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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ
11g リリース1 (10.3.6)
B60988-04
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5 新しい環境にデプロイするためのアプリケーションのエクスポート

次の項では、アプリケーションのWebLogic Serverデプロイメント構成をカスタム・デプロイメント・プランにエクスポートする方法について説明します。これにより、管理者はアプリケーションを簡単に非開発環境にデプロイできるようになります。

エクスポート・プロセスの概要

アプリケーションのデプロイメント構成のエクスポートとは、アプリケーションを新しいWebLogic Server環境にデプロイするために、カスタム・デプロイメント・プランを作成するプロセスです。このプロセスが完了したら、アプリケーションを環境にあわせて構成するための青写真としてデプロイメント・プランを使用するデプロイヤ(たとえば、テスト管理者、ステージング管理者、または本番管理者)に、アプリケーション・デプロイメント・ファイルとカスタム・デプロイメント・プランの双方を配布します。

管理者は、アプリケーションおよびカスタム・デプロイメント・プランの双方を、管理コンソールを使用してインストールできます。管理コンソールでは、デプロイメント・プランを検証し、特定のデプロイメントに必要な構成プロパティを更新できます。

デプロイメント・プランの詳細は、「デプロイメント・プランの内容について」を参照してください。

デプロイメント構成のエクスポートの目標

デプロイメント構成をエクスポートするにあたっての主な目標は、次のとおりです。

  • アプリケーションの外部リソースの要件を、デプロイメント・プラン内において、null変数として公開すること。アプリケーションが要求するいかなる外部リソースも、アプリケーションが別の環境にデプロイされた場合には、変更の対象となります。たとえば、開発環境で使用されるデータ・ソースのJNDI名は、テストや本番で使用されるものとは異なっている可能性があります。これらのJNDI名を変数として公開することにより、デプロイヤはアプリケーションをデプロイする際に、簡単に利用可能なリソースを使用したり、必要なリソースを作成したりできます。空(null)の変数を使用することで、アプリケーションがデプロイ可能になる前に、デプロイヤは有効なリソース名の指定を強制されることになります。

  • チューニング・パラメータなど、さらなる構成可能なプロパティを、デプロイメント・プラン内の変数として公開すること。開発環境において受け入れ可能なある特定のチューニング・パラメータが、本番環境では受け入れられない場合があります。たとえば、開発マシン上ではEJBキャッシングのためのデフォルト値または最小値を受け入れば十分であっても、本番クラスタで許容できるパフォーマンスを維持するためには、よりレベルの高いキャッシングを行う必要があるかもしれません。選択されたチューニング可能な値をデプロイメント・プラン変数としてエクスポートすると、管理者はアプリケーションをデプロイする際に、重要なチューニング・パラメータに注力しやすくなります。管理コンソールでは、デプロイメント・プラン内で変数として公開されているチューニング・パラメータを強調表示しますが、それらをデプロイメント前に変更するようデプロイヤに要求することはありません。

デプロイメント構成をエクスポートするためのツール

WebLogic Serverでは、アプリケーションのデプロイメント構成のエクスポートを支援するための以下のツールを用意しています。

  • weblogic.PlanGenerator。WebLogic Serverデプロイメント記述子の選択されたカテゴリについて、null変数を備えるテンプレート・デプロイメント・プランを作成します。エクスポート・プロセスを開始しているところであり、デプロイメント記述子のクラス全体に対してnull変数を備えるテンプレート・デプロイメント・プランを作成する必要がある場合は、このツールの使用をお勧めします(「デプロイメント・プロパティの分類について」を参照)。通常は、余分な変数定義を削除したり、個々のプロパティのための変数を追加したりするために、手動または管理コンソールでweblogic.PlanGeneratorが作成したデプロイメント・プランを手動で変更する必要があります。

