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Oracle Fusion Middleware Oracle HTTP Server管理者ガイド
11g リリース1 (11.1.1)
B55928-04
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1 Oracle HTTP Serverの概要

Oracle HTTP Serverは、Oracle Fusion MiddlewareのWebサーバー・コンポーネントです。Oracle WebLogic Server用のリスナーと、静的および動的なページおよびアプリケーションをホストするフレームワークがWeb経由で提供されます。


注意:

このドキュメントの情報は、Oracle HTTP ServerがOracle WebLogic ServerおよびOracle Fusion Middleware Controlにインストールされている場合に適用できます。このドキュメントの対象読者は、『Oracle Fusion Middlewareコンセプト・ガイド』および『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』の説明に従ってOracle Fusion Middlewareの主要概念を十分に理解しておく必要があります。

スタンドアロン・モードでのOracle HTTP Serverのインストールについては、『Oracle Fusion Middleware Oracle Web Tierインストレーション・ガイド』のスタンドアロン・モードでのOracle Web Tierのインストールに関する項を参照してください。


この章の内容は、次のとおりです。

1.1 Oracle HTTP Serverについて

Oracle HTTP Server 11gリリース1(11.1.1.6.0)は、Apache HTTP Server 2.2.21(以降のバージョンではクリティカルなバグを修正済)のインフラストラクチャに基づいており、特にOracleで開発されたモジュールを含みます。シングル・サインオン、クラスタ化されたデプロイ、および高可用性の機能により、Oracle HTTP Serverの動作は拡張されます。Oracle HTTP Serverには、クライアント・リクエストを処理するための次のコンポーネントが含まれます。

Oracle HTTP Serverでは、開発者は次のような様々な言語およびテクノロジでサイトをプログラミングできます。

Oracle HTTP Serverは、フォワード・プロキシ・サーバーにも、リバース・プロキシ・サーバーにもなります。リバース・プロキシを使用すると、様々なサーバーから提供されたコンテンツを、1つのサーバーから提供されたように表示できます。

図1-1は、OracleインスタンスとOracle WebLogic Serverドメインが含まれるOracleホームを示しています。このマニュアル全体を通じて、例ではこの図のコンポーネントを使用します。ファーム(farm1)は、OracleインスタンスとWebLogic Serverドメインで構成されています。OracleインスタンスにはOracle HTTP Server(ohs1)とOracle Web Cache(wc1)が含まれ、WebLogic Serverドメインには2つの管理対象サーバーが含まれます。


注意:

ファームのようなFusion Middlewareの概念の詳細は、『Oracle Fusion Middlewareコンセプト・ガイド』を参照してください。

図1-1 Oracle Fusion Middlewareファーム

図1-1の説明が続きます
「図1-1 Oracle Fusion Middlewareファーム」の説明

1.1.1 Oracle HTTP Serverの主要機能

次の項では、Oracle HTTP Serverの主要機能の一部について説明します。

1.1.1.1 セキュリティ: Secure Sockets Layerによる暗号化

Webサイトを安全に運用するには、Secure Sockets Layer(SSL)が必要です。Oracle HTTP Serverでは、業界標準の特許アルゴリズムに基づいたSSL暗号化をサポートしています。SSLは、一般的にサポートされるインターネット・ブラウザとシームレスに連動します。セキュリティ機能は次のとおりです。

  • SSLハードウェア・アクセラレーション・サポートでは、nCipher SSL用に専用ハードウェアを使用します。ハードウェア暗号化は、ソフトウェア暗号化より高速です。

  • ディレクトリ別変数セキュリティでは、ディレクトリをそれぞれ異なる暗号化強度で保護できます。

  • Oracle HTTP ServerとOracle WebLogic Serverは、暗号化と認証の両方を提供するためにHTTPプロトコルを使用して通信します。また、クライアントがブラウザを使用せずにWebLogic Serverサービスにアクセスできるように、T3またはIIOPプロトコルに対してHTTPトンネリングを有効化することもできます。


関連項目:

