この付録では、Oracle Database Applianceコマンドライン・インタフェース(OAKCLI)・ユーティリティを使用してOracle Database Applianceを管理する方法について説明します。この付録の内容は次のとおりです。
この項には次のOAKCLIのトピックが含まれます。
OAKCLIを使用して、コア・キーの構成、パッチの適用、アプライアンスのデプロイなどのOracle Database Appliance管理タスクを実行します。OAKCLIでは次のタスクを実行できます。
コア構成キーの適用
Oracle Database Applianceデプロイメント用のネットワークの構成
デプロイメント構成ファイルのコピー
Oracle Database Applianceのデプロイ
Oracle Database Applianceへのディスクの配置
Oracle Database Applianceリポジトリの管理
Oracle Database Appliance診断収集結果の管理
Oracle Database Applianceの更新
OAKCLIリポジトリへのパッケージの解凍
Oracle Database Applianceの検証
使用方法
OAKCLIユーティリティは、次のディレクトリにあります。
/opt/oracle/oak/bin/oakcli
Oracle Database Applianceでは完了したOAKCLIコマンド実行のログが、次のディレクトリに保管されます。
/opt/oracle/oak/log/<hostname>/client/oakcli.log
OAKCLIヘルプの使用方法
OAKCLIの使用方法を表示するには、次のコマンドを実行します。
oakcli -h
特定のOAKCLIコマンドに関する詳細なヘルプを表示するには、次のコマンドを実行します。
oakcli command -h
特定のOAKCLIコマンドのオブジェクトおよびそのオプションに関する詳細なヘルプを表示するには、次のコマンドを実行します。
oakcli command object -h
権限およびセキュリティ
root
ユーザーとしてログインすることでOAKCLIを使用します。root
以外のユーザーでログインしている場合、ストレージ情報を表示できますが、構成を変更できません。
OAKCLIのコマンド構文およびオプション
OAKCLIのコマンド、オブジェクト名およびオプションでは、大/小文字が区別されます。OAKCLIでは次のコマンド構文を使用します。
oakcli command object [parameters]
OAKCLI構文では次のようになります。
command
は、show
、locate
、apply
などの動詞です。
object
(名詞とも呼びます)はディスクやコントローラなどの、oakcli
が操作を実行する対象のターゲットまたはオブジェクトです。オブジェクトの短縮形も使用できます。
parameters
は、コマンドの追加オプションを使用できるようにすぐ前のコマンドの組合せの使用範囲を拡大します。
表D-1 OAKCLIユーティリティのコマンド
コマンド | 説明 |
---|---|
|
core_config_keyを適用します。 |
|
ネットワークを構成します。 |
|
デプロイ中に使用する構成ファイルのコピーを用意します。 |
|
新規Oracleデータベースを作成します。 |
|
Oracle Database Applianceをデプロイします。 |
|
ディスクを配置します。 |
|
OAKCLIリポジトリの管理や、診断の収集などを行います。 |
|
各種のOracle Database Applianceコンポーネントに関する情報を表示します。 |
|
Oracle Database Applianceを更新します。 |
|
指定されたパッケージをOAKCLIリポジトリへ解凍します。 |
|
Oracle Database Applianceを検証します。 |
OAKCLIオブジェクトのサマリー
表D-2に、OAKCLIコマンドのobject
部分に使用できるキーワードを示します。「目的」列に、オブジェクトとそのオブジェクトに実行できるアクションを記述します。
表D-2 オブジェクト・キーワードおよび短縮形
オブジェクト | キーワード(短縮形) | 目的 |
---|---|---|
コア構成キー |
|
Oracle Database Applianceコア容量の再構成 |
ディスク・コントローラ |
controller |
ディスク・コントローラに関する情報の表示 |
disk |
ディスクに関する情報の表示、または特定のディスクLEDのオンとオフの切替え |
|
|
ディスク・グループに関する情報の表示 |
|
expander |
エクスパンダに関する情報の表示 |
|
第一ネット |
|
使用するOracle Database Applianceでの第一ネットワーク・インタフェースの構成 |
ストレージ |
storage |
ストレージ・ハードウェア(コントローラ、ディスクおよびエクスパンダ)とストレージ・エラーに関する情報の表示 |
バージョン |
version |
Oracleデータベースおよびファームウェアなどのソフトウェアの作成、更新または表示 |
oakcli
apply
コマンドを使用して、Oracle Database Applianceコア容量を再構成します。
次の構文を使用します。core_config_key
は構成キー・ファイルで、key
file
は出力構成キー・ファイル名です。
oakcli apply core_config_key key file
oakcli apply
コマンドはオプションです。
oakcli apply
コマンドを実行した後、Oracle Database Applianceは両方のノードを再起動します。
次のコマンドは、構成されていない新規Oracle Database Applianceでのコア数ステータスを表示します。
oakcli show core_config_key Optional core_config_key is not applied on this machine yet!
