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Oracle Solaris 11.1 国際化対応言語環境の利用ガイド     Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語)
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ドキュメントの情報

はじめに

1.  紹介

2.  Unicode と UTF-8 ロケールのサポート

3.  言語とロケールの作業

4.  デスクトップキーボードの設定と入力方式

キーボード配列と入力方式の設定について

GNOME デスクトップマネージャーでのキーボード配列の選択

GNOME デスクトップマネージャーでキーボード配列を選択する方法

入力方式

入力方式のアクティブ化と非アクティブ化の方法

Trusted Extensions での入力方式フレームワークを変更する方法

IBus について

IBus の構成

IBus 入力方式フレームワークで使用可能な言語エンジン

インド語の入力方式

IBus XKBC IM エンジン

IBus 仮想キーボード (ibus-keyboard)

Internet Intranet Input Method Framework

IIIMF で ATOK および Wnn 言語エンジンを使用する方法

GNOME キーボード設定

キーボード設定とカスタマイズを設定する方法

キーボード配列のオプションとデフォルトの動作

キーボード配列の追加と削除の方法

特定のキーに EuroSign を追加する方法

X サーバーを終了するキーシーケンスを設定する方法

選択したキーボード配列を切り替えるキーボードショートカットを設定する方法

GNOME のキーボード配列インジケータ (キーボードセレクタ)

X キーボード拡張 (setxkbmap) を使用したキーボード配列の設定

コンソールでのキーボード配列

5.  フォントの構成

6.  高度なトピック

A.  使用可能なロケール

索引

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入力方式

入力方式 (IM) は、キーボードのような入力デバイスにない特定の文字を、さまざまなデスクトップアプリケーションに入力するメカニズムです。中国語、インド語、日本語、韓国語、およびタイ語などの言語には、入力デバイスで使用可能な文字よりもかなり多くの文字セットが含まれているため、これらの言語には IM が必須です。IM は、キーストロークの組み合わせを、入力デバイスから言語固有の文字に変換し、フォーカスにあるアプリケーションに情報を返します。

入力方式には、IM フレームワークと IM 言語エンジンという 2 つの主要なコンポーネントがあります。IM フレームワークは、IM 言語エンジンとユーザーアプリケーションとの間の連携を可能にする機能を提供する、ソフトウェアコンポーネントです。IM 言語エンジンは、IM フレームワークからキーストロークの組み合わせを取得し、特定の言語の文字に変換して IM フレームワークに返す、ソフトウェアコンポーネントです。

IBus は、Oracle Solaris デスクトップシステム上のデフォルトの IM フレームワークです。IIIMF は、セカンダリ IM フレームワークとしてインストールリポジトリにあります。

デフォルトでは、入力方式は、次の言語でログインしたときにだけアクティブ化されます。

ほかの言語の場合は、必要に応じて、入力方式フレームワークセレクタを使用して IM を手動でアクティブ化できます。

入力方式のアクティブ化と非アクティブ化の方法

入力方式フレームワークセレクタ (imf-selector) は、優先される入力方式フレームワークを選択して、デスクトップセッションで有効または無効にするために使用される設定ツールです。

  1. 「システム」→「設定」→「入力方式セレクタ」を選択します。

    「入力方式フレームワークセレクタ」ウィンドウが表示されます。

  2. 「入力方式フレームワークの有効化」オプションを選択し、リストから優先される入力方式フレームワークを選択します
    image:入力方式フレームワークセレクタ
  3. 「OK」ボタンをクリックして、選択を保存します。

Trusted Extensions での入力方式フレームワークを変更する方法

  1. Trusted Extensions の復旧セッションにログインします。
  2. 端末から imf-selector コマンドを呼び出し、入力方式フレームワークを選択します。
  3. Trusted Extensions の復旧セッションからログアウトします。
  4. Oracle Solaris Trusted Extensions セッションにログインします。各ラベル付きワークスペースで imf-selector を使用し、入力方式フレームワークを選択します。

    次のログインで、選択された入力方式フレームワークがすべてのラベル付きワークスペースで使用されます。


    注 - IBus 入力方式フレームワークをデフォルトの構成で選択した場合は、その入力方式がトリガーキーによってアクティブ化されると、入力方式ステータスパネルが表示されます。IIIMF を選択した場合は、入力方式ステータスパネルが小さな独立したウィンドウに表示されます。


