圧縮されたオブジェクトは、少ないラウンドトリップで、より速くクライアントに送信されるため、高価なハードウェアへの投資を増やすことなく全体の待機時間が削減されます。
各Oracle Traffic Director仮想サーバーに固有の圧縮ルールを1つ以上作成し、すべてのリクエストに適用するように、または指定された条件に一致するリクエストのみに適用するように構成できます。
注意: GIF、JPEGおよびPNGイメージ、ならびにZIPされたファイルなどの特定のファイルは、すでに圧縮されているか、それ以上圧縮することはできません。Oracle Traffic Directorでこのようなファイルを圧縮するように指定すると、圧縮の利点を得られずに追加のオーバーヘッドが発生します。したがって、仮想サーバーで圧縮ルールを作成する場合は、このようなファイルは除外してください。 |
各圧縮ルールでは、次のパラメータも指定できます。
スケール1から9の圧縮レベル。レベル1では圧縮時間は最短で、レベル9では圧縮率は最高になります。
圧縮レベルが高くなるほど、圧縮プロセス中により多くのCPUリソースが消費されますが、圧縮されたコンテンツの送信に必要な帯域幅は比較的小さくて済みます。一方、圧縮レベルが低い場合は、比較的CPUへの負荷が小さくなりますが、圧縮後のコンテンツの送信に必要な帯域幅が大きくなります。圧縮レベルを選択するときは、環境内で、CPUリソースとネットワークの帯域幅のいずれがより高価であるかを考慮してください。
CPUの使用量がより高価である場合、低い圧縮レベルを選択します。
ネットワークの帯域幅が主な制限事項である場合、高い圧縮レベルを選択します。
1回で圧縮するバイト数(フラグメント・サイズ)。
Vary: Accept-Encoding
ヘッダーをレスポンス内に含めるかどうか。
Vary: Accept-Encoding
ヘッダーは、クライアントとOracle Traffic Director間に存在するプロキシに、コンテンツの解凍が不可なクライアントに圧縮済コンテンツを提供しないように指示します。
管理コンソールを使用した圧縮ルールの構成
管理コンソールを使用して圧縮ルールを作成するには、次の操作を行います。
2.3.2項「管理コンソールへのアクセス」の説明に従って、管理コンソールにログインします。
ページの左上隅にある「構成」ボタンをクリックします。
使用可能な構成のリストが表示されます。
圧縮ルールを作成する構成を選択します。
ナビゲーション・ペインで、「仮想サーバー」を展開し、圧縮ルールを作成する仮想サーバーの名前を展開して、「圧縮」を選択します。
「圧縮ルール」ページが表示されます。仮想サーバーに現在定義されている圧縮ルールがリストされ、その圧縮ルールが有効化されているかどうかが示されます。
圧縮ルールの作成
「新規圧縮ルール」をクリックします。
「新規圧縮ルール」ダイアログ・ボックスが表示されます。
「名前」フィールドで、新規圧縮ルールの名前を入力します。
「条件」フィールドで、ルールが適用される条件を指定します。条件式の作成の詳細は、「条件」フィールドの近くにあるヘルプ・ボタンをクリックするか、『Oracle Traffic Director構成ファイル・リファレンス』の変数、式および文字列の補間の使用に関する項を参照してください。
注意: この圧縮ルールが仮想サーバーに対する最初の圧縮ルールの場合、「新規圧縮ルール」ダイアログ・ボックスに、ルールをすべてのリクエストに適用するか、条件を満たすリクエストにのみ適用するかを選択するオプションが表示されます。条件を指定するように選択する場合、条件を入力するテキスト・フィールドが有効になります。 |
「圧縮ルールの作成」をクリックします。
作成したキャッシュ・ルールが「圧縮ルール」ページに表示されます。
さらに、「デプロイメント保留中」メッセージが、メイン・ペインの上部に表示されます。4.3項「構成のデプロイ」の説明に従い、「変更のデプロイ」をクリックして更新された構成を即座にデプロイすることも、さらに変更を行いその後でデプロイすることもできます。
圧縮ルールの編集
圧縮ルールを有効化または無効化する、あるいはルールの設定を変更するには、次の操作を行います。
変更する圧縮ルールの「名前」をクリックします。
「圧縮ルールの編集」ダイアログ・ボックスが表示されます。
変更するパラメータを指定します。
画面上のヘルプおよびプロンプトがすべてのパラメータに提供されています。
フィールドの値を変更する、または変更したテキスト・フィールドからタブアウトすると、ページの右上隅にある「保存」ボタンが有効になります。
「リセット」ボタンをクリックすることで、いつでも変更を破棄できます。
必要な変更を行った後、「保存」をクリックします。
更新された構成が保存されたことを確認するメッセージが、「コンソール・メッセージ」ペインに表示されます。
さらに、「デプロイメント保留中」メッセージが、メイン・ペインの上部に表示されます。4.3項「構成のデプロイ」の説明に従い、「変更のデプロイ」をクリックして更新された構成を即座にデプロイすることも、さらに変更を行いその後でデプロイすることもできます。
圧縮ルールの削除
圧縮ルールを削除するには、「削除」ボタンをクリックします。確認プロンプトで、「OK」です。
CLIを使用した圧縮ルールの構成
仮想サーバーの圧縮ルールを作成するには、create-compression-rule
コマンドを実行します。
たとえば、次のコマンドでは、構成soa
の仮想サーバーsoa.example.com
に対してcompress-docs
という名前のルールが作成され、このルールでは、式$uri='^/docs'
が真と評価されるリクエストがキャッシュされます。
tadm> create-compression-rule --condition="\$uri='^/docs'" --config=soa --vs=soa.example.com compress-docs
OTD-70201 Command 'create-compression-rule' ran successfully.
--condition
オプションの値は、正規表現にする必要があることに注意してください。条件式の作成の詳細は、『Oracle Traffic Director構成ファイル・リファレンス』の変数、式および文字列の補間の使用に関する項を参照してください。
仮想サーバーに定義された圧縮ルールのリストを表示するには、次の例に示すようにlist-compression-rules
コマンドを実行します。
tadm> list-compression-rules --config=soa --vs=soa --verbose --all
rule condition
-------------------------
compress-docs "$uri = '^/docs'
compress-all -
圧縮ルールの現在の設定を表示するには、次の例に示すようにget-compression-rule-prop
コマンドを実行します。
tadm> get-compression-rule-prop --config=soa --vs=soa --rule=compress-docs
fragment-size=8192
condition="$uri = '^/doc'"
compression-level=6
rule=compress-docs
insert-vary-header=true
圧縮ルールを変更するには、set-compression-rule-prop
コマンドを実行します。
たとえば、次のコマンドでは、ルールcompress-docs
の圧縮レベルがレベル6に変更されます。
tadm> set-compression-rule-prop --config=soa --vs=soa.example.com --rule=compress-docs compression-level=9
OTD-70201 Command 'set-compression-rule-prop' ran successfully.
圧縮ルールを削除するには、次の例に示すように、delete-compression-rule
コマンドを実行します。
tadm> delete-compression-rule --config=soa --vs=soa.example.com compress-docs
OTD-70201 Command 'delete-compression-rule' ran successfully.
更新された構成を有効にするには、deploy-config
コマンドを使用して、構成をOracle Traffic Directorインスタンスにデプロイする必要があります。
この項で説明されたCLIコマンドの詳細は、『Oracle Traffic Directorコマンドライン・リファレンス』を参照するか、--help
オプションを付けてコマンドを実行してください。