この付録ではService Busに関する問題の識別方法と、WebLogic診断 フレームワーク(WLDF)およびOracle Fusion Middleware診断フレームワーク(DFW)を使用して適切な修正を行う方法について説明しています。
この付録の内容は次のとおりです。
Service BusではOracleの診断フレームワーク(DFW)およびWebLogic診断フレームワーク(WLDF)を使用して、Oracle Service Busの問題を診断できます。WLDFでは、ユーザーが監視と通知を使用して診断シナリオをモニターできます。これに対し、DFWではService Bus固有の診断シナリオを、表示と分析用にフォーマットされたデータ・ダンプにユーザーが収集することができます。
WebLogicとSOAスイートにはいずれも、ユーザーの診断を助ける事前定義された複数の診断ダンプが用意されています。また、Service Busでは次の診断ダンプがサポートされています。
派生リソースのキャッシュ
JMSリクエスト/レスポンス相関表
MQリクエスト/レスポンス相関表
診断フレームワーク、監視および通知の詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』の診断の問題に関する説明を参照してください。SOAスイートを使用した診断フレームワークの使用法の詳細(生成するダンプ、監視と通知の設定および事前定義診断ダンプを含む)は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA SuiteおよびOracle Business Process Management Suite管理者ガイド』のSOAコンポジット・アプリケーションを使用した問題の診断に関する説明を参照してください。
WLDFはOracle WebLogic Serverに付属しており、サーバーのプロセス内で実行され標準的なサーバーのライフサイクルに参加する、一連のサービスを定義および実装するモニターおよび診断フレームワークです。WLDFでは、ユーザーが診断データを取得し、特定の状況が発生したときの監視と通知を設定します。監視と通知を使用して診断データを収集し、問題を特定します。このデータにより、ユーザーは障害が発生したときにその障害を切り分けることができます。
WLDFの詳細については、『Oracle Fusion Middleware Oracle WebLogic Serverのコンフィグレーションと診断フレームワークの使い方』を参照してください。
自動診断リポジトリ(ADR)は、トレースやダンプなどの診断データ用のファイル・ベースの階層型リポジトリです。Oracle Fusion Middlewareコンポーネントはすべてのインシデント・データをADRに保管し、各Oracle WebLogic Serverは診断データをADR内の各自のホーム・ディレクトリのサブディレクトリに保管します。ADRのの詳細は、『Oracle Fusion Middleware Oracle SOA SuiteおよびOracle Business Process Management Suite管理者ガイド』のSOAコンポジット・アプリケーションを使用した問題の診断に関する説明を参照してください。
Oracle WebLogic ServerおよびOracle SOAスイートで使用できる診断ダンプに加え、Service Busでは表J-1の診断ダンプの作成がサポートされています。
表J-1 サポートされるOracle Service Bus診断ダンプ
ダンプ | 説明 |
---|---|
|
サーバー上でのすべてのService Bus派生リソースのキャッシュに関する統計のコレクション |
|
Service Bus JMSリクエスト/レスポンス相関表 |
|
Service Bus MQリクエスト/レスポンス相関表 |
診断フレームワークは診断ダンプを出力し、記録します。WLSTのlistDumps
コマンドおよびdescribeDump
コマンドを使用して、サポートされているすべての診断ダンプに関する詳細をリストできます。
注意:
|
サポートされるダンプをリストするには、次の手順を実行します。
SOAインフラストラクチャがインストールされいてるサーバーに接続します。
wls:/offline> connect('user_name', 'password', 't3://myhost:7001') Connecting to t3://myhost:8001 with userid user_name ... Successfully connected to managed Server 'soa_server1' that belongs to domain 'soainfra'.
サポートされる診断フレームワークのダンプをリストします。
wls:/soainfra/serverConfig> listDumps() odl.activeLogConfig jvm.classhistogram dms.ecidctx wls.image odl.logs dms.metrics odl.quicktrace http.requests jvm.threads Use the command describeDump(name=<dumpName>) for help on a specific dump.