『Oracle Fusion Middlewareセキュリティ・ガイド』

1.1.1.2 セキュリティ: シングル・サインオン

HTTPサーバーのBasic認証では、暗号化パスワード付きのフラット・ファイルを使用します。Oracle HTTP Serverでは、シングル・サインオンと同様に標準の認証がサポートされます。シングル・サインオンをサイト間およびアプリケーション間でサポートするために、mod_ossoモジュールが組み込まれています。このセキュリティ機能により、ユーザーは1回ログインするだけで済むため、エンド・ユーザーの利便性が向上します。また、セキュリティのほとんどが宣言的に処理されるため、開発サイクルが簡略化されます。


関連項目:


1.1.1.3 分散オーサリングおよびバージョニング(DAV)のサポート

WebDAVは、HTTPベースのプロトコルです。このプロトコルを使用すると、Microsoft OfficeやMicrosoft Windows ExplorerなどのDAV対応クライアントでサーバー上のファイルを編集できます。Oracle HTTP Serverでは、mod_oradavモジュールによりDAVサポートが拡張されています。このモジュールにより、WebDAVクライアントはOracle Databaseに接続し、内容の読取りと書込み、および各種スキーマ内のドキュメントの問合せとロックを実行できます。

1.1.1.4 URLリライティングとプロキシ・サーバーの機能

アクティブなWebサイトでは、Webページが更新されるのは普通のことで、ディレクトリの内容は頻繁に入れ替わり、URLも変更される可能性があります。Oracle HTTP Serverでは、URLリライティングをサポートする組込みのエンジンによりこのような変化に容易に対応できるため、エンド・ユーザーはブックマークを変更せずに済みます。

また、Oracle HTTP Serverではリバース・プロキシ機能もサポートされるため、様々なサーバーにより提供されるコンテンツを1つのサーバーから簡単に表示できます。

1.1.1.5 Oracle Process Manager and Notification Server

Oracle Fusion Middlewareは、Oracle Process Manager and Notification Server(OPMN)と統合された高可用性インフラストラクチャであり、Oracle HTTP Serverプロセスのプロセス管理、障害検出およびフェイルオーバーに対応しています。


関連項目:

  • 『Oracle Fusion Middleware高可用性ガイド』

  • 『Oracle Fusion Middleware Oracle Process Manager and Notification Server管理者ガイド』


1.1.1.6 Oracleプラグイン

Oracleには、Microsoft Internet Information Server(IIS)とOracle HTTP Serverとの連携を可能にするために次のプラグインが用意されています。

  • Oracle Proxy Plug-Inは、単独で使用可能なコンポーネントです。このコンポーネントにより、Microsoft IISはリクエストをOracle HTTP Serverにルーティングできます。ユーザーは、自分の会社の標準によりMicrosoft IISの使用が求められる場合でも、Oracle HTTP Serverの機能を利用できます。Proxy Plug-Inは、シングル・サインオンやロード・バランシングなど、サード・パーティのHTTPリスナーの使用時にアクセスされるOracle HTTP Serverの機能を提供します。

  • Oracle SSO Plug-Inは、単独で使用可能なコンポーネントです。このコンポーネントにより、Microsoft IISをOracle Fusion Middleware Single Sign-Onと統合できます。たとえば、Oracle Single Sign-onインフラストラクチャを使用して、基本ディレクトリ構造と同様にMicrosoft IISアプリケーションを保護できます。ユーザーは、シングル・サインオンのパスワードで、これらのリスナーの認証を受けることができます。この機能は、mod_ossoモジュールがOracle HTTP Serverに提供する機能と類似しています。

1.1.1.7 PL/SQLサーバー・ページ

PL/SQL Server Pagesは、JavaServer Pagesと概念的に類似しています。mod_plsqlモジュールにより、PL/SQLをスクリプト言語としてHTMLページ内で使用できます。PL/SQL Server Pagesはストアド・プロシージャに変換され、ストアド・プロシージャはこのモジュールを使用して出力をブラウザに送信します。

1.1.1.8 サーバー側インクルード

サーバー側インクルードにより、サイトのすべてのページで、動的コンテンツまたは同一の静的コンテンツを簡単に追加できます。サーバー側インクルードは、通常、ヘッダーおよびフッターの情報に使用されます。Oracle HTTP Serverでは、特定のファイル・タイプまたは特定の仮想ホストに対してのみサーバー側インクルードを有効にする特別なディレクティブがサポートされています。

