して、コネクタ・メタデータおよびコネクタの構成プロパティ(Webサービスのエンドポイントおよび認証スキーマなど)を記述します。

コンストラクタ記述子を作成する際の重要な留意点は次のとおりです。

リファレンス実装は、付録C「MOMイベント・コネクタのサンプル」のサンプルconnectorDeploy.xmlを参照してください。次の表では、conenctorDeploy.xsdの各セクションとその実行内容を説明します。

表2-1 コネクション記述子メタデータの詳細

メタデータ・セクション 説明
<Name>Microsoft Operations Manager  Connector</Name>
  <Version>12.1.0.1.0</Version>
  <EMCompatibleVersion>12.1.0.1.0</EMCompatibleVersion>
  <Description>Microsoft Operations Manager  Integration with Enterprise Manager</Description>
  <Category>EventConnector</Category>
  <ConfigVariable required="true">
    <VariableName>SETUP_NAME</VariableName>
    <DisplayName>MOM Registered Connector Name</DisplayName>
  </ConfigVariable>
  <ConfigVariable required="true">
    <VariableName>RESOLUTION_STATE</VariableName>
    <DisplayName>Resolution State</DisplayName>
  </ConfigVariable>

コネクタ・タイプの名前要素値とバージョン要素値の組合せにより、EM内のコネクタ・インスタンスは一意に定義されるため、同一のものを定義する際には適切に配慮する必要があります。

EMCompatibleVersion要素は、<release specific value>と同等です。

たとえば、12Cリリースの場合は12.1.0.1.0です。

外部システム統合の要素カテゴリは、次の値のいずれかです。

EventConnector

TicketingConnector

この場合、値はEventConnectorになります。

ConnectivityTestVariable要素およびExternalURL要素は、イベント・コネクタに適用できません。

<Service>
    <Method>cleanup</Method>
    <WebServiceEndpoint>
      <![CDATA[http://[server]:1271/ConnectorServiceV2.asmx]]>
    </WebServiceEndpoint>
    <SOAPAction>http://www.microsoft.com/EnterpriseManagement/Mom/Connector/V2/Cleanup</SOAPAction>
  </Service>

メソッドでは、EM固有のサービス名の1つが定義されます。

Webサービス・エンドポイントでは、外部システムURLが定義されます。

SoapActionでは、外部システムで呼び出す必要がある操作が定義されます。

詳細は、「サービス定義」を参照してください。

<TemplateRegistration>
    <FileName>setup_request.xml</FileName>
    <InternalName>setup</InternalName>
    <TemplateName>Setup</TemplateName>
    <TemplateType>OutboundXML</TemplateType>
    <Description>This is the request xml file for setup method</Description>    
  </TemplateRegistration>

テンプレート登録では、XMLまたはXSLテンプレートの定義が定義されます。

詳細は、「テンプレート定義」を参照してください。

<SOAPHeaderAuthentication>
    <Username required="true">
      <VariableName>USERNAME</VariableName>
      <DisplayName>Username</DisplayName>
    </Username>
    <Password>
      <VariableName>PASSWORD</VariableName>
      <DisplayName> Password</DisplayName>
    </Password>
    <AuthVariable>
      <VariableName>AUTHENTICATION</VariableName>
      <DisplayName>Authentication</DisplayName>
    </AuthVariable>
    <AuthVariable>
      <VariableName>LOCALE</VariableName>
      <DisplayName>Locale</DisplayName>
    </AuthVariable>
    <AuthVariable>
      <VariableName>TIMEZONE</VariableName>
      <DisplayName>Timezone</DisplayName>
    </AuthVariable>
 
    <SOAPHeader>
     <![CDATA[
     ]]>
    </SOAPHeader>
  </SOAPHeaderAuthentication>

