この章では、WebLogic Server管理コンソールの使用方法について説明します。
この章の内容は以下のとおりです。
管理コンソールは、WebLogic Serverドメインの管理に使用するWebブラウザ形式のグラフィカル・ユーザー・インタフェースです。WebLogic Serverドメインは、論理的に関連付けられたWebLogic Serverリソースの集合であり、1つの単位として管理されます。ドメインには1つまたは複数のWebLogic Serverが含まれ、WebLogic Serverクラスタが含まれる場合もあります。クラスタはWebLogic Serverインスタンスのグループで、連携して動作することによりアプリケーションにスケーラビリティと高可用性がもたらされます。アプリケーションはドメインの一部としてデプロイされ、管理されます。
各ドメインでは、1つのWebLogic Serverインスタンスが管理サーバーとして構成されます。管理サーバーではWebLogic Serverドメインを一元的に管理できます。ドメイン内の他のすべてのWebLogic Serverインスタンスは、管理対象サーバーと呼ばれます。1つのWebLogic Serverインスタンスしか含まれないドメインでは、そのサーバーが管理サーバーおよび管理対象サーバーとして機能します。管理サーバーでは管理コンソールがホストされます。管理コンソールは、管理サーバーへのネットワーク・アクセスを持ち、サポートされたWebブラウザであればどのブラウザからでもアクセス可能なWebアプリケーションです。管理対象サーバーでは、アプリケーションがホストされます。
管理コンソールを使用すると、以下の操作ができます。
WebLogic Serverインスタンスの構成、起動、停止
WebLogic Serverクラスタの構成
データベース接続(JDBC)、メッセージング(JMS)などのWebLogic Serverサービスの構成
ユーザー、グループ、ロールの管理などのセキュリティ・パラメータの構成
アプリケーションの構成とデプロイ
サーバー・パフォーマンスとアプリケーション・パフォーマンスのモニター
サーバー・ログ・ファイルとドメイン・ログ・ファイルの表示
アプリケーションのデプロイメント記述子の表示
選択した実行時アプリケーションのデプロイメント記述子要素の編集
スタンドアロンCoherenceキャッシュ・サーバーを制御(起動、停止、再起動)します。
Coherenceクラスタの作成と構成
管理コンソールには、詳細なヘルプ・システムがあります。ヘルプ・システムは次の2つの部分から構成されています。
操作ガイド。管理コンソールを介して実行できるタスクの手順が説明されています。
管理コンソール・リファレンス。管理コンソールで指定できる属性の説明など、管理コンソールの各ページに関する参照情報が示されています。
管理コンソール・オンライン・ヘルプは、管理コンソール自体からアクセスするか、または、オンラインでhttp://docs.oracle.com/cd/E24329_01/apirefs.1211/e24401/core/index.html
にアクセスして参照することができます。
この項では、管理コンソールの起動について説明します。
管理コンソールを使用するには、使用する環境でサポートされているWebブラウザを使用します。『Oracle WebLogic Serverの新機能』のサポートされている構成に関する項を参照してください。サポートされていないブラウザをご使用の場合、管理コンソールを使用するときに機能やフォーマットの面で問題が生じる可能性があります。
管理コンソールを起動するには:
管理サーバーを起動します。
サポートされているいずれかのWebブラウザを起動し、次のURLを開きます。
http://hostname:port/console
ここで、hostname
は管理サーバーのDNS名またはIPアドレスで、port
は管理サーバーでリクエストがリスニングされるリスニング・ポート(デフォルトでは7001)です。ドメイン全体の管理ポートを構成している場合は、そのポート番号を使用します。Secure Socket Layer(SSL)を使用するように管理サーバーが構成されている場合は、次のようにhttp
の後にs
を付加する必要があります。
https://hostname:port/console
注意: ドメイン全体の管理ポートでは常にSSLを使用します。 |
