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Oracle® Database Express Edition 2日でJava開発者ガイド
11g リリース2
B66472-01
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1 Oracle Database XEでのJavaの使用

Oracle Databaseは、データの格納、使用および変更に使用できるリレーショナル・データベースです。Javaアプリケーションでは、リレーショナル・データベースのデータのアクセスおよび操作に、Java Database Connectivity(JDBC)標準が使用されます。

業界標準のアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)であるJDBCを使用すると、JavaからSQLを使用してRDBMSにアクセスできます。JDBCはX/Open SQL Call Level Interface (CLI)に基づき、JDBCエスケープ標準のエントリ・レベルに準拠しています。ベンダー各社はそれぞれ独自の拡張を含めたJDBC仕様を実装しています。

このマニュアルでは、簡単なJavaアプリケーションを使用し、Oracle Database XEに接続してデータベースのデータにアクセスおよび変更する方法について説明します。

この章では、このマニュアルで作成されるJavaアプリケーションの概要、およびJavaアプリケーションの開発に使用できるツールについて説明します。この章の内容は、次のとおりです。

1.1 Javaを使用したOracle Database XEへの接続

JDBCは、ユーザーがデータベースに接続してSQL文を実行し、データベースに問合せできるようにするデータベース・アクセス・プロトコルです。コアJavaクラス・ライブラリには、JDBC APIのjava.sqljavax.sqlが用意されています。ただし、JDBCは、ベンダーが特定のデータベースを必要に応じて特化するためのドライバを提供できるように設計されています。


注意:

Oracle Database XE11gリリース2では、JDK 5以上がサポートされています。今回のリリースのJDBCサポートには、ojdbc5.jarファイルおよびojdbc6.jarファイルが含まれています。ojdbc6.jarファイルによって、JDBC 4.0との整合性が提供されます。JDK 5の場合はojdbc5.jar、JDK 6の場合はojdbc6.jarを使用します。

次の項では、JDBC標準に対するOracleサポートについて説明します。

1.1.1 Oracle JDBC Thinドライバ

ほとんどの場合、JDBC Thinドライバを使用することをお薦めします。JDBC-OCIは、OCI固有の機能の場合にのみ必要となります。Thinドライバは、適切なJava仮想マシン(Java Virtual Machine: JVM)があるシステムであれば、どのシステム上でも機能します。

JDBC Thinドライバは、Pure JavaのType IVドライバです。JDBC Thinドライバでは、JavaTM 2 Platform Standard Edition 5.0(Java Development Kit(JDK)5とも呼ばれる)がサポートされています。また、JDK 6に対するサポートも含まれています。JDBC Thinドライバはプラットフォームに依存していないため、クライアント側アプリケーションの開発にその他のOracleソフトウェアを必要としません。JDBC Thinドライバは、SQL*Netを使用してサーバーと通信を行い、Oracle Database XEにアクセスします。

Oracle固有のJDBC機能および標準機能にアクセスするには、oracle.jdbcパッケージを使用します。

1.1.2 Oracle JDBCパッケージ

JDBC APIに対するOracleサポートは、oracle.jdbcパッケージおよびoracle.sqlパッケージによって提供されています。これらのパッケージでは、Java Development Kit(JDK)リリース1.5から1.6がすべてサポートされています。

oracle.sql

oracle.sqlパッケージは、SQL形式でデータへの直接アクセスをサポートしています。このパッケージは、主に、SQLデータへのJavaマッピングを提供するクラスとそれらのサポート・クラスによって構成されます。実質的に、このクラスはSQLデータのJavaラッパーとして機能します。文字はJava charsに変換され、さらにUCS-2キャラクタ・セット内のバイトに変換されます。oracle.sql.*データ型の各クラスは、全データ型共通のファンクションおよび機能が含まれているスーパークラスoracle.sql.Datumを拡張します。その中には、JDBC 2.0準拠のデータ型に対応したクラスもあります。データ型クラスだけでなく、oracle.sqlパッケージは、オブジェクトやコレクションで使用するクラスやインタフェースもサポートしています。

oracle.jdbc

oracle.jdbcパッケージのインタフェースでは、java.sqlパッケージのインタフェースに対するOracleの拡張機能が定義されます。これらの拡張機能によって、Oracle SQL形式のデータにアクセスできるようになります。また、その他のOracle固有の機能(Oracleのパフォーマンス拡張など)にアクセスできるようにもなります。

このパッケージの主要なクラスとインタフェースでは、標準のJDBC機能をサポートし、次のような処理を実行するメソッドがあります。

  • OracleのStatementオブジェクトを返します。

  • すべての文のOracleパフォーマンス拡張を設定します。

  • oracle.sql.*型を準備済のコール可能文にバインドします。

  • oracle.sql形式でデータを取得します。

  • データベースおよび結果セットに関するメタ情報を取得します。

  • SQLの型の識別に使用される整定数を定義します。

1.2 JDeveloperを使用したJDBCアプリケーションの作成

このマニュアルのJavaアプリケーション・チュートリアルでは、Oracle JDeveloper 11.1.1を統合開発環境(IDE)として使用し、Javaアプリケーションの開発、およびユーザーがデータを表示して変更するためのWebページの作成を行います。

