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Oracle® Fusion Middleware Oracle Adaptive Access Manager管理者ガイド
11g リリース2 (11.1.2)
B70199-02
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K ルールおよびフィンガープリント・ロギング

ロギングを有効化すると、問題のトラブルシューティングやルールのテストに役立ちます。この付録では、OAAMでルール・ロギングを構成する方法について説明します。

K.1 概要

Oracle Adaptive Access Managerでは、様々なチェックポイント(「認証前」、「認証後」など)で各種ポリシーおよびルールを実行するときに、ルール・ログを有効にすると、問題のトラブルシューティングやルールのテストに役立ちます。

注意: 11gでは、ルール・ログ・フィンガープリントはデフォルトで有効化されています。

K.2 ルール・ロギングの構成

次の構成を使用してルール・ロギングを制御します。

vcrypt.tracker.rules.trace.policySet=[true|false]
vcrypt.tracker.rules.trace.policySet.<runtime string value>=[true|false]

K.2.1 シナリオ

次のシナリオでは、ルール・ロギングの仕組みを例示します。

シナリオ

profile.type.enum.postauth.name=「認証後」の場合、ランタイム文字列値は「postauth」です。

K.2.1.1 仕組み

次の各項では、「認証後」チェックポイントを使用してルール・ロギングを例示します。

フローは次のとおりです。

  1. ルール・エンジンにより、vcrypt.tracker.rules.trace.policySet.postauthの構成がチェックされます。

  2. vcrypt.tracker.rules.trace.policySet.postauthの構成が存在しない場合は、vcrypt.tracker.rules.trace.policySetの構成値がチェックされます。

    vcrypt.tracker.rules.trace.policySetのデフォルト値はtrueに設定されています。

ルール・ロギングを指定する値の組合せの詳細は、K.2.1.2項「使用例」を参照してください。

K.2.1.2 使用例

次の表に、特定のチェックポイントで値の組合せによってロギングを制御する方法を例示します。

この例では、「認証後」チェックポイントを使用しています。

vcrypt.tracker.rules.trace.policySet.postauthの値 vcrypt.tracker.rules.trace.policySetの値 ルール・ロギングはpostauthチェックポイントに対して有効化されるか

true

false

はい

true

true

はい

true

未設定

はい

false

false

いいえ

false

true

いいえ

false

未設定

いいえ

未設定

false

いいえ

未設定

true

はい

未設定

未設定

はい


K.2.1.3 要点

特定のチェックポイントでロギング構成が明示的に設定されている場合、ルール・エンジンではその値が使用されます。それ以外の場合は、vcrypt.tracker.rules.trace.policySetの値が使用されます。

K.2.2 ロギング対象とするルールの制御

ルールのロギングは、次のプロパティで制御します。

vcrypt.tracker.rules.trace.notTriggered=[true|false]
vcrypt.tracker.rules.trace.notTriggered.logMillis=[millis]

K.2.2.1 仕組み

vcrypt.tracker.rules.trace.notTriggeredの値を通じて、ログにルールを追加できます。「true」に設定すると、トリガーされないルールも、トリガーされるルールと一緒にロギングされます。

vcrypt.tracker.rules.trace.notTriggered.logMillisの値を通じて、ロギング対象とするルールを絞り込むことができます。

トリガーされないルールがルール・エンジンによってロギングされるのは、トリガーされないルールの実行がvcrypt.tracker.rules.trace.notTriggered.logMillisの値を上回った場合のみです。

K.2.2.2

次の表に、ロギング対象とするルールを制御するプロパティ値を示します。

vcrypt.tracker.rules.trace.notTriggered vcrypt.tracker.rules.trace.notTriggered.logMillis 結果

true

n

トリガーされないルールは、nを上回った場合にロギングされます。nを負の値に設定すると、すべてのルールがロギングされます。

false

n

トリガーされないルールはロギングされません。


K.3 詳細ルール・ロギング

詳細ルール・ロギングでは、各ルール・レベルで要する時間が記録されます。詳細ルール・ログは、実行時間がしきい値を超えた場合にのみ作成されます。実行時間の長いルール(ランタイム)に関する詳細がロギングされるため、詳細ロギングのオーバーヘッドはかなり大きくなります。

所要時間の値は、パフォーマンス統計およびルールやポリシーの実行に要した時間の長さを表します。


注意:

本番マシンでは、ロギングの容量が増えるとパフォーマンスに悪い影響を与えるため、ロギングの有効時間を管理する必要があります。


セッション詳細ページに表示される情報は、ルールの実行時に書き込まれるルール・ログに基づきます。

詳細ルール・ログは、次の2つのプロパティによって制御します。

#Int property determining minimum time required for detailed logging 
vcrypt.tracker.rulelog.detailed.minMillis=2000 
#Boolean property which enables the fingerprint logging. Defaults to true 
vcrypt.tracker.rulelog.fingerprint.enabled=true 

