この章では、Java API for RESTful Web Services (JAX-RS)を使用して、Representational State Transfer (REST)アーキテクチャ・スタイルに従ったWebLogic Webサービス・クライアントを開発する方法について説明します。
この章の内容は以下のとおりです。
Jersey JAX-RS RIにより、RESTful Webサービス・クライアントを開発するためのクライアントAPIが提供されます。クライアントAPIにアクセスするには、com.sun.jersey.api.client.Client
クラスのインスタンスを作成してから、そのインスタンスを使用してWebリソースへのアクセスおよびHTTPリクエストの送信を行います。
注意: 標準のクライアントAPIはJSR-311 JAX-RS 2.0仕様の一部としてサポートされる予定です。 |
以下の項で、RESTful Webサービス・クライアントの開発の詳細について説明します。
次の表に、RESTful Webサービス・クライアントを開発するのに必要なタスクのサブセットの概要を示します。高度なタスクの詳細は、「高度なRESTful Webサービス・クライアント・タスク」を参照してください。
次に、例2-1「簡単なRESTful Webサービス」で定義されたRESTful Webサービスを呼び出すのに使用できる簡単なRESTful Webサービス・クライアントの例を示します。この例では:
Client
インスタンスがクライアントAPIにアクセスするために作成されます。詳細は、「クライアント・インスタンスの作成と構成」を参照してください。
WebResource
インスタンスがWebリソースにアクセスするために作成されます。詳細は、「Webリソース・インスタンスの作成」を参照してください。
get
リクエストがリソースに送信されます。詳細は、 「リソースへのリクエストの送信」を参照してください。
レスポンスは文字列値で返されます。レスポンスの受信についての詳細は、「リソースからのレスポンスの受信」を参照してください。
追加の例を「RESTful Webサービスの詳細」に示します。
例4-1 簡単なRESTful Webサービス・クライアントの例
package samples.helloworld.client; import com.sun.jersey.api.client.Client; import com.sun.jersey.api.client.WebResource; public class helloWorldClient { public helloWorldClient() { super(); } public static void main(String[] args) { Client c = Client.create(); WebResource resource = c.resource("http://localhost:7101/RESTfulService-Project1-context-root/jersey/helloWorld"); String response = resource.get(String.class); } }
Jersey JAX-RS RIクライアントAPIにアクセスするには、com.sun.jersey.api.client.Client
クラスのインスタンスを作成します。詳細は、http://jersey.java.net/nonav/apidocs/1.9/jersey/com/sun/jersey/api/client/Client.html
を参照してください。
オプションで、クライアント・インスタンスの作成時に、表4-2で定義したように、com.sun.jersey.api.client.Client.ClientConfig
を定義し、その情報をcreate
メソッドに渡すことで、クライアント構成プロパティを渡すことができます。詳細は、http://jersey.java.net/nonav/apidocs/1.9/jersey/com/sun/jersey/api/client/ClientConfig.html
を参照してください。
表4-2 RESTful Webサービス・クライアント構成プロパティ
プロパティ | 説明 |
---|---|
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クライアントがレスポンス・エンティティをバッファリングする必要があるかどうかと、ある場合には |
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チャンク化されたエンコードのサイズを指定する整数値です。0以下の値はデフォルトのチャンク・サイズが使用されることを示します。設定されない場合、チャンクは使用されません。 |
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接続タイムアウト間隔をミリ秒単位で指定する整数値です。このプロパティが0または設定されない場合、間隔は無限です。 |
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読取りタイムアウト間隔をミリ秒単位で指定する整数値です。このプロパティが0または設定されない場合、間隔は無限です。 |
例4-2にクライアント・インスタンスの作成方法の例を示します。
例4-2 クライアント・インスタンスの作成
import com.sun.jersey.api.client.Client; ... public static void main(String[] args) { Client c = Client.create(); ...
例4-3に、クライアント・インスタンスを作成し、構成プロパティをcreate
に渡す方法の例を示します。
例4-3 クライアント・インスタンスの作成および構成
import com.sun.jersey.api.client.* ... public static void main(String[] args) { ClientConfig cc = new DefaultClientConfig(); cc.getProperties().put(ClientConfig.PROPERTY_FOLLOW_REDIRECTS, true); Client c = Client.create(cc); ...
