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Oracle VM Server for SPARC 2.2 リファレンスマニュアル Oracle VM Server for SPARC (日本語) |
- Oracle VM Server for SPARC Physical-to-Virtual (P2V) 変換ツール用のコマンド行インタフェース
ldmp2v collect [-a flash|none] [-O "flarcreate-options"] [-v] [-x mount-point [-x ...]] -d data-dir ldmp2v prepare [-b zvol|file|disk] [-B backend:volume:vdisk [-B ...]] [-c cpu] [-m mount-point:size [-m ...]] [-M memsize] [-o keep-hostid] [-o keep-mac] [-p prefix] [-s] [-v] [-x no-auto-adjust-fs] [-x remove-unused-slices] -d data-dir domain ldmp2v prepare -R guest-root [-c cpu] [-M memsize] [-o keep-hostid] [-o keep-mac] [-v] -d data-dir domain ldmp2v prepare -C domain ldmp2v convert -i install-image -d data-dir [-v] [-x skip-ping-test] domain ldmp2v convert [-j] -n interface -d data-dir [-v] [-x skip-ping-test] domain
Oracle VM Server for SPARC Physical-to-Virtual (P2V) 変換ツールは、既存の物理システムを、チップマルチスレッディング (Chip Multi-Threading、CMT) システム上の論理ドメインで Oracle Solaris 10 OS を実行する仮想システムに自動的に変換します。ソースシステムには、少なくとも Solaris 8、Solaris 9、または Oracle Solaris 10 OS を実行する sun4u SPARC システム、あるいは Oracle Solaris 10 OS を実行する非 Logical Domains sun4v システムを指定できます。
物理システムから仮想システムへの変換は、次のフェーズで実行されます。
収集フェーズ。物理ソースシステムで実行されます。collect は、ソースシステムに関して収集した構成情報に基づいて、ソースシステムのファイルシステムイメージを作成します。
準備フェーズ。ターゲットシステムの制御ドメインで実行されます。prepare は、collect フェーズで収集された構成情報に基づいて、ターゲットシステムに論理ドメインを作成します。ファイルシステムイメージは、1 つ以上の仮想ディスクに復元されます。このイメージは、論理ドメインとして動作できるように変更されます。
変換フェーズ。ターゲットシステムの制御ドメインで実行されます。convert フェーズで、標準の Solaris アップグレードプロセスを使用することにより、作成された論理ドメインが、Solaris 10 OS を実行する論理ドメインに変換されます。
次の節からは、物理システムから仮想システムへの変換が各フェーズで実行される方法について説明します。
ldmp2v collect [-a flash|none] [-O "flarcreate-options"] [-v] [-x mount-point [-x ...]] -d data-dir
ldmp2v collect コマンドは、次のオプションを使用します。
使用するアーカイブ方法を指定します。有効な値は、flash または none です。デフォルトは flash です。
flarcreate コマンドに渡すオプションの引用符付きのリストを指定します。flarcreate のオプションのうち許可されているものは、-c と -x のみです。-c オプションはアーカイブを圧縮し、-x オプションはアーカイブからファイルまたはディレクトリを除外します。複数の flarcreate オプションを指定できます。-O オプションは、-a flash を使用してフラッシュアーカイブ方法を指定する場合にのみ使用できます。
詳細モードを使用します。このモードでは、ldmp2v によって発行されるメッセージがより詳細になります。
mount-point でマウントされるファイルシステムをアーカイブから除外します。
P2V ファイルを格納するディレクトリをシステムごとに指定します。収集フェーズでは、このディレクトリは、root による書き込みが可能である必要があります。中間ディレクトリは、自動的に作成されます。
ldmp2v prepare [-b zvol|file|disk] [-B backend:volume:vdisk [-B ...]] [-c cpu] [-m mount-point:size [-m ...]] [-M memsize] [-o keep-hostid] [-o keep-mac] [-p prefix] [-s] [-v] [-x no-auto-adjust-fs] [-x remove-unused-slices] -d data-dir domain ldmp2v prepare -R guest-root [-c cpu] [-M memsize] [-o keep-hostid] [-o keep-mac] [-v] -d data-dir domain ldmp2v prepare -C domain
ldmp2v prepare コマンドは、次のオペランドおよびオプションを使用します。
操作の対象となる論理ドメインを指定します。
使用するバックエンドの種類を指定します。仮想ディスクは、ZFS ボリューム (zvol)、プレーンファイル (file)、物理ディスクまたはボリュームマネージャーボリューム (disk) で構成されます。このオプションは、/etc/ldmp2v.conf 内の BACKEND_TYPE の設定を上書きします。