次のコマンドは、構成されているOracle Database Applianceでのコア数ステータスを表示します。
oakcli show core_config_key Host's serialnumber = 1132FMW003 Configured Cores = 20
oakcli
configure
firstnet
コマンドを使用して、Oracle Database Applianceで第一ネットワーク・インタフェースを構成します。oakcli
configure
firstnet
コマンドの実行によって、入力を必要とするインタラクティブ・スクリプトが起動します。
oakcli
configure
firstnet
コマンド用の次の構文を使用します。
oakcli configure firstnet
次にOracle Database Applianceでは、次の情報の入力が求められます。
インタフェース名
DHCP [Y/N]
IPアドレス
ネットマスク
oakcli
configure
firstnet
コマンドは、最初のOracle Database Applianceの構成中に、USBまたはアプライアンスのパブリック・ネットワークを使用して必要なエンド・ユーザー・パッケージをアプライアンスに転送するために必要です。コマンドによって、エンド・ユーザー・パッケージの取得時にアプライアンスへのssh/scpアクセスが許可されるインタフェースが用意されます。
次の例では最初にOracle Database Applianceを設定する際にfirstnetが構成されます。太字のテキストは、各プロンプトに対する入力例を示します。
oakcli configure firstnet Select the interface to configure network on [bond0 bond1 bond2 xbond0]: bond0 Configure DHCP on bond0? [yes/no]: no INFO: Static configuration selected Enter the IP address to configure: 192.0.2.2 Enter the netmask address to configure: 255.255.255.0 Enter the gateway address to configure: 192.0.2.1 Plumbing the IPs now Restarting the network ::::::::::::::::::
oakcli
copy
コマンドを使用して、Oracle Database Applianceの構成中に使用する構成ファイルのコピーを用意します。
oakcli
copy
コマンドを次のように実行します。absolute_conf_file
は既存の構成ファイルのフル・パス名です。
oakcli copy [-h] -conf absolute_conf_file
以前に構成ファイルを作成してそれをOracle Database Applianceにコピーした場合は、構成プロセス中に使用する構成ファイルを用意します。たとえば、ファイルmyserver1.conf
を/tmp
にコピーした場合は、次のコマンドを入力します。
oakcli copy -conf /tmp/myserver1.conf
oakcli create databaseコマンドを使用して、Oracle Database Applianceでデータベースを追加作成します。
oakcli create database -db db_name [-oh home] [-version version] [-params params_file.out]
表D-5 oakcli create databaseコマンド・パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
|
|
|
|
|
|
|
|
次のコマンドでは、バージョン11.2.0.3.3を使用するsales1というデータベースがsales1 Oracleホーム内に作成されます。
oakcli create database -db sales1 -oh sales1 -version 11.2.0.3.3
次のコマンドでは、sales2というデータベースがsalesdbtemplated.out
ファイルから作成されます。
oakcli create database -db sales2 -params salesdbtemplate.out
oakcli
deploy
コマンドを使用して、Oracle Grid InfrastructureをOracle Database Appliance上のクラスタに対してデプロイします。
oakcli
deployコマンド用の次の構文を使用します。
oakcli deploy [config] [-conf config_file
]
表D-6 oakcli deployコマンド・パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
|
(オプション)デプロイメント構成の実行が必要かどうかを示します。
|
|
(オプション)デプロイメントに使用する既存の構成ファイルのファイル名および場所を示します。Oracle Appliance Manager構成インタビューの一部として使用する構成ファイルを指定することもできます。 |
oakcli
locate
コマンドでは、Oracle ASM diskname
パラメータに対して指定するOracle Automatic Storage Management (Oracle ASM)ディスクと関連付けられているディスクが配置されます。
次のoakcli
locate
コマンド構文を使用します。diskname
は配置するディスクの名前です。
