このスタート・ガイドは新規Oracle Database Applianceの理解と管理に役立ちます。このマニュアルの内容は、Oracle Database Appliance X3-2を含むすべてのOracle Database Applianceハードウェアに適用されます。特定のバージョンが対象であると明確に示されないかぎり、「Oracle Database Appliance」という用語はすべてのハードウェア・バージョンを意味します。
この章では次のようなOracle Database Applianceの概要について説明します。
Oracle Database Applianceの設定および構成の準備の詳細は、第2章「Oracle Database Applianceのデプロイの準備」を参照してください。Oracle Database Applianceを入手したら、システムのインストールとストレージおよびコンピューティング・モジュールの起動の詳細な手順について、オーナーズ・ガイドおよびその他のハードウェア関連ドキュメントを参照してください。
ソフトウェアをインストールおよびデプロイする準備が整ったら、第3章「ベア・メタルOracle Database ApplianceでのOracleソフトウェアのデプロイ」または第4章「Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでのOracleソフトウェアのデプロイ」のいずれかの説明にある手順に従ってから、第5章「Oracle Database Applianceのインストール後のタスク」の情報を使用してプロセスを終了します。
Oracle Database Applianceが稼働状態になったら、実行できるより一般的な管理タスクの詳細を第6章「Oracle Database Applianceでの仮想マシンの管理」、第7章「Oracle Database ApplianceでのOracle Databaseの管理」、第8章「Oracle Database Applianceの高可用性について」および第9章「Oracle Database Applianceのトラブルシューティング」で参照してください。
このスタート・ガイドでは、Oracle Database、Oracle Clusterware、Oracle Real Application Clusters、Oracle Enterprise Manager、Oracle VMなどのOracle製品の進行中の管理については取り上げません。これらの製品はすべて、それぞれに固有のドキュメントがあります。
このマニュアルの最後にある付録では、マニュアルで説明されたアクティビティを完了するために参照できる詳細情報が示されています。このマニュアルの概要と使用方法の説明の最後に、この付録の一覧を次に示します。
ハードウェアおよびソフトウェアの完全なパッケージであるOracle Database Appliance
Oracle Database Applianceは、ネットワーク、クラスタおよびデータベース・ソフトウェアが(必要な場合はOracle Database Appliance仮想化プラットフォーム上のOracle VMも)統合されたサーバー、ストレージおよびネットワーク・ハードウェアです。Oracleでは、ハードウェア・コンポーネントおよびソフトウェア・コンポーネントをすべて完全にサポートしています。ハードウェアとソフトウェアは総合的にエンジニアリングされているため、構成およびメンテナンスが簡単であるとともに、特定のデータベースのワークロードに応じた事前構成が可能です。Oracle Database Applianceは、データベースのデプロイおよびメンテナンスのコスト、時間およびリスクを最小限に抑えることができるよう設計されています。Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームは、必要なときにはいつでも仮想マシンのデプロイが可能な仮想マシン・ドメインからOracleソフトウェアを分離することで、柔軟性をさらに向上させます。
Capacity-on-Demand (システム規模に応じた支払い)方式のライセンスを提供するOracle Database Appliance
ワークロードに応じてOracle Database Applianceで必要な任意の数のプロセッサをデプロイできます。Capacity-on-Demand方式のソフトウェア・ライセンスを使用することにより、通常のハードウェアのアップグレードに伴う過度のコストや停止時間を発生させずにプロセッサ・コアを増やして簡単にスケールアップできます。Capacity-on-Demandライセンスは、Oracle Database Appliance X3-2とOracle Database Applianceの両方で使用できます。Oracle Database Appliance X3-2では、4個のプロセッサ・コアから最大32個のプロセッサ・コアにスケールアップできます。Oracle Database Applianceでは、2個のプロセッサ・コアから最大24個のプロセッサ・コアにスケールアップできます。Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームをデプロイする場合、ODA_BASE用にプロセッサ・コア(最小2個のプロセッサ・コアから最大32個のプロセッサ・コア)をライセンス保有します。ベア・メタルとOracle Database Appliance仮想化プラットフォームのどちらを使用するかは、企業の方針や、それぞれの実装によってもたらされるメリットに応じて決定されます。
この項では、Oracle Database Applianceの視覚化に役立つ図および表が示されます。オーナーズ・ガイドと組み合せて、この項を使用してハードウェアを設定し、ソフトウェアをインストールする準備をします。
