2.8 高可用性、ロード・バランシングおよび電源管理

Oracle VMには、高可用性(HA)機能が組み込まれています。環境に存在するOracle VM Managerは1つだけですが、重要な情報は管理対象の複数のサーバーに分散されるため、障害発生時にOracle VM Managerとそのインフラストラクチャ・データベースを再構築することができます。仮想マシンのHAでは、Oracle VM Serverをクラスタ化できるので、1台のサーバーで障害が発生した場合、すべての仮想マシンのデータはOracle VM Serverに直接格納されているのではなく共有記憶域に格納されているため、仮想マシンは自動的に別のサーバーに移行できます。予想可能な障害またはスケジュールされたメンテナンスが発生した場合、仮想マシンは、ライブ・マイグレーションを使用してサーバー・プールの他のメンバーに移動されます。

また、Oracle VMではHAネットワークおよび記憶域がサポートされますが、これらの構成はシステム管理者によってOracle VM Managerの外(RAID、マルチパスなど)に実装される必要があります。

クラスタ化されたサーバー・プールでは、動的電源管理(DPM)と動的リソース・スケジューラ(DRS)と呼ばれる高度な管理ポリシーもサポートされます。DPMは、電源を節約するために、サーバー・プール・メンバーの使用を最適化するポリシーです。DPMが有効になっている場合、ポリシーは利用中のOracle VM Serverを定期的に検索し、そのサーバーからプール内の別のサーバーへの仮想マシンのライブ・マイグレーションを実行します。ライブ・マイグレーションが完了すると、サーバーは停止し、電源が節約されます。反対に、サーバーが過負荷状態になった場合、ポリシーはビジー状態のサーバーから仮想マシンの負荷を軽減するために別のサーバーを検索します。電源の入った他のOracle VM Serverがどれも使用可能でない場合、ポリシーはWake-On-LAN機能を使用して電源が停止状態のサーバーを起動し、仮想マシンのライブ・マイグレーションを開始して全体的な負荷のバランスをとります。DPMに追加されたすべてのサーバーで、専用の管理ネットワークに接続する物理ネットワーク・インタフェースに対して、BIOSのWake-On-LANが有効になっている必要があります。動的リソース・スケジューラ(DRS)はDPMと同じ基礎コードを使用します。相違点は、DRSでは、CPUとネットワーク使用量のしきい値を上回るサーバーのみが対象となり、サーバーから仮想マシンを移動する処理のみが実行されることです。これらのしきい値はDRSポリシー(指定された間隔で実行され、サンプル期間にCPUとネットワーク使用量を監視)で設定できます。計算された平均負荷がしきい値と比較され、移行を実行する必要があるかどうかが決定されます。