oakcli locate disk diskname on|off
表D-7 oakcli locateコマンド・パラメータおよびオプション
パラメータ | 説明 |
---|---|
|
配置するOracle ASMディスクの名前を指定します。 |
|
(オプション)指定されたディスクのLEDをオンにします。 |
|
(オプション)指定されたディスクのLEDをオフにします。 |
oakcli
manage
コマンドを使用して、Oracle Database Applianceリポジトリを管理します。
表D-8 oakcli manageコマンド・サマリー
コマンド | 説明 |
---|---|
|
特定のコンポーネントに対するリポジトリ情報を消去します。 |
|
Oracle Database Applianceの診断情報を収集します。 |
oakcli
manage
cleanrepo
コマンドを使用して、特定のコンポーネントまたはバージョンに対するリポジトリ情報を消去します。
oakcli manage cleanrepo --ver version [--base | --factory | --patch] [--component=comp_name]
表D-9 oakcli manage cleanrepoコマンド・パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
|
バージョンを指定します... |
|
(オプション)バージョン情報のタイプを示します。デフォルトで、このコマンドは指定されたバージョンのパッチをクリーンアップします。 |
|
(オプション)バンドルと同梱されたコンポーネントの1つを指定します。有効な値は |
oakcli
manage
diagcollect
コマンドを使用して、トラブルシューティングやOracle Supportとの連携のために、Oracle Database Applianceに関する診断情報を収集します。
oakcli manage diagcollect [--all | --crs [--crshome crs_home_dir] [--core] | --install | --chmos [--incidenttime time [--incidentduration time] | --adr adr_location [--afterdate date] [--aftertime time] [--beforetime time] ] [excl comp1,comp2,...] [--clean]
表D-10 oakcli manage diagcollectコマンド・パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
|
自動診断リポジトリ(ADR)およびクラスタ状態モニター(OS)を除くすべての診断情報の収集。これがデフォルトのオプションです。 |
|
Oracle Clusterware診断情報の収集。 |
|
Oracle Clusterwareホーム・ディレクトリの場所を指定します。 |
|
コア・ファイルとOracle Clusterware診断データとのパッケージ化。 |
|
スクリプト |
|
ADRの診断情報の収集。 |
|
指定された日付からアーカイブを収集します。日付を |
|
|
|
|
|
クラスタ状態モニター(OS)・データの収集。 |
|
指定された時刻からクラスタ状態モニター(OS)・データを収集します。時刻を
|
|
指定された時刻後の期間のクラスタ状態モニター(OS)・データを収集します。時刻をHH:MM形式で入力します。期間を指定しない場合、OAKCLIは指定されたインシデント時刻後のすべてのクラスタ状態モニター(OS)・データを収集します。 |
|
指定されたコンポーネント・ログを除外します。有効なコンポーネントは |
|
このコマンドで集められた診断関連情報を削除しました。 |
oakcli
show
コマンドを使用して、各種のOracle Database Applianceコンポーネントのプロパティを表示します。
表D-11 oakcli showコマンド・サマリー
コマンド | 説明 |
---|---|
|
ディスク・コントローラに関する情報を表示します。 |
|
コア・デプロイメントに関する情報を表示します。 |
|
データベースに関する情報を表示します。 |
|
データベース・ホームに関する情報を表示します。 |
|
共有またはローカルのディスクに関する情報を表示します。 |
|
Oracle ASMディスク・グループに関する情報を表示します。 |
|
エクスパンダに関する情報を表示します。 |
|
ストレージに関する情報を表示します。 |
|
ソフトウェアおよびファームウェアのバージョン情報を表示します。 |
このコマンドを使用してコントローラに関する情報を表示します。
oakcli show controller controller_id [-h]
表D-12 oakcli show controllerコマンド・パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
|
情報が表示される対象のコントローラを指定します。 |
|
(オプション)このコマンドのヘルプ使用方法を表示します。 |
oakcli
show
core_config_key
コマンドを使用して、Oracle Database Applianceコアのデプロイ方法に関する情報を表示します。
oakcli show core_config_key
次のコマンドは、構成されていない新規Oracle Database Applianceでのコア数ステータスを表示します。
oakcli show core_config_key Optional core_config_key is not applied on this machine yet!
