この章では、ノード・マネージャ構成プロセスと、Javaおよびスクリプト・ベース・バージョンのノード・マネージャについて説明します。
この章の内容は以下のとおりです。
この節では、ノード・マネージャの一般的な構成について説明します。この節の内容は、Javaバージョンおよびスクリプト・バージョンのノード・マネージャに適用されます。以下の節に示す手順を実行する際は、必ずすべての手順項目を実施してください。
ノード・マネージャの一般的な構成を実施した後は、使用するノード・マネージャのバージョンに応じて、第4章「Javaノード・マネージャの構成」または第5章「スクリプト・ノード・マネージャの構成」の構成手順を実施する必要があります。
ノード・マネージャは、WebLogic Serverインスタンスをホストする各コンピュータ上で実行される必要があります。WebLogic Serverで各コンピュータを1つのマシン・リソースとして構成し、ノード・マネージャを使用して制御する各サーバー・インスタンスを、ノード・マネージャが実行されるマシンに割り当てます。
理想としては、システム障害の発生時や再起動時にノード・マネージャが自動的に再起動されるように、ノード・マネージャはオペレーティング・システムのサービスまたはデーモンとして実行する必要があります。『Oracle WebLogic Serverインストレーション・ガイド』のWindowsサービスとしてのノード・マネージャのインストールに関する項を参照してください。
注意: UNIXプラットフォームでは、ノード・マネージャをルート・ユーザーとして実行しないでください。 |
ノード・マネージャは、ノード・マネージャと管理サーバーを同じマシンで実行し、デモ用のSSL構成を使用するのであれば、WebLogic Serverのインストール後すぐに実行することができます。デフォルトでは、次の動作が構成されます。
管理コンソールで、ノード・マネージャを使用して管理対象サーバーを起動できます。
ノード・マネージャは、それが起動した管理対象サーバーをモニターします。
管理対象サーバーの自動再起動が有効になっています。ノード・マネージャは、ノード・マネージャまたは別の方法で強制停止されたサーバー・インスタンスを再起動します。
WebLogic Scripting Tool(WLST)は、システム管理者やオペレータが、WebLogic Serverインスタンスおよびドメインの監視と管理に使用する、コマンド・ライン・スクリプト・インタフェースです。WLSTをノード・マネージャ・クライアントとして使用することで、サーバー・インスタンスをリモートまたはローカルで起動、停止、および再起動できます。加えて、WLSTではサーバーのステータスを取得し、サーバー出力のログとノード・マネージャのログの内容を取得できます。WLSTコマンドの詳細は、『WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』のWLSTコマンドおよび変数リファレンスに関する項を参照してください。
WLSTでは、任意のマシン上で実行されているノード・マネージャに接続でき、そのマシン上の1つまたは複数のWebLogic Serverインスタンスを起動できます。この方法を使用してWLSTおよびノード・マネージャでサーバー・インスタンスを起動するために、ドメインの管理サーバーが実行されている必要はありません。
ただし、デフォルトでは、nmConnect
コマンドは本番環境では使用できません。nmConnect
を本番環境で使用するには、最初に次の手順を実行する必要があります。
管理サーバーを起動します。
管理コンソールを使用し、domain_name>「セキュリティ」>「全般」の「詳細オプション」からノード・マネージャの資格証明を更新します。
WLSTを呼び出し、connect
コマンド使用して管理サーバーに接続します。詳細は、『Oracle WebLogic Scripting Tool』のWebLogic Scripting Toolの使用方法に関する項」を参照してください。
以下の構文を使用してnmEnroll
を実行します。
nmEnroll([domainDir], [nmHome])
次に例を示します。
nmEnroll('C:/oracle/user_projects/domains/prod_domain', 'C:/oracle/wlserver_12.1/common/nodemanager')
nmEnroll()
を実行すると、各管理対象サーバーへ、確実に正しいノード・マネージャのユーザーおよびパスワード・トークンが提供されます。これらが各管理対象サーバーで使用可能になれば、nmConnect
を本番環境で使用できます。
注意: 管理対象サーバーを実行している各マシン上で |
nm_password.properties
ファイルには、ノード・マネージャのユーザー名とパスワードが含まれます。ユーザー名とパスワードは、クライアント(たとえば管理サーバー)とノード・マネージャの間の接続を認証するために使用します。
注意: このユーザー名とパスワードは、ノード・マネージャとクライアントの間の接続の認証にのみ使用されます。サーバー管理用のIDおよびパスワードとは無関係です。 |
このファイルは、ドメインの作成時に、nmEnroll
を使用して必要な構成ファイルをあるマシンから別のマシンにコピーしたときに作成されます。nm_password.properties
が作成されたら、管理コンソールを使用してノード・マネージャのパスワードやプロパティの値を変更できます。変更は、nm_password.properties