IBus について

Linux および Unix オペレーティングシステム用の Intelligent Input Bus (IBus) は、多くのオープンソースの IM 言語エンジンで動作する強力な多言語の入力方式フレームワークです。IBus は、バスに似たアーキテクチャーを使用して、IBus IM フレームワークと IM 言語エンジンとの間の通信を処理します。このプロセスはユーザーセッションごとに実行されます。異なるユーザーデスクトップセッション間で共有されるプロセスはありません。

IBus の構成

IBus は、IBus 設定ツール (ibus-setup ) によってユーザーごとに設定されます。このツールにアクセスするには、「システム」→「設定」→「入力方式 - IBus」を選択します。次のタスクでは、変更可能ないくつかの主要な構成について説明します。

新しい言語エンジンを追加する方法

  1. 「IBus 設定」ウィンドウで「入力方式」タブをクリックします。
  2. 優先する IM 言語エンジンを選択します。
  3. 「追加」をクリックします。

新しい入力方式トリガーキーを追加する方法

  1. 「IBus 設定」ウィンドウで「一般」タブをクリックします。
  2. 「有効」または「無効」ラベルの「...」ボタンをクリックします。次に、キーコードのラベルと情報ダイアログのポップアップで「...」ボタンをクリックします。ここで、トリガーキーとして優先するキーの組み合わせを押して、情報ダイアログの「閉じる」ボタンをクリックします。次に、トリガーウィンドウの「キーボードの選択」ショートカットで「追加」および「OK」ボタンを押します。
  3. トリガーキーは、フォーカスにあるアプリケーションで IBus をアクティブ化するために使用されます。IBus がアクティブ化されていない場合、文字は入力デバイスからフォーカスがあるアプリケーションに直接送られます。デフォルトのトリガーキーが「有効」または「無効」ラベルに表示されます。

言語パネルの場所を構成する方法

  1. IBus 設定ツールで、「言語パネルの表示」メニューから設定を選択します。

    言語パネルの位置として、3 つの可能な位置があります。

    • 「メニューに組み込む」(デフォルト) - 言語パネルは GNOME パネルの通知領域に埋め込まれます。

    • 「アクティブであるとき」 - 言語パネルは、入力方式がアクティブ化されているときにだけ、独立したウィンドウとして表示されます

    • 「常に表示する」 - 言語パネルは、常に独立したウィンドウとして表示されます。

  2. 「了解」をクリックします。

IBus で新しい言語エンジンを追加する方法

  1. 「システム」→「設定」→「入力方式 – IBus」を選択します。
    image:IBus の選択
  2. 「IBus 設定」ウィンドウが開いたら、「入力方式」タブをクリックします。
    image:IBus 入力方式
  3. 「入力方式の選択」を選択し、必要な入力方式を選択します。
    image:IBus 入力方式の選択
  4. 「追加」ボタンをクリックして、選択したリストに追加します。
    image:IBus 入力方式の追加
  5. 新しい入力方式をデフォルトにするには、「上へ」ボタンをクリックします。選択をリストの最上部に移動します。
    image:IBus 入力方式を上に移動
  6. 現在選択されている入力方式をデフォルトとして使用するには、ログアウトしてから再度ログインします。

