この章では、現在SOAP認証を使用している既存のネイティブ統合の10.1.4.5アプリケーションを、11gに移行するための関連作業について説明します。
既存のネイティブ統合アプリケーションを移行するための前提条件は次のとおりです。
クライアントが、SOAPを使用したネイティブ統合のためにOAAM共有ライブラリを使用している必要があります。
クライアントが、構成可能なプロパティをoaam_custom.properties
で指定していて、このファイルがクライアント・アプリケーションのJavaクラスパスにある必要があります。
ネイティブ・アプリケーションでOAAM共有ライブラリを使用できない場合は、第26.4項「OAAM共有ライブラリを使用できないネイティブ・アプリケーションの移行」を参照してください。
このネイティブ統合では、ローカルAPIコールのみが関係しているため、リモート・サーバーのリスク・エンジンがコールされることはありません。この統合では、アプリケーションにOAAMの処理エンジンが埋め込まれるため、基礎となるデータベースを処理に直接活用することが可能になります。
ネイティブ統合されたIn-ProcアプリケーションをOAAM 11gに移行するには、次のようにします。
Oracle Adaptive Access Managerの共有ライブラリを使用するには、WebLogicデプロイメント・ディスクリプタ・ファイル(weblogic.xml)に次のエントリを追加して、共有ライブラリを参照する必要があります。
<library-ref> <library-name>oracle.oaam.libs</library-name> </library-ref>
Webアプリケーションは、Webサービスを介してOAAMと通信します。
ネイティブSOAPアプリケーションをOAAM 11gに移行するには、この項の手順に従ってください。
Oracle Adaptive Access Managerの共有ライブラリを使用するには、WebLogicデプロイメント・ディスクリプタ・ファイル(weblogic.xml)に次のエントリを追加して、共有ライブラリを参照する必要があります。
<library-ref> <library-name>oracle.oaam.libs</library-name> </library-ref>
アプリケーションの移行の一環として、次の手順を実行する必要があります。
すべての構成可能なプロパティをoaam_custom.properties
に移動します。
oaam_custom.properties
に次のプロパティが設定されていることを確認します。
vcrypt.tracker.soap.useSOAPServer=true
vcrypt.soap.disable=false
bharosa.config.impl.classname=com.bharosa.common.util.BharosaConfigPropsImpl
bharosa.config.load.impl.classname=com.bharosa.common.util.BharosaConfigLoadPropsImpl
ネイティブ・アプリケーションから他のすべてのOAAMプロパティ・ファイルを削除します。
古いOAAM JARファイルをすべて削除します。
次のプロセスでは、現在SOAP認証を使用している、既存の10.1.4.5のネイティブ統合されたアプリケーションを11gに移行する方法について説明します。
上述のファイルをコピーした後で、$ORACLE_HOME/oaam/cli/lib
フォルダのoaam_core.jar
ファイルをアプリケーション・ライブラリ・ディレクトリにコピーできます。$ORACLE_HOMEは通常、ミドルウェア・ホームのORACLE_IDM1
フォルダになります。
更新されたプロパティ・ファイルとライブラリはすべて、$ORACLE_HOME/oaam/cli
フォルダに置かれます。conf/bharosa_properties
フォルダには更新されたプロパティが、lib
フォルダには更新されたライブラリが含まれます。
既存のネイティブ統合されたアプリケーションをアップグレードする場合は、まず、既存のbharosa_propertiesフォルダの内容を削除してから、$ORACLE_HOME/oaam/cli/conf/bharosa_properties
ディレクトリの内容に置き換えることができます。
10gでは、すべてのクライアント固有の構成オーバーライドがbharosa_client.properties
ファイルで作成されていましたが、今回はこれらのオーバーライドをoaam_custom.properties
ファイルで作成する必要があります。これは通常、同じ目的のためにサーバー側で変更されるファイルです。古いbharosa_client.properties
の内容に次の新しいプロパティを追加したoaam_custom.properties
ファイルを、次の情報を含むアプリケーションのbharosa_properties
フォルダで作成する必要があります。
# New Properties
vcrypt.tracker.soap.useSOAPServer=true
vcrypt.soap.disable=false
bharosa.config.impl.classname=com.bharosa.common.util.BharosaConfigPropsImpl
bharosa.config.load.impl.classname=com.bharosa.common.util.BharosaConfigLoadPropsImpl
これらの新しいプロパティは、OAAMサーバー・コンポーネントとの通信に一般的なSOAP実装クラスを使用することを新しいライブラリに指示します。また、OAAMデータベースを参照してBharosaConfig
クラスから取得したプロパティを読み取るのではなく、ローカル・プロパティ・ファイルから取得します。
これらのプロパティは、既存のbharosa_client.properties
ファイルの内容とともに使用されることに注意してください。このファイルには、SOAPユーザー名やSOAPキーストア情報も含まれている必要があります。注意: 10gでSOAP認証を設定していない場合は、10.1.4.5のOracle Adaptive Access Managerインストレーションおよび構成ガイドの暗号化の設定に関する項を参照して、新しい11g環境で使用するSOAPキーストアを作成してください。