ファイルに伝播され、ノード・マネージャによって使用されます。
注意:
|
nm_password.properties
ファイルは、ノード・マネージャを実行する物理マシンごとに存在していなければなりません。ただし、ノード・マネージャのユーザー名とパスワードを、ドメイン内のすべてのマシンで一致させる必要はありません。
WebLogic Serverマシン・リソースでは、特定のマシンとそれがホストするサーバー・インスタンスを関連付け、そのシステム上のノード・マネージャ・プロセスの接続属性を指定します。
管理コンソールの「環境」>「マシン」>machine_name>ノード・マネージャページを使用して、ノード・マネージャ・プロセスを実行するマシンごとにマシン定義を構成します。「リスニング・アドレス」
フィールドに、ノード・マネージャがリスニングするDNS名またはIPアドレスを入力します。
nodemanager.domains
ファイルには、ノード・マネージャ・インスタンスが制御するドメインを指定します。このため、スタンドアロンのクライアントではドメイン・ディレクトリを明示的に指定する必要はありません。
このファイルには、ノード・マネージャ・インスタンスが制御する各ドメインのドメイン・ディレクトリを次の形式で指定するエントリが含まれている必要があります。
domain-name=domain-directory
ユーザーがドメインに対してコマンドを発行すると、ノード・マネージャはnodemanager.domains
からドメイン・ディレクトリをルックアップします。
このファイルではノード・マネージャ・クライアントのアクセスがファイル内に表示されたドメインに制限されるので、セキュリティがさらに強化されます。クライアントは、nodemanager.domains
に表示されたドメインに対してのみコマンドを実行できます。
構成ウィザードを使用してドメインを作成した場合には、nodemanager.domains
ファイルは自動的に作成されています。必要に応じて、nodemanager.domains
を手動で編集し、ドメインを追加できます。
注意:
|
管理コンソールで、管理対象サーバーの「サーバー」>「構成」>サーバーの起動のページで、ノード・マネージャが管理対象サーバーの起動に使用する起動引数を指定します。管理対象サーバーの起動引数を指定しない場合、ノード・マネージャは独自のプロパティをデフォルトとして使用して管理対象サーバーを起動します。詳細は、「nodemanager.propertiesのレビュー」を参照してください。管理対象サーバーを起動するにはこれらのデフォルトで十分ですが、起動プロセスの一貫性と信頼性を確保するには、管理対象サーバーのインスタンスごとに起動引数を構成してください。指定された起動引数は管理対象サーバーの起動にのみ使用されます。ノード・マネージャによって起動される管理サーバー・インスタンスで使用されることはありません。
『Oracle WebLogic Serverインストレーション・ガイド』のWindowsサービスとしてのノード・マネージャのインストールに関する項に従ってノード・マネージャをWindowsサービスとして実行する場合、ノード・マネージャに制御される管理対象サーバーごとに次のJVMプロパティを構成する必要があります。
-Xrs
(Sun JVM)、または
-Xnohup
(JRockit)
このオプションを設定しない場合、ノード・マネージャはシステムの再起動後に管理対象サーバーを再起動できません。それは、次のような一連のイベントが発生するためです。
再起動が行われると、ノード・マネージャ・サービスと管理サーバーのオペレーティング・システム・サービスが停止される前に、実行中の管理対象サーバーが強制終了されます。
管理対象サーバーの強制終了と、ノード・マネージャ・サービスの停止の間の間隔に、ノード・マネージャは継続して管理対象サーバーをモニターし、それが強制終了されたことを検出し、再起動を行おうとします。
マシンが停止しようとしているので、オペレーティング・システムは管理対象サーバーの再起動を許可しません。
ノード・マネージャは障害が発生したものとして管理対象サーバーにマークを付け、マシンが再起動したときにそのサーバーを起動しません。
-Xrs
オプションまたは-Xnohup
オプションを使用して管理対象サーバーを起動すると、マシンの停止時に管理対象サーバーを即座に停止しないようになり、このような一連のイベントが回避されます。
ノード・マネージャを使用して、サーバーの起動プロパティを設定できます。これらのプロパティは、startup.properties
で定義することも、WLSTなどの管理ユーティリティを使用してオブジェクトとして渡すこともできます。起動プロパティと、その有効な値を設定する方法を、次の項で概説します。
ノード・マネージャは、startup.properties
ファイルを使用して、サーバー起時の起動構成を決定します。このファイルは、サーバー・インスタンスごとに定義されており、下記の場所に置かれています。DOMAIN_HOME
/servers/
server_name
/data/nodemanager/startup.properties
startup.properties
の内容はサーバーMBeanから派生するか、サーバーがクラスタの一部である場合は、クラスタMBeanから派生します。詳細は、Oracle WebLogic Server MBeanリファレンスを参照してください。