  • 管理コンソールは、インストールされているアプリケーションの構成プロパティが変更されると、必要に応じてデプロイメント・プランを更新または新規作成します。管理コンソールを使用して、新しいデプロイメント・プランを生成したり、既存のプラン内の変数を追加またはオーバーライドできます。記述子プロパティのカテゴリ全体をエクスポートするのではなく、プラン内の個々のデプロイメント記述子プロパティを対話形式で追加または編集できるため、管理コンソールにはweblogic.PlanGeneratorよりも高い柔軟性があります。

デプロイメント・プロパティの分類について

(すべてのJava EEモジュール記述子、ならびにJDBC、JMS、およびWLDFアプリケーション・モジュールのための)各WebLogic Serverデプロイメント記述子プロパティは、次の4つのカテゴリのうちの1つに分類できます。

これらのカテゴリは、デプロイメント・プランにおいて変数として公開するプロパティを選択するために、構成公開・プロセス中に使用します。たとえば、アプリケーションのWebLogic Serverデプロイメント記述子内で「dependencies」としてタグ付けされたすべてのプロパティの変数定義を含む、新しいデプロイメント・プランを生成できます。変数はその後、別のリソース名を持つ環境へアプリケーションをデプロイしている管理者によって簡単に変更できます。

変更可能な記述子プロパティ(依存関係、宣言、および構成可能プロパティ)はすべて、動的プロパティまたは非動的プロパティとしてさらに分類されます。動的プロパティはデプロイされたアプリケーション内で変更でき、その変更を有効化するのに再デプロイは必要ありません。非動的プロパティは変更できますが、変更を有効化するのに再デプロイメントが必要です。管理コンソールは、非動的プロパティを、再デプロイメントが必要であるときにそれを通知するものとして識別します。

アプリケーションのデプロイメント構成をエクスポートする手順

アプリケーションのデプロイメント構成をエクスポートするには通常、以下の手順を実行します。

  1. エクスポートのためのアプリケーション・ファイルのステージング

  2. weblogic.PlanGeneratorを使用したテンプレート・デプロイメント・プランの生成

  3. 管理コンソールを使用したデプロイメント・プランのカスタマイズ

  4. デプロイメント・プランの手動によるカスタマイズ

  5. エクスポートされたデプロイメント構成の検証

次の項では、各手順について詳しく説明します。

エクスポートのためのアプリケーション・ファイルのステージング

デプロイメント構成をエクスポートする前に、アプリケーション・ファイルをアプリケーション・インストール・ディレクトリに入れておくことをお薦めします。インストール・ディレクトリを使用すると、デプロイメント・プランなどの生成された構成ファイルが、エクスポート中に自動的に\planサブディレクトリへコピーされます。

アプリケーションのインストール・ディレクトリを作成するには:

  1. アプリケーションの最上位インストール・ディレクトリを作成します。

    mkdir c:\exportapps\myApplication
    
  2. \appおよび\planサブディレクトリを作成します。

    mkdir c:\exportapps\myApplication\app
    mkdir c:\exportapps\myApplication\plan
    
  3. エクスポートするアプリケーションを完全に\appサブディレクトリへコピーします。アプリケーションはアーカイブ形式でも、展開されたアーカイブ形式でもかまいません。

    cp -r c:\dev\myApplication c:\exportapps\myApplication\app
    

    \appディレクトリには、配布された完全なアプリケーションが格納されている必要があります。また、開発環境へのデプロイメントに使用するWebLogic Server記述子ファイルを格納することができます。

