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Oracle® Fusion Middleware Oracle WebLogic Server JAX-RPC Webサービス・スタート・ガイド
12c リリース1(12.1.1)
B65945-01
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7 Webサービスの管理

この章では、Java API for XML-based RPC (JAX-RPC)を使用してWebLogic Webサービスを管理する方法について説明します。

この章では、以下のトピックについて説明します。

WebLogic Webサービスの管理タスクの概要

jwsc Antタスクを使用してWebLogic Webサービスをコンパイルおよびパッケージ化すると、Webサービスはエンタープライズ・アプリケーションの一部としてパッケージ化されます。デフォルトでは、Webサービス自体はエンタープライズ・アプリケーション内にWebアプリケーションWARファイルとしてパッケージ化されます。ただし、JWSファイルにセッションBeanが実装されている場合、WebサービスはEJB JARファイルとしてパッケージ化されます。したがって、Webサービスの基本的な管理は、標準のJava Platform, Enterprise Edition(Java EE)バージョン5アプリケーションおよびモジュールの基本的な管理と非常に似ています。標準的なタスクは次のとおりです。

Webサービス固有の管理タスクは次のとおりです。

管理ツール

WebLogic Serverで動作するJava EEモジュールおよびアプリケーション(Webサービスを含む)を管理するには様々な方法があります。ニーズに最も適合するツールを使用してください。

管理コンソールの使用

WebLogic Server管理コンソールは、サーバーやクラスタにデプロイされたWebLogic Serverドメイン、1つ以上のWebLogic Serverインスタンス、クラスタおよびアプリケーション(Webサービスを含む)の管理に使用するWebブラウザ形式のグラフィカル・ユーザー・インタフェースです。

各ドメインでは、1つのWebLogic Serverインスタンスが管理サーバーとして構成されます。管理サーバーではWebLogic Serverドメインを一元的に管理できます。ドメイン内の他のすべてのWebLogic Serverインスタンスは、管理対象サーバーと呼ばれます。1つのWebLogic Serverインスタンスしか含まれないドメインでは、そのサーバーが管理サーバーおよび管理対象サーバーとして機能します。管理コンソールは、管理サーバーによってホストされるWebアプリケーションであり、サポートされている任意のWebブラウザから、管理サーバーへのネットワーク・アクセスを使用してアクセスできます。

システム管理コンソールを使用して、以下の作業を行うことができます。

管理コンソールの起動

ブラウザで管理コンソールを起動するには、次のURLを入力します。

http://host:port/console

説明:

  • hostは、管理サーバーが動作しているコンピュータを指します。

  • portは、管理サーバーが接続リクエストをリスニングしているポート番号を指します。管理サーバーのデフォルトのポート番号は7001です。

管理コンソールの右上にある「ヘルプ」ボタンをクリックすると、管理コンソールの詳しい使い方を説明するオンライン・ヘルプが表示されます。

次の図は、管理コンソールのメイン・ウィンドウを示しています。

図7-1 WebLogic Server管理コンソールのメイン・ウィンドウ

図7-1の説明が続きます
図7-1 「WebLogic Server管理コンソールのメイン・ウィンドウ」の説明

管理コンソールでのWebサービスの表示

通常、Webサービスはエンタープライズ・アプリケーションの一部としてWebLogic Serverにデプロイされます。エンタープライズ・アプリケーションは、EARとしてアーカイブするか、展開されたディレクトリの形式とすることができます。Webサービス自体はほとんどの場合、Webアプリケーションとしてパッケージ化されます。ただし、JWSファイルにセッションBeanが実装されている場合だけは、EJBとしてパッケージ化されます。Webサービスは、アーカイブ形式(Webアプリケーションの場合はWARファイル、EJBの場合はEJB JARファイル)または展開されたディレクトリ形式にできます。

Webサービスは、必ずしもエンタープライズ・アプリケーションの一部としてインストールする必要はありません。Webサービスは、WebアプリケーションまたはEJBとしてそのままインストールすることもできます。ただし、Webサービスをエンタープライズ・アプリケーションの一部としてインストールすることをお薦めします。Webサービスの作成に使用されるWebLogic Antタスク(jwsc)は、生成されたWebサービスを常にエンタープライズ・アプリケーションにパッケージ化します。

管理コンソールを使用してWebサービスに関するWebサービス固有の構成情報を表示および更新するには、左ペインの「デプロイメント」ノードをクリックし、右ペインに表示される「デプロイメント」表でWebサービスがパッケージ化されているエンタープライズ・アプリケーションを探します。「+」ノードをクリックしてアプリケーションを展開すると、「Webサービス」カテゴリにアプリケーション内のWebサービスのリストが表示されます。構成を表示または更新するには、そのWebサービスの名前をクリックします。

