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Solaris Volume Manager 管理ガイド Oracle Solaris 10 1/13 Information Library (日本語) |
1. Solaris Volume Manager の使用開始
4. Solaris Volume Manager for Sun Cluster (概要)
5. Solaris Volume Manager の構成と使用 (シナリオ)
8. RAID-0 (ストライプと連結) ボリューム (概要)
9. RAID-0 (ストライプおよび連結) ボリューム (タスク)
20. Solaris Volume Manager の保守 (タスク)
21. Solaris Volume Manager のベストプラクティス
ネットワーク接続されたストレージデバイスによる Solaris Volume Manager の使用
25. Solaris Volume Manager のトラブルシューティング (タスク)
A. 重要な Solaris Volume Manager ファイル
B. Solaris Volume Manager のクイックリファレンス
分散コンピューティング環境では多くの場合、複数の場所に類似または同一のサーバーを配備する必要があります。これらの環境には、ISP、地理的に分散した営業所、電気通信サービスプロバイダなどがあります。分散コンピューティング環境内のサーバーは、次のサービスのうちのいくつかを提供する可能性があります。
ルーターまたはファイアウォールサービス
電子メールサービス
DNS キャッシュ
Usenet (Network News) サーバー
DHCP サービス
さまざまな場所で最適に提供されるその他のサービス
これらの小規模なサーバーには、いくつかの共通した特性があります。
高信頼性の要件
高可用性の要件
日常的なハードウェアとパフォーマンスの要件
開始点として、1 つの SCSI バスと 2 つの内蔵ディスクを備えた Netra サーバーを考えてみます。この汎用的な構成は、分散したサーバーのための良い開始点になります。Solaris Volume Manager を使用すると、スライスの一部またはすべてを容易にミラー化できるため、ディスク障害からの保護に役立つ冗長ストレージを実現できます。この小規模なシステム構成の例については、次の図を参照してください。
図 21-1 小規模なシステム構成
この構成には、ルート (/)、/usr、swap、/var、および /export ファイルシステムに加え、状態データベースの複製のミラーが含まれている可能性があります (ディスクごとに 1 つ)。そのため、ミラーのどちらの側に障害が発生しても、必ずしもシステム障害を引き起こすわけではありません。また、最大 5 つの個別の障害も許容できる可能性があります。ただし、このシステムが、ディスクやスライスの障害から十分に保護されているわけではありません。さまざまな潜在的な障害によって完全なシステム障害が発生し、オペレータの介入が必要になる可能性があります。
この構成は、致命的なディスク障害からのある程度の保護を提供するのに役立ちますが、次の重大なシングルポイント障害が発生することがあります。
1 つの SCSI コントローラが、潜在的な障害ポイントになります。このコントローラに障害が発生した場合は、システムが停止し、部品交換待ちの状態になります。
2 つのディスクでは、状態データベースの複製の十分な分散が実現されません。多数決コンセンサスアルゴリズムでは、システムが引き続き動作するには、状態データベースの複製の半分が使用できることが必要です。このアルゴリズムではまた、リブートには、半分に加えて 1 つの複製も必要になります。そのため、状態データベースの複製が各ディスク上に 1 つ存在し、その複製を含む 1 つのディスクまたはスライスに障害が発生した場合、システムはリブートできません。その結果、ミラー化されたルート (/) ファイルシステムは効果的でなくなります。状態データベースの複製が各ディスク上に 2 つ以上存在する場合、1 つのスライス障害は問題でなくなる可能性があります。ただし、ディスク障害によって、リブートは引き続き阻止されます。各ディスク上に異なる数の複製が存在する場合、1 つのディスクには半分を超える複製が存在し、1 つのディスクには半分より少ない複製が存在します。少ない複製を含むディスクに障害が発生した場合、システムはリブートして続行することができます。ただし、多くの複製を含むディスクに障害が発生した場合、システムではただちにパニックが発生します。
「ベストプラクティス」のアプローチとして、コントローラを 1 つおよびハードドライブを 1 つ追加することによって、構成を変更します。結果として得られる構成は復元性がはるかに向上します。