Oracle Database Appliance X3-2のフロント・パネルおよびバック・パネルの図は図1-1および図1-2に、Oracle Database Applianceの図は図1-3および図1-4に示します。それぞれの図に続く表には、前述の図のコールアウトの説明があります。
図1-1 Oracle Database Appliance X3-2サーバー・ノードのフロント・パネル
表1-1 Oracle Database Appliance X3-2のフロント・パネルの図の凡例
コールアウト番号 | 説明 |
---|---|
1 |
SP (サーバー・プロセッサ) LED (ノードごとに1つ) |
2 |
電源ボタン(ノードごとに1つ) |
3 |
電源/OK LED (ノードごと) |
表1-2 Oracle Database Appliance X3-2のバック・パネルの図の凡例
コールアウト | ラベル | イーサネット | ボンド | 説明 |
---|---|---|---|---|
1 |
NET MGT |
Oracle ILOMに接続します。 |
||
2 |
100 - 10 GbE (NET 0、NET 1、NET 2、NET 3) |
Eth2、Eth3、Eth4、Eth5 |
Bond0、Bond1 |
Eth2およびEth3は |
3 |
USBおよびビデオ記号 |
キーボードおよびマウス(USBポート)とビデオ表示(VGAポート)に対する接続を提供します。注意: これはノード0のみでサポートされています。 |
||
4 |
||||
5 |
1:Pcle3 (NET0、NET1) |
Eth0、Eth1 |
icbond0 |
クラスタ・インターコネクト。 |
表1-3 Oracle Database Applianceのフロント・パネルの図の凡例
コールアウト番号 | 説明 |
---|---|
1 |
|
2 |
SP (サービス・プロセッサ) OK/フォルトLED (ノードごと) |
3 |
サーバー・ノード削除準備完了LED (ノードごと) |
4 |
必要なサービスLED (ノードごと) |
5 |
電源/OK LED (ノードごと) |
6 |
システム過熱LED (ノードごと) |
7 |
後部ハード・ディスク・ドライブ(HDD)/電源(PS)/ファン・フォルトLED (ノードごと) |
8 |
電源ボタン(ノードごと) |
9 |
ドライブ・マップ |
10 |
RFIDおよび製品シリアル番号タグ |
表1-4 Oracle Database Applianceのバック・パネルの図の凡例
コールアウト | ラベル | イーサネット | ボンド | 説明 |
---|---|---|---|---|
1 |
電源コネクタ |
|||
2 |
PCIe 1 |
Eth 7、6、5、4 (左から右) |
|
Eth4およびEth5は |
3 |
PCIe 0 |
Eth8、Eth9 |
|
2つの10-GbEポート。 |
4 |
SER MGT |
|||
5 |
Net 0、Net 1 |
Eth2、Eth3 |
|
2つの1-GbEコネクタ。1-GbEネットワークを構成する場合、これらのポートをパブリック・ネットワークに接続します。 |
6 |
NET MGT |
Oracle ILOMのイーサネット接続 |
||
7 |
USBおよびビデオ記号 |
キーボードおよびマウス(USBポート)とビデオ表示(VGAポート)に対する接続を提供します。注意: これはノード0のみでサポートされています。 |
||
8 |
ノード0 |
|||
9 |
ノード1 |
注意: このマニュアルではOracle Database Applianceシステム・コントローラをノードと呼びます。ノード0が下位システム・コントローラで、ノード1が上位システム・コントローラです。Oracle Database Appliance X3-2ノードはノード番号でラベル付けされ、ノード0が下位サーバー、ノード1が上位サーバー上にあります。 |
表1-5にOracle Database Applianceに必要なIPアドレスの最小数の一覧を、適用可能な場合はデフォルト・ネットワーク・アドレスとともに示します。
表1-5 Oracle Database Applianceの最小IPアドレス要件
タイプ | ベア・メタルの最小IPアドレス数およびデフォルト値 | 仮想化プラットフォームの最小IPアドレス数およびデフォルト値 |
---|---|---|
ホストIP |
2 |
2 |
プライベートIP |
4 192.168.16.24 192.168.16.25 192.168.17.24 192.168.17.25 |
2 192.168.16.27 192.168.16.28 |
Dom 0 IP |
適用不可 |
2 192.168.16.24 192.168.16.25 |
RAC VIP |
2 |
2 |
SCAN IP |
2 |
2 |
ILOM IP |
2 |
2 |
ユーザー仮想マシンIP |
適用不可 |
各仮想マシンに対して1つ以上 |
表1-6から表1-9までに、Oracle Database Appliance X3-2およびOracle Database Applianceにおける物理ネットワーク・デバイス、物理インタフェースおよびインタフェース名間のマッピングの一覧を示します。表1-6および表1-7には、それぞれベア・メタルと仮想化プラットフォームの実装に関するOracle Database Appliance X3-2マッピングを示します。表1-8および表1-9には、それぞれベア・メタルと仮想化プラットフォームの実装に関するOracle Database Applianceマッピングを示します。
表1-6 Oracle Database Appliance X3-2のネットワーク・インタフェース(ベア・メタル)
タイプ | 物理インタフェース | インタフェース名 |
---|---|---|
オンボード・デュアル10 GbE |
Eth0 |
Eth0 |
Eth1 |
Eth1 |
|
オンボード・クアッド10 GbE |
Eth2およびEth3 |