また、getProperties
メソッドから戻されたマップにプロパティを設定するか、または特定のsetterメソッドを呼び出すことで、クライアントの作成後にクライアント・インスタンスを構成することもできます。
例4-4に、クライアントを作成した後で構成する方法の例を示します。この例では:
PROPERTY_FOLLOW_REDIRECTS
はgetProperties
メソッドから戻されたマップにプロパティを設定することにより構成されます。
PROPERTY_CONNECT_TIMEOUT
はsetterメソッドを使用して構成されます。
RESTful Webサービスにリクエストを送信する前に、URIで指定したリソースにアクセスするための、com.sun.jersey.api.client.WebResource
またはcom.sun.jersey.api.client.AsyncWebResource
のインスタンスを作成する必要があります。WebResource
またはAsyncWebResource
インスタンスはクライアント・インスタンスに対して定義された構成を継承します。詳細は、以下を参照してください。
WebResource
: http://jersey.java.net/nonav/apidocs/1.9/jersey/com/sun/jersey/api/client/WebResource.html
AsyncWebResource
: http://jersey.java.net/nonav/apidocs/1.9/jersey/com/sun/jersey/api/client/AsyncWebResource.html
注意: クライアント・インスタンスはコストの高いリソースなので、複数のWebリソースを作成する場合、可能ならば1つのクライアント・インスタンスを再利用することを推奨します。 |
例4-5に、http://example.com/helloworld
にホストされたWebリソースへのインスタンスを作成する方法の例を示します。
例4-5 Webリソース・インスタンスの作成
import com.sun.jersey.api.client.* ... public static void main(String[] args) {\ ... Client c = Client.create(); WebResource resource = c.resource("http://example.com/helloWorld"); ...
例4-5に、http://example.com/helloworld
にホストされたWebリソースへのインスタンスを作成する方法の例を示します。
次の項で説明するように、WebResource
またはAsyncWebResource
インスタンスを使用して、関連するWebリソースへのリクエストを構築します。
Webリソースへのリクエストは、com.sun.jersey.api.client.RequestBuilder
インタフェースで定義したように、ビルダー・パターンを使用して構造化されます。RequestBuilder
インタフェースはcom.sun.jersey.api.client.WebResource
、com.sun.jersey.api.client.AsyncWebResource
およびその他のリソース・クラスにより実装されます。
表4-3で定義されたメソッドを使用してリクエストを構築することができ、HTTPリクエスト・メソッドが続きます(「HTTPリクエストの送信方法」を参照)。リクエストの構築方法の例を次の項で示します。
RequestBuilder
とそのメソッドの詳細は、http://jersey.java.net/nonav/apidocs/1.9/jersey/com/sun/jersey/api/client/RequestBuilder.html
を参照してください。
表4-3 リクエストの構築
メソッド | 説明 |
---|---|
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有効なメディア・タイプを定義します。「Acceptヘッダーの構成方法」を参照してください。 |
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設定するcookieを追加します |
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リクエスト・エンティティを構成します。「リクエスト・エンティティの構成方法」を参照してください。 |
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HTTPヘッダーおよび値を追加します。「Acceptヘッダーの構成方法」を参照してください。 |
|
メディア・タイプを構成します。「リクエスト・エンティティの構成方法」を参照してください。 |
表4-4に、HTTPリクエストを送信するのに使用できるWebResource
およびAsyncWebResource
の各メソッドを示します。
AsyncWebResource
の場合、java.util.concurrent.Future<V>
オブジェクトが返されます。このオブジェクトは後で、実行を妨げずに計算結果へアクセスする際に使用できます。Future<V>の詳細は、http://docs.oracle.com/javase/6/docs/api/index.html?java/util/concurrent/Future.html
を参照してください。
表4-4 HTTPリクエストを送信するためのWebResourceメソッド
メソッド | 説明 |
---|---|
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リソースの表現を取得するためにHTTP GETメソッドを呼び出します。 |
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指定したリソースの表現を作成または更新するためにHTTP POSTメソッドを呼び出します。 |
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リソースの表現を更新するためにHTTP PUTメソッドを呼び出します。 |
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リソースの表現を削除するためにHTTP DELETEメソッドを呼び出します。 |
レスポンスにエンティティ(または表現)が含まれる場合、インスタンスのJavaタイプはHTTPメソッド内で宣言される必要があります。
例4-7に、HTTP GETリクエストの送信方法の例を示します。この例では、レスポンス・エンティティはString
のインスタンスであることが要求されます。レスポンス・エンティティはString
インスタンスにデシリアライズされます。
例4-7 HTTP GETリクエストの送信
import com.sun.jersey.api.client.WebResource; ... public static void main(String[] args) { ... WebResource resource = c.resource("http://example.com/helloWorld"); String response = resource.get(String.class); ...
例4-8に、HTTP PUTリクエストの送信とエンティティfoo:bar
のWebリソースへの配置方法を示します。この例では、レスポンス・エンティティはcom.sun.jersey.api.client.ClientResponse
のインスタンスであることが要求されます。
例4-8 HTTP PUTリクエストの送信
import com.sun.jersey.api.client.WebResource; import com.sun.jersey.api.client.ClientResponse; ... public static void main(String[] args) { ... WebResource resource = c.resource("http://example.com/helloWorld"); ClientResponse response = resource.put(ClientResponse.class, "foo:bar"); ...