(オプション)このセクションでは、外部システムWebサービスの認証スキーマを記述できます。

EMの「管理コネクタの構成」ページの認証セクションは、このセクションに基づいて生成されます。

ユーザー名、パスワードおよび追加のテキスト・フィールドは、このセクションに基づいて移入されます。

  • <VariableName>タグで、WebサービスXML文書内の属性の名前がマーク付けされます。

  • <DisplayName>タグで、対応するテキスト・ボックスのラベル付けの方法が記述されます。


サービス定義

次の表に、現行リリースでサポートされているイベント・コネクタ・サービス操作を示します。

表2-2 コネクタ・サービス操作

名前 説明

setup(オプション)

外部システムにコネクタを登録します。

initialize (オプション)

設定後、外部システムでコネクタを初期化します。

uninitialize (オプション)

外部イベント・システムでコネクタを初期化解除します。

cleanup (オプション)

外部イベント・システムでコネクタを登録解除します。

createEvent

新しいイベントを外部システムに転送します。

updateEvent

イベントの更新を外部システムに転送します。


前述のサービスに関する重要なポイントは次のとおりです。

サービス設定の例を次に示します。

   <Service>
          <Method>setup</Method>
              <WebServiceEndpoint>....</WebServiceEndpoint>
              <SOAPAction>.......</SOAPAction>
   </Service>

テンプレート定義

テンプレートには、リクエストの送信時およびレスポンスの受信時に変換されるデータが含まれます。テンプレートは、Enterprise Managerの特定のサービス操作についてXMLまたはXSLファイルとして定義できます。

テンプレートを定義するためのガイドラインは次のとおりです。

テンプレート登録

テンプレート登録XMLまたはXSLのコーディングは、次の情報によって決まります。

次の表に、Enterprise Managerイベント・コネクタのスキーマ定義を示します。

表2-3 イベント・コネクタ・テンプレートXSD

名前 説明

EMEvent.xsd

コネクタ・フレームワークによって使用可能になるEMイベントを定義します。

ConnectorCommon.xsd

SourceObjInfoTypeなど、その他すべてのxsdで使用されるすべてのデータ型を定義します。

EMEventResponse.xsd

createEvent/updateEventメソッドのレスポンスを定義します。このレスポンスは、受信したイベント・マネージャ・イベントの外部サーバーからのものです。

initialize_response.xsd

initializeメソッド用のレスポンス・スキーマです。

setupResponse.xsd

setupメソッド用のレスポンス・スキーマです。

uninitialize_response.xsd

uninitializeメソッド用のレスポンス・スキーマです。


リクエスト・テンプレートを定義する際の重要なポイントは次のとおりです。

レスポンス・テンプレートを定義する際の重要なポイントは次のとおりです。

変換後、Enterprise Managerでは<SuccessFlag>と、値に応じて次のいずれかの要素が必要とされます。

MOMイベント・コネクタのリファレンス実装は、次の表2-4「サンプル・テンプレート・リスト」のサンプル・テンプレート・ファイルを参照してください。

表2-4 サンプル・テンプレート・リスト

サービス名 リクエストXSL リクエストXML レスポンスXSL

setup

オプション

setup_request.xml

setup_response.xsl

initialize

オプション

initialize_request.xml

オプション

uninitialize

オプション

uninitialize_request.xml

オプション

cleanup

オプション

cleanup_request.xml

オプション

createEvent

createEvent_request.xsl

該当なし

createEvent_response.xsl

updateEvent

updateEvent_request.xsl

該当なし

updateEvent_response.xsl


コネクタのパッケージおよびデプロイ

コネクタをデプロイするために、Enterprise Managerでは自己更新機能が使用されます。この機能はコンソールからアクセスできますが、Enterprise Manager環境にコネクタをインポートするための機能です。コネクタをデプロイするには、次の手順を実行します。

  1. コネクタjarファイルを準備します。

    XMLおよびXSLテンプレート・ファイルをすべて1つの.jarファイルとしてパッケージします。

    <name>_connector.jar
                    ---> connectorDeploy.xml
                    --->template1.xml
                    --->template2.xsl
                    …..
                    …..
                    --->templateN.xsl
    