次のコマンドは、事前に構成済のOracle Database Applianceでのコア数ステータスを表示します。
oakcli show core_config_key Host's serialnumber = 1132FMW003 Configured Cores = 20
このコマンドを使用して、データベース名、データベース・タイプ、データベース・ホームの名前および場所、データベース・バージョンなどの各既存データベースに関する情報を表示します。
oakcli show databases [-h]
このコマンドを使用して、ホームの名前、ホームの場所、データベース・バージョンなどの各既存Oracleデータベース・ホームに関する情報を表示します。
oakcli show dbhomes [-h]
oakcli
show
disk
コマンドを使用して、ディスク情報を表示します。
oakcli show disk [-local | -shared | shared_disk_name [-all]| -h]
表D-15 oakcli show diskコマンド・パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
|
(オプション)表示されるローカル・ディスクすべての情報を指定します。 |
|
(オプション)表示される共有ディスクすべての情報を指定します。 |
|
(オプション)表示される特定の共有ディスクの情報を指定します。 |
|
(オプション)表示される特定の共有ディスクの物理情報を指定します。 |
|
(オプション)このコマンドのヘルプ使用方法を表示します。 |
パラメータを使用しないコマンドの実行は、oakcli show disk -shared
コマンドの実行と同等です。
-all
パラメータはshared_disk_name
パラメータと併用される場合のみ有効な出力を生成し、その他のすべてのパラメータはオプションで、他のパラメータと組み合せることはできません。
oakcli
show
diskgroup
コマンドを使用して、Oracle ASMディスク・グループ情報を表示します。
oakcli show diskgroup [disk_group_name]
表D-16 oakcli show disk groupコマンド・パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
|
(オプション)完全な詳細が表示される対象のOracle ASMディスク・グループの名前。このパラメータを指定しない場合、すべてのOracle ASMディスク・グループの情報が表示されます。 |
oakcli
show
expander
コマンドを使用して、エクスパンダに関する情報を表示します。
oakcli show expander expander_id
expander_id
を使用して特定のエクスパンダを識別します。
oakcli
show
storage
コマンドを使用して、ストレージ・ハードウェアに関する情報を表示します。
oakcli show storage [-errors]
デフォルトで、oakcli
show
storage
コマンドはコントローラ、エクスパンダおよびディスクに関する情報を表示します。-errors
オプションを指定すると、コマンドではストレージ・エラーも表示されます。
oakcli
show
version
コマンドを使用して、Oracle Database Applianceソフトウェアおよびファームウェアのパッチ・バージョンを表示します。
oakcli show version [-detail]
-detail
オプションを使用して、詳細なバージョン情報を表示します。
oakcli
unpack
コマンドを使用して、パッケージをOAKCLIリポジトリに解凍します。
oakcli
unpack -package
absolute_package_name
次のコマンドは、現行ノード上の/tmp
に事前にコピーされたp13982331_23000_Linux-86-64.zip
パッケージを、ノードのOAKCLIリポジトリに解凍します。
oakcli unpack -package /tmp/p13982331_23000_Linux-86-62.zip
oakcli
update
コマンドを使用して、Oracle Database Applianceパッチを適用します。
oakcli update -patch version [[--infra] | [[--gi][--database]]] [--noreboot] | [--clean] | [--verify]
表D-17 oakcli updateコマンド・パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
|
インストールするパッチ更新を指定します。 |
|
パッチ適用対象のインフラストラクチャ(ファームウェア、OS、ASR、HMP、OAKなど)を指定します。これがデフォルトのオプションです。 |
|
パッチ適用対象のGrid Infrastructureを指定します。 |
--database |
パッチ適用対象のデータベース・ホームを指定します。 |
--noreboot |
パッチ適用後にノードが再起動しません。 |
--clean |
ローカル・ノード上の一時ファイルをすべてクリーンアップします。 |
--verify |
ノード上のパッチ適用可能なコンポーネントを表示します。 |
oakcli
validate
コマンドを使用して、Oracle Database Applianceの状態を検証します。
次のoakcli
validate
構文を使用して、Oracle Database Applianceを検証します。
oakcli validate oakcli validate [-V | -l | -h] oakcli validate [-f absolute output_file_name] [-a | -d | -c check1[,check2]]
表D-18 oakcli validateコマンド・パラメータ
パラメータ | 説明 |
---|---|
|
オンライン・ヘルプを表示します。 |
引数 |
|
-f |
output_file_name。出力は標準出力ではなくファイルに送信されます。 |
-a |
すべてのチェックを実行します。 |
-d |
デフォルトのチェックのみを実行します。 |
-c |
check1[,check2]が特定のチェックを実行します。 |
-l |
チェックおよびその説明を一覧表示します。 |
-V |
バージョンを表示します。 |