ナビゲーションリンクをスキップ | |
印刷ビューの終了 | |
Oracle Solaris 11.1 ネットワークの構成と管理 Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語) |
Oracle Solaris では、単一のインタフェースに複数の IP アドレスを付与することができます。たとえば、ネットワーク多重パス (IPMP) のような技術を使用すると、複数のネットワークインタフェースカード (NIC) が同じ IP リンク層に接続できます。このようなリンクは 1 つまたは複数の IP アドレスを持つことができます。さらに、IPv6 が有効なシステム上のインタフェースは、1 つの IPv6 リンクローカルアドレス、少なくとも 1 つの IPv6 ルーティングアドレス、および (少なくとも 1 つのインタフェースに) 1 つの IPv4 アドレスを持ちます。
システムがトランザクションを起動すると、アプリケーションは getaddrinfo ソケットへの呼び出しを作成します。getaddrinfo は、宛先システム上で使用されている可能なアドレスを発見します。そのあと、カーネルはこのリストに優先度を付けて、パケットに使用するのに最適な宛先を見つけます。このプロセスのことを「宛先アドレス順番付け」と呼びます。そのあと、Oracle Solaris カーネルは、パケットに最適な宛先アドレスに対して、適切なソースアドレスの書式を選択します。このプロセスのことを「アドレス選択」と呼びます。宛先アドレス順番付けの詳細については、getaddrinfo(3SOCKET) のマニュアルページを参照してください。
IPv4 専用システムとデュアルスタック IPv4/IPv6 システムは両方とも、デフォルトアドレス選択を実行する必要があります。ほとんどの状況では、デフォルトアドレス選択メカニズムを変更する必要はありません。しかし、IPMP をサポートしたり、6to4 アドレス書式を選択したりする場合は、アドレス書式の優先度を変更する必要があります。
次の手順では、アドレス選択ポリシーテーブルを変更する方法について説明します。IPv6 デフォルトアドレス選択の概念については、ipaddrsel コマンドを参照してください。
注意 - 次のタスクに示す理由がない場合は、IPv6 アドレス選択ポリシーテーブルを変更しないでください。このポリシーテーブルを間違って変更すると、ネットワーク上で問題が発生する可能性があります。次の手順に示すように、このポリシーテーブルは必ずバックアップを保存してください。 |
# ipaddrsel # Prefix Precedence Label ::1/128 50 Loopback ::/0 40 Default 2002::/16 30 6to4 ::/96 20 IPv4_Compatible ::ffff:0.0.0.0/96 10 IPv4
# cp /etc/inet/ipaddrsel.conf /etc/inet/ipaddrsel.conf.orig
/etc/inet/ipaddrsel のエントリには、次の構文を使用します。
prefix/prefix-length precedence label [# comment ]
次に、デフォルトアドレス選択ポリシーテーブルに一般的に行われる変更の例を示します。
6to4 アドレスに最高の優先度を付ける場合。
2002::/16 50 6to4 ::1/128 45 Loopback
6to4 アドレス書式の優先度は現在、最高の50 です。Loopback の優先度は、以前は 50 でしたが、現在は 45 です。ほかのアドレス書式の優先度は変わりません。
特定の宛先アドレスとの通信において、特定のソースアドレスを使用するように指示する場合。
::1/128 50 Loopback 2001:1111:1111::1/128 40 ClientNet 2001:2222:2222::/48 40 ClientNet ::/0 40 Default
このエントリは、物理インタフェースが 1 つしかないホストの場合に役立ちます。ここで、2001:1111:1111::1/128 は、ネットワーク 2001:2222:2222::/48 内にある宛先に向けられたすべてのパケットのソースアドレスとして優先されます。優先度 40 は、このインタフェースに構成されたほかのアドレス書式よりも、ソースアドレス 2001:1111:1111::1/128 を優先することを指示します。
IPv6 アドレスよりも IPv4 アドレスを優先する場合。
::ffff:0.0.0.0/96 60 IPv4 ::1/128 50 Loopback . .
このテーブルでは、IPv4 書式 ::ffff:0.0.0.0/96 の優先度をデフォルトの 10 からテーブル内で最高の 60 に変更しています。
ipaddrsel -f /etc/inet/ipaddrsel.conf
# ipaddrsel -d
/etc/inet/ipaddrsel.conf ファイルを編集すると、その変更はリブート後も適用されます。変更したポリシーテーブルを現在のセッションだけに適用したい場合、次の手順に従います。