  2. マニフェスト・ファイルを作成します。

    次の表に、自己更新マニフェスト・ファイルのキー属性を示します。

    表2-5 自己更新マニフェスト・ファイルの属性

    名前 説明

    EntityType

    値はcore_connectorです。

    EntityTypeVersion

    現行リリース・バージョンです。値は12.1.0.1.0です。

    Attribute @Name=connector_type

    コネクタ・タイプ名です。

    Attribute @Name=connector_category

    カテゴリ・タイプは、TicketingConnectorまたはEventConnectorです。

    ArchiveList

    この要素には、コネクタ設定の一部であるアーカイブのリストが含まれます。一般に、コネクタjarは1つ存在しますが、特殊な実装の場合は追加のjar (アダプタまたはエージェント)が存在することがあります。このような場合、コネクタ固有のjarは定義リストの最初のjarである必要があります。これは必須要件です。


    次の例に、connector_manifest.xmlファイルのコードを示します。

    <EntityInstanceList xmlns="http://www.oracle.com/EnterpriseGridControl/SelfUpdateManifest">
     <EntityInstance xmlns="http://www.oracle.com/EnterpriseGridControl/SelfUpdateManifest" EntityTypeVersion="11.2.0.1.0" EntityType="core_connector" Maturity="PRODUCTION" Vendor="Oracle" PluginID="oracle.sysman.core">
     <Description>
     <![CDATA[ BMC Remedy Service Desk Connector - 12.1.0.2.0
      ]]>
      </Description>
     <AttributeList>
      <Version>12.1.0.2.0</Version>
      <Attribute Name="connector_type" Value="Sample SCOM Connector" Label="Sample SCOM Connector" />
      <Attribute Name="connector_category" Value="EventConnector" Label="Event Connector" />
      </AttributeList>
     <Readme>
     <![CDATA[   Oracle Management Connector for SCOM integrates Oracle Enterprise Manager Cloud Control's proactive alert detect
    ion and resolution features with BMC's Remedy 7.0 Service Desk capabilities to provide a seamless workflow for incident mana
    gement and resolution.
      Change Logs:
      12.1.0.2.0
       - Miscellaneous bug fixes
       - Performance enhancements
      ]]>
      </Readme>
      <DependsOn />
     <ArchiveList>
      <Archive Filename="scomconnector.jar" IsMDS="false" />
      <Archive Filename="SCOM_webservices_adapter.jar" IsMDS="false" />
      </ArchiveList>
     <CustomData>
     <![CDATA[
      ]]>
      </CustomData>
     </EntityInstance>
     </EntityInstanceList>
    

    属性の詳細リストは、次の場所にある自己更新スキーマ定義を参照してください。

    $ORACLE_HOME/sysman/emSDK/core/selfupdate/model/SelfUpdateManifest.xsd
    
  3. emedkツールを構成します。

    emedkツールは、Enterprise Managerユーザー・インタフェースから指示に従って構成できます。パスは、「設定」 > 「拡張性」 > 「開発キット」です。

  4. 自己更新アーカイブを準備します。

    これにはコネクタjarファイルおよびコネクタ用のマニフェスト・ファイルが必要です。自己更新を準備するには、次のユーティリティをコールして自己更新アーカイブ・ファイルを作成します。

    edkUtil prepare_update
            -manifest "manifest xml"
            -archivedir "archives directory"
            -out "output file or directory"
            [-typexml "update type xml"]
    