サポートされるOracle Service Busのダンプをリストします。
wls:/soainfra/serverConfig> listDumps(appName='OSB') OSB.derived-caches OSB.jms-async-table OSB.mq-async-table Use the command describeDump(name='<dumpName>') for help on a specific dump.
listDumps
およびdescribeDump
の詳細については、『Oracle Fusion Middleware WebLogic Scripting Toolコマンド・リファレンス』の診断フレームワークのカスタムWLSTコマンドに関する説明を参照してください。
診断フレームワークのダンプの詳細は、『Oracle Fusion Middleware管理者ガイド』の問題の診断に関する説明を参照してください。
表J-2は、Service Bus派生リソースのキャッシュ診断のダンプに関する詳細を示しています。取得される情報には、各キャッシュ・タイプの名前、各キャッシュの統計情報およびキャッシュされた各エントリの情報などがあります。
表J-2 JMS相関表診断ダンプ
ダンプ名 | ダンプ・パラメータ/ダンプ・モード | 取得される情報 |
---|---|---|
|
なし |
OSB実行時に管理される各派生リソースのキャッシュについて、次の情報が提供されます。
各キャッシュ・エントリについて次の情報が提供されます。
|
表J-3は、診断情報に含まれる各Service Busキャッシュのリストです。
表J-3 Oracle Service Bus派生リソースのキャッシュ
キャッシュ | 説明 |
---|---|
アーカイブClassLoader |
依存性対応アーカイブ・クラス・ローダー。 |
アーカイブ・サマリー |
アーカイブ・サマリー |
CodecFactory |
Codecファクトリ |
EffectiveWSDL |
ビジネス・サービスまたはプロキシ・サービスのWSDLリソース、あるいはサービスから派生した、EffectiveWSDLオブジェクト |
Flow_Info |
分割-結合オブジェクト |
LightweightEffectiveWSDL |
ビジネス・サービスまたはプロキシ・サービスのWSDLリソース、あるいはサービスから派生した、EffectiveWSDLオブジェクト |
MflExecutor |
MFLエグゼキュータ |
RouterRuntime |
プロキシ・サービスのコンパイル済ルーター・ランタイム |
RuntimeEffectiveWSDL |
ビジネス・サービスまたはプロキシ・サービスのWSDL、あるいはサービスから派生した、セッションの有効なeffectiveWSDLオブジェクト |
RuntimeEffectiveWSPolicy |
ビジネス・サービスまたはプロキシ・サービスのWSポリシー |
SchemaTypeSystem |
MFL、XSおよびWSDLドキュメントの型のシステム情報 |
ServiceAlertsStatisticInfo |
ビジネス・サービスまたはプロキシ・サービスのサービス・アラート統計 |
ServiceInfo |
ビジネス・サービスまたはプロキシ・サービス、あるいはWSDLドキュメントのコンパイル済サービス情報 |
Wsdl_Info |
WSDL情報オブジェクト |
WsPolicyMetadata |
コンパイル済WSポリシーのメタデータ |
XMLSchema_Info |
XMLスキーマ・オブジェクトのXMLスキーマ情報 |
XqueryExecutors |
XQueryエグゼキュータ |
XsltExecutor |
XSLTエグゼキュータ |
alsb.transports.ejb. |
EJBビジネス・サービスのEJBバインディング情報 |
alsb.transports.jejb.business. |
JEJBビジネス・サービスのJEJBバインディング情報 |
alsb.transports.jejb.proxy. |
JEJBプロキシ・サービスのJEJBバインディング情報 |
OSB.derived-caches
のダンプ情報を表示するには、次のWLSTコマンド・ライン構文を入力します。
wls:/soainfra/serverConfig> describeDump(name='OSB.derived-caches',appName='OSB')
次の情報が表示されます。
Name: OSB.derived-caches Description: Dump of the caches used for OSB derived resources. Mandatory Arguments: Optional Arguments:
OSB.derived-caches
のダンプを実行するには、次のWLSTコマンド・ライン構文を入力します。
wls:/soainfra/serverConfig> executeDump(name='OSB.derived-caches', appName='OSB')
次のような情報が表示されます(わかりやすいように、このダンプの一部は切り捨てられています)。