汎用型を使用してHTTPリクエストを送信する場合、実行時に型のイレイジャを回避するために、汎用型を保持するcom.sun.jersey.api.client.GenericType
オブジェクトを作成する必要があります。詳細は、http://jersey.java.net/nonav/apidocs/1.9/jersey/com/sun/jersey/api/client/GenericType.html
を参照してください。
例4-9に、汎用型を保持するGenericType
を使用する、汎用型を使用したHTTPリクエストの送信方法の例を示します。
javax.ws.rs.core.MultivaluedMap
を定義し、WebリソースでqueryParams
メソッドを使用して、HTTPリクエストの一部としてマップを渡すことで、GETリクエスト内の問合せパラメータを渡すことができます。
MultivaluedMap
についての詳細は、http://docs.oracle.com/javaee/6/api/javax/ws/rs/core/MultivaluedMap.html
を参照してください。
例4-10に、GETリクエスト内のパラメータをhttp://example.com/helloworld
にホストされたWebリソースに渡し、次のリクエストURIの結果となる例を示します: http://example.com/base?param1=val1¶m2=val2
例4-10 問合せパラメータを渡す
import com.sun.jersey.api.client.WebResource; import javax.ws.rs.core.MultivaluedMap; import javax.ws.rs.core.MultivaluedMapImpl; ... public static void main(String[] args) { ... WebResource resource = c.resource("http://example.com/helloWorld"); MultivaluedMap queryParams = new MultivaluedMapImpl(); queryParams.add("param1", "val1"); queryParams.add("param2", "val2"); String response = resource.queryParams(queryParams).get(String.class); ...
Webリソースでaccept
メソッドを使用して、リクエストのAccept
ヘッダーを構成します。
例4-11に、http://example.com/helloworld
にホストされたWebリソースへのGETリクエストに、有効なMIMEメディア・タイプとしてtext/plain
を指定する方法の例を示します。
Webリソースでheader
メソッドを使用して、カスタム・ヘッダーをリクエストに追加します。
例4-12に、値BAR
を含むカスタム・ヘッダーFOO
を、http://example.com/helloworld
にホストされたWebリソースへのGETリクエストに追加する方法の例を示します。
Webリソースでentity
メソッドを使用して、リクエスト・エンティティとタイプを構成します。または、Webリソースでtype
メソッドのみを使用してリクエスト・エンティティのタイプを構成することもできます。
例4-13に、リクエスト・エンティティおよびタイプの構成方法の例を示します。
例4-13 リクエスト・エンティティの構成
import com.sun.jersey.api.client.WebResource; ... public static void main(String[] args) { ... WebResource resource = c.resource("http://example.com/helloWorld"); String response = resource.entity(request, MediaType.TEXT_PLAIN_TYPE).get(String.class); ...
例4-14に、リクエスト・エンティティのメディア・タイプのみを構成する方法の例を示します。
「HTTPリクエストの送信方法」で説明したように、HTTPメソッドの呼出し時に、レスポンスにエンティティのJavaタイプ(または表現)を定義します。
レスポンス・メタデータが必要な場合、Javaタイプcom.sun.jersey.api.client.ClientResponse
をレスポンス・タイプとして宣言します。ClientResponse
タイプを使用すると、ステータス、ヘッダーおよびエンティティ情報にアクセスできます。
次の項で、ClientResponse
を使用してアクセスできるレスポンス・メタデータについて説明します。ClientResponse
についての詳細は、http://jersey.java.net/nonav/apidocs/1.9/jersey/com/sun/jersey/api/client/ClientResponse.html
を参照してください。
ClientResponse
オブジェクトでgetStatus
メソッドを使用して、クライアント・レスポンスのステータスにアクセスします。有効なステータス・コードのリストは、http://jersey.java.net/nonav/apidocs/1.9/jersey/com/sun/jersey/api/client/ClientResponse.Status.html
を参照してください。
例4-11に、レスポンスのステータス・コードにアクセスする方法の例を示します。
例4-15 リクエストのステータスへのアクセス
import com.sun.jersey.api.client.WebResource; import com.sun.jersey.api.client.ClientResponse; ... public static void main(String[] args) { ... WebResource resource = c.resource("http://example.com/helloWorld"); ClientResponse response = resource.get(ClientResponse.class); int status = response.getStatus(); ...
ClientResponse
オブジェクトでgetEntity
メソッドを使用して、レスポンス・エンティティを取得します。
例4-11に、レスポンス・エンティティを取得する方法の例を示します。
例4-16 レスポンス・エンティティの取得
import com.sun.jersey.api.client.WebResource; import com.sun.jersey.api.client.ClientResponse; ... public static void main(String[] args) { ... WebResource resource = c.resource("http://example.com/helloWorld"); ClientResponse response = resource.get(ClientResponse.class); String entity = response.getEntity(String.class); ...
以下に示すものを含む、高度なRESTful Webサービス・クライアント・タスクの詳細は、『Jersey 1.9 User Guide』(http://jersey.java.net/nonav/documentation/1.9/user-guide.html
)を参照してください。
表現タイプの追加
フィルタの使用
HTTP URLConnectionを使用したセキュリティの有効化