常にすべてのセッションの詳細ログが必要な場合は、前述の時間プロパティとその機能を調整します。

K.3.1 詳細ルール・ロギングの有効化

詳細ルール・ロギングを有効化するには、次の手順を実行します。

  1. ナビゲーション・ツリーで、「環境」の下にある「プロパティ」をダブルクリックします。

  2. 「名前」フィールドに「vcrypt.tracker.rules.trace.policySet」と入力し、「検索」をクリックします。

  3. 「結果」表で、「vcrypt.tracker.rules.trace.policySet」を選択します。

  4. 「詳細vcrypt.tracker.rules.trace.policySet」セクションで、「値」フィールドに「true」と入力します。

  5. 「保存」をクリックします。

    確認ダイアログが表示されます。

  6. 「OK」をクリックしてダイアログ・ボックスを閉じます。

  7. ルールをロギングするチェックポイントを指定します。

K.3.2 ロギングするタイミングの指定

ロギングするチェックポイントを指定するには、次の手順を実行します。

  1. ナビゲーション・ツリーで、「環境」の下にある「プロパティ」をダブルクリックします。

  2. 「新規プロパティ」ボタンまたは新規プロパティの作成アイコンをクリックします。

  3. 「名前」フィールドに「vcrypt.tracker.rules.trace.policySet.<checkpoint string value>」と入力します。

  4. 「値」フィールドに「true」と入力し、「作成」をクリックします。

K.3.3 詳細ロギングの時間しきい値の構成

詳細ルール・ロギングを使用する場合は、時間しきい値xを構成して、ルールの所要時間がしきい値を上回った場合にのみロギングが実行されるようにできます。

ルール・ロギングを開始するまでの猶予となる時間しきい値を変更するには、次の手順を実行します。

  1. ナビゲーション・ツリーで、「環境」の下にある「プロパティ」をダブルクリックします。

  2. 「名前」フィールドに「vcrypt.tracker.rulelog.detailed.minMillis」と入力し、「検索」をクリックします。

  3. 「結果」表で、「vcrypt.tracker.rulelog.detailed.minMillis」を選択します。

  4. 「詳細vcrypt.tracker.rulelog.detailed.minMillis」セクションで、「値」フィールドの値を編集します。

  5. 「保存」をクリックします。

    確認ダイアログが表示されます。

  6. 「OK」をクリックしてダイアログ・ボックスを閉じます。

ポリシーの所要時間が指定の時間x (ミリ秒)を上回ると、Oracle Adaptive Access Managerにより詳細ルール・ロギングが開始されます。

K.3.4 フィンガープリント・ルール・ロギングの有効化

フィンガープリント・ルール・ロギングでの記録は、ポリシー・レベルで要する時間中にのみ行われます。フィンガープリント・ベースのログは、ルール・ログを短くしたものです。アラート・ソースやルールごとの時間などは含まれません。フィンガープリント・ベースのロギングは、データの増大を極力避け、ロギング・オーバーヘッドも最小限に抑える目的で行います。

フィンガープリント・ルール・ロギングを有効化または無効化するには、次のプロパティを変更します。

vcrypt.tracker.rulelog.fingerprint.enabled=true

K.3.5 フィンガープリント・ロギングと詳細ロギングの両方を実行するためのプロパティの指定

次のプロパティを設定できます。

  • フィンガープリント・ロギングまたは詳細ロギングの一方の実行

  • フィンガープリント・ロギングおよび詳細ロギングの両方の実行

  • フィンガープリント・ロギングのしきい値

フィンガープリント・ロギングと詳細ロギングのどちらを実行するかを指定する

フィンガープリント・ロギングと詳細ロギングのどちらを実行するかを決定するには、次のプロパティを設定します。

vcrypt.tracker.rulelog.exectime.maxlimit

この値を超えた場合、詳細ロギングが実行されます。

その他の制限を考慮するように指定する

両方の使用を決定するにあたり、指定したすべてのプロパティを考慮するには、次のように設定します。

vcrypt.tracker.rulelog.exectime.maxlimit=-1

両方を使用しないように指定する

両方のロギング・メカニズム(詳細およびフィンガープリント)を使用してロギングを実行するように指定するには、次のプロパティを使用します。

vcrypt.tracker.rulelog.logBoth

これをtrueに設定します。この値は、vcrypt.tracker.rulelog.exectime.maxlimitをオーバーライドします。

フィンガープリント・ロギングの時間しきい値を構成する

フィンガープリント・ルール・ロギングを開始するまでの猶予となる時間しきい値を変更するには、次のプロパティをミリ秒単位で設定します。

vcrypt.tracker.rulelog.exectime.maxlimit=