<derivedCaches xmlns="http://www.bea.com/wli/config/xmltypes"> <version>11.1.1.7</version> <derivedCache cacheType="RuntimeEffectiveWSDL"> <configuredEntries>2147483647</configuredEntries> <cacheEntriesInUse>0</cacheEntriesInUse> <totalHits>0</totalHits> <totalMisses>0</totalMisses> <hitRatio>0.0</hitRatio> <cacheEntries/> </derivedCache> ... <derivedCache cacheType="ServiceAlertsStatisticInfo"> <configuredEntries>2147483647</configuredEntries> <cacheEntriesInUse>9</cacheEntriesInUse> <totalHits>0</totalHits> <totalMisses>51</totalMisses> <hitRatio>0.0</hitRatio> <cacheEntries> <cacheEntry> <ref>services/bs_dq_uri4.BusinessService</ref> <creationTime>2012-03-22T23:44:53.737-07:00</creationTime> <computeTimeMSecs>0</computeTimeMSecs> </cacheEntry> <cacheEntry> <ref>services/bs_dq_nopooling.BusinessService</ref> <creationTime>2012-03-22T23:44:53.736-07:00</creationTime> <computeTimeMSecs>0</computeTimeMSecs> </cacheEntry> <cacheEntry> <ref>services/bs_dq_uri1.BusinessService</ref> <creationTime>2012-03-22T23:44:53.738-07:00</creationTime> <computeTimeMSecs>0</computeTimeMSecs> </cacheEntry> <cacheEntry> <ref>services/proxy_dq_uri.ProxyService</ref> <creationTime>2012-03-22T23:44:53.736-07:00</creationTime> <computeTimeMSecs>0</computeTimeMSecs> </cacheEntry> <cacheEntry> <ref>services/bs_dq_conn_pooling.BusinessService</ref> <creationTime>2012-03-22T23:44:53.736-07:00</creationTime> <computeTimeMSecs>0</computeTimeMSecs> </cacheEntry> <cacheEntry> <ref>services/bs_dq_conn_nopooling.BusinessService</ref> <creationTime>2012-03-22T23:44:53.737-07:00</creationTime> <computeTimeMSecs>0</computeTimeMSecs> </cacheEntry> <cacheEntry> <ref>services/bs_dq_uri2.BusinessService</ref> <creationTime>2012-03-22T23:44:53.737-07:00</creationTime> <computeTimeMSecs>0</computeTimeMSecs> </cacheEntry> <cacheEntry> <ref>services/bs_dq_pooling.BusinessService</ref> <creationTime>2012-03-22T23:44:53.736-07:00</creationTime> <computeTimeMSecs>0</computeTimeMSecs> </cacheEntry> <cacheEntry> <ref>services/bs_dq_uri3.BusinessService</ref> <creationTime>2012-03-22T23:44:53.737-07:00</creationTime> <computeTimeMSecs>0</computeTimeMSecs> </cacheEntry> </cacheEntries> </derivedCache> ... </derivedCaches>
表J-4は、Service Bus JMSリクエスト/レスポンス相関表診断ダンプの詳細を示しています。取得される情報には、各メッセージの相関ID、有効期限および宛先などがあります。
表J-4 JMS相関表診断ダンプ
ダンプ名 | ダンプ・パラメータ/ダンプ・モード | 取得される情報 |
---|---|---|
|
なし |
Service Busのバージョンに加え、各サービスの参照では保留中の各メッセージについて次の情報が表示されます。
|
OSB.jms-async-table
のダンプ情報を表示するには、次のWLSTコマンド・ライン構文を入力します。
wls:/soainfra/serverConfig> describeDump(name='OSB.jms-async-table',appName='OSB')
次の情報が表示されます。
Name: OSB.jms-async-table Description: Dump of the OSB JMS Async Table of pending messages Mandatory Arguments: Optional Arguments:
OSB.jms-async-table
のダンプを実行するには、次のWLSTコマンド・ライン構文を入力します。