アプリケーションをエクスポートする際に、インストール・ディレクトリを使用しないことを選択した場合は、weblogic.PlanGeneratorに対して-planオプションを使用し、生成されたプランの場所とファイル名を指定することをお勧めします。デフォルトでは、weblogic.PlanGeneratorは生成されたファイルをTEMP/weblogic-install/application_name/configディレクトリに格納します。TEMPは現在の環境における一時ディレクトリです。これは、Windowsプラットフォームの場合、生成された構成ファイルがC:\Documents and Settings\username\Local Settings\Temp\weblogic\install\myApplication.ear\configに格納されることを意味します。生成されたファイルを既知の場所に置くには、-planオプションを使用します。

weblogic.PlanGeneratorを使用したテンプレート・デプロイメント・プランの生成

weblogic.PlanGeneratorツールは、デプロイメント記述子のカテゴリ全体に対するnull変数(宣言、構成な可能プロパティなど)を備えたテンプレート・デプロイメント・プランを迅速かつ簡単に生成する方法を提供します。アプリケーションのすべての依存関係についてnull変数を備える新しいデプロイメント・プランを生成するためには、weblogic.PlanGeneratorの使用をお薦めします。これにより、アプリケーションに必要なすべてのグローバル・リソースが、アプリケーションを新しい環境にデプロイする必要がある管理者によって、簡単に構成できるようになります。

インストール・ルート・ディレクトリ内でステージングされるアプリケーションを使用する場合、weblogic.PlanGeneratorを使用するための基本的な構文は、次のとおりです。

java weblogic.PlanGenerator -root install_root category

説明:

install_rootは、アプリケーションおよびプランのルート・ディレクトリの完全修飾名を指定します。

categoryは、変数を作成するWebLogic Serverデプロイメント記述子のカテゴリを指定します。(各カテゴリの説明は、「デプロイメント・プロパティの分類について」を参照してください。)テンプレート・デプロイメント・プランを生成するには、デフォルトの-dependenciesオプションを使用する必要があります - これにより、アプリケーションが必要とする外部リソースに対する変数が制限されるためです。


注意:

-dependenciesオプションは、可能性のあるすべての動的に構成可能なデプロイメント・プロパティに対してnull変数を作成します。そのため、アプリケーションには不要であるかもしれない多数の変数定義が作成される場合があります。-declarationsオプションは通常、必須ではありません。宣言プロパティは一般に、アプリケーションの基本機能と関連付けられており、新しい環境へのデプロイメントの前に変更されるべきではないからです。

例:

   java weblogic.PlanGenerator -root c:\exportapps\myApplication -dependencies
   java weblogic.PlanGenerator -root c:\exportapps\myApplication

-dependenciesがデフォルトのオプションであるためweblogic.PlanGeneratorコマンドで指定する必要がなく、したがって同義である上記のコマンドの場合、weblogic.PlanGeneratorは選択されたアプリケーション内のすべてのJava EEデプロイメント記述子を検査し、アプリケーションに対する外部リソースを構成するすべての関連WebLogic Serverデプロイメント・プロパティについて、null変数を備えるデプロイメント・プランを作成します。管理コンソールを使用している管理者は、アプリケーションがデプロイできるようになる前に、このテンプレート・デプロイメント・プランを使って各null変数に有効なリソース名とチューニング・プロパティを割り当てるよう指示されます。

管理コンソールを使用したデプロイメント・プランのカスタマイズ

「weblogic.PlanGeneratorを使用したテンプレート・デプロイメント・プランの生成」で生成されたテンプレート・デプロイメント・プランには、アプリケーションの外部の依存関係を解決するデプロイメント・プロパティのみが格納されています。テンプレート・プランを全般的にカスタマイズして、アプリケーションの1つまたは複数のWebLogic Serverチューニング・プロパティを追加します。管理コンソールを使用すると、必要に応じて、個々のデプロイメント記述子プロパティのデプロイメント・プラン変数を簡単に追加できます。管理コンソールを使用してデプロイメント・プランをカスタマイズするには:

  1. エクスポートされたアプリケーションおよびテンプレート・デプロイメント・プランのインストール

  2. 選択されたチューニング・プロパティの変数の追加

  3. カスタマイズされたデプロイメント・プランの取得

エクスポートされたアプリケーションおよびテンプレート・デプロイメント・プランのインストール

管理コンソールを使用してデプロイメント構成を変更するには、まず「アプリケーションのインストール・ディレクトリを作成する手順」の説明にしたがって、アプリケーションおよび既存のデプロイメント・プランをインストールする必要があります。