バックエンドデバイスの名前を指定し、任意で、作成するボリュームおよび仮想ディスクの名前を指定します。volume または vdisk 値が省略されている場合、デフォルトの名前が使用されます。省略する各値にコロン文字 (:) を指定することにより、値を省略できます。たとえば、-B オプションの有効な使用方法として、-B ::vdisk01 と -B :volume001 が挙げられます。
このオプションは、disk バックエンドに必要であり、/dev/dsk/c0t2d0s2 または /dev/md/dsk/d100 のように少なくともバックエンドデバイスを指定するようにします。disk バックエンドについては、物理システムのマニフェスト内に存在する各ディスクに対して -B オプションを 1 つ指定します。
zvol および file バックエンドについては、backend を使用して、ldmp2v が仮想ディスク用に作成するファイルまたは ZFS データセットを指定できます。たとえば、-B data/ldom1/disk0 のように指定します。-B オプションを使用して、バックエンド名を指定し、デフォルト名を上書きします。デフォルト名は、-p オプションによって生成されるか、/etc/ldmp2v.config 内の BACKEND_PREFIX 設定とドメイン名によって生成されます。
VCPU の数を論理ドメインに割り当てます。デフォルトでは、ldmp2v は、物理システム上の各 CPU に 1つの VCPU を割り当てます。
指定したドメインをクリーンアップします。
P2V に必要なファイルが配置されるディレクトリをシステムごとに指定します。
mount-point で、ファイルシステムのベースとなるスライスとディスクのサイズを変更します。サイズは numunit として指定されます。num は容量であり、unit はブロックの場合は b、K バイトの場合は k、M バイトの場合は m、G バイトの場合は g です。このオプションは、複数回指定できます。このオプションは、/、/usr、および /var の自動サイズ変更を無効にします。mount-point が swap である場合、最初に構成されたスワップデバイスが size の値にサイズ変更されます。
論理ドメインに割り当てるメモリー量を指定します。記憶域サイズは numunit として指定され、num はメモリー容量、unit は次のいずれかになります。
m または M は M バイトを表します。
g または G は G バイトを表します。
unit が指定されていない場合は、M バイトになります。
デフォルトでは、ldmp2v コマンドが、物理システム内にある同量のメモリーを論理ドメインに割り当てます。必要であれば、ゲストドメインの最小記憶域サイズを満たすために、-M オプションで指定された記憶域サイズは 1G バイトになるように調整されます。
物理システムのホスト ID を論理ドメインに転送します。デフォルトで、Logical Domains Manager は新しい一意のホスト ID を割り当てます。
物理システムの MAC アドレスを論理ドメインに転送します。デフォルトで、Logical Domains Manager は新しい一意の MAC アドレスを割り当てます。
バックエンドデバイスを作成する場所を指定します。zvol バックエンドの場合は ZFS データセット、file バックエンドの場合は / からの相対ディレクトリを指定します。このオプションは、/etc/ldmp2v.conf の BACKEND_PREFIX パラメータより優先されます。
非自動モードを選択します。OS イメージの変更手順は、guest-root をルートとするファイルシステムに適用されます。論理ドメインの /etc/vfstab を更新して、guest-root 配下のファイルシステムのレイアウトに一致させます。
スパースバックエンドデバイスを作成します。このオプションは、/etc/ldmp2v.conf の BACKEND_SPARSE パラメータより優先されます。
詳細モードを使用します。このモードでは、ldmp2v によって発行されるメッセージがより詳細になります。
/、/usr、および /var ファイルシステムが自動サイズ調整で合計 10G バイトにならないようにします。既存のファイルシステムのサイズは新しい Solaris リリースにアップグレードするには十分でない場合があるため、このオプションは慎重に使用してください。
-m オプションを使用すると、ファイルシステムのサイズを手動で変更できます。
ファイルシステムまたはスワップデバイスを保持しないスライスを作成しないことにより、仮想ディスクのサイズを減らします。
ldmp2v convert -i install-image -d data-dir [-v] [-x skip-ping-test] domain ldmp2v convert [-j] -n interface -d data-dir [-v] [-x skip-ping-test] domain
ldmp2v convert コマンドは、次のオプションを使用します。
P2V に必要なファイルが配置されるディレクトリをシステムごとに指定します。
アップグレードに使用する Solaris 10 OS DVD ISO イメージへのパスを指定します。
Custom JumpStart を使用します。この場合、JumpStart サーバーおよび JumpStart クライアントが適切に構成されている必要があります。
ネットワークインストールサーバーを使用する場合に起動する仮想ネットワークインタフェースを指定します。
詳細モードを使用します。このモードでは、ldmp2v によって発行されるメッセージがより詳細になります。
ソースシステムの IP アドレスが有効になっているかどうかを判断するための ping テストがスキップされます。このオプションは、元のシステムがアクティブではないときなど、重複する IP アドレスが存在しないことが明らかな場合のみ使用してください。
注意 - 変換フェーズを開始する前に、元の物理システムを停止してください。これは、論理ドメインが、物理システムと同じ IP アドレスを使用し、場合によっては同じ MAC アドレスを使用するためです。 物理システムのいずれかの IP アドレスがアクティブな場合、ldmp2v convert コマンドはエラーメッセージを表示して終了します。 |
この節では、3 つのフェーズの例が含まれます。
例 1 収集フェーズの例
