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Oracle® Fusion Middleware Oracle Application Development Frameworkモバイル・ブラウザ開発者ガイド
11gリリース2(11.1.2.3.0)
B66158-03
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1 Oracle ADFモバイル・ブラウザの概要

この章では、Oracle Application Development Frameworkモバイル(ADFモバイル)・ブラウザの概要について説明します。

この章は次の項を含みます:

1.1 ADFモバイル・ブラウザについて

Oracle Application Development Frameworkモバイル(ADFモバイル)・ブラウザは、エンタープライズ・モバイル・アプリケーションの迅速な開発を可能にする標準ベースのフレームワークです。Oracle Fusion Middleware 11g リリース2のADFモバイル・ブラウザは、Oracle ADFを、モバイル・デバイス上で実行されるブラウザに拡張するものです。ADFモバイル・ブラウザはJava Server Faces(JSF)のコンポーネント・モデルに基づいて構築されているため、モバイル・ブラウザ用のアプリケーションを迅速に開発できます。ADFモバイル・ブラウザのモバイル固有の機能がJSFに拡張されたことで、デスクトップ用にJSFアプリケーションを開発するのと同じ方法を使用してモバイル・アプリケーションを開発できるようになりました。

ADFモバイル・ブラウザ・アプリケーションを開発する場合、ADFモバイル・ブラウザによって、異なるブラウザ・タイプで適切に動作するアプリケーションの開発が可能になるため、異なるブラウザの制限または機能に集中する必要はありません。ADFモバイル・ブラウザのレンダラにより、確実にターゲット・ブラウザがコンテンツを正しく使用できるようになります。このレンダラでは、HTML、JavaScript、CSS、DOM、XMLHttpRequestに関するブラウザ実装の差異、およびシステム・パフォーマンスの違いが処理されます。たとえば、ブラウザでXMLHttpRequestがサポートされていないためサーバーに部分的なページ・リクエストを送信できない場合、ADFモバイル・ブラウザのAJAX(Asynchronous JavaScript and XML)のサポートにより、アプリケーションで自動的にページ全体の送信に戻してページを機能させることができます。


注意:

Oracle Fusion Middleware 11g リリース2では、ADFモバイル・ブラウザにHTMLおよびJavaScriptサポートが必要です。


1.1.1 Java Server FacesおよびApplication Development Frameworkについて

Java Server Faces(JSF)は、機能および動作を定義する事前作成コンポーネントを使用して開発者がアプリケーションを作成できるようにするための標準であり、JSR-127によって規定されています。図1-1に示すように、JSFでは、Webアプリケーションの開発を単純化するModel-View-Controller(MVC)メカニズムが採用されています。そのレンダーキットは、コンポーネントを特定のマークアップ言語に変換したり、特定のマークアップ言語をコンポーネントに変換したりします。レンダラでは、コンポーネントのマークアップ表現およびそれらによるブラウザ・リクエストの解釈方法を生成することによって、マークアップおよびブラウザ・リクエストに対するレスポンスの作成を抽象化します。

JSF開発では、マークアップではなくコンポーネントに焦点を当てます。JSFを使用して、JSFコンポーネント・タグを含むJSPページを作成します。(FacesServletを介して)ユーザーがこのページにアクセスすると、JSFではユーザーのデバイスで指定したレンダーキットが使用され、出力が適切になるようにマークアップがエンコードされます。たとえば、ユーザーのデバイスでデスクトップ・ブラウザに対しHTMLを指定すると、レンダーキットのマークアップ・エンコーディングがHTMLページになります。適切なコンテンツのレンダリングに加え、JSFではユーザーによる操作がサポートされています。

図1-1 ADFモバイル・ブラウザ・アーキテクチャ

ADFモバイル・アーキテクチャ。

Application Development Framework(ADF)は標準的なJSFテクノロジに基づいて構築されており、次のものを提供します。

  • 大規模なコンポーネント・セット(JSFでは基本的なコンポーネントのみが提供されるため)。

  • これらのコンポーネントをHTMLブラウザでサポートするレンダラ(AJAXテクノロジを使用したアプリケーション用のレンダーキットを含む)。

  • コンバータ、バリデータおよびイベント。

1.1.2 ADFモバイル・ブラウザを使用したモバイル・アプリケーションの開発

デスクトップ・ブラウザ・アプリケーションを開発する場合と同じプログラミング・モデルとコンポーネント・セットを使用して、モバイル・デバイス用のモバイル・ブラウザ・アプリケーションを開発できます。ADFモバイル・ブラウザ・アプリケーションの開発方法は、ADF Webアプリケーションの開発方法とほぼ同じですが、ADFモバイル・ブラウザ・アプリケーションの開発ではApache MyFaces Trinidadコンポーネントで構成されるモバイルJSFページのみを使用する点が異なります。ADF Webアプリケーションの開発の詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle Application Development Framework Webユーザー・インタフェース開発者ガイド』を参照してください。


注意:

ADFモバイル・ブラウザ・アプリケーションの開発に、ADF Facesコンポーネントを使用することはできません。Apache MyFaces Trinidadコンポーネントを使用する必要があります。


ADFモバイル・ブラウザを使用してモバイル・デバイス用のモバイル・ブラウザ・アプリケーションを開発する場合は、デスクトップ用のJSFアプリケーションを開発する場合と同じ方法を利用しながら、特定のモバイル拡張機能をいくつか持たせます。60を超えるApache MyFaces Trinidadコンポーネントがサポートされているため、画面が小さいモバイル・デバイスに適切にレンダリングされる豊富なコンポーネント・セットを使用してアプリケーションを構築できます。このようにして、デスクトップ・ブラウザ・アプリケーションのモデル・レイヤーおよびコントローラ・レイヤーを再利用して、同様のApache MyFaces Trinidadコンポーネントからモバイル・デバイス用の新しいビュー・レイヤーを作成できます。

ADFモバイル・ブラウザによるパフォーマンス向上方法

PDAコンポーネントのレンダラは、ワイヤレス・ネットワーク上でモバイル・デバイスに送信するWebページのペイロードを最小化することによって、パフォーマンスが向上するように最適化されています。待機時間が長く帯域幅が小さいワイヤレス・ネットワークを使用するモバイル環境では、エンド・ユーザーに効率的なアプリケーションを提供するうえで、部分ページ・レンダリング(PPR)が不可欠です。AJAXがサポートされているモバイル・ブラウザの場合、ADFモバイル・ブラウザでは、サーバーからリクエストされたデータの軽量化と、アプリケーションの応答性の向上を実現する、特定のコンポーネントのPPRがサポートされます。3.1.2項「部分ページ・レンダリング」も参照してください。

1.2 サポートされているモバイル・ブラウザ

ADFモバイル・ブラウザでは、表1-1にリストされているブラウザでApache MyFaces Trinidadコンポーネントがサポートされています。Trinidadの新しいバージョンはOracle JDeveloperに統合でき、Oracle Fusion Middleware 11g リリース2のADFモバイル・ブラウザとともに使用できます。

表1-1 サポートされているブラウザおよびサポートされているモバイル機能

ブラウザ JavaScriptサポート CSSサポート PPRサポート

BlackBerryバージョン4.6以上

あり

あり

あり

BlackBerryバージョン4.2から4.5

なし

あり

なし

Microsoft Windows Mobile 5

あり

あり

あり(相違点あり)

Microsoft Windows Mobile 6

あり

あり

あり

Apple iPhone Safari

あり

あり

あり

Nokia s60シリーズ

あり

あり

なし

単純なHTML(Opera Mini、Opera MobileおよびSkyfireなど)

なし

あり

なし