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マルチユーザー環境の Oracle Solaris デスクトップの最適化 Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語) |
2012 年 10 月
この記事は、Oracle Solaris 11 システム管理者が、Oracle Solaris 11 デスクトップをマルチユーザー環境用に最適化する方法を理解するのに役立ちます。
この記事では、次の内容について説明します。
マルチユーザー環境では、Sun Ray クライアントや VNC ビューアなどの複数クライアントにデスクトップ環境を提供するようにサーバーを設定できます。クライアントに提供されるデスクトップ環境は、優れたパフォーマンスと操作性が得られるように最適化できます。デスクトップ環境の最適化は、group/feature/multi-user-desktop Image Packaging System (IPS) パッケージから入手できます。デスクトップの最適化を可能にするには、この IPS パッケージをサーバーにインストールする必要があります。
IPS パッケージをインストールすると、一部のデスクトップ設定が変更されます。変更された値はデフォルトのデスクトップ設定値をオーバーライドします。変更されるデスクトップ設定について知るには、「デスクトップ設定」を参照してください。
次の例は、/apps/nautilus/preferences/show_image_thumbnails デスクトップ設定をオーバーライドする利点について説明したものです。
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デスクトップ最適化を有効にするには、group/feature/multi-user-desktop IPS パッケージをインストールして、application/gconf/multi-user-desktop SMF (サービス管理機能) サービスを有効にする必要があります。IPS パッケージをインストールして最適化を有効にする方法の詳細は、「デスクトップ最適化パッケージをインストールする」を参照してください。
最適化が有効になったあとは、サーバーにログインするすべてのユーザーに対して、最適化されたデスクトップ環境が提供されます。ユーザーのログインプロセスにかかる時間は、次の理由で短くなります。
標準的なユーザーには有用でないいくつかの管理アプリケーションはロードされません。
グラフィックおよび CPU 負荷がかかるいくつかのアプリケーションがロードされません。
次の最適化は group/feature/multi-user-desktop IPS パッケージによって提供されます。
GConf ベースの最適化 – GConf フレームワークを使用して管理されます。
Mozilla Firefox 用の最適化 – Mozilla Firefox Web ブラウザに固有のものです。
デスクトップ設定を変更する方法の詳細は、「デスクトップ設定をカスタマイズする」を参照してください。
注 - このドキュメントで、「標準的なユーザー」および「ユーザー」という用語は同義で使用され、これらはシステム管理者ではないユーザーを指します。
group/feature/multi-user-desktop IPS パッケージには、デスクトップ環境の最適化パッケージが含まれています。このパッケージをインストールするには、Oracle Solaris 11 オペレーティングシステムのテキストベースインストールを使用することを推奨します。
次のいずれかのブート環境に IPS パッケージをインストールできます。
アクティブなブート環境
新しいブート環境
IPS パッケージをアクティブなブート環境にインストールすると、アクティブなブート環境が変更され、バックアップ用ブート環境が作成されます。
$ pkg install group/feature/multi-user-desktop
$ reboot
パッケージをインストールすると、アクティブなブート環境でデスクトップ最適化が使用可能になります。ここで最適化を有効にする必要があります。最適化を有効にするには、「デスクトップの最適化を有効にする」を参照してください。
IPS パッケージを新しいブート環境にインストールすると、アクティブなブート環境は変更されず、パッケージは新しいブート環境にインストールされます。
$ beadm create beName
$ beadm mount beName /tmp/beName
$ pkg -R /tmp/beName install group/feature/multi-user-desktop
$ beadm activate beName
$ reboot
パッケージをインストールすると、新しいブート環境でデスクトップ最適化が使用可能になります。ここで最適化を有効にする必要があります。最適化を有効にするには、「デスクトップの最適化を有効にする」を参照してください。
最適化を有効にするには、application/gconf/multi-user-desktop SMF サービスを有効にします。
$ svcadm enable application/gconf/multi-user-desktop
SMF サービスが有効化されます。
SMF サービスが有効になったあとは、サーバーに接続するすべてのユーザーに対して、最適化されたデスクトップ環境が提供されます。SMF サービスの詳細については、「application/gconf/multi-user-desktop SMF サービス」を参照してください。
group/feature/multi-user-desktop IPS パッケージには、デスクトップ用の最適化パッケージが含まれています。このパッケージをインストールすると、次のパッケージがシステムにインストールされます。
web/browser/firefox/multi-user-desktop
gnome/config/gconf/multi-user-desktop
次の表で、最適化パッケージについて説明します。
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application/gconf/multi-user-desktop SMF サービスは、group/feature/multi-user-desktop IPS パッケージをインストールするときに作成されます。この SMF サービスを有効にすると、GConf キー (デスクトップ設定) の最適な値は次のパスにインストールされます。
/etc/gconf/gconf.xml.multi.user.desktop.defaults
/etc/gconf/gconf.xml.multi.user.desktop.mandatory
SMF サービスが無効にされると、デスクトップ設定の最適な値 (オーバーライドされる値) は上記のパスからアンインストールされ、デスクトップ設定の値はデフォルト値にリセットされます。
注 -
/etc/gconf/gconf.xml.multi.user.desktop.defaults パスへのポインタは、/etc/gconf/2/local-multi-user-desktop-defaults.path ファイルに存在します。