ldmp2v collect コマンドの使用方法の例を次に示します。
NFS マウント済みファイルシステムを共有する。次の例は、collect フェーズの簡単な実行方法を示しています。この場合、ソースシステムとターゲットシステムは、1 つの NFS マウント済みファイルシステムを共有します。
# ldmp2v collect -d /home/dana/p2v/volumia
NFS マウント済みファイルシステムを共有しない。ソースシステムとターゲットシステムが 1 つの NFS マウント済みファイルシステムを共有しない場合、ファイルシステムイメージをローカル記憶領域に書き込んだあとで制御ドメインにコピーできます。ldmp2v により提供されるフラッシュアーカイブ方法を使用します。フラッシュツールは、作成したアーカイブを自動的に除外します。
# ldmp2v collect -d /home/dana/p2v/volumia -a flash
ファイルシステムのバックアップステップをスキップする。NetBackup など、他社のバックアップツールを使用することでシステムのバックアップをすでに利用できる場合は、none アーカイブ方式を使用してファイルシステムのバックアップステップをスキップできます。このオプションを使用する場合、システム構成マニフェストのみが作成されます。
# ldmp2v collect -d /home/dana/p2v/volumia -a none
注 - -d で指定するディレクトリが、ソースシステムとターゲットシステムによって共有されていない場合は、そのディレクトリの内容を制御ドメインにコピーします。準備フェーズを開始する前に、ディレクトリの内容を制御ドメインにコピーする必要があります。
フラッシュアーカイブからファイルまたはディレクトリを除外する。フラッシュアーカイブ方法を使用する場合、flarcreate コマンドにオプションを渡すことにより、ファイルまたはディレクトリをアーカイブから除外できます。この機能では、少なくとも次のパッチバージョンがソースシステムにインストールされている必要があります。
Solaris 8 OS: パッチ ID 109318-34
Solaris 9 OS: パッチ ID 113434-06
# ldmp2v collect -d /home/dana/p2v/volumia -a flash -O "-x /path/to/file -x /some/dir"
例 2 準備フェーズの例
ldmp2v prepare コマンドの使用方法の例を次に示します。
次の例は、物理システムの MAC アドレスを保持しながら、/etc/ldmp2v.conf に構成されているデフォルトを使用することで、volumia という論理ドメインを作成します。
# ldmp2v prepare -d /home/dana/p2v/volumia -o keep-mac volumia
次の例は、-C オプションを使用して、ドメインとそのバックエンドデバイスを完全に削除する方法を示しています。
# ldmp2v prepare -C volumia
次の例は、-m オプションを使用して、P2V 中のファイルシステムとスワップデバイスのサイズ変更を行う方法を示しています。
# ldmp2v prepare -d /home/dana/p2v/normaal -m /:8g -m swap:4g normaal
次の例は、Solaris ボリュームマネージャーメタデバイス d100 と d101 をゲストドメインのバックエンドデバイスとして使用し、最初の仮想ディスクの名前を vdisk100 に設定する方法を示しています。
# ldmp2v prepare -b disk -B /dev/md/dsk/d100::vdisk100 -B /dev/md/dsk/d101 -d /p2v/volumia volumia
次の例は、デフォルトでない ZFS ボリューム名が付いた ZFS ボリュームを使用する方法を示しています。
# ldmp2v prepare -b zvol -B tank/ldom1/zvol1 -B tank/ldom1/zvol2 -d /p2v/volumia volumia
例 3 変換フェーズの例
ldmp2v convert コマンドの使用方法の例を次に示します。
ネットワークインストールサーバーの使用。ldmp2v convert コマンドは、指定された仮想ネットワークインタフェースを使用して、ネットワークを通じて論理ドメインを起動します。インストールサーバーで setup_install_server および add_install_client スクリプトを実行する必要があります。
Custom JumpStart 機能を使用し、完全に操作不要の変換を実行することもできます。
次の例は、ネットワークインストールサーバーを使用してシステムをアップグレードする方法を示しています。
# ldmp2v convert -n vnet0 -d /p2v/volumia volumia
次の例は、Custom JumpStart を使用してシステムをアップグレードする方法を示しています。
# ldmp2v convert -j -n vnet0 -d /p2v/volumia volumia
ISO イメージの使用。ldmp2v convert コマンドは、Solaris DVD ISO イメージを論理ドメインに接続し、そこから ISO イメージを起動します。アップグレードを行うには、sysid のすべての質問に回答し、「Upgrade」を選択します。
注 - sysid の質問への回答は、アップグレード処理時にのみ使用されるため、もっとも単純なオプション (ネットワーク接続なし、ネームサービスなし、など) を選択できます。システムの元の ID は、アップグレードによって維持され、アップグレードの完了後にリブートすると有効になります。アップグレードの実行に要する時間は、元のシステムにインストールされている Solaris クラスタによって決まります。
# ldmp2v convert -i /tank/iso/s10s_u5.iso -d /home/dana/p2v/volumia volumia
次の終了値が返されます。
正常に完了しました。
エラーが発生しました。
次の属性の説明については、attributes(5) マニュアルページを参照してください。
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