次の図では、管理コンソールの「デプロイメント」表に、helloWorldEarエンタープライズ・アプリケーションにパッケージ化されているHelloWorldService Webサービスが表示されています。

図7-2 WebLogic Server管理コンソールのメイン・ウィンドウ

図7-2の説明が続きます
図7-2 「WebLogic Server管理コンソールのメイン・ウィンドウ」の説明

Webサービスのセキュリティ構成の作成

メッセージ・レベルのセキュリティ(WS-Security仕様で定義されている暗号化およびデジタル署名)を使用するWebLogic Webサービスがデプロイされている場合、Webサービス・ランタイムでは、このサービスのWebサービス・セキュリティ構成との関連付けについても確認が行われます。このセキュリティ構成では、IDの認証にX.509証明書を使用するかどうか、パスワード・ダイジェストを使用するかどうか、暗号化にキーストアを使用するかどうかなどの情報を指定します。1つのセキュリティ構成を多数のWebサービスに関連付けることができます。

Webサービスのセキュリティ構成はドメイン全体を対象とするため、管理コンソールでは「デプロイメント」タブではなく「domainName」→「Webサービス・セキュリティ」タブから作成します。次の図に、このタブの場所を示します。

図7-3 管理コンソールでのWebサービスのセキュリティ構成

図7-3の説明が続きます
「図7-3 管理コンソールでのWebサービスのセキュリティ構成」の説明

Webサービスとクライアントのモニター

管理コンソールで、Webサービスおよびクライアントの実行時情報(呼出し、エラー、フォルトの数など)をモニターできます。

管理コンソールを使用してWebサービスをモニターするには、左ペインの「デプロイメント」ノードをクリックし、右ペインに表示される「デプロイメント」表でWebサービスがパッケージ化されているエンタープライズ・アプリケーションを探します。「+」ノードをクリックしてアプリケーションを展開すると、「Webサービス」カテゴリにアプリケーション内のWebサービスのリストが表示されます。Webサービスの名前をクリックし、「監視」タブをクリックします。

次の表に、Webサービス情報のモニターを選択できるタブをまとめます。各ページでは、Webサービスが実行されているすべてのサーバーの統計が集計されます。

表7-1 Webサービスのモニター

クリックするタブ 表示される内容

「監視」→「全般」

Webサービスの全般的な統計(エラー総数や呼出し総数など)。

「監視」→「呼出し」

呼出し統計(ディスパッチと実行の回数や平均など)。

「監視」→「WS-Policy」

認証、認可、機密性、整合性のカテゴリに分類された、Webサービスにアタッチされているポリシー。

「監視」→「ポート」

Webサービス・エンドポイント(ポート)をリストした表。この表は、各ポートの情報をまとめたものです。ポート名をクリックすると、クライアント・アプリケーションから呼び出せるパブリック操作が表示されます。

操作ごとに、WebLogic Serverインスタンスの起動後に操作が呼び出された回数、Webサービスの呼出しに要した平均時間、Webサービスが応答に要した平均時間など、実行時の監視情報が表示されます。表に表示される情報をカスタマイズするには、「この表のカスタマイズ」をクリックします。

「監視」→「ポート」→「全般」

Webサービス・エンドポイントの全般的な統計。このページには、Webサービス・エンドポイントの名前、URI、関連付けられているWebサービス、エンタープライズ・アプリケーション、アプリケーション・モジュールなどの情報が表示されます。エラーと呼出しの数は、Webサービス・エンドポイントのすべての操作について集計されます。

「監視」→「ポート」→「呼出し」

Webサービス・エンドポイントの呼出し統計(成功、フォルト、違反の数など)。

「監視」→「ポート」→「WS-Policy」

認証、認可、機密性、整合性のカテゴリに分類された、Webサービス・エンドポイントにアタッチされているポリシーに関連する統計。

「監視」→「ポート」→「操作」

Webサービス・エンドポイントの操作のリスト。操作ごとに、レスポンス、実行およびディスパッチの平均時間、レスポンス、呼出しおよびエラーの回数など、実行時の監視情報が表示されます。表に表示される情報をカスタマイズするには、「この表のカスタマイズ」をクリックします。

注意: JAX-WS Webサービスの場合、組込みのWs-Protocol操作については基礎となるWS-*プロトコルに関連する統計が表示されます。この情報は、アプリケーションのパフォーマンス評価に役立ちます。