選択されたチューニング・プロパティの変数の追加

エクスポート・アプリケーションのインストール後、Oracle WebLogic Server管理コンソール・ヘルプ「デプロイメント・プランの更新」の手順に従い、デプロイメント・プランに新規のチューニング・プロパティを追加します。

カスタマイズされたデプロイメント・プランの取得

管理コンソールを使用してアプリケーションのデプロイメント構成を変更する場合、デプロイメント・プロパティに対する変更は、WebLogic Serverデプロイメント・プランや、生成されたWebLogic Serverデプロイメント記述子ファイルに格納されます。アプリケーションのデプロイメント・プラン内の変数として定義されているデプロイメント・プロパティを変更した場合、変更は新しいバージョンのプラン・ファイルに書き戻されます。インストール・ディレクトリからインストールされたアプリケーションの場合、デフォルトでは管理コンソールは生成された構成ファイルをplanサブディレクトリに格納します。

デプロイメント・プランの手動によるカスタマイズ

場合によっては、テキスト・エディタを使用して手動でカスタム・デプロイメント・プランを編集する必要があります。これが必要となるのは、以下の理由がある場合です。

デプロイメント・プランのエントリを手動で編集する前に、http://xmlns.oracle.com/weblogic/deployment-plan/1.0/deployment-plan.xsdおよび「デプロイメント・プランの内容について」を参照してください。

デプロイメント・プランからの変数の削除

デプロイメント・プラン内のvariable-definitionスタンザは、WebLogic Serverデプロイメント記述子プロパティのオーバーライドに使用される変数の名前と値を定義します。module-override要素には、所定のデプロイメント記述子に変数がどこで適用されるのかを定義するvariable-assignment要素を1つまたは複数、含めることができます。デプロイメント・プランから変数を削除するには、テキスト・エディタを使用して以下を削除します。

  • variable-definitionスタンザのvariable定義

  • 削除される変数を参照するすべてのvariable-assignment要素

管理者入力を必要とするnull変数の割当て

既存の変数定義にnull値を割り当てるには、単にvariable要素内のvalue下位要素の中にある任意のテキスト値を、<value xsi:nil="true"></value>に変更します。この場合xsiネームスペースは、xmlns:xsi="http://www.w3.org/2001/XMLSchema-instance"と定義されています。次に例を示します。

...
  <variable-definition>
    <variable>
      <name>SessionDescriptor_InvalidationIntervalSecs_11029744771850</name>
      <value>80</value>
    </variable>
  </variable-definition>
...

これを次のように変更します。

...
  <variable-definition>
    <variable>
      <name>SessionDescriptor_InvalidationIntervalSecs_11029744771850</name>
      <value xsi:nil="true"></value>
    </variable>
  </variable-definition>
...

エクスポートされたデプロイメント構成の検証

管理コンソールは、新しくインストールされたアプリケーションまたはモジュールのデプロイメント構成を自動的に検証します。エクスポート・プロセス中に作成したカスタム・デプロイメント・プランを検証するには:

  1. 「選択されたチューニング・プロパティの変数の追加」に記載の手順に従い、カスタム・デプロイメント・プランの最終バージョンとともにアプリケーションまたはモジュールをインストールします。管理コンソールは、インストール・ディレクトリのplanサブディレクトリ内にplan.xmlという名前のデプロイメント・プランがあれば、それを自動的に使用します。

  2. 「デプロイメントの概要」ページで、インストールしたアプリケーションまたはモジュールの名前を選択します。

  3. 「デプロイメント・プラン」>「依存関係」タブを選択します。

  4. デプロイされたモジュールについて構成された依存関係が、選択されたターゲット・サーバーについて有効であることを確認します。

デプロイメント構成のエクスポートのベスト・プラクティス

アプリケーションのデプロイメント構成をエクスポートする際には、以下のベスト・プラクティスに留意してください。