bond0 |
Eth4およびEth5 |
bond1 |
表1-7 Oracle Database Appliance X3-2仮想化プラットフォームのネットワーク・インタフェース
タイプ | 物理インタフェース | インタフェース名 |
---|---|---|
オンボード・デュアル10 GbE |
Eth0およびEth1 |
Eth0 (プライベート) |
オンボード・クアッド・ポート10 GbE |
Eth2およびEth3 |
Eth1 |
Eth4およびEth5 |
Eth2 |
表1-8 Oracle Database Applianceのネットワーク・インタフェース(ベア・メタル)
タイプ | 物理インタフェース | インタフェース名 |
---|---|---|
内部デュアル1 GbE |
Eth0 |
Eth0 |
内部デュアル1 GbE |
Eth1 |
Eth1 |
オンボード・デュアル1 GbE |
Eth2およびEth3 |
bond0 |
オンボード・クアッド・ポート1 GbE |
Eth4およびEth5 |
bond1 |
Eth6およびEth7 |
bond2 |
|
オンボード・デュアル・ポート |
Eth8およびEth9 |
xbond0 |
表1-9 Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームのネットワーク・インタフェース
タイプ | 物理インタフェース | インタフェース名 |
---|---|---|
内部デュアル1 GbE |
Eth0およびEth1 |
Eth0 |
オンボード・デュアル1 GbE |
Eth2およびEth3 |
Eth1 |
オンボード・クアッド・ポート1 GbE |
Eth4およびEth5 |
Eth2 |
Eth6およびEth7 |
Eth3 |
|
オンボード・デュアル・ポート |
Eth8およびEth9 |
Eth4 |
注意: Eth0の構成を変更しないでください。また、ベア・メタル・デプロイメントではEth1の構成を変更しないでください。変更した場合、内部クラスタ通信が失敗します。 |
関連項目: システムの設定準備が整ったら、詳細な図や完全なアセンブリおよび配線の手順について、Oracle Database Applianceオーナーズ・マニュアルを参照してください。 |
表1-10 Oracle Database Applianceのソフトウェア
Oracle Database Applianceの準備および設定
この手順の内容は次のとおりです。
サーバー設置場所を準備します。
Oracle Database ApplianceのサポートID (SI)をMy Oracle Supportに登録し、Oracleからソフトウェアおよびサポートを取得できるようにします。
ドメイン・ネーム・サーバー(DNS)でネットワーク名およびアドレスを設定します。
Oracle Appliance Managerコンフィギュレータを使用すると、名前およびアドレスを生成したり、既存の名前およびアドレスを検証できます。コンフィギュレータはOracle Technology Networkからダウンロードできます。
注意: Oracle Database Appliance Managerコンフィギュレータは、http://www.oracle.com/technetwork/server-storage/engineered-systems/database-appliance/overview/index.html からダウンロードします。 |
サーバー設置場所のラックにOracle Database Applianceハードウェアを設置します。
電源およびネットワーク・ケーブルをOracle Database Applianceに接続します。
関連項目: Oracle Database Applianceハードウェアの設定(配線および電源の供給を含む)の詳細は、『Oracle Database Applianceオーナーズ・ガイド』を参照してください。 |
第2章「Oracle Database Applianceのデプロイの準備」にこの手順を完了するための詳細を示します。
Oracle Database Applianceでのソフトウェアのインストールおよびデプロイ
この手順の内容は次のとおりです。
Oracle Database Applianceソフトウェア・パッケージをダウンロードしてOracle Database Applianceにコピーします。
Oracle Appliance Managerを起動し、プロンプトに応答しながらOracle Grid Infrastructureを構成し、Oracle Databaseをインストールおよび構成します。
構成時に、2ノードのOracle Grid Infrastructureインストール(Oracle ClusterwareおよびOracle Automatic Storage Management)を構成します。また、Oracle Database Enterprise Edition、Oracle RAC One NodeまたはOracle RACを構成するオプションも用意されています。初期構成の後は、データベースの追加、コア数の構成、およびインスタンス・ケージングの構成が可能になります。
第3章「ベア・メタルOracle Database ApplianceでのOracleソフトウェアのデプロイ」にベア・メタルOracle Database Applianceでこの手順を完了するための詳細を示し、第4章「Oracle Database Appliance仮想化プラットフォームでのOracleソフトウェアのデプロイ」にOracle Database Appliance仮想化プラットフォームでこの手順を完了するための詳細を示します。
インストール後タスクの完了
この手順の内容は次のとおりです。
第5章「Oracle Database Applianceのインストール後のタスク」にこの手順を完了するための詳細を示します。