ログイン・ページが表示されたら、管理サーバーを起動するために使用したユーザー名とパスワードを入力します(このユーザー名とパスワードはインストール・プロセス中に指定したものです)。または、Administrators、Operators、Deployers、Monitorsのいずれかのセキュリティ・グループに属するユーザー名を入力します。これらのグループでは、管理コンソールのシステム管理機能に対して様々なレベルでのアクセスが提供されています。
セキュリティ・システムを使用してユーザーをこうしたグループのいずれかに追加したり削除したりすることで、管理コンソールへのアクセスを制御できます。
注意: ブラウザがHTTPリクエストをプロキシ・サーバーに送信するよう構成してある場合、管理サーバーのHTTPリクエストをプロキシに送信しないように、ブラウザを構成する必要があります。管理サーバーがブラウザと同じマシン上にある場合は、localhostまたは127.0.0.1に送信されるリクエストがプロキシに送信されないようにする必要があります。 |
管理コンソールはデフォルトで有効になっています。無効にした場合には、WebLogic Scripting Tool (WLST)を使用して再び有効にできます。管理サーバーを起動してから、WLSTを起動して以下のコマンドを使用します。
例3-1 WLSTを使用したコンソールの再有効化
connect("username","password") edit() startEdit() cmo.setConsoleEnabled(true) save() activate() The following attribute(s) have been changed on MBeans which require server re-start. MBean Changed : com.bea:Name=mydomain,Type=Domain Attributes changed : ConsoleEnabled Activation completed disconnect() exit()
WLSTの詳細は、『Oracle WebLogic Scripting Tool』を参照してください。
管理コンソールのユーザー・インタフェースには、以下のパネルがあります。
このパネルには、管理コンソール内のページの移動に使用できるツリー構造が表示されます。「ドメイン構造」ツリーの任意のノードを選択すると、対応するページが表示されます。「ドメイン構造」に表示されている+ (プラス)アイコンをクリックするとノードが展開され、- (マイナス)アイコンをクリックするとノードが折りたたまれます。
管理コンソールの最上部にあるツール・バーには、次の要素があります。
ツール・バーの要素 | 説明 |
---|---|
「ようこそ」メッセージ |
管理コンソールにログインしたユーザー名が表示されます。 |
接続先 |
管理コンソールへの接続に使用したIPアドレスとポート。 |
ホーム |
管理コンソールのトップ・ページへのリンク。 |
ログアウト |
クリックするとコンソールからログ・アウトします。 |
プリファレンス |
管理コンソールの動作の一部を変更できるページへのリンク。 |
記録 |
一連のWebLogic Scripting Tool (WLST)コマンドとして構成アクションの記録を開始します。コマンドをWLSTで再実行できる別のファイルに書き込みます。 Oracle WebLogic Server管理コンソール・ヘルプのWLSTスクリプトの記録に関する項を参照してください。 |
ヘルプ |
管理コンソール・オンライン・ヘルプへのリンク。 |
検索 |
WebLogic Server構成MBeanを検索するため、MBean名に含まれている文字列を指定するためのテキスト・フィールド。 |
管理コンソールを使用してWebLogic Serverドメインに変更を加える際の、作業の開始点になるのがチェンジ・センターです。チェンジ・センターを使用すると、ドメイン構成をロックしてから変更を加えることができます。これにより、その編集セッションの間、他のアカウントからは構成を変更できなくなります。「変更管理の機能について」を参照してください。
ドメイン構成ロックの機能は、本番ドメインでは常に有効になっています。開発ドメインでは有効にしたり無効にしたりできます。また、新しい開発ドメインを作成するときは、デフォルトで無効になっています。Oracle WebLogic Server管理コンソール・ヘルプのドメイン構成ロックの有効化と無効化に関する項を参照してください。