操作の名前をクリックすると、詳細が表示されます。「全般」タブまたは「呼出し」タブをクリックすると、選択した操作の全般的な統計または呼出し統計が表示されます。


管理コンソールを使用してWebサービス・クライアントを監視するには、左ペインの「デプロイメント」ノードをクリックし、右ペインに表示される「デプロイメント」表でWebサービスがパッケージ化されているエンタープライズ・アプリケーションを探します。「+」ノードをクリックし、Webサービス・クライアントが存在するアプリケーション・モジュールをクリックします。「監視」タブ>「Webサービス・クライアント」タブの順にクリックします。表に各Webサービス・クライアントの実行時情報のサマリーが表示されます。表のクライアント名をクリックすると、詳細が表示されます。

表7-2

クリックするタブ 表示される内容

「監視」→「全般」

Webサービス・クライアントの全般的な統計(エラーと呼出しの総数など)。このページには、Webサービス・クライアントの名前、関連付けられているエンタープライズ・アプリケーションおよびアプリケーション・モジュール、コンテキスト・ルートなどの情報が表示されます。エラーと呼出しの統計は、Webサービスが実行されているすべてのサーバーについて集計されます。

「監視」→「呼出し」

呼出し統計(ディスパッチと実行の回数や平均など)。

「監視」→「WS-Policy」

認証、認可、機密性、整合性のカテゴリに分類された、Webサービス・クライアントにアタッチされているポリシー。

「監視」→「サーバー」

クライアントが現在実行されているサーバーをリストした表。クライアント名をクリックし、以降の手順のタブを使用すると、そのサーバー上のWebサービス・クライアントの詳細が表示されます。

「監視」→「サーバー」→「全般」

Webサービス・クライアントの全般的な統計。このページには、Webサービス・クライアントのポート、関連付けられているエンタープライズ・アプリケーションおよびアプリケーション・モジュール、コンテキスト・ルートなどの情報が表示されます。エラーと呼出しの数は、Webサービス・クライアントのすべての操作について集計されます。

「監視」→「サーバー」→「呼出し」

Webサービス・クライアントの呼出し統計(成功、フォルト、違反の数など)。

「監視」→「サーバー」→「WS-Policy」

認証、認可、機密性、整合性のカテゴリに分類された、Webサービス・クライアントにアタッチされているポリシーに関連する統計。

「監視」→「サーバー」→「操作」

Webサービス・クライアントの操作のリスト。操作ごとに、レスポンス、実行およびディスパッチの平均時間、レスポンス、呼出しおよびエラーの回数など、実行時の監視情報が表示されます。表に表示される情報をカスタマイズするには、「この表のカスタマイズ」をクリックします。

操作の名前をクリックすると、詳細が表示されます。「全般」タブまたは「呼出し」タブをクリックすると、選択した操作の全般的な統計または呼出し統計が表示されます。


Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlの使用

Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control (Fusion Middleware Control)は、ファームをモニターと管理するために使用するWebブラウザ形式のグラフィカル・ユーザー・インタフェースです。ファームはFusion Middleware Controlによって管理されるコンポーネントの集合です。これは、Oracle WebLogic Serverドメイン、1つまたは複数の管理対象サーバー、およびドメインにインストール化、構成および実行できるOracle Fusion Middlewareシステムのコンポーネントが含まれています。

Fusion Middleware Controlは、様々なパフォーマンス・データおよび管理機能を個別のファームに対するWebベースのホームページ、Oracle WebLogic Serverドメイン、コンポーネントおよびアプリケーションに分割しています。Fusion Middleware Controlのホームページを使用すると、Webブラウザからの重要性の高いモニター・データと最もよく使用される管理機能のすべてを簡単に検索することができます。

次の図は、Fusion Middleware Controlを示します。

図7-4 Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control

図7-4の説明が続きます
「図7-4 Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Control」の説明

Enterprise Managerを使用してWebサービスをモニターとテストする方法の詳細は、『Webサービスのためのセキュリティおよび管理者ガイド』のWebLogic Webサービスのセキュリティと管理に関する項を参照してください。

Fusion Middleware Controlは、Oracle Fusion Middleware製品に含まれていますが、Oracle WebLogic Serverのスタンドアロン・バージョンを購入した場合には同梱されていません。Fusion Middleware Controlの詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』の「Oracle Enterprise Manager Fusion Middleware Controlの開始」を参照してください。

WebLogic Scripting Toolの使用

WebLogic Scripting Tool(WLST)は、コマンド・ライン形式のスクリプト・インタフェースで、WebLogic Serverのドメインやインスタンスと対話して構成したり、Java EEモジュールおよびアプリケーション(Webサービスを含む)を特定のWebLogic Serverインスタンスにデプロイする目的で使用します。システム管理者およびオペレータは、WLSTを使用してWebLogic Serverの構成の変更を開始、管理および永続化できます。

