4.7 仮想マシンとしてのOracle VM Managerの実行

Oracle VM Managerは、必ずしも環境内の別の物理サーバーで実行する必要はありません。Oracle VM Managerを仮想マシンに変えることで、リソースを節約できます。この結果、ハードウェア統合、高可用性、ライブ・マイグレーションなど、仮想化の標準的なすべての利点からメリットが得られます。Oracle VM Managerは1つの物理サーバーに結び付けられていないため、他のアプリケーションのためにより多くの物理リソースが残され、同時に、サーバーのメンテナンスが必要な場合に、停止時間なしで他のハードウェアにホット・クローニング、バックアップおよび移行ができます。

重要

Oracle VM Managerを仮想化する場合は、管理しているのと同じプラットフォームの上位で実行されていないことを確認する必要があります。Oracle VM Managerが常駐する仮想マシンがたまたま停止した場合、仮想マシンを容易に再起動できないため、問題が発生する可能性があります。Oracle VM Managerを仮想化する典型的なデプロイメントでは、2つの別個のOracle VM環境が構成され、Oracle VM Managerは各環境の仮想マシン上で実行され、もう一方を管理します。

Oracle VM Managerを仮想マシンに変える手順は、物理サーバー上での、または、Oracle VM VirtualBoxなどの仮想化ツールを使用した通常のインストールから始まります。このインストールを使用して、仮想マシンを動作させるための最小限のもの(1つのOracle VM Server、1つのNFS記憶域サーバーおよびデフォルトの管理ネットワークで十分です)を設定します。環境が稼働したら、環境に仮想マシンをインストールし、置き換えるOracle VM Managerインスタンスの役割を引き継がせます。この項では、この最終結果に達するための手順について説明します。

注意

この手順は、使用しているOracle VM環境を再構成するためのものではありません。Oracle VM Managerを仮想マシンとして実行する場合は、重大な構成を行う前に、最小限のインストールで、設定の一環としてこの手順を実行します。

仮想環境でOracle VM Managerを仮想マシンとして実行するには、次の手順を実行します。

  1. 環境Aで、4.4項「Oracle VM Managerのインストール」の手順に従って、物理サーバーにOracle VM Managerをインストールします。

  2. 環境用の少なくとも2つのOracle VM Serverを検出し、クラスタ・サーバー・プールを作成し、デフォルトの管理ネットワークを使用し、必要な最小記憶域(サーバー・プールのファイル・システム、およびVMリソースの記憶域リポジトリ)を設定します。これを行うには、『Oracle VMユーザーズ・ガイド』の指示に従います。

  3. 第4.3.1項「ハードウェア要件」で説明したOracle VM Managerのハードウェア要件に準拠する新しい仮想マシンを作成します。新しい仮想マシンのHA (高可用性)が有効になっていることを確認します。

  4. オペレーティング・システム(Oracle Linux)をインストールし、第4.3.2項「ソフトウェア要件」で説明したとおり、仮想マシンがOracle VM Managerのすべてのソフトウェア要件に準拠していることを確認します。

  5. 第4.4項「Oracle VM Managerのインストール」の説明に従って、この新しい仮想マシンに、Oracle VM Managerをインストールします。--uuidオプションを指定してインストーラを実行し、環境Bの物理サーバー上で実行されているのと同じUUIDで、この新しいOracle VM Managerインスタンスをインストールします。

    注意

    Oracle VM Managerデータベースを別の仮想マシンで実行する場合は、Oracle VM Manager仮想マシンをインストールする前にデータベースが稼働していることを確認します。

    • 環境BのOracle VM ManagerインスタンスのUUIDを、ファイル/u01/app/oracle/ovm-manager-3/.configからコピーします。

    • 仮想マシンのファイル・システムにOracle VM Managerのインストール用DVDをマウントした後、./runinstaller.sh --uuid <original_manager_uuid>でインストーラを実行します。通常のインストールの場合と同様、好みのインストール・タイプを選択します。

  6. 環境BでOracle VM Managerインスタンスを停止します。

  7. 環境Aの新しいOracle VM Manager仮想マシンから、環境BのOracle VM Serverと記憶域を再検出します。記憶域リポジトリをリフレッシュして、環境BのすべてのVMリソースが再表示されることを確認します。

Oracle VM Managerは環境AでHA VMとして実行され、環境Bで実行されているOracle VMデプロイメントを管理します。Oracle VM Manager VMをホストしているOracle VM Serverで障害が発生した場合、VMは環境A内の別のOracle VM Serverで自動的に起動するため、ユーザーは引き続きこれにアクセスして環境Bを管理できます。

この時点では、環境Aを担当するOracle VM Managerインスタンスは引き続き物理サーバー上で実行されています。環境Bで同じように仮想マシンを作成し、同じUUIDで動作する新しいOracle VM Managerインスタンスを設定し、この役割を引き継ぐことができます。このようにして、2つのOracle VM Managerインスタンスはクラスタ化されたサーバー・プールが提供するHA機能を利用できます。各Oracle VM Managerインスタンスは1つの環境で実行され、もう一方を管理します。