本番ドメインの構成を変更するには、次を行う必要があります:
管理コンソール画面の左上部にある「チェンジ・センター」を見つけます。
「ロックして編集」」ボタンをクリックして、ドメインの構成の編集階層をロックします。
コンソールの該当するページで必要な変更を行います。変更を行った各ページで「保存」をクリックします。
必要な変更がすべて完了したら、「チェンジ・センター」の「変更のアクティブ化」をクリックします。
管理コンソールを使用して構成を変更したら、該当するページで「保存」(または「完了」)をクリックします。この操作によって、すぐに変更が有効になるわけではありません。変更は、「チェンジ・センター」の「変更のアクティブ化」をクリックしたときに有効になります。構成の変更は、この時にドメイン内の各サーバーに配信されます。各サーバーに変更が適用可能な場合、その変更内容は有効になります。変更を受け入れないサーバーがあった場合は、ドメイン内のすべてのサーバーからすべての変更がロールバックされます。変更は保留状態になり、その状態の変更を編集して問題を解決するか、元の状態に戻すかのどちらかを選択できます。
「チェンジ・センター」の「すべての変更の取消し」をクリックすると、保留状態の(保存したがまだアクティブ化されていない)変更を一括で元の状態に戻せます。任意の変更を個別に元の状態に戻すには、管理コンソールの該当するページに移動して、属性を以前の値に戻します。
構成ロックを解放するには、以下の手順を行います。
変更を行う前に、「チェンジ・センター」で「構成の解放」をクリックすると、ロックは明示的に解放されます。
変更を保存した後に、「チェンジ・センター」で「変更のアクティブ化」または「すべての変更を取消し」をクリックすると、ロックは暗黙的に解放されます。
管理サーバーを停止しても構成ロックは解放されません。管理サーバーが再び起動したとき、構成ロックは管理サーバーが停止された時点と同じ状態です。また、保留中の変更は保存されます。
ドメイン内の構成の変更を配信するセキュアで予測可能な手段を提供するために、WebLogic Serverでは、大まかにいうとデータベース・トランザクションのような変更管理プロセスが必ず実行されます。ドメインの構成は、ファイル・システム上ではconfig.xml
ファイルが中心となる一連のXML構成ファイルによって表現され、実行時には構成MBeanの階層によって表現されます。ドメインの構成を編集する場合、管理サーバー上の個々の構成MBeanの階層を編集することになります。編集プロセスを開始するには、編集する階層のロックを取得して他のユーザーが変更を行えないようにします。変更を完了したら、その編集階層の変更を保存します。変更をアクティブにしてドメイン内のすべてのサーバー・インスタンスに配信するまで、その変更は有効になりません。変更をアクティブ化すると、各サーバーでその変更を受け入れられるかどうかが判断されます。すべてのサーバーで変更を受け入れられる場合、各サーバーの作業用の構成階層が更新されて変更が完了します。
変更管理の詳細は、『Oracle WebLogic Serverドメイン構成の理解』の構成変更の管理に関する項を参照してください。
管理コンソールで行った変更の一部は、アクティブ化するとすぐに反映されます。それ以外の変更については、その変更の影響を受けるサーバーまたはモジュールを再起動する必要があります。後者の変更は、動的でない変更と呼ばれます。管理コンソールでは、動的でない変更に対して警告のアイコンが示されます。
動的な構成属性への変更は、その変更がアクティブ化されると有効になります。この場合、影響を受けるサーバーまたはシステムの再起動は必要ありません。この種の変更がサーバーおよび実行時階層で有効になるのは、変更がアクティブ化されたときです。動的でない構成属性への変更には、影響を受けるサーバーまたはシステム・リソースの再起動が必要です。変更は再起動の後に有効になります。
動的でない構成設定に変更があった場合、動的な構成設定に対する変更も再起動の後まで有効になりません。つまり、動的な属性と動的でない属性の編集を一度に行った場合、編集内容の一部分だけがアクティブ化されることはありません。
WebLogic Serverの変更管理プロセスは、ドメインまたはサーバーの構成データの変更に対して適用されます。セキュリティまたはアプリケーション・データには適用されません。