通常、Webサービスの管理に使用するWLSTコマンドは、デプロイメント・カテゴリに分類されます。

WLSTの使用方法の詳細は、『Oracle WebLogic Scripting Tool』を参照してください。

WebLogic Antタスクの使用

WebLogic Serverには、構成タスクや管理タスクの多くを単一のAntビルド・スクリプトに一元化するのに使用できる様々なAntタスクが用意されています。これらのAntタスクを使用すると、以下のことが行えます。

Webサービスに関係のないWebLogic Antタスクに固有の情報は、『Oracle WebLogic Serverアプリケーションの開発』のAntタスクを使用したWebLogic Serverドメインの構成と使用に関する項およびwldeploy Antタスクのリファレンスに関する項を参照してください。

Java Management Extensions (JMX)の使用

管理対象Bean (MBean)は、Java Management Extensions (JMX)インタフェースを提供するJava Beanです。JMXは、ネットワーク上のリソースをモニターおよび管理するためのJava EEソリューションです。JMXはSNMPおよび他の管理規格と同様に公開された仕様であり、一般的に用いられるモニター用製品を扱うベンダーの多くでサポートされています。

WebLogic Serverには、JMXを使用してWebLogic Serverリソースを構成、モニターおよび管理するための様々なMBeanが用意されています。WebLogic Webサービスにも、Webサービス管理タスクを実行する目的で使用する専用のMBeanが複数あります。

MBeanには、読取り専用のモニター情報の表示に使用する実行時MBeanと、デプロイ済のWebサービスの構成に使用する構成MBeanの2種類があります。

構成WebサービスMBeanは次のとおりです。

実行時WebサービスMBeanは次のとおりです。

JMXの詳細は、『Oracle WebLogic Server MBeanリファレンス』および『Oracle WebLogic Server JMXによるカスタム管理ユーティリティの開発』の次のセクションを参照してください:

Java EEデプロイメントAPIの使用

Java EE 5では、Java EE Application Deployment仕様(JSR-88) (http://jcp.org/en/jsr/detail?id=88を参照)により、ターゲット・アプリケーション・サーバー環境へのデプロイメント用にアプリケーションを構成するために使用できる標準APIが定義されています。

この仕様には、Java EE Deploymentアーキテクチャが記述されています。このアーキテクチャでは、ツールやアプリケーション・プログラマがあらゆるJava EEプラットフォーム製品でアプリケーションを構成およびデプロイできるようにするための規約を定義しています。この規約では、アプリケーションのデプロイメント構成とデプロイメントについて、ツールとJava EEプラットフォーム製品の間での共通モデルが定義されています。Deploymentアーキテクチャを使用すると、アプリケーションのデプロイメントがより容易に行えます。多様なJava EEプラットフォーム製品にアプリケーションをデプロイするために、さまざまなJava EEデプロイメント・ツールのすべての機能を理解する必要はありません。

詳細は、『Oracle WebLogic Serverへのアプリケーションのデプロイ』を参照してください。

ワーク・マネージャによるWebサービス作業の優先付けとスタック実行スレッドの削減

クライアント・アプリケーションとWebサービスの間の接続が確立されると、理論的にはこれらの間の対話がスムーズかつ迅速になり、クライアントによるリクエストとサービスによるレスポンスが適切なタイミングで行われます。ただし、クライアント・アプリケーションが新しいリクエストを行うのに時間がかかり、その間(最長でWebLogic Serverインスタンスの存続時間の間)、Webサービスが応答を待機する状況が発生することもあります。これは、しばしばスタック実行スレッドと呼ばれます。ある一時点においてスタック実行スレッドが大量に発生すると、サーバー全体のパフォーマンスが低下する可能性があります。

特定のWebサービスが頻繁にこのような状態になる場合は、ワーク・マネージャを構成してサービスに適用することで、そのサービスにおいて作業の実行をどのように優先付けするかを指定できます。たとえば、レスポンス時間リクエスト・クラス(特定のタイプのワーク・マネージャ・コンポーネント)を構成すると、Webサービスのレスポンス時間の目標値を指定できます。

次に、デプロイメント記述子でレスポンス時間リクエスト・クラスを定義する方法の例を示します。

<work-manager>
     <name>responsetime_workmanager</name>
         <response-time-request-class>
             <name>my_response_time</name>
             <goal-ms>2000</goal-ms>
         </response-time-request-class>
 </work-manager>

Oracle WebLogic Server管理コンソール・ヘルプワーク・マネージャ: レスポンス時間: 構成に関する項の説明に従って、管理コンソールを使用してレスポンス時間リクエスト・クラスを構成できます。

ワーク・マネージャの詳細、およびWebサービスに対して構成する方法の詳細は、『Oracle WebLogic Serverサーバー環境の構成』の「ワーク・マネージャを使用したスケジューリング済作業の最適化」を参照してください。