Oracle JDeveloperは、JavaアプリケーションおよびWebサービスのモデリング、開発、デバッグ、最適化およびデプロイをサポートするIDEです。

JDeveloperには、Javaプログラムに埋め込まれたSQL文を使用してデータベースにアクセスするJavaプログラムを作成し、テストするための機能が備えられています。JDeveloperには、データベースに関して次の処理を行うファンクションおよび機能が備えられています。

1.2.1 JDeveloperユーザー・インタフェース

Oracle JDeveloperは、様々なアプリケーション開発ツール用のウィンドウを使用するIDEです。ウィンドウの表示/非表示を切り替えたり、ウィンドウをドッキング/ドッキング解除して、作業方法に合ったデスクトップを作成できます。

これらのツール以外に、JDeveloperには、プロジェクトの内容を分類し表示できる多くのナビゲータが備えられています。アプリケーション・ナビゲータおよびシステム・ナビゲータには、プロジェクトのファイルが表示され、構造ウィンドウには、個別の項目の構造が表示されます。

必要に応じてウィンドウの位置を変更し、「表示」メニューから閉じたり開いたりすることができます。図1-1に、JDeveloperユーザー・インタフェース(GUI)で使用可能ないくつかのナビゲータ、パレット、作業領域のデフォルトのレイアウトを示します。

図1-1 JDeveloperユーザー・インタフェース

JDeveloperユーザー・インタフェース
「図1-1 JDeveloperユーザー・インタフェース」の説明


関連項目:

JDeveloperオンライン・ヘルプのIDEでのウィンドウの処理に関する項を参照してください。

1.2.2 JDeveloperツール

JDeveloperでは、次のツールを使用してJavaアプリケーションを簡単に作成できます。

  • 構造ウィンドウ: ツリー・ビューに、現在編集中(Java、XMLまたはJSP/HTML)のアプリケーションのすべての要素が表示されます。

  • Javaビジュアル・エディタ: ユーザー・インタフェースの要素を迅速かつ簡単に組み合せて配置できます。

  • JSP/HTMLビジュアル・エディタ: HTMLおよびJSPページを視覚的に編集する場合に使用できます。

  • Javaソース・エディタ: Javaコードを作成する場合に役立つ豊富な機能があります。このような機能には、構文およびセマンティック・エラーをわかりやすくするハイライト、インポート文を追加およびソートする場合の支援、Javaコード・インサイト機能、コード・テンプレートがあります。


    注意:

    Javaコード・インサイト機能は、Javaソース・エディタでコードを作成する場合にコンテキスト固有のインテリジェント入力を提供する機能です。このマニュアルでは、Javaコード・インサイトを使用したコードの挿入方法が数多く記載されています。

  • コンポーネント・パレット: ページ上に表示するボタンやテキスト領域など、ユーザー・インタフェース・コンポーネントを選択します。

  • プロパティ・インスペクタ: ユーザー・インタフェース・コンポーネントなどの項目のプロパティを簡単に設定できます。

これらのツールについて理解するには、図1-1を参照してください。

1.3 サンプルJavaアプリケーションの概要

このマニュアルでは、Java、JDBCおよびOracle ADFを使用してアプリケーションを作成する方法について説明します。このアプリケーションには、次のファンクションおよび機能を組み込みます。

  1. ユーザーがログインしたり、ユーザー名およびパスワードを検証できるようにします。

  2. データベース接続を確立します。

  3. データベースでデータを問い合せ、JavaBeanを使用してデータを取得します。

  4. JavaServer Pages(JSP)テクノロジを使用して、データを表示します。

  5. ユーザーがレコードを挿入、更新または削除できるようにします。

  6. マスター・ディテール・アプリケーションの情報にアクセスし、変更します。

  7. 例外を処理します。


注意:

アプリケーションは、Oracle Database XEに付属のHRスキーマに接続します。

アプリケーションWebページ(JSPページ)の概要

図1-2に、このアプリケーションに対して開発されるページ間の関係を示します。

図1-2 サンプル・アプリケーションのWebページ

図1-2の説明は図の下にあります。
「図1-2 サンプル・アプリケーションのWebページ」の説明

サンプル・アプリケーションのWebページの概要は、次のとおりです。

クラス

サンプル・アプリケーションには、次のクラスが含まれています。


注意:

このアプリケーションは、このマニュアル全体をとおしてチュートリアルの形式で開発していきます。そのため、このマニュアルは、章の順番に読むことをお薦めします。

1.4 リソース

Oracle Database XEの詳細