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Oracle Solaris 11.1 の管理: SAN 構成およびマルチパス化 Oracle Solaris 11.1 Information Library (日本語) |
Solaris I/O マルチパス化機能によって、Oracle Solaris OS を実行中のシステムについて複数のアクセスパスが使用可能になります。マルチパス化により、マルチパス化された接続の使用を通じてストレージデバイスの高い可用性が実現されます。このセクションでは、次の内容について説明します。
Solaris I/O マルチパス化機能は、SAN または SAS ドメイン上のストレージデバイスを特定します。ソフトウェアによって、ファイバチャネルストレージデバイスを、ループ、ファブリック、またはポイントツーポイントモードのいずれかで接続できます。このソフトウェアは、ファイバチャネル、iSCSI、および SAS ストレージデバイスを管理するための共通インタフェースを提供します。
マルチパス化の準備において、ターゲットとイニシエータを構成する方法については、『Oracle Solaris 11.1 の管理: デバイスとファイルシステム』の第 11 章「COMSTAR を使用したストレージデバイスの構成 (タスク)」を参照してください。
Solaris I/O マルチパス化には、次の主要な機能があります。
動的ストレージ発見 – このソフトウェアは、デバイスとデバイス構成に対して実行された任意の変更を自動的に認識します。この機能により、リブートしたり構成ファイルの情報を手動で変更したりすることなく、デバイスがシステムから使用可能になります。
持続的なデバイスネーミング - ソフトウェア内部で構成されたデバイスは、リブートや再構成を経過してもデバイスネーミングを維持します。この方針の唯一の例外が /dev/rmt にあるテープデバイスで、これらは除去されるまで変更されず、後日再生成されます。
ファイバチャネル調停ループ (FCAL) サポート – サーバー上で使用される OpenBoot PROM (OBP) コマンドは、FC ループをスキャンするために FCAL 接続されたストレージにアクセスできます。
ファブリックブート – Solaris OS は、ファブリックデバイスとファブリック以外のファイバチャネルデバイスからのブートをサポートします。ファイバチャネルスイッチによるファブリックトポロジは、高い速度、多くの接続、およびポートの遮断を実現します。
FC-HBA ライブラリ – Storage Networking Industry Association ファイバチャネルホストバスアダプタ (SNIA FC-HBA) ライブラリとして以前知られていたものは、現在では FC-HBA ライブラリと呼ばれています。FC-HBA ライブラリのアプリケーションプログラミングインタフェース (API) は、FC HBA の管理を可能にし、FC HBA の情報を収集するために使用できるほかのアプリケーション (Oracle の StorEdge Enterprise Storage Manager など) 向けの標準ベースのインタフェースを提供します。
一般的な FC-HBA API についての詳細は、libhbaapi(3LIB) を参照してください。FC 仕様の追加情報については、次の場所に移動してください:
ファイバチャネルの仮想化 - N ポート ID 仮想化 (NPIV) はファイバチャネル規格の拡張で、1 つのファイバチャネルポートによって SAN 上の多数のポートのシミュレーションを行うことができます。これは Oracle VM Server for SPARC や Oracle VM Server 3.0 for x86 ベースのシステムなどの仮想化環境で役立ちます。
FCoE (Fibre Channel over Ethernet) – カプセル化されたファイバチャネルフレームを拡張された Ethernet 上で転送する新しい T11 規格が使用できます。Solaris FCoE は、通常の Ethernet コントローラと一緒に動作するように設計されたソフトウェア実装です。
iSCSI は Internet SCSI (Small Computer System Interface) の略語であり、データストレージサブシステムを結合するための、インターネットプロトコル (IP) ベースのストレージネットワーキング標準です。iSCSI プロトコルを使用すると、SCSI コマンドが IP ネットワーク経由で転送されるため、ユーザーはあたかもブロックデバイスがローカルシステムに接続されているかのようにネットワーク経由でブロックデバイスにアクセスできます。
この機能は、Solaris システムが iSCSI サーバー (ターゲット) またはクライアント (イニシエータ) のいずれかとして動作できることを意味します。Solaris iSCSI ターゲットを設定する利点は、追加の FC HBA を使用せずに既存のファイバチャネルデバイスをクライアントに接続できることです。また、専用のアレイを持つシステムが、複製されたストレージを ZFS または UFS ファイルシステムと共有することも可能になりました。
詳細は、第 6 章Solaris iSCSI イニシエータの構成を参照してください。
動的ストレージ発見 – Oracle Solaris OS マルチパス化ソフトウェアは、デバイスとデバイス構成に対して実行された任意の変更を自動的に認識します。これにより、リブートしたり構成ファイルの情報を手動で変更したりすることなく、デバイスがシステムから使用可能になります。
持続的なデバイスネーミング - Solaris OS マルチパス化ソフトウェア内部で構成された動的ストレージ発見デバイスは、リブートや再構成を経過してもデバイスネーミングを維持します。
Solaris I/O マルチパス化は x86 ベースのシステムではデフォルトで有効にされており、Oracle Solaris OS を実行する SPARC ベースのシステムではオプションです。ソフトウェアには次の機能が含まれています。
パス管理 - Solaris I/O マルチパス化機能は、OS がサポートする任意のストレージデバイスへのパスを動的に管理します。デバイスへのパスの追加または削除は、パスがオンラインにされたりサービスから削除されたりしたときに自動的に実行されます。マルチパス化が有効なままであっても、デバイス名を変更したりアプリケーションを変更したりせずに、帯域幅および RAS を増加させるためにコントローラを追加できます。Oracle ストレージ製品では、構成ファイルを管理したりデータベースを最新の状態に保ったりすることは不要です。Oracle 以外のベンダー製ストレージについては、サポートを有効する方法と、そのストレージが Solaris I/O マルチパス化機能について認定されていることを確認する方法を、ストレージベンダーにお問い合わせください。