/etc/gconf/gconf.xml.multi.user.desktop.mandatory パスへのポインタは、/etc/gconf/2/local-multi-user-desktop-mandatory.path ファイルに存在します。
必須およびデフォルトのデスクトップ設定をカスタマイズできるのは、システム管理者だけです。ただし、標準的なユーザーはデフォルトのデスクトップ設定のみカスタマイズできます。デフォルトおよび必須のデスクトップ設定の詳細は、「デスクトップ設定」を参照してください。
次の種類の最適化をカスタマイズできます。
GConf ベースの最適化 – GConf ベースの最適化のカスタマイズについての詳細は、「GConf ベースの最適化をカスタマイズする」を参照してください。
Mozilla Firefox の最適化 – Mozilla Firefox のカスタマイズについての詳細は、「Mozilla Firefox の最適化をカスタマイズする」を参照してください。
デスクトップ設定は、GConf を使用して管理されます。Oracle Solaris 11 デスクトップ設定によって使用されるデスクトップ設定の値は、優先順位に基づいています。次の表に、デスクトップによって使用される設定値を示します。
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たとえば、application/gconf/multi-user-desktop SMF サービスが /desktop/gnome/background/draw_background の設定値を false に設定し、ユーザーが同じ設定をオーバーライドして値を true に設定した場合、デスクトップによって使用される実際の値は true です。この値が使用される理由は、ユーザーによってデフォルト設定に設定される値の方が、SMF サービスによって設定される値よりも高い優先順位を持つためです。
同様に、必須の設定については、システム管理者が SMF サービスを有効にする前に設定を変更した場合、デスクトップによって使用される設定の実際の値は、SMF サービスではなく、システム管理者によって設定されたものになります。
標準的なユーザーは、すべてのデフォルト設定を変更できます。設定は、デスクトップから使用可能な「表示」設定などの GUI ツールを使用してカスタマイズできます。GUI ツールを使用してアクセスできない設定については、gconftool-2 コマンド行ユーティリティーを使用して設定を変更します。
次の例は、gconftool-2 コマンド行ユーティリティーの使用法を示しています。
デスクトップ設定の現在の値を読み取るには、次のように入力します。
$ gconftool-2 --get /desktop/gnome/lockdown/allowed_applications
デスクトップ設定の値を設定するには、次のように入力します。
$ gconftool-2 --type string --set /desktop/gnome/font_rendering/hinting "full"
デスクトップ設定の値を設定解除するには、次のように入力します。
$ gconftool-2 --unset /desktop/gnome/font_rendering/hinting
GConf 設定を XML ファイルに保存し、このファイルを gconftool-2 ユーティリティーの入力として提供することができます。gconftool-2 は、XML ファイルにある情報に基づいて設定を構成します。
次の例は、XML ファイルによる gconftool-2 ユーティリティーの使用法を示しています。
設定の現在の値を読み取るには、次のように入力します。
$ gconftool-2 --dump /desktop/gnome/lockdown > /tmp/settings.xml
注 - 設定の値を XML ファイルに保存するには、--dump オプションに対して設定階層の 1 レベル上を指定する必要があります。たとえば、/desktop/gnome/lockdown/allowed_applications 設定の値が必要な場合、--dump オプションに対して /desktop/gnome/lockdown を指定する必要があります。
設定の値を設定するには、次のように入力します。
$ gconftool-2 --load /tmp/settings.xml
設定の値を設定解除するには、次のように入力します。
$ gconftool-2 --unload /tmp/settings.xml
次のサンプル XML ファイルは、gconftool-2 ユーティリティーを使用して設定される値を示しています。
<?xml version="1.0"?> <gconfentryfile> <entrylist base="/desktop/gnome/background"> <entry> <key>draw_background</key> <value> <bool>true</bool> </value> </entry> <entry> <key>picture_options</key> <value> <string>zoom</string> </value> </entry> </entrylist> </gconfentryfile>
システム管理者は、デフォルトおよび必須のすべてのデスクトップ設定を変更できます。システム管理者によって行われた変更は、すべてのユーザーに影響します。
gconf.xml.admin.defaults
gconf.xml.admin.mandatory
local-defaults.path
local-mandatory.path
xml:readonly:/etc/gconf/gconf.xml.admin.defaults
xml:readonly:/etc/gconf/gconf.xml.admin.mandatory
例:
$ gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.admin.defaults --load /tmp/default-settings.xml $ gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.admin.mandatory --load /tmp/mandatory-settings.xml
例:
$ chmod -R 755 /etc/gconf/gconf.xml.admin.defaults $ chmod -R 755 /etc/gconf/gconf.xml.admin.mandatory
システム管理者として、/desktop/gnome/lockdown/allowed_applications 設定の値を変更することによって、ユーザーが起動できるアプリケーションの種類を制限することができます。この設定は、ユーザーによる起動が許可されているアプリケーションのリストを指定します。要件に基づいて、アプリケーションをこのリストに追加または削除できます。
次の例は、許可されるアプリケーションのリストに新規アプリケーションを追加する方法を示しています。