wls:/soainfra/serverConfig> executeDump(name='OSB.jms-async-table', appName='OSB')
次のような情報が表示されます。
<transportDiagnosticsContents xmlns="http://www.bea.com/wli/sb/transportdiags"> <version>11.1.1.7</version> <transportDiagnostics transportType="jms"> <correlationTable> <services> <service> <ref>default/testJmsResponseRollback_out</ref> <message> <correlationMsgId responsePattern="JMSCorrelationID"> ID:42454153155cc06b7f5ab312000001363d5bd59effff8d4 </correlationMsgId> <expirationTime>2012-03-22T19:53:43.621-07:00</expirationTime> <msgDestination>testJmsResponseRollback_outRequest</msgDestination> </message> </service> </services> </correlationTable> </transportDiagnostics> </transportDiagnosticsContents>
表J-5は、Service Bus MQリクエスト/レスポンス相関表診断ダンプの詳細を示しています。取得される情報には、各メッセージの相関ID、有効期限および宛先などがあります。
表J-5 MQ相関表診断ダンプ
ダンプ名 | ダンプ・パラメータ/ダンプ・モード | 取得される情報 |
---|---|---|
|
なし |
Service Busのバージョンに加え、各サービスの参照では保留中の各メッセージについて次の情報が表示されます。
|
OSB.mq-async-table
のダンプ情報を表示するには、次のWLSTコマンド・ライン構文を入力します。
wls:/soainfra/serverConfig> describeDump(name='OSB.mq-async-table',appName='OSB')
次の情報が表示されます。
Name: OSB.mq-async-table Description: Dump of the OSB MQ Async Table of pending messages Mandatory Arguments: Optional Arguments:
OSB.mq-async-table
のダンプを実行するには、次のWLSTコマンド・ライン構文を入力します。
wls:/soainfra/serverConfig> executeDump(name='OSB.mq-async-table', appName='OSB')
次のような情報が表示されます。
<transportDiagnosticsContents xmlns="http://www.bea.com/wli/sb/transportdiags"> <version>11.1.1.7</version> <transportDiagnostics transportType="mq"> <correlationTable> <services> <service> <ref>services/mq_Biz_cached</ref> <message> <correlationMsgId responsePattern="MQCorrelationID"> 000000000000000000000000000000000000000000000000 </correlationMsgId> <expirationTime>2012-03-22T23:48:09.085-07:00</expirationTime> <msgDestination>rc_req</msgDestination> </message> </service> </services> </correlationTable> </transportDiagnostics> </transportDiagnosticsContents>
WSLTを使用したService Bus診断ダンプの生成に加え、Oracle Remote Diagnostic Agent (RDA)も使用できます。次の手順を実行する前に、RDAがシステムにインストールされていることを確認してください。
ヒント: Service BusでのRDAの使用法の詳細は、OracleサポートのOracle Service Bus (OSB)でのRDAを使用した分析情報の収集方法に関する記事を参照してください。このドキュメントのIDは1352549.1です。 |
RDAを使用して診断ダンプを生成するには、次の手順を実行します。
コマンド・ラインから次のコマンドを実行します。
Windowsの場合
rda.cmd -vSCRP OSB
UNIXまたはLINUXの場合
rda.sh -vSCRP OSB
コマンド・ラインでプロンプトに従って情報を入力します。Oracle Service Bus情報の収集にRDAを使用するか聞かれたら、デフォルト(Y)を受け入れます。
注意: RDAツールの実行とオプションの詳細は、ご使用のFusion Middlewareのホーム・ディレクトリ内のRDAディレクトリにあるREADMEファイルを参照してください。 |
Webブラウザに結果を表示できます。指定した出力ディレクトリからファイルにアクセスします。
このファイルの名前はprefix
__start.htm
です(prefixは、指定した接頭辞)。