1.1.1.9 Perl

Perlは、動的コンテンツを提供するためによく使用されるスクリプト言語です。Perlスクリプトは、CGIプログラムとしてコールすることも、mod_perlモジュールから直接コールすることもできます。Oracle Fusion Middlewareでは、Perlバージョン5.10を使用します。


関連項目:

3.8項「mod_perl」

1.1.1.10 PHP

Hypertext Preprocessor(PHP)は、HTMLに埋込み可能なスクリプト言語であるため、Web開発に非常に適しています。mod_phpモジュールはOracle Fusion Middlewareに付属していませんが、PHPをOracle HTTP Serverとともにインストールして使用する手順が詳しく示されています。詳細は、『Using PHP with Oracle HTTP Server 11g R1』を参照してください。

1.1.1.11 C/C++(CGIおよびFastCGI)

CGIプログラムは、通常、Webアプリケーションのプログラミングに使用されます。Oracle HTTP Serverは、リクエストのライフサイクルよりも長く有効な状態に保つメカニズムを提供することでCGIプログラムを強化します。

1.1.1.12 ロード・バランシング

Oracle HTTP Serverには、Oracle WebLogic Serverにリクエストをルーティングするmod_wl_ohsモジュールが含まれます。mod_wl_ohsモジュールは、Apache HTTP Server用のOracle WebLogic Serverプラグイン(mod_weblogic)と同じロード・バランシング機能を提供します。

Oracle WebLogic Serverでのmod_wl_ohsモジュールのロード・バランシング機能の詳細は、『Using Web Server Plug-Ins with Oracle WebLogic Server』の動的サーバー・リストに関する項を参照してください。


注意:

mod_wl_ohsモジュールは、Apache HTTP Server用のOracle WebLogic Serverプラグイン(mod_weblogic)とほぼ同じロード・バランシング機能を提供しますが、「mod_wl_ohs」で説明する微細な違いがあります。

1.2 Oracle HTTP Serverのディレクトリ構造の理解

Oracle HTTP Serverのディレクトリは、OracleホームとOracleインスタンスに分割されます。Oracleホーム・ディレクトリは読取り専用で、Oracle Fusion Middlewareのバイナリを含みます。Oracleインスタンス・ディレクトリは、Oracle HTTP Serverのモジュールとコンテンツ・ページを含みます。表1-1に、Oracleホーム・ディレクトリ内のOracle HTTP Server用のサブディレクトリを示します。

表1-1 Oracleホーム・ディレクトリ

ディレクトリ 目次

ohs/bin

Oracle HTTP Serverのバイナリ・ファイル。

ohs/conf

Oracle HTTP Serverテンプレート構成ファイル。Oracle HTTP Serverコンポーネントが構成されるときにOracleインスタンスにプロビジョニングされます。

注意: これらのファイルは、Oracle HTTP Serverの上級ユーザー以外は編集しないでください。

ohs/modules

Oracle HTTP Serverのモジュール


表1-2に、Oracleインスタンス・ディレクトリ内のOracle Fusion Middleware用のサブディレクトリを示します。

表1-2 Oracleインスタンス・ディレクトリ

ディレクトリ名 目次

config/OHS/<ohs_name>

Oracle HTTP Serverの構成ファイル。

config/OHS/<ohs_name>/htdocs

Oracle HTTP Serverの静的コンテンツおよびCGIスクリプト。

config/OHS/<ohs_name>/moduleconf

Oracle HTTP Server構成に自動的に含められる構成ファイル。構成に含めないファイルで拡張子が.confのものは、このディレクトリ内に作成しないように注意してください。

diagnostics/logs/OHS/<ohs_name>

Oracle HTTP Serverコンポーネント・インスタンスのログ・ファイル。


1.3 構成ファイルの理解

Oracle HTTP Serverの構成は、Apache HTTP Server構成ファイルとまったく同じ方法で、構成ファイル内のディレクティブを介して指定します。Apache HTTP Server構成ファイルの詳細は、『Apache HTTP Server 2.2 Users Guide』を参照してください。

1.4 Oracle HTTP Serverのサポート

オラクル社では、次に示すOracle HTTP Serverの機能および状態について、テクニカル・サポートを提供しています。