例 1 許可されるアプリケーションのリストに新規アプリケーションを追加する
/usr/bin/ new_app という新規アプリケーションをインストールしたとします。ユーザーがこの新規アプリケーションを使用できるようにするには、/desktop/gnome/lockdown/allowed_applications 設定の値を更新することによって、許可されるアプリケーションのリストにこのアプリケーションを追加する必要があります。次の例は、設定の値を更新する方法を示しています。
/desktop/gnome/lockdown/allowed_applications 設定の既存の値を XML ファイルにコピーします。
$ gconftool-2 --dump /desktop/gnome/lockdown > /tmp/new-settings.xml
/tmp/new-settings.xml ファイル内で、新規アプリケーションを allowed_applications のリストに追加します。
<value> <string>/usr/bin/new_app</string> </value>
注 - /tmp/new-settings.xml ファイルでは、allowed_applications 設定以外の設定を削除できます。
/etc/gconf ディレクトリ内に gconf.xml.admin.mandatory ディレクトリを作成します。
/etc/gconf/2 ディレクトリ内に local-mandatory.path ファイルを作成します。
local-mandatory.path ファイルに次の行を追加します。
xml:readonly:/etc/gconf/gconf.xml.admin.mandatory
手順 3 で作成した必須ディレクトリに新しい設定を保存します。
例:
$ gconftool-2 --direct --config-source xml:readwrite:/etc/gconf/gconf.xml.admin.mandatory --load /tmp/new-settings.xml
設定を使用できるユーザーに読み取り権限を付与します。
例:
chmod -R 755 /etc/gconf/gconf.xml.admin.mandatory
同様に、「許可されるアプリケーション」のリストからアプリケーションを削除するには、XML ファイルからアプリケーションのエントリを削除し、新しい設定をロードする必要があります。
注 - 許可されるアプリケーションのリストに存在しないアプリケーションは自動的に起動されず、デスクトップ、メニュー、またはファイルブラウザに表示されません。
Mozilla Firefox Web ブラウザに設定されている最適化された値をオーバーライドできるのは、システム管理者だけです。最適化された値は、/usr/lib/firefox/defaults/pref/all-multi-user-desktop.js ファイルに存在します。
次のコードは、all-multi-user-desktop.js ファイルの値を示しています。
// Disable "safe browsing" feature that hogs CPU, HDD, etc. pref("browser.safebrowsing.enabled", false); pref("browser.safebrowsing.malware.enabled", false); // Limit the "location-bar suggestions" pref("browser.urlbar.maxRichResults", 3); // Disable offline/disk caching of web pages pref("browser.cache.offline.enable", false); pref("browser.cache.disk.enable", false); // Change the default cache: pref("browser.cache.memory.enable",true); pref("browser.cache.memory.capacity", 1024);
all-multi-user-desktop.js ファイルに存在する最適化された値をオーバーライドするには、新しい値を使用した新規ファイルを /usr/lib/firefox/defaults/pref/ ディレクトリ内に作成します。ファイル名は all-multi-user-desktop.js ファイルよりもアルファベット順で上位にする必要があります。たとえば、ファイルの名前を all-admin.js とすることができます。
最適化パッケージを削除するには、次の手順を実行します。
特権ユーザーとしてログインします。
パッケージをアンインストールします。
$ pkg uninstall group/feature/multi-user-desktop $ pkg uninstall gnome/config/gconf/multi-user-desktop $ pkg uninstall web/browser/firefox/multi-user-desktop
注 - 最適化パッケージによってインストールされたすべてのコンポーネントを削除するには、group/feature/multi-user-desktop パッケージをインストールする前に作成されたブート環境に戻します。
次のデスクトップ設定は、gnome/config/gconf/multi-user-desktop パッケージによって変更されます。
デフォルト設定
必須設定
注 - デスクトップ設定の値は gconftool-2 ユーティリティーを使用して変更できます。gconftool-2 ユーティリティーについての詳細は、gconftool-2(1) のマニュアルページを参照してください。
すべてのユーザーが設定値を変更できます。設定値を変更するためにシステム管理者になる必要はありません。次の表は、デフォルト設定を一覧表示しています。
表 1 デフォルト設定
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標準的なユーザーは、設定の値を変更できません。設定値を変更できるのはシステム管理者のみです。次の表は、必須設定を一覧表示しています。
表 2 必須設定
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注 -
次の必須設定は、システム管理者に影響を及ぼしません。
/apps/panel/global/locked_down
/desktop/gnome/lockdown/restrict_application_launching
/desktop/gnome/lockdown/allowed_applications 設定は最適化のために必要です。ただし、この設定は library/gnome/gnome-libs パッケージの一部として提供され、group/feature/multi-user-desktop パッケージによって変更されません。
/desktop/gnome/lockdown/allowed_applications 設定を変更する方法について理解するには、「アプリケーションを制限する」を参照してください。