WLSTのnmStartコマンドを使用する場合、サーバーの構成は、直接決定することができません。したがって、サーバーの起動プロパティをWLSTプロパティ・オブジェクトとしてnmStart
コマンドに渡す必要があります。
以下のサーバーの起動プロパティを、ノード・マネージャを使用して起動する際にサーバーに渡すことができます。
表3-1 サーバーの起動プロパティ
プロパティ | 説明 |
---|---|
|
サーバーを起動する際に使用されるJavaホーム・ディレクトリを定義します。 |
|
サーバーを起動する際に使用される引数。 |
|
これらの引数は、ドメイン全体の管理ポートを有効化した場合に使用されます。 |
|
ノード・マネージャがサーバーの再起動を試行できる回数。 |
|
ノード・マネージャがサーバーの再起動を試行するまでに待機する秒数。 |
|
サーバーを起動する際に使用されるクラスパス。 |
|
サーバーを起動する際に使用されるOracleホーム・ディレクトリ。 |
|
管理サーバーのURL。 注意:この値は、管理対象サーバーの |
|
このサーバーで障害が発生した場合に、ノード・マネージャが自動的にそれを再起動できるかどうかを指定します。 |
|
サーバーのステータスが |
|
このサーバーを起動する際に使用するセキュリティ・ポリシー・ファイルを指定します。 |
|
サーバーのIPアドレス。 |
ノード・マネージャ・プロセスに接続する各管理サーバーのリスニング・アドレスを確実に定義する必要があります。管理サーバーのリスニング・アドレスが定義されていない場合、ノード・マネージャは、管理対象サーバーの起動時に、その管理対象サーバーに対してlocalhostにアクセスして構成情報を取得するように指示します。
リスニング・アドレス
は、管理コンソールの「サーバー」>「構成」>「一般」ページで設定します。
ノード・マネージャを起動する前に、ノード・マネージャの環境変数を設定する必要があります。
コマンドラインでこれらの変数を手動で設定することができ、または、これらの変数を自動で設定する起動スクリプトを作成することもできます。WebLogic Serverに付属のサンプル起動スクリプトstartNodeManager.cmd
およびstartNodeManager.sh
では、必須の変数が設定され、ノード・マネージャのデフォルト・アドレスのlocalhost
へのリスニングを開始します。
ノード・マネージャ上でデフォルト以外のアドレスへリスニングを起動するには、LISTEN_ADDRESS
変数を<host
>に、およびLISTEN_PORT
変数を<port
に設定してからstartNodeManager
スクリプトを呼び出します。または、startNodeManager
スクリプトは、コマンドラインから入力した最初の2つの位置指定パラメータをLISTEN_ADDRESS
およびLISTEN_PORT
に設定します。
たとえば、ノード・マネージャをホストllama
およびポート7777
で起動するには次のコマンドを入力します。
startNodeManager.cmd llama 7777 (Windows) sh startNodeManager.sh llama 7777 (UNIX)
ノード・マネージャをホストllama
で起動するには次のコマンドを入力します。
startNodeManager.cmd llama (Windows) sh startNodeManager.sh llama (UNIX)
本番環境では、ノード・マネージャに対してデフォルト以外のリスニング・アドレスを構成すると、他のマシンからのトラフィックがノード・マネージャまで到達しやすくなります。また、マルチホーム・マシンや複数のネットワーク・インタフェース・カードがあるマシンでは、ノード・マネージャはマシン上のいずれかのアドレスをリスニングできます。
表3-2 ノード・マネージャの環境変数
環境変数 | 説明 |
---|---|
JAVA_HOME |
ノード・マネージャで使用されるJDKルート・ディレクトリ。例: set JAVA_HOME=c:\oracle\jdk131 ノード・マネージャには、WebLogic Serverと同じJDKのバージョンに関する必要条件があります。 |
WL_HOME |
WebLogic Serverのインストール・ディレクトリ。例: set WL_HOME=c:\oracle\wlserver_12.1 |
PATH |
WebLogic ServerのbinディレクトリとJava実行ファイルのパスを指定する必要があります。例: set PATH=%WL_HOME%\server\bin;%JAVA_HOME%\bin;%PATH% |
LD_LIBRARY_PATH (UNIXおよびLinux) |
HP UXおよびSolarisシステムの場合、ネイティブ・ノード・マネージャ・ライブラリのパスを指定する必要があります。 Solarisの例: LD_LIBRARY_PATH:$WL_HOME/server/lib/solaris:$WL_HOME/server/lib/solaris/oci816_8 HP UXの例: SHLIB_PATH=$SHLIB_PATH:$WL_HOME/server/lib/hpux11:$WL_HOME/server/lib/ hpux11/oci816_8 Linuxの例: LD_LIBRARY_PATH:$WL_HOME/server/native/linux:$WL_HOME/server/native/linux/i686 注意: Linuxは |
CLASSPATH |
ノード・マネージャ Windows NTの例: set CLASSPATH=.;% |