IBus 入力方式フレームワークで使用可能な言語エンジン

IBus 入力方式フレームワークでは、次の言語エンジンを使用できます。

インド語の入力方式

次の表で、インド語に使用できる入力方式の概要を示します。

表 4-1 インド語の入力方式

ロケール
言語
入力方式
as_IN.UTF-8
アッサム語
Inscript 配列、ITRANS 転写方式、表音配列
bn_IN.UTF-8
ベンガル語
Inscript 配列、ITRANS 転写方式、probhat 配列、Unijoy キーボード配列
en_IN.UTF-8
英語
入力方式は不要
gu_IN.UTF-8
グジャラート語
Inscript 配列、ITRANS 転写方式、表音配列
hi_IN.UTF-8
ヒンズー語
Inscript 配列、ITRANS 転写方式、表音配列、レミントン製タイプライタの配列、`typewriter' を含む入力方式
kn_IN.UTF-8
カナラ語
Inscript 配列、ITRANS 転写方式、KGP 方式
ks_IN.UTF-8
カシミール語
カシミール語のキーボードをシミュレートする入力方式
ml_IN.UTF-8
マラヤーラム語
Inscript 配列、ITRANS 転写方式、Mozhi 入力方式、Swanalekha 入力方式
mr_IN.UTF-8
マラーティー語
Inscript 配列、ITRANS 転写方式、表音配列
or_IN.UTF-8
オリヤー語
Inscript 配列、ITRANS 転写方式、表音配列
pa_IN.UTF-8
パンジャブ語
inscript 配列、ITRANS 転写方式、jhelum 配列、表音配列
sa_IN.UTF-8
サンスクリット語
京都・ハーバード方式による入力方式
ta_IN.UTF-8
タミル語
Inscript 配列、ITRANS 転写方式、表音配列、Renganathan 配列。tamil99 配列、タイプライター配列、"vutam" Type_As_You_Write 配列。
te_IN.UTF-8
テルグ語
Telugu 用の Apple キーボード配列、inscript 配列、ITRANS 転写方式、pothana Telugu 入力方式 バージョン2.0、RTS 方式

IBus XKBC IM エンジン

IBus XKBC は、XKeyboard 構成データベースを使用してキーボード配列をエミュレートします。XkeyboardConfig で使用可能な、キーボード配列のバリアントを含むすべてのキーボード配列は、IBus IM フレームワークでエミュレートできます。IBus XKBC は、IBus 設定ツールの「その他」の言語カテゴリで使用可能です。IBus XKBC ヘルプに、詳細な構成情報があります。

IBus 仮想キーボード (ibus-keyboard)

IBus 仮想キーボードは、IBus XKBC 言語エンジンに基づいたグラフィカルキーボードエミュレータです。これは、グラフィカルキーボードをウィンドウに表示し、キーアイコンをクリックすることによって、フォーカスにあるアプリケーションに文字を入力できます。IBus XKBC と同様に、IBus 仮想キーボードは、エミュレーション用のさまざまなキーボード配列とバリアントをサポートします。IBus 仮想キーボードを起動するには、「GNOME」パネルの「IBus」メニューから「仮想キーボード」を選択します。

仮想キーボードの構成メニューを表示するには、仮想キーボードアプリケーションのウィンドウを右クリックします。

図 4-1 仮想キーボード

image:仮想キーボード

Internet Intranet Input Method Framework

Internet Intranet Input Method Framework (IIIMF) は、Solaris 9 以降でサポートされている、Oracle Solaris 11 のもう 1 つの IM フレームワークです。IIIMF は、システム規模の共有プロセスとしてではなく、ユーザーごとに実行されます。IIIM 用の設定ツールは、入力方式設定エディタ (iiim-properties) です。このツールにアクセスするには、「システム」→「設定」→「入力方式 - IIIM」を選択します。

IIIMF には、2 つの非常に強力な日本語の言語エンジンである、ATOK と Wnn があります。次の手順で、IIIMF で ATOK または Wnn 言語エンジンを使用する方法を説明します。


注 - このツールについての詳細は、『ATOK for Solaris ユーザーガイド』を参照し、これらの言語エンジンの詳細情報は『Wnn8 ユーザーズガイド』を参照してください。これらのドキュメントは日本語版のみ入手可能です。


IIIMF で ATOK および Wnn 言語エンジンを使用する方法

  1. パッケージマネージャーの GUI または pkg コマンドを使用して、次のパッケージをインストールします。
    • IIIMF コアパッケージ: system/input-method/iiim

    • ATOK パッケージ: system/input-method/iiim/atok

    • Wnn パッケージ: system/input-method/iiim/wnn

    インストールに使用可能な IIIMF 言語エンジンをリストするには、次のコマンドを実行します。

    $ pkg list -a system/input-method/iiim/*
  2. 入力方式フレームワークセレクタを使用して、デスクトップセッションで IIIMF を選択します。

    次回のログイン時に、IIIMF がデスクトップセッションに使用されます。(デスクトップセッションを再起動する必要があります。)

  3. Wnn 言語エンジンを使用している場合は、
    1. 次のコマンドを発行して、jserver および dpkeyserv サーバーを呼び出します。(サービス管理権限が必要。)
      # svcadm enable wnn8/server
    2. 入力方式設定エディタ (iiim-properties) ツールで Wnn IM 言語エンジンを選択します。