    表2-6 自己更新ユーティリティのオプション

    オプション 説明

    -manifest

    更新が記述されている自己更新マニフェスト・ファイル。

    -archivedir

    マニフェスト・ファイルに指定されているアーカイブ・ファイルがあるディレクトリ。

    -out

    自己更新アーカイブのディレクトリまたはファイル名。ディレクトリが指定されている場合、ファイル名は自動生成されます。

    -typexml

    更新タイプxmlへのオプション・パス。


    次の例では、マニフェスト・ファイル/u01/connector/connector_manifest.xmlに基づいて自己更新アーカイブを/u01/sarディレクトリに作成しています。connector_manifest.xmlで参照されるアーカイブは、ディレクトリ/u01/connector/archivesから取得されます。

      edkUtil prepare_update
              -manifest /u01/connector/connector_manifest.xml
              -archivedir /u01/connector/archives
              -out  /u01/sar/sample_connector.zip
    
  5. 次のemcliコマンドのいずれかをコールして、Enterprise Managerにコネクタ・アーカイブをインポートします。

      emcli import_update        
      -file=\ file\         
      -omslocal
    

    または

      emcli import_update  
    -file=\ file\         
    -host=\ hostname\
    [-credential_set_name=\ setname\ ] | -credential_name=\ name\  -credential_owner=\ owner\
    

    これらのコマンドにより、自己更新アーカイブ・ファイルがEnterprise Managerにインポートされます。正常にインポートされると、更新が次のアクションを促す「ダウンロード」ステータスで自己更新ホームに表示されます。表2-7に、コネクタ・アーカイブ・コマンドのオプションを示します。

    表2-7 コネクタ・アーカイブ・コマンドのオプション

    オプション 説明

    -file

    更新アーカイブ・ファイルの完全なパス名

    -omslocal

    ファイルがOMSからアクセス可能であることを示すフラグ

    -host

    ファイルが使用可能なホスト・ターゲットのターゲット名

    -credential_set_name

    ホスト・ターゲットのリポジトリに格納されている優先資格証明のセット名。次のいずれかです。

    • HostCredsNormal

      デフォルト非特権資格証明セット

    • HostCredsPriv

      特権資格証明セット

    -credential_name

    リポジトリに格納されている名前付き資格証明の名前。このオプションは、-credential_ownerオプションとともに指定する必要があります。

    -credential_owner

    リポジトリに格納されている名前付き資格証明の所有者。このオプションは、-credential_nameオプションとともに指定する必要があります。


    emcliコマンドの使用例をいくつか次に示します。

    例1

    ファイルupdate1.zipをインポートします。ファイルは、OMSホストに存在している必要があります。複数のOMSが設定されている場合、リクエストはどのOMSでも処理できるため、ファイルはリクエストを処理するOMSからアクセスできる必要があります。通常、これは、すべてのOMSからアクセス可能な共有の場所にファイルを保存しておく必要があることを意味します。

    emcli import_update        
      -file=\ /u01/common/update1.zip\         
      -omslocal  
    

    例2

    host1.example.comホストに存在するファイルupdate1.zipをインポートします。ホストは、Enterprise Managerの管理対象ホスト・ターゲットであり、このホストのエージェントは起動し実行中である必要があります。リモート・ファイルの取得には、ホストhost1.example.comの非特権優先資格証明が使用されます。

    emcli import_update        
      -file=\ /u01/common/update1.zip\         
      -host=\ host1.example.com\         
      -credential_set_name=\ HostCredsNormal\ 
    

    例3

    host1.example.comホストに存在するファイルupdate1.zipをインポートします。ホストは、Enterprise Managerの管理対象ホスト・ターゲットであり、このホストのエージェントは起動し実行中である必要があります。リモート・ファイルの取得には、ユーザー\ admin1\が所有する名前付き資格証明\ host1_creds\が使用されます。

    emcli import_update        
      -file=\ /u01/common/update1.zip\         
      -host=\ host1.example.com\         
      -credential_name=\ host1_creds\         
      -credential_owner=\ admin1\ 
    
  6. 「自己更新」ホームページに移動します。

    コネクタは「ダウンロード」と表示されます。

  7. コネクタの行を選択し、「適用」をクリックしてコネクタをデプロイします。