単一のデバイスインスタンス – Solaris I/O マルチパス化機能は Oracle Solaris OS に完全に統合されています。マルチパス化されたデバイスは、パスあたり 1 つのデバイスまたはデバイスリンクとしてではなく、単一のデバイスインスタンスとして表示されます。この機能により、パスごとに別々のデバイスではなく 1 つのストレージデバイス表現として表示することで、複雑なストレージアーキテクチャーを format コマンドなどのユーティリティーやボリューム管理製品で管理するコストを削減します。
フェイルオーバーサポート – 高いレベルの RAS を実装するには、ストレージデバイスへの冗長ホスト接続が必要です。Solaris I/O マルチパス化機能では、ストレージパスの障害を管理し、使用可能なセカンダリパスを経由してホスト I/O 接続を維持します。
次のコマンドを使用して、デバイスのフェイルオーバーサポートを判別できます。
# mpathadm show mpath-support libmpscsi_vhci.so mpath-support: libmpscsi_vhci.so Vendor: Sun Microsystems Driver Name: scsi_vhci Default Load Balance: round-robin Supported Load Balance Types: round-robin logical-block Allows To Activate Target Port Group Access: yes Allows Path Override: no Supported Auto Failback Config: 1 Auto Failback: on Failback Polling Rate (current/max): 0/0 Supported Auto Probing Config: 0 Auto Probing: NA Probing Polling Rate (current/max): NA/NA Supported Devices: . . .
対称/非対称型デバイスサポート - 次のディスクストレージデバイスがサポートされます。
すべての Oracle ディスクストレージ製品で、対称型と非対称型の両方
T10/T11 規格に準拠したサードパーティー製のすべての対称型ディスクデバイス
多くのサードパーティー製の非対称型ディスクアレイ
T10 非対称論理ユニットアクセス (ALUA) をサポートする非対称デバイス用に、この T10 規格のサポートが追加されました。使用するデバイスがサポートされるかどうかを確認するには、ストレージベンダーにお問い合わせください。
ディスクストレージアレイで f_asym_lsi フェイルオーバーモジュールを使用する場合、次に示すように、f_asym_lsi を scsi_vhci.conf ファイルの末尾に移動することによって、ddi-forceload セクションの順序を手動で変更する必要があります。
ddi-forceload = "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_asym_sun", "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_asym_emc", "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_sym_emc", "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_sym_hds", "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_sym", # "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_tpgs_tape", # "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_tape", "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_tpgs", "misc/scsi_vhci/scsi_vhci_f_asym_lsi";
I/O 負荷分散 – 単純なフェイルオーバーサポートの提供に加えて、Solaris マルチパス化機能では、ストレージデバイスへの任意のアクティブパスを使用して I/O を送信および受信できます。複数のホスト接続を経由して I/O が経路指定されるため、ホストコントローラの追加によって帯域幅を増加できます。ソフトウェアではラウンドロビン負荷分散アルゴリズムを使用することによって、個々の I/O 要求は、一連のアクティブなホストコントローラに向けて交互に経路指定されます。
キューの深さ – SCSI ストレージアレイは、論理ユニット番号 (LUN) の形式でシステムにストレージを提供します。LUN では有限のリソースセットが使用可能で、たとえば格納できるデータの量や、1 つのデバイスまたは LUN が一度に処理できるアクティブコマンドの数などがあります。デバイスが追加の I/O をブロックするまでに発行できるアクティブコマンドの数は、キューの深さとして知られています。Solaris I/O マルチパス化が有効になると、LUN がホストに対して持つ個々あるいは別個のパスの数に関係なく、LUN ごとに単一のキューが作成されます。この機能によって、ディスクドライバは LUN に対して 1 つのキューを維持し均衡させることができ、実質的にキューの深さを管理できます。Oracle Solaris OS 用に利用できるほかのマルチパスソフトウェアには、この機能はありません。
stmsboot コマンド – Oracle Solaris OS には stmsboot コマンドが含まれており、OS インストールが完了したあと、ブートデバイス上の Solaris マルチパス化機能を有効または無効にできます。このコマンドは SPARC ベースおよび x86 ベースの両方のシステムで使用でき、SAS マルチパス化のサポートを提供します。
SAS マルチパス化は Oracle Solaris OS では SPARC ベースまたは x86 ベースのいずれのシステムについてもデフォルトで有効にされていないため、マルチパス化を有効にするにはインストール後処理ステップとして stmsboot コマンドの使用が必要です。
SPARC ベースのシステムでは FC デバイスのマルチパス化をデフォルトで有効にしないため、インストール後処理ステップとして stmsboot コマンドが必要です。
X86 ベースのシステムでは FC デバイスのマルチパス化をデフォルトで有効にするため、インストール後処理ステップとしての stmsboot コマンドの使用は必須ではありません。
動的再構成 – Solaris I/O マルチパス化機能は動的再構成 (DR) 操作をサポートします。